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俺を好きなやつの魔力を吸い取って奇跡を起こせる件。奴隷少女よ、だからといってそんなに俺にくっつくな  作者: 羽黒楓


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第74話 教会

 イマルに着いたのは明け方だった。

 すでに空は白みはじめている。

 イマルは大きな都市だが城塞都市でもあったので、街に入るには門番の許可がいる。

 ただ、基本的にはモンスターの侵入を防ぐための門番だったので、適当な貴族の名前を申告したらあっさり中に入れた。


 早朝で街中には人通りも少ない。

 馬車を走らせ、町はずれの教会にたどり着く。


 大理石で作られたなかなか立派な教会だった。


「うひひ、数百年前の戦争で城としても使われた、由緒正しき建物なんだよ!」


 なるほど、教会のまわりには堀まであるぞ。

 城といわれればたしかにそう見えるな。


「中には常時百人ほどの聖職者たちが寝泊まりしているんだ。このあたりのテネス信者はここがとりしきってる」


 中では朝のミサが行われているようだった。

 そこにリリアーナはずかずかと入っていく。


 女神テネスの彫像が飾られている大きな広間に、紺色の聖職者服を着た男女いろいろな聖職者がたちが祈りを捧げている。


 いきなりの来訪者にみなが驚いて振り向く中、リリアーナは中央の壇上にいる、35歳くらいの女性に話しかけた。


「やあやあプリソワーネ。久しぶりだねえ?」

「……! 女王陛下!?」


 プリソワーネはあっけにとられた顔をして絶句する。


「うひゃひゃ。朝のお祈りの時間に申し訳ないよ。ちょっと緊急のことがあってね」

「え、あの、女王陛下、なぜここに? 王都におわすのでは……?」


「それがさー。私んとこに暗殺者が送り込まれてさ」


「暗殺者!?」


「そ。シャイアのじじいの差し金だ。その暗殺者は……勇者ガルアド。シャイアとガルアドは国家に弓を引いたってことさ」


 広間がざわつく。

 突然の女王陛下の来訪、そしてその話す内容がこれじゃあ、動揺するのも当たり前だ。


「プリソワーネ、頼みがある。いや、女王としての命令だ。いますぐ伝書ハルトを各地にとばしてくれ。それに、この街の信者たちをここに集めてくれ。全力でだよ」


 そう、このことは馬車の中で話し合っていた。

 インターネットもテレビもラジオもないこの世界。

 情報の駆け巡る速度は遅く、内容は不正確だ。

 人の口から口へと伝わる噂話が世論を形成する。

 宮殿が破壊され、女王死亡説がまことしやかに流されれば、事実はどうあれ、シャイアが自分のひ孫を王位につける理由にもなってしまう。

 だけどさ。

 俺には奇跡の力がある。

 世論なんて、瞬時に操ることができるのだ。


「準備を頼む。あと休憩させてくれ。私はともかく、みんなを半日でも休ませてやりたいんだよ、うひひ。魔力の回復のためにね」


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