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俺を好きなやつの魔力を吸い取って奇跡を起こせる件。奴隷少女よ、だからといってそんなに俺にくっつくな  作者: 羽黒楓


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第31話 危険な道を選んでルーレットに勝て

「ココ、もう一発だ! 今度は左前方!」

「はい!」


 ココがまた石を拾って投げる。

 が、もちろん野球とか投石の練習なんてしたことのない女の子だ。

 力みすぎたのか、失敗して自分の足元に叩きつけてしまう。


「あぶね!」


 あやうく魔法を発動するとこだったぜ。

 オウンゴールで俺たち仲良く火だるまになるとこだった。


「ココ、ゆっくりでいいからなるべく遠くに投げてくれ」

「わかりましたわ!」


 ココはもう一度石を拾い、


「えいっ!」


 と、それを放り投げた。

 また5メートルくらいしか飛ばなかったが、それで十分。


 キュイーン!


 魔力 SSSC⇒SSD

 先ほどと同じように、トンネル出口を中心に半径30メートルを焼き尽くす。


「まだ投げますか?」

「いや、待て」


 俺は敵の様子を観察する。

 こんな形での攻撃は予想していなかったのか、ダグロヌたちは慌てふためいてトンネルに逃げ込み始めている。ほかにも、俺たちから離れようと向こうの方に逃げ出しているやつもいた。

 ひとまず、これで十分だ。

 時間稼ぎはできたはず。


 後ろを振り向いて屋敷の方を見ると、女性や子供など非戦闘員はみな山の方へと逃げ始めている。

 その代わり、デールを先頭にした騎馬が十騎ほど、こちらへ向かってきていた。


 デールのステータス。

身体能力 B

▲ A

■ B

魔力 C

信仰心 A 


 まあまあだけど、一般的な四十代男性といったところか。

 それを考えると、ガルニの身体能力Aっていうのも59歳という年齢を考えると並みはずれているんだな。


 そのガルニも、騎馬にこそ乗っていなかったが、胸当てをつけ、槍を装備して駆けつけてきている。

 そのほかに兵士が数十人。

 この村の全戦力ってところか。


 常備兵としての戦力はこんなもんだけど、もちろん農村の男ってやつは戦争が起これば戦闘員に変身するのが中世の習わしだ。


 みな、普段は藁を運ぶのに使っている巨大なフォークとか農具を手に持ってやってきている。


 デールが俺の側にやってきて言った。


「さすがだな、コバヤシ殿。聞いた通りのすさまじい魔力だ……」

「はい、しかし俺の力は無限に使えるわけではありません。今の威力の魔法を撃てるのは、多分あと二回か三回です」


「だが膠着状態を作れた。村の人々が避難するくらいの時間は稼げただろう。私も貴族のはしくれだ、村人を守るためには命を張る義務がある!」


 いわゆる、ノブレスオブリージュってやつだな。

 高貴な身分の者は、いざ戦争になったらいち早く自分の命を捧げなければその名誉が地に落ちることになるのだ。


「あの……」


 アリアが俺の袖をひっぱった。

 彼女の信仰心はいまだDのままだ。

 あ、いや、今の俺の一撃を見てBにあがってるなあ。

 でも現状戦力にはならない。


「アリアも逃げてくれ。俺とココでここを守る」

「そんな! ボクは逃げないよ。ご主人様を置いて逃げる奴隷は、死刑だ」


 そこにココがぴしゃりと言った。


「奴隷でも女性は別です。法でもそうなってます。女性は生き残って同胞を産み育てる義務がある。女神様が聖典でそうおっしゃっていますから」

「ココだって奴隷じゃないか!」

「おほほほほ! 私の刻印はただの間違いですわ。私はライラネック家の令嬢! 恩のあるキャルル卿の土地を守る義務がありますわ!」

「でも、ボクはここで逃げたら……」


 アリアが言った。


「ボクの人生は何も変わらない。ここで踏みとどまってご主人様の役に立てば……。それなりに待遇も良くなる……。これは、ギャンブルだよ。命を賭けるって、楽しいじゃないか。危険な道を選んでルーレットに勝てば、人生の勝者になれる」


 こいつ、まじでギャンブル脳だな。

 なのに賭け事に弱い体質っぽいし。

 こいつにベットされるってのは縁起が悪い気がするけど、まあいいか。


 と、そこで目のいいガルニが声を上げた。


「デール様、北の空を! なにかが飛んできます」


 俺もそっちの方向に目を凝らす。

 そして、すぐに分かった。

 それは、空を飛ぶ、ドラゴンだった。


 ダークドラゴンみたいに羽が四枚ってことはなく、普通に二枚の翼で飛んでいる。

 大きさだってダークドラゴンに比べたらずいぶん小さい。

 だが、ドラゴンには違いない。

 ダグロヌみたいなザコではないだろう。

 くっそ、地上軍だけじゃなくて空軍まで投入ってことか。

 ココの魔力を全部使ってでも、あいつを打ち落とす必要がある。

 そう思ったとき。


 アリアが言った。



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