宇宙戦艦
「この小説、会話だけで作られてるらしいよ」
「マジか。それは…えらい挑戦的だな」
「ね。しかも、基本的に話ごとの繋がりがないから、一話一話が独立してるらしい。つまりどっからでも読んで良いってことだね」
「……つまり、一話一話が薄っぺらいってことか?」
「……それは言わない方がいい。作者に消されるぞ」
「それで消されたらお前、作者が認めたようなもんじゃねぇかよ笑」
「確かに笑 じゃあ消えろ」
「え? なにーー」
「これでよしっと」
「艦長! 正体不明の宇宙船を補足しました!」
「なんだと?」
「キョリおよそ五百メートル。一時の方向より接近中! キョリ四百五十……四百……三百五十……止まりません!」
「これより警戒体制レベル3に入る! 警告信号弾を撃っとけ」
「警告信号弾発射! 成功です」
「よし。総員戦闘準備!!」
「艦長! 正体不明の宇宙船から通信要請がきました!」
「なに? つなげろ!」
「音声、きます!」
『あー。あー。聞こえてるかな?』
「問題ない。私は第四艦隊、間違えた、第四地球宇宙……あ、第四番艦艦長、第四地球宇宙艦隊第四番艦長の伊吹だ」
『こちら第十三銀河星団中天光星第八軌道上周転中衛星六光所属艦ピックルス艦長ビジミシだ。第四地球宇宙艦隊第四番艦艦長殿。お話しできて光栄です』
「とんでもない。こちらこそ第十三銀河第八……いや、中天光、いや、第十三軌道、いや………よし。ピックルス殿にあえて光栄だ」
『私はビジミシだ』
「これは失礼。ビジミシ殿とお話しできて光栄だ。そして、我々に戦闘の意思はない。ここは一つ穏便に行かないか?」
『……そうして頂けるとワタクシどもとしても助かります。しかしどうでしょう。折角ですから少しお話していきませんか?』
「了解した」
『ありがとうございマス』
「キョリ二百……百……ピックルス、真横に停止ししました」
『本当はそちらの船に直接行きたいのですが、あなたたち地球人の船内環境で我々は生きられない。だから電話越しに話しましょう』
「ああ。それでなんの用だ?」
『私たちはあなたがた地球人に興味があるのです』
「ほう?」
『ここ最近の地球の技術発展は実にスバラシイ。ちょっと前まで小さな炎で大喜びしていたのに、今ではこうして宇宙まで進出してきている。その成長力に私たちは感動しているのです』
「言われてみれば確かにスゴいかもな」
『そこであなたちに提案なのデスガ、成長の秘訣を我々に教えて頂けませんか?』
「秘訣? そんなの知らん。気合いとかじゃないか」
『気合い……なるほど。奥が深いデスね』
「ところでこの先は地球だが、あんたらは地球に観光でもしにきたのか?」
『いえ。ワタシタチハ……地球を侵略しに来たのデス。キキキ! オマエラには我々の新兵器の実験台になって貰いマス! オメガピックルスレーザー、発ッ――ギャァアアアアア!!』
「警告信号弾、着弾しました!」
「ピックルス、大破しました!」
「凄まじい威力だな……苦労して地球人から奪ったかいがあった」
「読んでくれてありがとう!」
「ございました!」