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ー3年後ー

初作品となります。拙い文章ではございますが、お楽しみいただければ幸いです。


 ユーグが男爵家から追放され、森の奥地の洞窟に住むようになってから3年が経った。ユーグは13歳になり、大きく成長していた。


「ブリュー、ここから400メートル先に5つのそこそこの魔力の塊があるね。これはゴブリンかな?」


「ぐぅぐぐぅぐぅぐー」


「うんうん、ブリューも見つけたんだ、5体のゴブリンなら僕らでも倒せるからちょっと駆除に行こうか」


「ぐぅ!」


 ゴブリンを魔力察知で見つけたユーグはブリューと一緒にゴブリンの元に移動しに行く。この地方ではゴブリンは低位の魔物で、流石に以前ユーグたちが倒したスモールリザードよりは強いがブリューほどの魔物ではない、ゴブリンは小さめな大人程度の大きさで性格は悪辣だと言われている、人を見ると襲い出し数が多くなると村や町も襲い出す。

 そんなブリューもこの3年で大きく成長し幼生体ではなくなり大人のジャイアントベアの変異種になっていた。


「見つけた、あれだね。うん最近よく見るゴブリンたちと変わりないみたいだね。

 防具は粗末な腰蓑で武器も木のこん棒。よし固まっているみたいだからまず僕の魔法で奇襲して、こっち見たあと後ろからまたブリューが奇襲してね、あとは各個撃破で」


「ぐぅぐぐ!」


「じゃあ行くよ、ウォーターピラー!」


 ユーグが隠れていた茂みが姿を出し、魔法を発動する。ユーグの魔法で、固まっていたゴブリンの中心に大きな水の円柱が地面から急に出現した。その中に2体のゴブリンが捕らわれる。

 驚いているゴブリンが、ユーグの方を一斉に見て攻撃をしようと動いたとき、そのゴブリンの後方からブリューが奇襲を仕掛けた。ゴブリンたちは2度目の奇襲にまた対応できず、ブリューはその爪の一撃を食らわせる。これでゴブリンたちは2体は魔法で捕らわれて1体は倒された、残りは2体となり、1体はブリューがもう1体はユーグが対応する。

 ユーグはいつも使っている3年前にソタから貰ったあの木の枝を取り出す。その木の枝に魔力を纏わす、そして魔力で構成された長剣が出来上がる。それを見たゴブリンがこん棒を大きく振り上げユーグに突撃してきた。その突撃をかわし魔力で構成された長剣がゴブリンの胴体を斬る。斬られたゴブリンが傷を抑えながら片膝をついた。もう攻撃もできなくなったゴブリンへ長剣を向け首を斬った。


「ふぅ、これで終わりかブリューの方ももう終わって、ウォーターピラーの中のゴブリンも…うん、もう終わったね」


〈今回も良い連携じゃったぞ、さぁ早くゴブリンの魔石を取って移動しよう〉


「わかったけど、ゴブリンはホントに戦うだけ損だね、魔石しか活用できるものないし戦わないと数が増えちゃうからね。

 最近よく見るようになったけどどうしたんだろう?」


〈わからんな、もっと森の奥地で繁殖してるのかもしれんな。

 この3年でわかったことじゃが、ここはわしとブリュー住んでた森みたいに熊形の魔物がおらんからのう、ゴブリン程度の魔物でも繁殖すると対応できる魔物がおらんみたいじゃな〉


「そっか、じゃあ僕らがある程度駆除して数を減らした方が良いのかな?」


〈うーん、どうじゃろな、今みたいな5体程度なら楽に勝てるのじゃが、もっと数がおればわしらも苦戦するからのう。

 それに数次第では負けかねんしのう〉


「了解、それじゃ今までのように少ないグループを見つけたら狩るってことね」


〈うむ、それがいいじゃろうな〉


 *****


 ゴブリンのグループを狩り、解体して魔石を取り出したあと一度拠点に戻ることになった。

 春になって動物や動物形の魔物も外に出るようになり、それらを狩りに来たのだったのだがここ数日はいるのはゴブリンばかりで狩りにはならなかったのである。この日もさっき戦ったゴブリン以外にも同数程度のグループを2つ見かけてすでに狩った後であった。


「でもホントに森の中にはゴブリンしかいないね、お肉なら山の方にいるスモールリザードを狩ればいいけど」


〈そうじゃな、ここは森の中でもそこそこの奥地じゃからな、ここでこの数ならもっと奥地で繁殖が起きて食料不足になっておるのじゃろうな。最悪は拠点も放棄せんといかんかもしれんな〉


「えー、それは嫌だけど、まぁ命には代えられないからしょうがないか。急に逃げることになるより今からそうなる覚悟と準備をしてた方がいいね」

 

 ・

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 ・

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 拠点は3年前に比べて大分快適性が上がった。ただの洞窟で何もなかったのが、木で作られた椅子や食器類、石で作られたテーブルなどが置かれていた。他にもウサギの皮で作った敷物も敷かれている。これらはユーグやソタが作ったものである。ブリューとユーグが木を伐りそれをユーグが加工した。石のテーブルはソタの土魔法で作ったもので敷物は今まで狩った動物の皮をなめし加工したものであった。洞窟の外には簡単な柵で囲われた農地もある。そこには食用の野菜や錬金術用の薬草が植えられていた。

 

 錬金術はソタがユーグにこの3年で教えていた。いっても3年間この森の中にいるためそこまで色々なものを作ったりしているわけではないが、森の中でも作ることができるポーションはかなりの練度を誇る。

 錬金術は物質の特性を魔力でもって取り出し、結合させることができる術である。ポーション用の薬草には回復するという特性があり、それを魔力でもって取り出し水に結合させるとポーションが完成するのであった。ポーション用の薬草は色々なところに生えており、当然この森の中にも豊富にあった。その薬草をユーグは自分でも育ててみたいと言い、洞窟外の農地に植えたのである。


〈ユーグもポーション作り、だいぶ上手くなったのじゃ〉


「まぁ毎日してるからね、それなりには上手くなるよ」


〈錬金術の中でもポーション作りは水魔法と相性が良いからのう、お主には合ってたみたいじゃの。農業もそうか、水を撒くなども水魔法持ちがいると楽になるのじゃ〉


「へぇー、そうなんだ。農業の方はわかるけど、錬金術の方はやっぱりポーションが水薬だから相性が良いってこと?」


〈それもあるのじゃが、回復の特性を結合させる水を水魔法で創った水にするとポーションの回復の力が増すのじゃ。

 水魔法で創られた水は魔力で作られておるからのう、別名を魔力水と言われてるくらい魔力が濃いのじゃ。

 それを使ってポーションを作れば魔力で抽出された回復の特性と反応を起こし力が増すということじゃ〉


「おー、そうだったんだ。じゃあ僕が錬金術を学んでるのは良いことなんだね」

 

〈もちろんじゃ、まぁ扱う物質によっては有利になる魔法属性は変わるがのう。例えば鉱物扱うときは土魔法が良いとかのう。

 そして水魔法の練度と錬金術の練度によっても作られるポーションの質は変わるからのう、練習は休まず続けるのじゃよ〉


「もちろん、わかった!」

 

〈よし、それじゃ今日はもう夕飯を食べてねるとするかのう〉


「オッケー、ブリューもうご飯にするから小さくなって」


「ぐぅぐぅーん!」


 ブリューはそう言われと急に光だし、光が収まると2メートルはあった体長が昔のような幼生体の大きさに変わっていった。これはスキル:小型化の力である。このスキルは主にテイムされた魔物が持つスキルであった。

 テイムされた魔物は人と共に過ごすことになる、その際魔物や場所によってはその大きさでは入れなかったり、過ごしにくい場合もある。それに対応するようにテイムした人の魔力と魔物の魔力で体を小さくさせるのがこのスキルであった。


「よしよし、じゃあ今日はもうご飯を食べて寝ようね!」

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