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ー気配・到着・魔物ー

初作品となります。拙い文章ではございますが、お楽しみいただければ幸いです。


「えー、なんで僕が生命察知を覚えるの難しいの?」


〈生命察知はそもそも斥候の経験があるものが覚えるスキルなのじゃ。

 五感や経験を元に生き物の気配つまり生命の気配を察知するのが生命察知でユーグはブリューほど五感が強くないし経験もないからのう。

 今から始めてもまだ覚えるのには時間がかかるのじゃ〉


「そーなんだ、じゃあ魔力察知はどういうのなの?」


〈魔力察知は主に魔法使いなどの魔力を用いるものが使い気配察知方法じゃ。魔力を網のように広げてその網に反応した魔力を察知するのが魔力察知じゃ。

 これを覚えるのには魔力操作が必要なんじゃが、お主はもうすでに魔法を使えるレベルでの魔力操作はできるからのう、魔力察知を覚える方がよいじゃろ〉


「わかった!じゃあ魔力察知を覚えるよ!」


〈魔力察知は魔力を属性に変えずにそのまま網で魔力を捉えるように放出させるのがコツじゃのう。

 まずは近くにおるわしやブリューの魔力を捉えるようにやってみるのがいいじゃろ〉


「よし!いくぞ!」


 そう言うとユーグは自分の魔力を放出し始めた。

 最初はただ自分の魔力をただそのまま放出するだけで魔力を察知することはできなかったが、徐々にその魔力が網のようになっていく。


〈うん、その感じで問題はないじゃろ。ただその魔力の濃さじゃ、魔物や魔力を使うものには気づかれてしまうな。

 まぁ野生の動物程度なら気づかれんから常の狩りに使う分には十分じゃ〉


「うーん、薄くするのかー、ちょっとまだできないかも……難しいや」


〈まぁそこが魔力察知のスキルを覚える難しいとこじゃな。

 薄く魔力の網を広げることができれば魔力察知はスキルになるのじゃが、その薄くするのがこのスキルの難点じゃ。

 まぁそこまでうまく魔力の網を作れれば十分じゃろ、このまま練習をしてればいずれ覚えることができるのう〉


「うん!わかった!」


〈よし、今日はもう寝るとするかのう。魔力察知はこのまま移動中などでも練習すればいいのじゃから〉


「うん、それじゃお休み、ソタ、ブリュー」


〈お休みじゃ〉


「くわぁーん」


 *****


 その日からユーグたちは移動中は魔力察知の練習をしながら、徐々に山に近づいて行く。ブリューもすでに生命察知を覚えてはいるが魔力察知はなかったので、ユーグと一緒に連絡をするようになった。

 しかしユーグほど魔力操作は上手くなかったのでまだ魔力の網すらできなかった。そしてユーグが男爵家から追放されてから5日後ようやく山肌に到着したのであった。


「ふぅ、やっと到着したね、ここから住みやすそうな洞窟を探すんだよね?」


〈そうじゃな、まぁ見つからなければわしの土魔法で作るからそこまで気にせんでも良かろう。とりあえずは安全な場所を作るのが目標じゃ〉


「わかった!よし、行くぞブリュー!」


「くぅ!」


 ユーグたちは山肌に沿って移動を開始した。その山は岩山でそこまで標高が高いものではなかったが、急峻な斜面で登ることはできなかった。

 しばらくしていくつか洞窟を見つけたが、想像以上に広く奥まで行かなかったとこや狭く居住するには適していなかったりしたため、まだ見つけていなかった。


「全然見つからないね、住めそうな洞窟ってあるのかな?」


〈まぁ最悪はさっきも言ったようにわしが作れるし、見つけた狭い洞窟を拡張すればいいじゃろ〉


「まぁそうなんだけど、自分でも見つけたいじゃん。

 うん!?急に魔力の網に何か反応が出てきた、ここから200メートル先にちょっと大きい3つくらいの魔力の塊があるよ!」


「くぅ!くぅーーん!くぅくぅくぅ!」


〈それは本当か?ブリューも生命察知で見つけたらしい、それによるとこっちに近づいておるようじゃ。たぶん魔物じゃな、ユーグの魔力の網で気づかれたようじゃ。

 どうする?ユーグ、この辺りにはそこまで強い魔物はおらんし、この魔力の大きさくらいならお主でも倒せるじゃろ〉


「うーん、もうこっちの居場所もばれて近づいてるんでしょ?今から逃げても逃げられる保証もないし、倒せるレベルなら倒す方が良いと思うから戦うよ!」


〈よし、それなら前衛はブリューお主じゃ、後ろにユーグで1匹ずつ確実に倒すのじゃ!2匹はわしが魔法で抑えとく〉

 

「わかった!ブリュー頑張ろう!」


「くぅ!」


〈よし、もう来るぞ!あれはスモールリザードじゃな、あれくらいの大きさならブリューでも抑えられるじゃろ、行くぞ!〉


 魔力の塊はスモールリザードであった。

 スモールリザードは蜥蜴型の魔物で荒野や山、水辺にも生息する色々なところで見られるメジャーであり、大きさは人の大人程度はあり、幼生体の魔物の中では比較的大きめな魔物である。


「くわぁーーーーーん!」


「ぐぅぅぅーー!」


〈アースバインド×2!〉


「ウォーターボール!」


 スモールリザードは横一列でそのまま突っ込んできた。まずはブリューが前に出て、中央にいたスモールリザードを抑える。

 前に出てくると思わなかった中央のスモールリザードは、若干ひるむがすぐさま立て直しブリューに対する。その隙に端にいた2匹のスモールリザードはブリューに攻撃しようとするが、すぐさまソタの魔法で動きを止められる。

 そしてユーグの魔法:ウォーターボールが中央のスモールリザードの頭に直撃し、軽い脳震盪を受けた。その隙をつきブリューがスモールリザードの首を爪で切り裂いた。


〈よし!いい連携じゃ、1匹開放するから同じようにやってみるのじゃ!〉


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


「ふぅ、倒せたね。ソタのおかげで1匹ずつだったから楽だったけど、久々の戦いでちょっと疲れたよ」

 

「くぅ!」


「うん?何?僕は疲れてないって、ブリューは元気だねぇ」


〈それはそうじゃろな、スモールリザードは魔物の中では低位の魔物じゃしな。

 ブリューの元の種であるジャイアントベアは普通の森の中では最高位の魔物じゃからその幼生体でも相手にはならんじゃろ〉


「ブリューは強いだね!」


「くぅ!」


〈この3匹を解体するか。魔物を解体するときは魔石の存在を忘れてはいかんのじゃ〉


「魔石?」


〈そうじゃ、魔石じゃ。魔物は共通して魔石を体内に保持している。それが動物との違いじゃな。

 魔石は魔力を貯めることができ、その魔力を使うときは強化して使うことができるのじゃ。

 魔石は解体などで体内から取り出してもその機能を落とさず使うことができるため、魔道具などに利用されているのじゃよ〉


「あっ、そういえば本で読んだことあった。ふーん、魔石って重要なんだね」 


〈そうなんじゃよ、じゃから魔石は高値で取引されるのじゃ。

 しかし低位の魔物の魔石はそこまでの値段はつかんがのう。スモールリザードのような低位な魔物じゃと魔石より皮や肉を売った方が良いのじゃ。

 お主なら空間魔法で保管できるから大丈夫じゃが、普通の冒険者は空間魔法やアイテムボックスなど魔道具がない限り、皮などのかさばるものや重たい肉とかも全ては持って帰れないので高値で売れるものを勉強する必要があるのじゃ〉 


「おー、空間魔法で良かった」


〈よし、それじゃあ解体を始めようかのう。この大きさだとそのまま解体をするのも一苦労じゃろうから、わしの魔法で吊るし台を作るぞ〉


 ソタが魔法で作った吊るし台にスモールリザードを載せ解体をし始めると、ユーグは最初こそいつも解体しているウサギなどよりも大きいスモールリザードに戸惑ったが、基本的には内臓を取り、血を流し、皮を剥ぎ、肉を部位ごとに分ける手順は変わらなかったためすぐに慣れ始める。


「終わった!1匹目は大変だったけど、そんなに難しくはなくて良かった。

 それにしてもこれが魔石か、初めて見るよ。心臓の中にあったけど、ほかの魔物も同じなのかな?」


〈基本的にはそうじゃな、動物と同じ形の魔物は、心臓の近くにあることが多いのう。

 しかし魔物によっては頭やほかの場所にあったりするから注意が必要じゃ〉


「うん、わかった」


 この世界において日常を生活していて魔石を見ないということは、ほぼあり得ない。魔道具を家に置いていない家庭は少なくはないが、どんな貧困層も弱い魔物を狩ったりして魔石を得て最低限の生活の糧にしている。

 しかしユーグは男爵家で虐待、ネグレクトを受けていたのでユーグの生活の範囲では魔道具もなかった。また森に食べ物を探しているときも魔物を避けて探していたため見たことがなかった。

 ちなみに森の中にいる弱い魔物は水辺にいることが多く、ソタから魔法の使い方を教わってから水魔法を使っていたので水辺には近寄らなかったのである。


「それにしても、何で急に反応が出てきたんだろう?何かスモールリザードに特殊なスキルや魔法があったのかな?」


〈いやそんなことはないじゃろな、戦った感じを見た限り変異種でもなかったし、低位の魔物は魔法を使わんものも多い。

 たぶんどこかに洞窟があるのじゃろうな。壁などで遮られていると魔力察知の練度を上げんと見つけるのも難しいからのう〉

 

「そうなんだ、じゃあ早く魔力察知を覚えて使いこなさないとね」


〈それでどうするユーグ?洞窟もあるみたいじゃからそれを見に行ってみるうか?〉


「うん、そうだね。その洞窟がちょうどよい大きさかもだから見に行こう!」

 

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