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ーテイマー以外の従魔ー


「あらー、そんなこともないわよ。

 運よく生き残れて依頼も達成できただけでそこまで力があったわけじゃないんだから。あとはこの子のおかげね。私たち二人ではできないことを補ってくれたから。だからパーティー名も宿の名前も『嵐豹』にしたのよ」


 マゼルとマリーは現役時代アダマンタイトランクの冒険者であった。アダマンタイトランクは最高位であり、オリハルコンランクの1つ手前のランクである。冒険者の中でも上級中の上級であり、全体から考えても在席している冒険者は数少ない。そういうランクにいたというマリーはそれでも自身の力を誇示せず、マリブのおかげであったと言い、そのため彼らのパーティー名と宿の名前をマリブの種を表す『嵐豹』にした。


「いやいや、そんなことはないっすよ。

 マリーさんたちが戦っているところは見たことないですけど、アダマンタイトランクになるのは遥か高みなことはわかりますから」


「そうでもないわよ。あなたたちも、もうマギアイアンランクじゃない、あと2つ上げればアダマンタイトランクよ。

 それにその年齢でそのランクは私たちより凄いわよ」


 一般的に冒険者ランクは下から初級、低級、中級、上級、伝説級と簡易に表すこともある。初級はウッドランク、低級はアイアンランク、中級はシルバー・ゴールド・マギアイアンランク、上級はミスリル・アダマンタイトランク、伝説級はオリハルコンランクとなっており、この各級を突破するときには試験等が存在する。ちなみにウッドランクは通称的に見習いと呼ばれることの方が多い。


「いやー、俺たちなんてまだまだですよ。

 ユーグ君も何か冒険者生活で困ったことがあれば俺たちでもいいが、マリーさんやマスターに聞けば的確にアドバイスがもらえるぞ。俺らもいつも相談に乗ってもらってるからな」


「ええ、もちろん。

 難しいことを聞かれたらわからないことがあるかもだけど、冒険者のことならだいたいはわかるからいつでも頼っていいからね」


「ありがとうございます!マリーさん、マゼルさん!

 そういえば1つ聞きたいことがあったんですがいいですか?」


「いいわよ、何かな?」


「はい、マリブはマゼルさんの従魔じゃないですか?でもマゼルさんはテイマーじゃないんですよね?

 それってどういうことですか?」


「そのことね、やっぱりテイマーだから気になるのかしら。

 えーと、そうね、ユーグ君はテイムはテイマー以外でもできるっていうのは知ってる?」


「えっ!?そうなんですか?」


「ええ、そうよ。まずはそこから説明するわね。テイムはね、魔法や武術と同じで人なら誰でも使えるものなのよ。

 まぁテイムも魔法の一種の属性外魔法だから属性関係なく皆使おうと思えば使えるわね。でもテイマー以外の【ジョブ】の人がテイムを成功させようとするとかなり大変なのよ。ユーグ君は従属契約と絆契約はわかる?」 


「はい、知ってます!

 ブラブだけは違いますけど、ブリューとソタは絆契約でテイムしてます」


「そう、ブラブ君とも十分絆があると思うけどね。その話は置いといて、テイマー以外がテイムする場合は絆契約はできないのよ。

 従属契約だけね、それに契約を結ぶのも難しいのよ。余程相性が合ってなければいくら強さを見せたとしても魔力で繋がることはできないのよ。

 それ以外にもテイマー使える補助魔法ほど強い補助はできないわね。もちろん、感覚共有や念話もね」


「へぇー、そうだったんですね(うん?ソタから聞いた話と少し違う?)

 じゃあマリブのテイムは大変だったんですか?」


「それがそうでもないのよね。

 私たちがマリブに出会ったのはドライツェンの東部の草原地帯を旅していた時でね、マリブは子どもなのに1人でいたの、しかも何かから逃げてきたのかわからないけど傷ついた状態で。

 普通ならそこで苦しまないよう楽にしてあげるんだけど、この人ったら助けるって言い始めてね。それでポーションを使ったり、もう乳離れはしているみたいだからご飯とかあげたりして世話をしたのよ。

 そしてもう傷も治って私たちも街に戻るって時にね、一緒に街には入れないからホントはいけないんだけどどこか人が住んでないとこで別れようとしたんだけどもう私たちも情が移っちゃって最後の望みでテイムをしたら出来ちゃったのよ。だから苦労をしたのはこの子の介抱くらいよね」


「がう!」


「そうね、あなたはまだ小さかったから覚えてないわよね」


 マリーが話すマリブとの昔話に皆は聞き入る。話の最後にマリブは反応し、それに対しマリーも声をかける。


「僕とブリューの出会いに似てますね!

 ブリューも1人になってるときに僕と出会って、そこからずっと一緒です!」


「くるぅ!」


 マゼルたちとマリブ、ユーグとブリューこの2組の出会いはとても似ていた。ユーグも森の中で変異種であるため親から育児放棄をされ弱っているブリューを見つけソタと2人で助け出した。そこからずっと一緒にいる。マリーの話を聞き、マリブとの関係にユーグはとても共感ができた。


「さぁもうこの話は終わりね。

 もう夜も遅いし、そろそろ寝る準備をした方がいいわよ」


「そうですね、依頼から帰ったばかりなんで俺達も今日は早く休もうと思います。

 お話ありがとうございました」


「あっマゼルさん、マリーさんありがとうございました!

 そしてお休みなさい」


「はい、お休みなさい。また明日ね」


 こうしてユーグがグリムノーデンに来て最初の夜は終わった。


 ・・・・・


〈おいユーグ、起きるのじゃ。もう朝だぞユーグ、早く起きるのじゃ〉


「うーん、まだ眠いよー」


「くるぅ」 「ゴブブ」


 次の日の朝もう日もすっかり上がった頃、ユーグはソタに起こされていた。しかし全く起きる気配がない。ユーグは人と喋るのが慣れてない上に、昨日は色々な人との出会いがあり、そして久々にちゃんとした寝具で寝れたため未だに寝ていたのであった。そのユーグの姿をブリューとブラブは呆れた様子で見ていた。


〈ほら、早く起きんか。そろそろ起きんと朝食の時間に間に合わんぞ〉


「うーん、朝食?……

 あーーー!そうだった!もう辺境都市に来て宿に泊まったんだった!

 朝食は?まだ大丈夫?」


〈落ち着けユーグ、まだ大丈夫じゃ。じゃがギリギリじゃぞ。

 今日は午前中に冒険者ギルドに行って戦闘試験を受けるのじゃろ?

 じゃから早う食って準備をせんと〉


「うん、そうだね。もう起きたから大丈夫だよ」

 

〈よし、それなら顔を洗って食堂に行くのじゃ〉


 ・・・・・


「おはようございます!マリーさん、マゼルさん、アンネさん、マリブ!」


「おはよう、ユーグ君。それにソタ君、ブリューちゃん、ブラブ君」


「……おはよう」


「おはようございます!」


「がう!」


 ユーグたちが食堂に降りるとそこにはマゼルたち宿屋『嵐豹』の一家がいた。昨日の夜同様ユーグたちの他はもうお客さんがいない状態であった。


「朝食ですか?今、準備しますね」


「起きてくるのが遅かったわね。昨日はよっぽど疲れてたのね。

 よく眠れたかしら?」


「はい!久々にベッドの上で寝れたので寝過ぎちゃいました」


「あら?それは良かったわ。

 でもこんな時間に朝食を食べてても大丈夫?今日もギルドに行かないと行けないんじゃなかったかしら?

 ギルドは朝一にみんなが依頼を受けに行くから、今から行ったらあまり依頼も残ってないんじゃない?」


「あっそれは大丈夫です!今日行くのは登録の時の戦闘試験を受けに行くだけなので。

 混雑後にギルドに[熊の腕]の皆さんにギルドまでまた案内してもらう予定なんです」


「それならこの時間でも大丈夫わね」


「ユーグさん、これ朝食です。従魔の皆さんの分もありますよ」


 ユーグがマリーと今日の予定について話していると、アンネが朝食の準備を終え持ってきた。


「おー、やっぱりここにいたか。アンネちゃん俺達にも朝食をお願い」

明日も21時に投稿します。

しばらくの間は平日の5日間は投稿で、

土日はお休みさせていただきます。

(ストックがあまりないものですみません)

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