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ー野営ー

初作品となります。拙い文章ではございますが、お楽しみいただければ幸いです。


「ここらへんがいいかな、今日は雨も降るような感じもないし、近くに強い魔物の痕跡も見当たらないからね」


〈そうじゃな、もう日が暮れ始めるておるし、今日の移動はここまでにしようか〉

 

 解体してからそう時間がかからず野営に適した場所をユーグたちは見つけることができた。

焚火を作るための枯れ木は、移動中に細かに拾っていたためすぐに焚火を作り、生活魔法で火をつけた。焚火が十分に燃え上がったのでその周りに木で串刺しにしたウサギの肉を地面に刺しウサギを焼き始める。


「ブリューも熊の魔獣なのに不思議だね、生の肉より焼いた肉が好きなんて」


〈いや実はそうでもないのじゃ。人に育てられた魔物の好みは人に似てくるものになる傾向があるんじゃよ。

 魔物は普通の動物と違い魔力の扱いができるし魔力の蓄積も多い、そのため栄養の摂り方も動物と違ってくるのじゃろうな〉


「へー、そうなんだね……おっともう肉も焼きあがったみたいだね。

 ほらブリューご飯だよ、ブリューはこの二個を食べていいからね」


「くぅ!」


「塩はないけど美味しいね!久々にお肉食べたけどやっぱりいいね」


 ユーグは男爵家では食事が出されていなかったが、ここ数日は天職の儀があったため、一応は男爵家の一員であったユーグも、その準備で屋敷から出ることはできずにいた。

 またその時は、最低限の食事として味の薄いスープとパンだけは出されていた。

 実はユーグの父親であるヴィクトル男爵は、ユーグに食事を出さないという指示は出していなかった。一応は男爵の息子として男爵家の一員と認めていたため、食事は男爵が食べるものよりワンランク下がるものであるが準備はされていた。

しかしそれらのものは、冷遇されているユーグを見ていた男爵家使用人たちが勝手に食べていたため、ユーグには出されていなかったのである。


〈塩かー、それも拠点を作ったら考えないとじゃな。わしらは平気じゃが、お主が栄養不足になったら大変じゃからな。

 まぁ最悪はわしが血から作るとしようかのう〉


「えっ!?ソタそんなこともできるの!?どうやって??」


〈錬金術じゃよ、まぁ血から生成できる塩の量なんて大してないがのう。まぁユーグ一人分の塩ならそこまで大変なく確保できるじゃろ〉


「錬金術!?それも教えて!」


〈うむ、いいじゃろう。冒険者として活躍するなら錬金術を覚えておいても損はないからのう。それに森の中では素材も豊富じゃしな〉


「やったー!」


〈そんなに錬金術を覚えるのがうれしいのか?〉


「うん!読んだ本に錬金術師の冒険者のお話があったんだよ。それでやってみたかったんだ!」


〈なるほどのう、まぁ一流の錬金術師は素材集めも自分でするものじゃからな。冒険者を兼業でやっていてもおかしくはないかのう〉


「うん!ところで錬金術って何ができるの?」


〈はぁー、お主はそれも知らんで教えを乞うたのか……錬金術は物質の特性を魔力でもって取り出し、結合させることができる術じゃ〉


「特性?結合?」


 〈例えばじゃが薬草の回復する力という特性を取り出し、普通の水に結合させればポーションができるというわけじゃ。

 まぁそうやって作られたポーションは熟練の薬師が作るものに比べれば回復度合いは低いのじゃがな〉


「へー、なんで薬師のポーションと錬金術師の作るものは違うの?」


〈それはじゃな熟練の薬師は薬草などのもつ力を最大限に取り出せるようなレシピをもつのじゃ。それに薬草の中には魔力に反応して効果が落ちるものもあるからのう。

 まぁその逆もまたしかりじゃがな。錬金術師の本質は魔力を用いる術が長けているということじゃ、とりあえずそれを覚えとけばよいじゃろ〉


「わかった!」


〈よし!もうブリューも食事も終わったようじゃな。ユーグは野営をするのは初めてじゃったよな?〉


「うん、初めてだよ」


〈まぁ普通なら夜番などの夜の警戒が必要なんじゃが、まぁこの場所ならブリューの匂いで寄ってくる魔物もおらんじゃろうし。

 今日はお主も色々あって疲れとるからな、ちゃんとした野営は明日からすることにするかのう。

 火の番もわしがするからユーグはもう寝てもいいぞ、地面に前に獲ったウサギの毛皮を敷いて寝れば今日は寒くはないはずじゃ〉


「オッケー!うんと、これを敷いて、よし!お休みソタ、ブリュー」


〈うむ、お休みじゃ、ユーグ〉


「くぅわぁぁぁん」

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 

〈さてわしはこれをこうしておけばまぁ過剰だろうけど十分じゃろうな〉


 こうしてユーグが男爵家から追い出された日は幕を閉じたのだった。


 *****


 「ふわぁぁぁ、良く寝たー、ぅんえっと、ここはどこだっけ?……あっそうだ、家から追い出されてソタとブリューと森に泊まったんだった」


〈起きたか、ユーグおはよう〉


「うん?ソタかー、おはよう!」


「くぅうーーん!」 

 

「ブリューもおはよう!」


〈さて朝食でも食べながら今日からの予定について話すとするか〉


「了解!じゃあ、はいこれベリーね」


〈ありがとうじゃ、さて昨日は夕方くらいまで狩りに時間を費やしたからのう。

 あまり移動することができなかったのじゃから、今日は狩りをせずに移動に時間を費やすとするのじゃ。

 まぁ昨日の獲物量ではあと4日は狩りをせずとも平気じゃな〉


〈それと移動中は気配察知の練習じゃな。気配察知のスキルがあれば狩りにも役に立つし、夜番の手助けにもなるからの!〉


「おー!新しいスキルが手に入るの頑張るぞー!」


〈とりあえずはいつものように自分の力で頑張ってスキル習得をしてみるのじゃな。難しいようなら夕食のときにでも説明しよう〉 


〈そして夜は野営の練習だな、夜番のことや気を付けることを教えるからの。だいたいこれらが今日から3日からくらい続けば目的地である山肌に到着すると思うのじゃ〉


「うん!わかった!」


「くぅん!」


〈よし!それじゃあ食べ終わったら移動を開始するじゃ〉

 

*****


ユーグたちはその日は移動にほぼ1日を費やした。ここ数日はこの地方は雨も降っていなかったため、歩きやすくブリューの気配で寄ってくる魔物や動物もいなかった。

 そして夕暮れ間際に野営に適した場所を見つけたのであった。


〈よし、今夜はここら辺で野営をするか〉


「ふぅー、歩きっぱなしも疲れるねー、気配察知の訓練もあるから頭も使うし」


〈お主はもう少し体力をつけんとな、まぁこれからは嫌でも運動は毎日することになるから平気じゃろうけどな。

 とりあえず夕食の準備でもしようか、今夜も昼休憩のときに解体したウサギ肉じゃ〉


「オッケー」


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


〈それでユーグ気配察知はどんな具合じゃ?〉


「全然ダメだよ、全くわからない、才能ないのかな?」


〈いやいや全然そんなことはないぞ、むしろ今日だけでできたとしたらそれはそれで才能の問題じゃないからのう〉


「どうやって覚えればいいのかな?」


〈そうじゃな、気配察知というものには主に二通りあるのじゃ。

 まず一つは生命のそのものの気配を察するやり方、それともう一つが魔力を察するやり方じゃ。

 後者の方は気配察知というスキルではなく魔力察知というスキルじゃけどな。まぁ生き物のことを察する意味では同じものじゃ〉


「へー、そうなんだ。うん?でもそのスキルがなくてもブリューは生き物の気配わかるよね?」


〈実はブリューはすでに生命察知というスキルを持っておるのじゃよ。ほぼ毎日獲物を探すため魔力を使い五感を強化していたからじゃな〉


「おー、ブリューは優秀だね!」

 

「くぅーん」


〈まぁお主が先に覚えるとしたら魔力察知の方か、生命察知はいささか覚えるのが難しいからのう。〉


 

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