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ー仮の身分証ー

今日から再開です。


 ユーグたちと冒険者パーティー[熊の腕]は、グリムノーデンへ向かって歩いていた。外壁や街が見えたとこからそう時間がかからずに、外壁の外の街にたどり着く。


「ここが北の辺境都市グリムノーデンの壁の前の街だな。

 さっきも言ったが一応ここは辺境伯領の町扱いになる、だからグリムノーデンとは違う町になるのだが、まぁだいたいの人はそう区別してないがな」


「そうそう、この町に入るための入市税も特にないのよ。

 一応柵の入口のとこに衛兵がいるけど、それは身分証とかの確認をするだけだからね」


「身……身分証ですか?」


 ニルスとロッテの話にユーグは少し怖気づいてしまう。なぜならユーグは身一つでユエルゴア男爵家を追い出されたあと、森の中でずっと過ごしていたため身分証は持っていなかったのである。

 そのため身分証がないと町に入れないのかと思い怖気づいた。しかし国境の砦でユルゲンから仮の身分証を発行してもらっている。そのことをユーグは忘れていた。


「うん?そうだぞ、身分証だ。冒険者ギルドや商人ギルド、職人系のギルドのギルドガードでも大丈夫だな。

 ユーグはどれかの、あっそっか、ユーグたちは森の中にしばらく居たんだったな。そりゃ身分証なんて持っているわけないか。

 (……ちょっと気まずいな)まぁ俺らが保証人なれば一応は入れるだろう、そのあとギルドに登録してもらえば身分証ができるわけだし」


〈ユーグよ、お主身分証持ってるだろ。

 ほら砦でユルゲンからもらった仮のやつが〉


 ユーグとニルスたちの会話を聞いていたソタが覚えていた仮の身分証の事をユーグに伝えた。


「あっそうだった。

 そういえば僕こういうの持ってました!」


 ユーグは保管庫からある書類を取り出しニルスたちに見せる。


「どれどれ、なっこれは!?」


「……この印は国軍のよね?」


「そうですね、それに発行場所もロワイシュバリー王国との国境の砦になっていますね」


「ユーグこれはどうしたんだ?」


 ニルスたちはユーグが持っていた仮の身分証書を見て驚いていた。

 そこに書かれていたのは通常では行くことがない国境の砦であり、発行人が国軍のものであったからである。


「えっーと、これはこの国に入るときに知り合った国境の砦のユルゲンさんっていう人にもらったんですけど……

 〈あれ?ソタこれって見せちゃいけないものだったっけ?〉」


〈はて?

 ユルゲンはそういうことは言ってなかった気がするが、いや身分証の代わりなのじゃから、むしろ町に入るときなどに見せた方がいいものじゃろ〉


〈そうだよね、なんでみんな驚いているんだろう?〉


「「「「「ユ、ユルゲン!?!?」」」」」


 ニルスたちは声をあげて驚いた。


「ユーグ!

 その人はユルゲン・ザクセンっていう人じゃないか?」


「どうだったっけ?

 たぶんそういう感じだったと思うんですけど……あっでも貴族の方だったのは確かです」


「それならあのユルゲン隊長で合ってるだろ。

 前の戦争の英雄の」


「英雄ですか?」


「そうだ。ユルゲン・ザクセン子爵は従魔部隊の隊長で15年前の戦争の英雄だ。

 このドライツェン王国の中でも有数のテイマーとしても有名だな」


「そうよ、23年前のロワイシュバリーとの戦争で若干12歳にして子爵領の騎士団と共に参戦して今の従魔部隊の基になる活躍をし、そして前の戦争でその従魔部隊を率いて戦争の終止符を打って英雄と呼ばれるようになったわ」


「えー!?

 あの隊長さんってそんなに凄い人だったんですか??」


 ユーグはユルゲンの実績を聞き、驚愕する。それと同時にその実績にも納得していた。なぜならユーグはユルゲンと会ったときから、その実力の高さを感じていたからである。

 

「ユルゲン隊長の従魔も見たんだよな?どういう魔物だったんだ?」


「オオカミ形の魔物とタカ形の魔物でしたよ」


「タカ形の魔物?

 ユルゲン隊長の従魔は黒いオオカミ形の魔物なのは有名なんだが、タカ形の魔物は聞いたことないな」


「あっでもユルゲンさんのオオカミ形の従魔は黒かったですよ!」


「それならやっぱりユーグが会ったのはユルゲン隊長で合ってるだろ。

 オオカミ形の魔物を従魔にしてるテイマーは多くいるが、黒いオオカミ形は少ない、それに名前もユルゲンで会った場所がロワイシュバリーとの国境の砦なら間違いないだろう」


「そうね、ユーグが会ったのはあのユルゲン隊長で合ってるでしょうね。

 もしかしたらそのタカ形の魔物は戦争後に従魔にしたのかも」


「そうだな、戦争のあとは大きな戦いなどは特に起きてないから、国軍の動向は特に発表されることはないしな。

 まして戦争の英雄であるユルゲン隊長の個人のことはもっと情報として知られることはないだろう」


「ハイハイ、もうこの話はここまでです。皆さん英雄であるユルゲンさんのことが気になるのはわかりますが、こんな外で聞くことじゃないですよ。

 他にも聞きたいことがあるなら、街の中に入ってゆっくりしてから聞けばいいんじゃないですか」


 ニーナがあきれたように言う。


「確かに、そうだったわね。ちょっと興奮しすぎたわ。

 ごめんね、ユーグ君」


「そうだね、俺たちも少し興奮しすぎた。ごめんな」


「すまん、ユーグ」 「俺もすまん」


「いえいえ、僕は気にしてないので大丈夫ですよ。

 むしろユルゲンさんの知らなかったことを知れたので良かったです。次会うときは失礼のないようにしないと」


 ニーナ以外の[熊の腕]のメンバーが謝ると、ユーグはそれを気にせず逆に[熊の腕]に感謝した。


「それじゃあ、一旦町の中に入るか。もうあと少しで日が暮れるしな」


「そうね、もう日が暮れるから早く外壁の中に入らないと門が閉まっちゃうからね。

 早くギルドまで行かないと職員に人に迷惑かかっちゃうわ。その後に宿に行きましょう」


 ニルスが仕切り直しでこれからの動きの提案をし、それにニーナが説明を加える。


「わかりました。僕はそれで大丈夫です!でもソタやブリュー、ブラブも一緒に泊まれるところってあるのかな?

 まぁなければ外で野営でもすればいいのか」


 ニルスの提案にユーグは同意するが、従魔たちが泊まれる宿が外壁内の宿にあるのか心配する。


「あっそうそう、ユーグ君は街の事詳しくないから知らないかもしれないから説明するけど、大きな街の宿には従魔と一緒に泊まれるところもあるのよ。

 そういう宿がない場合でもだいたいの宿には厩舎があるからそこでブリューちゃんみたいなケモノ形の従魔は泊まれるわね」


「それじゃあ従魔と一緒に泊まれない宿では、ブラブみたいな人形の従魔はどうすればいいんですか?」


「そうだな、俺らもテイマーじゃないから確かなことは言えないが部屋を汚くしたり、臭いとかに注意すればブラブくらいの大きさなら同じ部屋で泊まれると思うぞ。

 ブラブはゴブリンとは思えないくらいキレイにしてるからな、だいたいのところで問題ないが総じて人形の魔物っていうのは総じて汚くて臭いのが多いって言われているからな」


「ソタちゃんくらいの大きさならキレイにしてたら特に問題なくどこでも一緒に部屋で泊まれると思いますよ」


「それなら良かったです!

 みんなと泊まれるなら僕はどこでも大丈夫なんで!」


 ニーナはユーグの心配を取り除くように従魔に対しての宿の一般的な対応を説明した。


「じゃあそろそろ中に入りに行こう!もうこの時間は門も混んではないと思うけど念のためな」

明日も21時に投稿します。

しばらくの間は平日の5日間は投稿で、

土日はお休みさせていただきます。

(ストックがあまりないものですみません)

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