ー【ジョブ】・目標ー
初作品となります。拙い文章ではございますが、お楽しみいただければ幸いです。
「ここらへんでいいかな?
ちょうど開けてるし、森の外側からは離れてるから休憩にはいいよね?」
〈そうじゃの、休憩にはちょうど良いのう。
そういえばユーグはご飯を食べたのか?
食べてないなら食べながら話し合いをしよう〉
「くぅ!」
「あっご飯食べることも忘れてた!
ホントに色々なことがあって大変だったなー」
〈うむ、その話も食べながら聞くとするか。
ブリューの肉も空間魔法で保管してあるじゃろ?
わしが風魔法で臭い飛ばしをするから出しななさい〉
「わかったよ!ソタは何か食べる?」
「わしはベリーで十分じゃ」
森の中を奥へと進みちょうどよい開けた場所を見つけたユーグたちは、休憩を兼ねた食事をそこでし、今後のことを話し合うことにした。
空間魔法で保管した食べ物を食べながらユーグは、今日あったことをソタとブリューに話したのだった。
〈なるほどのぅ。それはまたいつも以上に災難じゃったな。
でもまぁわしらと共に居れるようになったからそこは良かったのう〉
「まぁね、それは良かったよ。
あのまま家にいてもいつか殺されてたかもしれないから」
「くぅ、くぅ~ん」
ユーグはブリューを撫でながらそう言った。
〈よし!それじゃあこれからの目標を決めるとするかのう、ユーグお主は何かしたいことはないのか?〉
「うーん、そうだなー………
あっそうだ!
本で見た魔境を冒険する冒険者になってみたい、そして色んな魔物と友達になりたい!」
ユーグはソタから色々な教えを受けていた。その中には語学や算術もあり、一般的なロワイシュバリー王国の10歳児よりも長けていた。そのため暇なときは隠密を使いながら男爵家の図書を読み漁っていた。
〈うむ、いい夢・目標だな。
それがあるからお主の【ジョブ】がテイマーになったのだろうな〉
「うん?どういうこと?」
〈そうじゃな、とりあえず今までの復習も兼ねてまず魔法とスキルの違いを説明しよう〉
「わかった!」
〈ユーグは自分の魔法の属性を覚えとるかな?〉
「水と空間だよ」
〈うむ、そうじゃ。じゃあ属性とはなんじゃ?〉
「属性はその人が持ってる具現化できる魔法の性質で、その属性以外の魔法は使えないだったかな?」
〈そうじゃ、おおむねそれで合ってるのう、一つだけ言うことがあるのなら生活魔法じゃな。
生活魔法は水火風土光闇なら小規模で出せる魔法で全て人が使うことが出来る、まぁ水は飲料に適さないなどの例外があるがの〉
「あっ、そうだったね」
〈じゃあスキルとはなんぞや?〉
「スキルは技能とも呼べるもので、ある程度の技量を持つと鑑定とかで見れるようになるものだっけ?」
〈まぁスキルについてはそこまで説明してなかったから、そんな認識でよかろう。
先天的に持ってるスキルもある、自分の努力で生えてくることもある、
スキルがあるとしても生えたばかりもの、生えてから努力をし続けたものでは技量は全然違うからの。
そこは気を付けるのじゃ〉
「うん、わかった!」
〈それじゃあ次は【ジョブ】の説明じゃな、これはまだ教えてないものだったからのう。
わしから説明しよう〉
「お願いします!」
〈まず【ジョブ】は人のみに与えられるものじゃ、我ら魔物や動物などには存在せん。
そして【ジョブ】はスキルや魔法、あと成長にも影響を及ぼす〉
「成長?」
〈そうじゃ、例えば剣士などの近接職に就いたものは体が大きくなりやすく筋肉も付きやすいといったものじゃのう〉
「じゃあテイマーは後衛職だから僕は大きくならないの!?」
〈いや、実はそんなこともないのじゃ、これには例外もあれば血筋や食生活も大きく影響する。
それに体をどう動かすかや動かしてきたかの努力によって成長は変わるからの。
ユーグも大きくなりたければいっぱい食べて体を動かせばいいのじゃ〉
「おー、それじゃいっぱい食べよう!」
〈はぁー、まぁ今はそれでいいのじゃがな、食べながらわしの話を聞けよ。
【ジョブ】は魔法やスキルにも影響を与えるのじゃが、例えば魔法使い系のジョブは他ジョブより魔法の使い方が上手くなりやすいといったものじゃな。
近接職なら対応している武器スキルが得られやすいといったものじゃ〉
「はぁふぅほぉほぉー(なるほどー)」
〈誰もお主の食べ物を取るものなどいないからもう少し落ち着いて食べれ。
まぁ【ジョブ】とスキル、魔法の関係はこんなものでいいじゃろ。
そこでじゃお主の【ジョブ】テイマーはどんなものじゃと思う?〉
「うん?後衛職で武器を使わない魔法系のジョブじゃないの?」
〈まぁその認識でもあながち間違いではないがの、正確にはテイムをした魔物を強化や指揮しながら戦いもしくは生産をするジョブじゃ。
いわゆる特殊ジョブじゃな〉
「おー、なるほどー」
〈まぁこれは余談なんじゃが、【ジョブ】は主に血筋により授かる職が決まりやすいと言われているが時には本人の想いを汲んで血筋と違う【ジョブ】を授かるときもあるのじゃ。
お主の場合はそれに当たるかもしれんのう〉
「ふーん、そうなんだ。
そういえばテイムはどうやって使うの?」
〈うん、そうだな……お主は契約魔法を知ってるか?〉
「ううん、知らない」
〈まぁそうか、契約魔法は商人などがよく使うからな、まだ10歳のお主は使わんか。
契約魔法は生活魔法と同じで全ての人が使えるものじゃ、その名の通り契約に使うものじゃな〉
「それがテイムと関係あるの?」
〈そうじゃ、テイムとは契約魔法の応用で魔力を使って魔物を従えることを指すのじゃ!〉
「えー、従えちゃうの!従えるって親分と子分の関係ってことだよね、何かイヤだな」
〈まぁ詳しいことは置いといて、とりあえず魔力を使うってことを覚えておけばいいのじゃ。
とりあえずお主の【ジョブ】に関わる話はこんなものでいいじゃろ、そろそろまた移動しないとじゃな。
テイムスキルを使うのは落ち着ける場所を見つけてからにしよう〉
「わかったよ、ありがとうソタ!
ブリューも起きてそろそろ出発するよ」
「くわぁわぁわ、くっ!」
〈森のもっと奥に行けば山肌が見えるのじゃ。
そこまで行けば雨などもしのげる洞窟もあるはずじゃからそこを一応の拠点にするかのう〉