ーダンジョンコアー
3話公開は本日までです。
宝箱の開封を終え、中にあった魔鉄鉱石をユーグの保管庫に仕舞った、ユーグたちは人里離れたこのダンジョンの最大の宝であるダンジョンコアを探そうとしていた。
「でもダンジョンコアって隠されているんでしょ?
どうやって僕たちが探せばいいの?」
〈まぁ今のお主たちでは見つけるのは難しいのじゃ。
じゃからそこはわしが手助けするのじゃが、まぁどうやって隠されているのかを知るのも鍛錬になるからのう。
十分に探したあとと隠されたものを暴いた後を見比べてみるのじゃよ〉
「わかった!じゃあ行こうブリュー、ブラブ!」
「ぐぅ!」
「ゴブ!」
ユーグとブリューとブラブは、守護者の間の中に散らばり床や壁などを入念に調べ始めた。
しかし全く怪しいところを見つけることが出来ず一時間は経過していった。
「ダメだ、全然見つからない」
〈そうじゃのう、そのくらいで十分じゃろ。
ダンジョンコアは魔力の塊、じゃから普通に探しても見つからんのじゃよ。
魔法的なアクセスがないとな。ふむ、行くぞ!〉
ソタはそう言うと自身の魔力を練り上げてから、闇へと属性変化させる。
その闇をそのまま具現化させ、ソタの目には見えている怪しい壁に、その闇をぶつけた。
〈闇に隠されたものは光が暴き出すのじゃが、その闇をもってぶつけることでも隠されたものを暴き出すこともできるのじゃよ。
まぁこのやり方は相当の練度が必要じゃがのう〉
闇が晴れるとそこには通路が現れていた。
「えっ何で!?
そこも調べたけど普通に壁の感触がして通路なんてなかったのに……」
〈ダンジョンコアは自身を隠すため闇の属性を持っておるのじゃよ。
それでこの通路を隠しておったのじゃろう。闇の魔法は人の感覚を誤魔化すことができるからのう。
よし、この通路を進むとしようか。この通路には魔物は出てこないしのう〉
ユーグたちは現れた通路を進み始めた。その通路は、今までのダンジョンの通路と変わらず洞窟のような見た目をしており一本道であった。
しばらく進んで行くと部屋になってる場所を見つける。その部屋の中央には台座みたいな形をしている岩があり、その上には丸い球体の魔石のようなものが光り輝いていた。
「あれがダンジョンコア?」
〈そうじゃ、あの台座の上にある魔石のようなものがダンジョンコアじゃ。
魔石なんかよりはるかに大きいがのう〉
魔物の格つまり魔力の含有量により魔石の大きさが決まり、その魔石は最大でもこぶし大くらいの大きさである。ユーグたちが狩ってる魔石の大きさだとコインくらいの大きさであった。
しかしユーグたちが見ているダンジョンコアの大きさは大き目なボールほどあった。
「大きいな、でもダンジョンコアって何に使われるの?」
〈そうじゃのう、この大きさだと個人では扱いづらいからのう。
主にダンジョンコアは国が買い上げることが多いらしいのじゃが、具体的に何に使われてるかはわしは知らんのう。まぁだいたいは推測できるのじゃが〉
「えっ、ソタにも知らないことがあるんだね。
今まで色々なことを聞けば全て教えてくれたから、知らないことなんてないと思っていた」
〈なんじゃ、そんな風に思っとったのか。
わしにも知らんことはあるぞ、まぁダンジョンコアに関してはそれよりも使い勝手がよいものがあるからのう。そっちなら扱ったこともあるから、全く知らないわけではないのじゃがな〉
「ふーん、そうなんだね。
確かに、この大きさだと扱う分には少しめんどくさいかもね」
〈そうじゃな。
うむ、そろそろダンジョンコアを取って、このダンジョンから出るとするかのう。ダンジョンから外に出るころにはもう暗くなってるだろうしのう〉
「うん、わかった。じゃあ取るよ」
そうしてユーグはダンジョンコアに手を触れ、持ち上げる。ダンジョンコアは見た目より重くずっしりとしていた。
そしてユーグが台座からダンジョンコアを離すと、ダンジョンコアは点滅を始め光りが収まりだした。
〈どうやら台座から離したことでダンジョンコアの稼働が終わったようじゃな。
まだ稼働していた分の魔力がこのダンジョンに残っておるから大丈夫じゃが、それがなくなると崩壊が始まるからのう。
早く出るとするか〉
「了解、じゃあ来た道を戻ってダンジョンから出ようか。行こう、ブリュー、ブラブ!」
*****
ユーグたちは、今まで来た道を戻り、ダンジョンから外に出た。
ダンジョンの中にいた魔物は守護者の間に行くときに、ほとんど倒していったので帰り道に出てきた魔物は少数だった。特に時間をロスせずに外に出れたが、あたりはすでに暗くなっていた。
「あー、ソタが言ってたようにもう夜だね」
〈そうじゃのう、この辺はダンジョンの影響で魔物が少なくなっていたから野営にもちょうど良いじゃろう。
今晩はここに泊まるとするか〉
「了解、じゃあ夕ご飯の準備するね!」
・・・
夕ご飯を食べ終えたユーグたちは、今日の戦闘の復習として魔法の鍛錬を行うことにした。
それはブリューが自力で自身の魔法の属性を扱えるようになったためであった。
〈よし、まずは座学からじゃのう。
前にも言ったが魔法とは自身の魔力を属性に変化させその属性を具現化し、放出することで魔法と成る。
そして魔法の操作はイメージと魔力操作が重要となっておるのじゃ。
ゆえにユーグとブラブは毎日この属性に変化させ具現化し放出することと魔法のイメージと魔力操作の鍛錬を行っておる〉
「うん、でも今までブリューは魔力操作しかできなかったよね。
属性はどうやってできるようになったの?」
〈うむ、それは俗にいう魔物の種の限界突破というものなんじゃよ。
通常、獣形の魔物は人形と違い、魔法を操るようになるには進化して上位種にならないといけないのじゃ。
それは獣形の魔物は、環境の魔力を自身に取り入れ、その環境の属性を取り込むことで属性魔法を得ると言われておる。
しかし稀に上位種にならなくても魔法を操れるようになる獣形の魔物がおるのじゃ。そういった魔物は魔物の種を進化せずに突破したとして、種の限界突破と呼ばれるのじゃよ。
まぁこの種の限界突破は子供の時からテイマーと一緒に育ち、鍛錬を受けておると比較的に起こりやすい現象と言われておるので、近々できるじゃろうとわしは思っていたのじゃがな。
だけど気を付けるのじゃよ、この種の限界突破が起きた野生の魔物は非常に危険じゃ。そういった魔物はより凶悪な魔物に進化しやすく、生態系の破壊の元となることが多いのじゃ。
冒険者になったらこういう魔物を相手にすることもあるからのう。覚えておくのじゃよ〉
「へぇー、なるほど。ということはブリューも進化するともっと強い魔物になるってこと!
すごいじゃん、ブリュー!」
「ぐぅるるるぅる!!!」
〈そうじゃの、そもそもブリューはフォレストベアの変異種であるため、どういう魔物に進化するか読めないところにあるのじゃが。これで余計にまた読めなくなったのう。
まぁそれでも強い種に進化するのは間違いがないと思うのじゃ。
あと少し補足を入れるとするとブラブの種であるゴブリンのような人形の魔物は環境の属性を取り込むことはなく、そもそも生れ落ちたときから属性を持っておるからと言われておるのじゃ。
まぁそれでも進化せずに魔法を扱えるブラブはかなり優秀なのじゃがな〉
「進化するのが楽しみだね、ブリュー!
ブラブもどんな上位種になるのか楽しみだね!」
「ゴブブ!」
〈よし、じゃあ座学は終わりにして、次は魔法の鍛錬じゃな。
守護者との戦闘を見る限りブリューは魔力を変化させて、具現化するところまではできてるようじゃな。
そこから少し放出はできるかのう?〉
「ぐぅる」
ブリューは魔力を氷に変化させ具現化しようとした。
しかし具現化はできたが、その魔法はブリューの体から離れずくっついたまま放出できずにいた。
〈なるほど、ブリューは自分の爪の威力を高めることを思ってその力を得たのじゃったか。
だから自分の体から放出するってことが想像できんようじゃな。
まぁそこはこれからの鍛錬次第じゃな、ユーグやブラブの魔法を見てイメージを固めるしかないのう〉
「よし、これからはブリューも一緒に魔法の鍛錬頑張ろう!」
こうしてダンジョンを踏破した夜もいつもと変わらず鍛錬をして過ごすユーグたちだった。
21時にも投稿します。




