ーダンジョンー
日曜日にも投稿できておりませんでした。
改めておわび申し上げますとともに、明日も3話公開させていただきます。
不慣れなことで申し訳ございません。
「昨日の鹿肉は、美味しかったね。また食べたいな」
ホーンディアを倒し解体してから一夜が経ち、ユーグたちは森を移動し続けていた。
「ぐぅるるる!」
〈ホーンディアは肉も美味しいし皮も角も売れるからのう、冒険者に人気の魔物なんじゃよ。
このホーンディアを倒せるようになれば見習いの卒業を言ったところじゃ〉
「へぇー」
〈何、ホーンディアは比較的森ならどこにでもいる魔物じゃからな。
今まで見てないことの方がおかしかったのじゃ〉
「そうなんだ、まぁ今まで同じとこにいたからね。
こんなに移動してるのも初めてだから、これからも色々な初めてがあると思うとなんかワクワクするね」
〈そうじゃのう、それを楽しむ心があれば冒険者になっても困ることはないじゃろう〉
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それからしばらく森の中を移動し続けたユーグたちは開けた場所を見つけて休憩を取っていた。
「だけどあれだね、昨日のホーンディア以来全く魔物を見かけなくなったけど何かあるのかな?」
〈そうじゃの、昨日はまだ若干少ないくらいの魔物の数じゃったけど、今日は全くおらんのう。
これはちとおかしいかもしれんな〉
「どうする?ソタ?
僕はどうせこれからも森の中を移動しないといけないから原因を探った方が良いと思うんだけど」
〈そうじゃの。それか急いでドライツェン王国に向かうかの2択じゃな。
まぁお主がやる気なら原因を探ってみるとするかのう。ブリュー何か異変を見つけてないか?〉
「ぐぅる?ぐるるる……」
〈そうか、ブリューでも見つけられんか、だったら強い魔物がいるわけじゃないみたいじゃのう。
そうなると何か魔力的なもので探った方がいいかもしれん。ユーグよ、魔力察知を全力で広げてみろ〉
「うん、わかった」
ソタに言われたようにユーグは、魔力を限界まで放出し、薄く魔力の網を広げた。限界まで魔力の網を広げた結果、ユーグは網の端に何かを捉えた。
「何か見つけた……。
これは結構遠いね、ここから2日くらいかかるかも。あと魔物じゃないかも、魔力の反応が魔物と違う」
〈どうするユーグ?
特に行かなければいけない事情もないが、早くドライツェン王国には行く用もないがのう〉
「うん、僕はここに行ってみたい!初めて冒険だ!」
〈わかった、わかった。
落ち着け、よし魔力の反応は魔物じゃないということは、何か環境がおかしくなってるということじゃな。
いつ森の中が変化するかもわからんから慎重に動くんじゃよ〉
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「あれ?おかしいな、魔力の位置はここら辺なのに何もないよ」
「ぐる?」
「ゴブ?」
〈うむ、わしの方でもこの辺だとでてるんじゃがな……。
何かないかのう〉
森の中を2日移動し、魔力感知で反応があったポイントにやってきたユーグたちは明確な通常と異なる点を見つけることがまだできなかった。
「うーん、ないねぇ……あっ、あっちの方に洞窟みたいなのがあるよ。
魔力の反応もあそこから出てるみたい」
〈うん?洞窟の中からその魔力の反応が出てるのか、ふむ、たしかにそうじゃのう。
もしやあれは……〉
「何か、ソタは知ってるの?」
〈あれは、ダンジョンかもしれん〉
「ダンジョン?ダンジョンってあの魔力が集まってできる不思議な場所のことでしょ?
あの洞窟がそのダンジョンなの?」
〈ユーグも流石にダンジョンのことは知っていたか。
そうじゃ、そのダンジョンじゃ。魔力が集まることでできる、魔物が生まれ集まる場所じゃ。魔力でできた空間を攻略できれば富が与えられるというな〉
「うぇー、僕が読んだ本たちにも必ず出てきたよ。
数々の冒険者に富と名声、そして地獄も与えてきたって言われてるダンジョン!入ってみたい!」
〈ふーむ、まぁ一度入ってみないとダンジョンの難度もわからんからのう。
ユーグが入ってみたいなら、まぁよかろう〉
「ヤッター!よしブリュー、ブラブも行くぞ!」
「ぐぅ!」
「ゴブ!」
〈ユーグ!待つのじゃ!走ってダンジョンに入ろうとするな!
ダンジョンにはトラップがかかってる場合もあるのじゃ。もし即死の罠が入口付近に仕掛けられてたらどうするのじゃ〉
「ご、ごめん。憧れてたダンジョンに入れると思うと興奮が抑えきれなくて」
〈人に管理されてるダンジョンなら難度も事前にわかっとるから、入り口付近は安全じゃろうけど、このダンジョンはそもそも誰も見つけていないはずじゃ。
そういうダンジョンは危険な場合もあるから注意するのじゃぞ〉
「わかった!ところでさっきから言ってるダンジョンの難度って何?」
〈ふむ、難度とはそのダンジョンの危険度のことじゃな。
1から5段階あり、1が最低の危険度で5が最高じゃな。難度が5のダンジョンは基本的には未踏破のダンジョンに付けられる難度じゃな。
難度は外からではわからんので、一度入ってみないといけないのじゃ〉
「なるほど。よし、もう僕も落ち着いたから、慎重に入ろう!」
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「中に入ってしばらく経つけど、全然魔物がいないね。
それにちゃんと洞窟な感じで全然変な感じがないな」
〈どうやらここは洞窟型のダンジョンで難度も1みたいじゃの。
難度1なら最初の階層にはトラップや魔物は出て来んのじゃ〉
「なるほどね、じゃあ宝箱もないのか」
〈難度1のダンジョンは守護者を倒さんと宝箱は出てこないのじゃ。
まぁ多分このダンジョンの守護者程度ならお主たちで勝てると思うからのう、このまま進むとするか〉
ダンジョンには色々なタイプが存在している。ダンジョンは通常魔力だまりという、自然に魔力が集まる場所にできる場合が多い。
集まった膨大な魔力が独自の空間を作り出し、ダンジョンを構成する。空間は主に魔力だまりの周辺の環境に似ることが多く、今回ユーグが潜ったダンジョンは洞窟にあった魔力だまりが作ったため、洞窟のダンジョンである。
周囲の環境によってはダンジョン内で採掘や採集もできるため、そういったダンジョンは積極的に人が管理している。また魔力だまりから作られるダンジョンの空間は、階層になっており、最下層にはダンジョンを守っていると言われている守護者という魔物が存在している。
そういったダンジョンは俗に階層型ダンジョンと呼ばれている。守護者を倒せば、何故か宝箱が現れ、その宝箱にはダンジョンの難度に対応した道具や素材、武器、防具などが入ってる。それに加え難度によれば階層の道中にも宝箱が出現することもある。
難度1のダンジョンは、主に戦闘職以外のものや見習い冒険者に利用されることが多い。最初の階層には危険となるものが存在せず、また階層が深くなってもトラップが出てくることもないからである。出てくる魔物もそこまで強いものが存在しないためダンジョンの本格的な探索の練習に使われている。
「あっ次の階層への階段見つけたよ!」
〈うむ、次の階層からは魔物も出てくるから気を付けるのじゃよ〉
「わかった。
それじゃあブリューが先頭で次がブラブ、最後に僕で進んでいこう」
「ぐる!」
「ゴブ!」
ユーグたちは、階段を下り次の階層に入った。階層型洞窟ダンジョンは、基本的にほぼ同じような洞窟な階層をしてる。そのためそのダンジョンに、採掘や採集などができる場所がなければ階層を潜っても変わりはないのである。
「最初の階層と全然変わりないね……あっ魔力察知に反応あったよ!こっちの方だね」
・・・
〈あれはケイブバットじゃな、洞窟によくいる蝙蝠形の魔物じゃな。
まぁ1体だけみたいじゃから、とりあえずユーグの魔法で倒してみるのじゃ。そこまで強い魔物じゃないから、すぐ倒せるじゃろ〉
ケイブバットは、蝙蝠形の低位の魔物で、洞窟などの暗い場所によく見かける魔物である。大きさは小型犬ほどのサイズで素材としては牙と翼の被膜が主である。またケイブバットには吸血能力はなく、攻撃は噛みつくだけである。
「わかった、ウォーターアロ―×2」
ユーグの元に、水の矢が2本出現しそのままケイブバットに飛んでいく。1本は躱せたケイブバットは2本目は躱せず、その身に受けて地面に落ち、横たえた。
その数秒後倒れたケイブバットは黒い煙に包まれた。黒い煙がなくなると、そこにはケイブバットの体はなく、魔石だけが残っていた。
「えっ……?どういうこと?」
〈うむ、これがダンジョンじゃ。
ダンジョンは魔力によって魔物も生み出されておるため、出てきた魔物を倒すと魔石のみになるのじゃ。
魔石は魔力の塊じゃからの、ダンジョンでも準備できるってことじゃのう〉
「えっ……魔石だけなの!?それじゃあ素材とかはどうすんの?」
〈うん?それは外の魔物を狩ればいいじゃろ。
ダンジョンでは魔石しかないが、魔石は魔道具などに使われるからのう、低位の魔物の魔石でもそこそこ値段で売れるのじゃ。
それに宝箱もあるからの、それ目当てで潜る冒険者もおるのじゃ〉
「そっか、いつも一応魔石は回収してたけど、どう使うのか知らなかったな」
〈ちなみに錬金術でも使う場合もあるのじゃぞ。
まぁそれもおいおい教えるのじゃ〉
「うん、わかった。じゃあ魔石拾って奥へ進もうか」




