表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/108

ー追放ー

初作品となります。拙い文章ではございますが、お楽しみいただければ幸いです。


「テ…テイマーだと…、ふざけるな!

 お前はどこまで我が男爵家を愚弄する気だ!

 もういい、お前はこの家から追放だ!」


 教会の中、一人の男が激昂している。周囲のもののざわめきも聞こえてくる。


「……あの子はやっぱり無能であったみたいだな……」


「……ドライツェン出身の母の血を受け継いだようだ……」

 

 「わかりました…」


 それに下を向いたまま少年が応える。

 彼の名前はユーグ・ユエルゴア。

 ユエルゴア男爵家の次男であるが、たった今男爵家の追放をうけ、だたのユーグとなった。


 この世界では10歳の時に神から天職【ジョブ】がもらえると言われている。

【ジョブ】を与えられるとそのジョブに合ったスキルの力が伸びるため、ロワイシュバリー王国では重要視されている。


 10歳になれば誰もが【ジョブ】を与えられるため、騎士王国の貴族はその確認のため10歳の誕生日に教会に赴き、視水晶でジョブを確認する。その儀を天職の儀と呼んでいた。


 ユーグはその時に追放されたのであった。


*****

 

 ユーグは歩いて男爵家屋敷に向かっていた。

 男爵家一行はユーグを置いてすでに馬車で屋敷に戻っていたからだ。

 

(今日の夜は宿屋に泊まればいいのかな?

 あっでもお金がないや、父上からもらえるわけないよ、

 どうしよう……、一度ソタに相談した方がいいよね

 とりあえずもう家に着くから荷物を取ろう)


 「止まれ!お前は屋敷への立ち入りを禁じられている。」


 「えっ…荷物とか取りに戻っただけなんですが…」


 「ダメだ、お前はもう男爵家と関係ないただの平民になったのだからな

 ああ、それとご当主様からの伝言で今日中に町からも出て行くようにとのことだ」


 「そんな!町から出てどうやって生活すればいいんですか!?」


 「知らん知らん、そんなことは、俺がわかるのはお前が屋敷への立ち入りが禁じられたことと町からも追放されたことだけだ。

 早くここから立ち去れ!」


 「う…わかりました、すぐに出て行きます」


 門番がそう言うと槍を向けてきたためユーグはすぐにここから立ち去り町からも出て行く決心をした。


(このままだと父上たちに殺される!

 早く町から出てソタたちと合流しないと)


 ユーグは、急いで町の門まで向かいそのまますぐに町から出ていく。


 ロワイシュバリー王国は開発がそこまで進んでおらず、町や村の周りの農地や街道以外はほとんど森や林で囲まれている。

 ユエルゴア男爵家が治めている町の周りもロワイシュバリー王国のその他の町と変わらず森に囲まれていた。


 その中にユーグは向かったのであった。


*****


森の中を奥へと進んでいくユーグ、ある程度進むと奥から白い影が走ってきた。

しかしユーグは全く警戒をしていなかった。


 「ソタ、ブリューおはよう!」


 「くぅー、くぅー!」


 〈おはようじゃ、ユーグ、しかしお主がこの時間に森に来るとは珍しいのう、何かあったのか?〉


 白い影はユーグの目の前で止まった。その正体は白青色の子熊で背には黒いモモンガが乗っていた。

 彼らはユーグの友達で森に棲んでいる魔物のジャイアントベアの子供とモモンガ形の魔物であった。


「そうだ!ソタに相談があったんだ、今日が10歳の誕生日で【ジョブ】を授かったけどテイマーだったんだ、それで父上に家と町から追い出されちゃって、今日からどうすればいいんだろう?」


〈それなら我らと共に森に住めばいいじゃろう、元々あの屋敷には寝るくらいしか世話になってなかったのじゃからな、荷物も空間魔法でいつも持ち歩いておるじゃろ?〉


 ユーグの母親は、敵国同然のドライツェン王国出身であった。どういう経緯で男爵家に嫁いだのかはユーグには、わからなかったが当主であるユーグの父親含めて男爵家からは嫌われていた。

ユーグはそのため冷遇されていた。ユーグが5歳の時母親が亡くなり、それが虐待へと変わっていった。兄や父親、継母からは躾けと称した暴力を受け、食事も徐々に与えられなくなった。

したがってユーグは自分で食べ物を探しに屋敷を抜け出して森の中へ頻繁に行っていた。屋敷の使用人たちからも気にも留められなかったのとユーグは母から隠密の技術を学んでおり、屋敷の人たちからは森に行ったことすら知られていなかった。

モモンガ形の魔物であるソタやクマ形の魔物の子供であるブリューとは森で食べ物を探しているときに出会ったのであった。


 「確かに!そうだった、今日一日多くのことがありすぎて忘れてた!屋敷の部屋には必要なくなったものしか置いてなかったんだ。それに水魔法も使えるから自由に色々な場所にいれるね!」


 ユーグは5歳の時に森でソタと出会い、彼から色々な教えを受けていた。

ソタは長寿で知識豊かであった。一般的にロワイシュバリー王国では魔法の修練は10歳の天職の儀を受けてから始まるものであった。

その時に初めて自分の属性を確認するのである。しかしユーグはソタと出会ってからしばらくしてすぐに魔法の使い方を教わっていた。

ユーグはその時に自分の属性を知った。ユーグの属性は水と空間でこの5年間で非常にお世話になっていた。空間魔法で食べ物を保管し、日々の飲料は自分の水魔法を使っていた。屋敷の水にはたまに毒が混ざっている時があったからである。


〈とりあえず移動するかのう、ここはまだ森の入口が近いから人が入ってくる、もう少し奥に行って詳しく話をきくとするか〉



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ