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67:助けられた先に狼2人

 まずはPTを組んでいた時に拾った物以外の素材をギルドに納品し、お金に換えておきます。それから消耗品(ポーションと携帯食料)の購入と、ナイフの補充ですね。

 行く先々で絡まれ(ナンパされ)かけたのですが、スコルさんが自然な動きで間に入ってくれたり遮ってくれたりと、かなりエスコート慣れした動きですね。グレースさんもコッソリと威嚇してくれているようですし、何か2人に守られているという感じがします。


「いやーそれにしてもユリちー(ユリエル)凄い恰好よねー何か心境の変化があったの?」

 足元にすり寄るスコルさんは私の顔を見上げながらそんな事を言ってきたのですが、私は頬が上気するのを誤魔化すように、視線を外しました。


「……性能がいいんです」


「ふーん、なるほどね~」

 スコルさんは全く信じていないという口調で同意しながら、私の足元をウロウロしているのですが、スカートの中を覗こうとしていませんか?


「…見えませんよ?」

 スカート自体は物凄く短いのですが、花弁が何十層にもなっているような構造なので、下からはハッキリと見えない筈です。


「いいのいいの、見えそうで見えないのが意外と大事なのよね。それになかなか絶景よ?」


「そうですか……」

 見上げながらニヤリと笑うスコルさんに少し生理的嫌悪感を抱いたのですが、それ以上の何か変な感情に流されそうになりました。急に意識した食い込みに足元が頼りなくなり、顔に血液が集まってきたような気がしますね。助けてもらっている以上あまり邪険にするのもと思い、すり寄られるのもしかたがないと諦めていたのですが、これ以上は何か不味いような気がします。足元に居られると単純に歩きづらいですし、もう蹴ってもいいでしょうか?


(それにこれ……)

 肌に触れるスコルさんの毛は所々男の人らしい硬さがあって、撫でられ方によってはチクチクと痛い時もあれば、ゾワリと肌が泡立つほど柔らかい時もあり……とても歩きづらいのですよね。


 垂れた汗が足を伝うのを誤魔化すように、私はスコルさんを軽く蹴ってみるのですが、スコルさんは威力を受け流し「おっほ」と揺れました。完全に遊ばれているような気がしますね。


「………」

 そんなじゃれ合っているような私達を、グレースさんは血走った目でただただガン見してきていました。今の私の格好は露出過多ですからね、人によっては嫌悪感を抱いてもおかしくはないのかもしれませんが、親の仇とでも言わんばかりにグレースさんが睨んでいるのは何故かスコルさんと、よくわからない状況なのですよね。スコルさんも当然その視線には気づいているのですが、ニヤニヤと笑いながら無視しているようです。

 何か2人の間だけに交わされているものがあるような気がするのですが、よくわかりません。


 そしてそのグレースさんの獲物を狙うような眼孔は当然私にもチラチラと向けられているのですが、どうにもこちらに向けている視線には何か別の意味があるような気がします。ただそんな事よりも、穴が空くほど見られていると、戦闘中のように激しく動いている訳ではないので、揺れる胸の先端が硬くなっている事に気づかれないかがとても心配です。ただでさえ振動が伝わりやすくなっていますし、蔦を緩めておきたいのですが、こうも見られていると動かすのがちょっと躊躇われるのですよね。動かしたいという気持ちと、意識するほど圧迫されて漏れそうになった声を何とか飲み込みながら、私は睨みつけてきているグレースさんに「どうしました?」と首を傾げておきます。


「グレース嬢ちゃんはユリちーのおっぱいに興味津々ねー揉ませてもらったら?何かご利益あるかもよー?」


「ひゃっ、ちちちがいまっ、そんな…いいんですか!!!??」

 まぜっかえしたスコルさんなのですが、それに反応したグレースさんの目は結構本気ですね。ワキワキとした手が今にも伸びてきそうだったのですが、そんな手つきをされたらその……。


「…よくはないです」


「ううぅぅぅうううっっ!!」

 断ると物凄く残念そうに呻かれました。


 感情を抑えるように足踏みをするグレースさんなのですが、そういえば服装が前回会った時からかなり変わっていますね。

 何か急いで買ってきましたという感じの安い生地のローブと、脱げないようにきつく締められたベルト、私が止血のために渡した布を大判スカーフのように首に巻き、腰回りに微かに浮かぶシルエットを見る限りでは、ローブの中にズボンを履いているようですね。それだけ強く足踏みをしていても殆ど服装が乱れない所に、固定に対する執念を感じますね。


 十兵衛さんから話を聞いていた私はその服の意味がなんとなく分かったのですが、その話題(触手に脱がされた)に触れていいのかは悩むのですよね。ただここまで服装が変わっていると触れないのも不自然なような気がするのですが、どうしましょう?


「…そういえば、結構買い込んでいるけど、ユリちーはこれからどうすんの?」

 そんな事を考えながらグレースさんの服を見ていると、スコルさんに話題を逸らされました。スコルさんの判断ではこの話題(服装)には触れない方が良いという事でしょう。


「……防具を見に行こうかと」

 いえ、別に服装の話題に戻したい訳ではありません。ただもうポーションや携帯食料は買いましたし、あと見に行こうと思っていたのが燃えてしまった剣帯と、出来たら上から何か羽織れる物があればいいと思っただけなので、深い意味はありません。


「ほふゅっ、ぼーぐ、ですか!!?」

 そしてあからさまに動揺するグレースさんと、「あちゃー」みたいな顔をするスコルさん。


「その、流石に隠そうかと」

 流石にいつまでもこの格好(露出ドレス)というのはマズイ気がしますし、蔦の位置を調整したり緩めたりする時に上に何か羽織る物があれば便利だと思います。そもそも剣帯の方は色々な理由で急務ですからね、私はグレースさんの服装と関係なく自分の格好の問題だと軽く胸を示します。

 それに今はスコルさん達が守ってはくれていますが、1人になるとどうなるかわかりませんからね。その時の事を考えただけでゾクリと体が熱くなったような気がするのですが、私は深呼吸をして落ち着きます。


「なんで!!?」

 落ち着いた私と反対に、グレースさんはいきなり大きな声を出して、周囲の視線が集まりました。言ってから恥ずかしくなったのか、グレースさんはオロオロと周囲を見回したあと背筋を曲げたのですが、それでも未練がましそうにチラチラと私の体を見てきました。


「まあーグレース嬢ちゃんの言う通り、ユリちーのその美貌を隠すのはもったいないわよねーおっさんもそのままの方が良いとおもうなー」


「流石に、それは…それに……」

 私は言葉を濁したのですが、乳ポジを直したいからとか、剣帯に吊っていたポーチや剣を腰辺りの蔓で無理やり固定しているので、その重量が胸に来ているとかは説明しづらいのですよね。


 勿論、ホルターネックのドレスですから蔓を首まで伸ばせば重量を支えられるのですが……蔦の全体量は変えられないので、上に伸ばしすぎると胸の固定が甘くなって外れたり、下が足りなくなってスカートがばらけたりするのですよね。その辺りの説明を一々するのも恥ずかしいですし、言葉に詰まった私の顔を2人がまじまじと見てきて物凄く恥ずかしく、視線を意識すれば意識するほど頭が沸騰しそうになるのですが「とにかく」という一言ですべて誤魔化しました。


「それより、お2人はこの後どうするのですか?」

 お返しにとばかり聞いてみたのですが、特に考えなくついて来ていた2人は顔を見合わせました。


「そうねーおっさんは甘~い匂いに誘われて、魅惑の花園をフラフラと?」


「え、えと、ご一緒してもいいですか?」

 との事で、特に何かしたい事がある訳ではないようですね。


「スコルさんの方は意味がわかりませんが……グレースさんの方は喜んで」


「え、何それ…おっさんへの当たり強くない?」


「日頃の行いかと」

 そんな事を話しながら私達が向かうのは、防具屋ですね。流石にちゃんとした(耐性ありの)剣帯だと価格がどうなるのかわからないのですが、耐性が付与されているだけの紐や布ならどうでしょう?剣やポーチを固定できればいい訳ですし、布もグレースさんのように巻いて隠す事ができればそれで十分……だったのですが、こちらもまあ店売り品でもそれなりの値段がしますね。

 最低ランクの『火耐性(微)』がついている物で万単位、小や中クラスの耐性がついてくると数十万や数百万ですね。『魔力耐性』ともなると『火耐性』より汎用性が高いからなのかお値段が更にあがります。しかも素材単体だとスキルの加護を得られない関係か、実用するには耐久度がちょっと低く、流石にこの値段の物を消耗品として使い潰すのは難しいのですよね。一応素材アイテムの耐久度や効果を上げるスキルが生産系のスキルの中にあった筈なのですが……とそこまで考えた所で、こういう耐性アイテムをヨーコさんに作ってもらう事はできないのだろうかと思いました。色々なアイテムへの付与もしているとの事でしたので、何かしらのアイテムは作れそうなのですよね。


 丁度ヨーコさんは少し前から繋いでいて、後はナタリアさんが繋いでいれば……と、買い物をしている間にナタリアさんも繋いでいましたね。昨日の精算ついでに、ヨーコさんに頼んでみましょう。


「すみません、ちょっといいですか?」

 私は連絡を取りたい人達がいる事を2人に告げてから、ヨーコさんとナタリアさんに連絡を取る事にしました。

※誤字報告ありがとうございます。(10/19)訂正しました。

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