497:黒水晶に囚われているモノ
私達の目の前に聳え立つのは無数の触手を振り回している禍々しい大樹なのですが、主力ともいえる鉤爪付きの触腕はジョンさんやグレースさんなどの攻略チームに振り下ろされていますし、ディルフォレスの多くも離脱して行く牡丹と淫さんとニュルさんとナーちゃんを追いかけていて……私達に向かって来ているのはディルフォレスの一部とデファルセントの体内から生み出されているデファルシュニーと黒水晶に絡まるサングデュールくらいなのですよね。
『それくらいって言うけど~…十分多いような気がするのは私の気のせいかしら~?』
なんて呆れたように肩を竦めるラディは黒水晶の沼に嵌って動けませんし、突き立てられた無数の結晶からエネルギーが吸い取られている状況なのですが、このまま引き下がったのでは何の解決にもならなくて……覚悟を決める事にしましょう。
(一気に襲い掛かって来ないだけマシだと思いませんか?)
分散していなければこうしてお喋りをしている余裕もなかった訳ですからね、一息付く事が出来ただけでも重畳だと思っておいた方が良いのかもしれません。
『それはそうだけど~…まあいいわ~とにかく行くわよ~!』
(お願いします!)
穴に嵌った私達のエネルギーを搾り取ろうとしているのだと思いますが、『歪黒樹の棘』に襲われる前に下半身を引き千切りながら底なし沼の中から脱出したラディは……その防御力は核を覆っているスライムボディーが担っていますからね、引き千切られていくと極端に防御力が落ちてしまうのですが……それは仕方がない犠牲だと諦める事にしましょう!
「OOOOOOxOxxxxtxoOOx!!!」
とにかくキリアちゃんの気配を探るために近づく必要があるので不利益は甘んじて受け入れながら突っ込む事にして、黒水晶に囚われていた下半分を引き千切りながら20メートルから10メートルまでダウンサイズしたラディ目掛けて叩きつけるように振り下ろされたディルフォレスを掻い潜ったところを狙い撃ちにするように伸びて来た黒い枯れ木がラディの身体を貫きスライムの核を抉っていくのですが、押し寄せて来るデファルシュニーの大群をダメージ覚悟で跳び越え弾んで一気にデファルセントと距離を詰めていきます。
(くっ…っとうに、これは…)
そんなラディの中に取り込まれている私はプルンプルンと揺れている衝撃が伝わり震えてしまうのですが、流石にエリアボスの攻撃を気合と根性だけで躱しきる事はできないようですね!
(ラディ!?)
結局進めたのはデファルセントの真下までだったのですが、蠢くサングデュールに捕まり足が止まるのと同時にスライムボディーの中から吐き出された私はラディに摘まみ上げられてしまい……。
『後は~…お願いね~…!?』
少しでもデファルセントに近づけようにと放り投げられた私は【魔翼】を使ってディルフォレスの攻撃を回避するのですが、横目で確認するとラディの中に残っていた最後の核がプチュリと潰されホログラムとなって消えて行くところで……ラディがその身を削って前に進めてくれた訳ですからね、ここまで来たら何としてでもキリアちゃんのもとまでたどり着かなければなりません!
「任せてください!ラディは少しの間…休んでいてください!」
蠢く黒水晶の動きを魔力の感知だけで見切って躱し、振り回されているディルフォレスを【淫気】と『ベローズソード』で弾いて……カシャリと割れて沈み込みそうになる黒水晶の上を駆け抜けていくのですが、スライムボディーに守られていない私は黒水晶とデファルセントの悪意に曝されている状況ですし、ドロリとした媚毒の影響で気分が悪くなってしまい……。
(キリアちゃんの居場所だけでも…わかったらっ!?)
流れ込んでくるドロドロとした欲望や媚毒の影響で吐き気が込み上げてきますし、そのような悪意の中で全裸でいるというのは剥き出しの性感帯をゴツゴツとした指先で弄り回されているような嫌らしい感覚があるのですが、気を抜いてしまうとへたり込んでしまいそうになる身体を励ますように奥歯を噛みしめました。
「OooOxtoO?」
そして「何となくこっちの方に居るような気がする」という方向に進むと歪なイソギンチャクの中心部……サングデュールと『歪黒樹の棘』に守られた一際巨大な黒水晶の中からキリアちゃんの声がしたような気がしたのですが、その声に気を取られた瞬間蠢くデファルセントの悪意が津波のように押し寄せて来て……。
(もう、少し…なのですがっ!!)
巨大な黒水晶に絡みついているデファルセントの根っこが襲い掛かって来るのですが、ここまで来たら怖気づいている場合ではないと壊れかけの『ベローズソード』に【ルドラの火】を込めて根っこや黒水晶を斬り払いながら無理やり押し通るのですが、すぐさま伸びて来た『歪黒樹の棘』に動きが制限されてしまい……溶けた黒水晶が波立ち水の鞭のように唸りを上げて襲い掛かって来ました。
(これくらい…んぅ!?っは…あっ、あ゙!?」
波立つ黒水晶にバランスを崩してしまうと荒れる水面に飲み込まれてしまい……黒水晶の中は水中にも似た薄暗い影の中のような空間だったのですが、ドロリとしたタールの中のような場所から何とか浮かび上がろうと藻掻けば藻掻くほど私の弱点にもなっている大きな胸や乳首が押し潰され声が漏れてしまい……ウネウネと蠢く液体化した黒水晶が割れ目に食い込みクリ〇リスの包皮を捲り上げてきますし、少しでも刺激を逃がそうと腰を引くと後ろの穴を穿ろうと待ち構えていた黒水晶が震えて逃げ場がありません。
(それ…でも!)
黒水晶に取り込まれかけている私はキリアちゃんの声がした方向に進もうとするのですが、肌を通して染み込んでくるデファルセントの悪意に身体が竦んでしまいますし、太くて長い男性器のような触手を股間にあてがわれるだけで身体が疼いて頭の奥の方が痺れてしまいました。
(く、ん、ぅうう…駄目、です…そんな風にムニュムニュと揉みしだかれたら)
ここで足を止めてしまったら嬲られ続けてしまう事がわかっていたのですが、しつこく纏わりついて来る黒水晶は私の感じる所ばかりを擦り上げ摘まみ上げてきますし……流れ込んでくる欲望が形となって奇妙な挿入感を感じてしまうのですが、そんな状態で黒水晶にも抉られてしまうと二重の挿入感に脳がバグってしまい……。
「はっ…あ゙ぁああっ、んくぅッ!?」
ズルズルと這い回るような愛撫に身体が跳ねてしまいますし、多くの獲物をいたぶり尽くした歪みの大樹が弱い所を絶妙な力加減で刺激し手玉に取られてしまいました。
そうして私の反応を確かめるような愛撫に耐えていたのですが、必死に抗おうと歯を食いしばっている私を嘲笑うような動きで前後の穴を穿り返しながら両乳首を根元からギュウギュウと絞り上げられると無様に母乳を噴き出しながらいってしまい……。
(ひぃぅっ!?こ、これは…だ、駄目、です!?す、吸われて…ぇ!!?)
黒水晶が前後する度に背筋がゾクゾクと震えてしまいますし、溢れた愛液を吸い上げる時の吸入感に身体が震えるのですが……そんな状態でキリアちゃんの元に向かおうとすれば奥の方を突かれて足が止まってしまいますし、立ち止まると今度は全身の愛撫によって頭の中が真っ白になってしまい……私がいってしまったタイミングで吐き出されるモノに思考が浸食されていっているような気がするのですが、頑張らなければいけないという思いが蕩けて訳がわからなくなってきてしまいます。
(これ、絶対に揶揄って…は、はひ…はっ、ぁああ、お゙っ、お゙お゙ぉ゙ッ!!?)
デファルセントからしたら戯れにじゃれつきエネルギーを吸い取っているだけなのかもしれませんが、禍々しい触手に突き上げられてしまうと大きく仰け反り酷い顔を晒してしまって……無防備に晒された胸に吸い付いて来た触手が乳首や乳輪を刺激するだけでいってしまって……我慢しなければいけないと思っているのにエナジードレインを伴う絶頂は耐える方法がわからなくて防ぐ事が出来ませんでした。
(また、またイ゙ッ…ッぁ、あ゙っ、あ゙あ゙あぁああッ!!?)
そうして絶頂と共に噴き出した母乳や愛液……果ては汗や涙や涎といった分泌液をじゅるじゅると吸い上げていくのですが、耐えようと思っても射乳の快感に目の前がチカチカしてしまい……。
(そ、それ…でも!)
ここで挫けてしまったらキリアちゃんが居なくなってしまうような気がしますし、叩きつけられる快楽の波に耐えながらドス黒いモノが渦巻いている黒水晶の中で藻掻きながら手を伸ばすのですが……数センチだけでもいいので前に進もうと足搔いていると微かに引っ張られるような感触があって……たぶん吸収効率を上げる為にデファルセントの中心部に運ばれているのだと思いますが、このまま体のいい生贄として嬲られ続けられる訳にはいきません。
そう思って足搔いていたのですが、魔力やスキルを使おうとしたらすぐさま吸収されてしまいますし、絡みついて来る『歪黒樹の棘』によって身動きが取れなくなってしまい……。
(っは…ッ!?)
それでもこのまま大人しく生贄になる訳にはいかないと茨の痛みに耐えながら手を伸ばし続けていたのですが、ギリギリまで伸ばした指先にフニャリとした温かい感触がありました。
「キリアちゃん!?」
それは何度も撫でてあげた女の子の温もりだったのですが、私は最後の力を振り絞ってその小さな身体を手繰り寄せて……。
「ユリ…エル?」
ドロリとした黒水晶の中に捕らえられてキリアちゃんは信じられないものを見たというような顔をしていたのですが、私は絡まる茨の痛みを忘れてその小さくて弱々しい身体を抱きしめました。
※誤字報告ありがとうございます(4/30)訂正しました。




