492:尋問の様子と祭壇の起動
『歪黒樹の棘』が絡みついた石造りの祭壇と襤褸小屋とテントが張られただけの拠点に屯っていた熊派を無力化する事が出来たのですが……。
(こうなると…よくわからなくなってしまうのですよね)
相手の考えている事がわかれば祭壇の事も聞き出しやすと思ったのですが、ディルフォレスにヌルヌルと絡みつかれて気持ちよくなってしまっている熊派の考えが流れ込んできていますし、それ以外の……蹲るカイトさんからは恐れや恐怖といった感情と合わせて何かしらのドロドロとしたモノが渦巻いているのがわかるのですが、具体的にどんな事を考えているのかがわからないのですよね。
多分これは私に対する“強い思い”や“性欲”が少ない事が影響しているようで……まあ普通はその人が何を考えているのかなんていう事はわかりませんし、わからなかったらわからなかったらで聞き出せばいいと思って近づいたのですが、今まで蹲っていたカイトさんがいきなり「ふぉぉおおお!!」っと大きな声で叫びながら勢いよく立ち上がりました。
「ツルペタ幼女スライムですとぉおお…ぅおうっふぅっ!?」
「!?」
『っと…なんだ、こいつは?』
「ぷっ!」
涎を垂らしながらヌフフと笑ったカイトさんに私の尻尾と淫さんのスカート翼と牡丹の体当たりを受けて吹き飛びゴロゴロと転がり仰向けに倒れるのですが、その状態でもギンギンになっている股間のふくらみが嫌でも目に入ってきてしまい……何とも言えない気持ちになってしまうのですよね。
(ビ…ックリしましたが)
どうやらカイトさんは幼女に欲情するタイプの……ラディの体形だとペドフィリアと言った方が良いのでしょうか?あまり褒められた性癖ではないような気がするのですが、その性欲がゲームの中だけで完結しているのであればまだ健全というべきなのでしょうか?
(そういう話でもないような気がしますが…カイトさんが熊派に居た理由って…?)
その理由を考えてしまうと何とも言えない嫌悪感が込み上げて来てしまうのですが……私の感想については一旦横に置いておくとして、キリアちゃんを助ける方法を探る為にも今はこの気持ちに蓋をしておく事にしましょう。
「こちらも急いでいるので単刀直入に聞きますが…あの祭壇の動かし方について知っている事はありませんか?」
「ひぃ!?ぐ、ぐぅじい…ッ!?ぐ、そ、それ、ば…」
ラディに色目を使っているカイトさんの首に尻尾を絡めて物理的に締め上げるのですが、窒息判定が入っているのか顔を真っ赤に染めながらもゆっくりと首を振って……。
「こ、ごこを…守るように…い゙われて…いる、ので……仲間、が…帰って…ぐる、ばじょを…」
臆病者ではあるけど卑怯者ではないと言いたげな言葉に「カイトの兄貴」とか「ブタ野郎、あんた男だぜ」とか慕われているのか馬鹿にされているのかわからない声が倒れている熊派から上がるのですが……こんな状況でも熊派に所属している人達ですからね、彼らは彼らなりに仲間意識があるのかもしれません。
(これでキリアちゃんやラディに欲情していなければ格好が良いのかもしれませんが)
下半身がビンビンになっている状態ではいまいち決まりませんし、危機的状況に陥りカイトさんの精子が物凄い勢いで作り上げられていくのが認識できてしまい……チラチラと私の胸を見て来る節操無しという事もわかりましたし、お話をする前に少しだけ叩きのめしておく事にしましょう。
「その決意はとても大切なものだと思うのですが…」
「ど、どんなに…いたぶられたとしても…わたし…は、口を割りませんぞ!」
気持ち悪かったという事もあって【魔翼】で数発殴ってみると恍惚とした表情を浮かべたカイトさんが格好良さげな事を言ってくるのですが、殴られる事に快感を覚え始めているのかその表情がウットリと蕩けていて……【ああ、もっと、もっと痛めつけて欲しいですぞぉおお!】という思いが伝わって来てしまっている私からすると何とも気が滅入ってしまう状態なのですよね。
「仕方がありません、ね…ラディ、後の事はお願いします」
このままだと埒が明かなさそうですし、いたぶりすぎてリスポーンされても面倒なので自分達で調べる事にしましょう。
その間の相手をラディに任せようと投げ渡しておくのですが、周囲の人達から精気を集めている私は200キロ近いカイトさんの体を軽々と放り投げてと……思念が送られて来るのは厄介極まりないのですが、魔力の供給自体は確りとしているのが小憎らしいですね。
(『色欲の巫女』になった事で【魔翼】や尻尾も動かしやすくなっていますし、本当に…)
【魔翼】が帯状の翼になっているのでスカート翼を広げると4枚羽になり、尻尾も動かせるようになったので手数が増えてと……これで変な気分にならなければ良い事ずくめなのですが、そう上手くいかないのがブレイクヒーローズというゲームなのでしょう。
「了か~い…う~ふ~ふ~…あなたはそう簡単にへばったりしなそうだから楽しみね~」
「うひ、幼女が!?ぐっ、ぅうう…で、ですが…どんな暴力を振るわれようと、わたしの決意は変わりま…ふん!?」
下半身を露出させられたカイトさんは意外と立派なモノを持っていたのですが、堪え性がないのかツルリとした亀頭にラディの小さな手が添えられるだけでビクンと震えて白濁した液体を吐き出してしまい……まったくどうでも良い事なのかもしれませんが、拘束もされていないのに逃げ出さずにされるがままというのはどういう事なのでしょう?
「ま、待ってください、今…そ、そんな所を扱かれたっ…ひ、ぶひぃぃいいいんんッ!!?」
「あ~ら~少し触っただけで出してしまうなんて~…我慢が足りない子なのかしら~?」
「ぐっ、ぅぅう…ま、負けませんぞ…わ、わたしにはキリアちゃんと言っ!?うううんんん!!?」
ラディはS Pが余っていたからという理由でエッチなスキルを取得していますし、ひとこきで射精してしまったカイトさんは涙やら涎やら色々な液体を吐き出しながら凄い事になっていて……ハイオークという種族的なものなのかカイトさんの性欲が凄いのかはわからないのですが、なかなかの絶倫っぷりで口を割る気はないようですね。
「ほどほどに…お願いしますね?」
無理矢理与え続けられている絶頂に意識が飛びそうなカイトさんの気持ちが私の中にも流れ込んで来てしまい……。
(頭の中がパチパチしていて…気持ちが悪くなりそうですね)
肉棒を包み込んだラディの手が上下に動かされる度にカイトさんが苦し気な声を上げながら射精を続けていたりと……これだけ下卑た感情が錯綜していると頭がおかしくなりそうなのですが、私も種族特性やスキルの影響を受けているのか向けられる思いに対する奇妙な陶酔感があって……このままではいけないと頬に手を当てて息を吐きました。
とにかくラディに扱かれ「ぶひぃいいっ!?」とか喜んでいるカイトさん達の事は放っておく事にして、まずは石造りの祭壇から調べてみようと思ったのですが……何もわからなかったとしても別の作戦を考えればいいだけですからね、やれる事からやってみる事にしましょう。
(どこから…調べていきましょう?)
熊派を無力化した今、調べる上での障害は祭壇に絡まる『歪黒樹の棘』くらいのものなのですが……パキパキと音を立てながら蠢いている黒い茨の力が弱まっているような気がするのですよね。
(反応が…鈍いような?)
エネルギーの転送用という事で他の場所よりスキルの封印効率が悪いのか……そんな事を考えながら念のため【淫気】のナイフを構えると魔力が吸い取られるような感覚があったのですが、祭壇からミシリという嫌な音がしたと思うと管理用の画面がポップアップしてきました。
(簡単に動かせそうだった…とは言っていましたが)
いくら何でも簡単すぎるといいますか、近づいただけで利用可能になるのはセキュリティーが緩すぎますね。
それともこれはイベントが起きている時だけ操作が出来るようになるという類のもので……暴れ回っているデファルセントの妨害を受けながら『ディフォーテイク大森林』を毎回突破して来るのは並大抵の事ではありませんし、誰かが祭壇まで到達したらショートカットが解放されるといったものなのかもしれません。
(よくわかりませんが、この設定を弄れば…いいみたいですね)
出て来た画面には第二エリアに点在する祭壇の位置が表示されていたのですが、少し弄ってみた感じでは青色がプレイヤー勢力、赤色がデファルセント……魔王側というべきでしょうか?そして黄色がプレイヤーから離反している勢力といった意味があるでしょう。
そうして同じ色の祭壇同士が繋がっているようで……たぶん何かしらのスキルや知識があればもう少し弄る事が出来るのですが、私が出来るのはショートカットの開放くらいのようですね。
(でも、これは…)
大森林を攻略してくるのが正規ルートだと思うのですが、そういう一切合切を飛び越えてやって来た訳で……本当に繋げてもいいのかと悩んでしまったのですが、こんな所でまごまごしている訳にもいかないと熊派の拠点をプレイヤー勢力に変えておき……変更と同時に拠点判定となったのでしょう、セーブポイントを移しておくかという確認が出て来たのですが……デファルセントとの決戦が控えていますからね、登録先を最寄りの拠点に移しておく事にしました。
(地下水道の方も…制圧したようですね)
大森林側で戦っているまふかさんやシグルドさんではないと思うのですが、『エルフェリア』側で指揮を執っているローゼンプラムさん達や祭壇の事を知っているジョンさん……もしくは途中参加のリンネさんや再編に奔走してくれているスコルさんや後衛のシノさんなどと、誰かしらが祭壇の開放に向かってくれたのかもしれません。
(後は…)
祭壇から聞こえて来た軋むような音が気になったのですが、どうやら祭壇の耐久度が徐々に減っていっているようで……たぶんイベントの時だけ使えるようになっているといいますか、壊れた後は修復するイベントをこなせば再利用可能とかそういう感じなのでしょう。
(淫さんは…まだいけますか?)
ダンジョンだろうと犇めくモンスターだろうが飛び越える事が出来る淫さんはいくらなんでもチートが過ぎますからね、運営からの修正が入って飛行能力が落ちているようですし……。
『大丈夫だ…後ひとっ飛びくらいなら問題ない』
やや自信無さげに断言する淫さんなのですが、攻略チームがやって来たら色々とややこしい事になってしまいますし、熊派の首魁を助けるなんて言ったら裏切者扱いされる可能性がありますからね、連絡の不備があったというていで先を急ぐ事にしました。
(わかりました、では…熊派を処分してから出発しましょう)
いくら足腰が立たないようにしておいたといってもほうっておけばそのうち回復されてしまいますし、祭壇が奪還されたら面倒臭い事になるので処分してから出発する事にしましょう。
『相変わらず容赦がないな…その方が安全と言えば安全だが』
(ぷぃ~…)
『あら~もう出発なのー?残念ね~?楽しくなってきたところなのに~』
カイトさんとお楽しみだったラディは残念そうにしていたのですが……私達は泣き叫ぶ熊派をディルフォレスの中に放り込んでから、先程より少しだけ小柄なワイバーンになってしまった淫さんに乗り込み先を急ぐ事にしました。




