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491:祭壇の確保

『大森林側の祭壇を発見しました…が、周囲に熊派を発見、制圧を開始します!』

 私は火照る息を吐き出し考えるのですが、熊派の拠点がどうなっているのかを調べずに飛んだ場合は色々と問題があるといいますか、祭壇がデファルセントに飲み込まれていた場合は転送された人達がそのまま生贄になってしまうという可能性がありますからね、そうでなくてもキリアちゃん達(熊派)が何かしらの罠を仕掛けている可能性もありますし、祭壇の確認と確保は作戦を遂行する上での必須事項ではあるのでしょう。


(熊派が居る事を伝えておけば…後は上手く対処してくれると思いますが!)

 祭壇を利用する場合はこちら側(受け入れ)向こう側(転送側)の調整が必要なのか、それとも一つだけ弄れば他の祭壇に飛ぶ事が出来るのかがわからなくて……細かな擦り合わせをしようにも種族的な問題があるので情報のやり取りをするのも一苦労なのですよね!


『ああもう!こっちはこっちで色々と大変だっていうのに!?』


『ゆ、ユリエルさ…がひっ…ッてえ!』

 そして私の無茶ぶりにも近い言葉に対してまふかさんとグレースさんが叫んでいたのですが、熊派が武器を構え始めているので目の前の戦闘に集中する必要があって……私は意識を切り替え樹海に埋もれた小さな遺跡を見下ろすのですが、キリアちゃん達が拠点として使っていただけの事はあると言うべきなのか、デファルセントのお膝元ともいえる距離にある場所にしては比較的無事な姿が残っているようですし、熊派を蹴散らした後なら丁度良い反攻の拠点になってくれるのかもしれませんね。


(とはいえ…どういう事なのでしょう?)

 熊派と言えばアーティファクトを装備しているというイメージだったのですが、祭壇周りに居る熊派が構えている武器は至って普通の物のように見えました。


『さあな、隠し持っている様子もないが…意外とその辺りで落っことして来ただけかもしれんぞ?』

 なんて冗談混じりの返事が淫さんから返ってきたのですが、現時点でリスポーンして(拠点に戻って)来ている熊派は地下空洞に飲み込まれてしまった人達ですからね、反乱防止にわざと耐久度に問題がある物を渡されていたのか地下空洞のディルフォレス(棘付きの黒い枯れ木)達に没収されてしまったのか、とにかくアーティファクトを持っていない熊派が相手なら現有戦力(私達)で何とかなるのかもしれません。


(そう…ですね、考えても仕方がないので油断せず行きましょう)

 そうして祭壇周りに犇めいているディルフォレス(棘付きの黒い枯れ木)を回避しながら強行着陸する勢いで距離を詰めたのですが、熊派の人達は祭壇に絡みついている『歪黒樹の棘』の影響で多少の強化がされているもののごくごく普通のPKプレイヤーと言った感じで……。


「み、皆さん…迎撃を…ひぃっ!?」

 祭壇周りで武器を構えている人達以外は今頃地下空洞でまふかさんやシグルドさん達と戦っているかもしれませんが、とにかく目視で確認できるのはカイトさんを含めて7人のようで……拠点(祭壇周り)から動いていないのは30分間だけポータルが使用出来なくなるというリスポーン制限を受けているだけなのかもしれませんが、事ここに至ってしまうと今更逃げ出そうという人はいないようですね。


「よっしゃあ、ぶちのめしてヒイヒイ…っぅ、ぉおおおお!?」

 そんな只中に強行着陸をした訳なのですが、飛び降りるのと同時にワイバーン形態からドレス形態に戻った淫さんが身体に絡みついてきて……熊派側から漏れる「おぉぉおお」という何とも言えない叫びと共に【くそぉう、エロい身体を見せつけやがって】とか【一度でいいから抱いてみてぇ!】なんていう雑多な思念をぶつけられる事になってしまい……。


(本…当に!)

 何故戦闘中にエッチな事を考えているのかはわからないのですが、舐め回すようにニタニタとした視線を向けられると絡みついて来る視線が肌を撫でていき……そんな状態で都合の良い淫らな妄想が入って来ると嫌悪感とほんの少しの奇妙な感情が込み上げてきてしまうのですが、このまま気持ちよくなってしまうのは『色欲の巫女(淫魔)』の意識に引きずられすぎているような気がしますね。


(まあ…彼らが可笑しくなってしまったのは魅了のせい(H C P社のせい)なのかもしれませんが!)

 とにかくそういう気持ち悪さを飲み込みつつ飛行速度に体重を乗せた飛び蹴り(【蹴撃】)を皮の鎧を着た盾持ちの男性に叩き込んだのですが……ここのまま蹴り殺してもリスポーンされるだけですからね、適当に大ダメージを与えて無力化しようとして……おもいっきり吹っ飛ばされてゴロゴロと転がって行った皮鎧の人が蠢いていたディルフォレス(棘付きの黒い枯れ木)の中に飲み込まれていきました。


「ひっ、なんだよこいつら…ヌメヌメ這いまわ…ッ!?」

 祭壇周りに居るディルフォレスが熊派(キリアちゃん)なのかスーリアさんの所属なのかはわからなかったのですが、触手に飲み込まれて行った皮鎧の人の嫌がり方を見る限りでは祭壇の周りに居るのはスーリアさん派閥のディルフォレスだったのかもしれません。


(意外と…取り残されていただけなのでしょうか?)

 触手(ディルフォレス)の中に取り残されたかと思ったら襲撃を受けてと、訳のわらかないまま戦闘に巻き込まれた彼らは彼らで大変なのかもしれませんが……それとこれとは別の話ですからね、頑張って無力化をする事にしましょう。


「しゃぁあ!お゙…っは!?」

 そんな感じに戦闘が始まったのですが、あまり戦闘に向いていないカイトさんは怯えて蹲ってしまい……最初に襲い掛かって来たのはジャラジャラとアクセサリーを付けたロックファッション風の大剣使いの男性だったのですが、やや大ぶり気味の袈裟斬りを屈んで躱し……やっとの事でフリーになった(服を着る事が出来た)翼で打ち据え吹き飛ばしてディルフォレスの中に叩き込んだ後、後ろから襲撃して来た灰色のワーウルフのショートランスは尻尾を絡める事によって防ぎました。


「なっ!?」

 槍持ちのワーウルフは隠密系のスキルを使っていたようですし、バックスタブ(背後からの不意打ち)に並々ならぬ自信があったのかもしれませんが……『色欲の巫女』である私からするとお尻や背中に向けられている視線を感じる事が出来ますし、【あの尻を揉みしだきてぇ】なんていう思念と共にゴツゴツとした毛深い指が尻肉を押し分けその奥にある穴を舐め穿ろうとしているのが丸わかりなのですよね。


(ん!?っとうに!)

 身体を捻るように相手の持っていた槍を捻り上げながら武器を取り上げておき、驚き固まっているワーウルフさんの足を払って体勢が崩れたところに蹴りを入れてディルフォレス達の中に放り込んでおきましょう。


「こっちも終わったけど~…う~ん、あんまり美味しそうな人がいないのよね~」


「ぷっい!」

 それから周囲を見回したのですが、どうやらラディ達も戦ってくれていたようで……牡丹が吐き捨てるみたいに倒れ伏している人をボコボコにしていたのですが、敢えて声に出しているのは倒れている熊派への牽制と言いますか、変に暴れたらこうなるという脅しなのかもしれませんね。


「ありがとうございます、大丈夫だと思いますが念のため武器を取り上げて…」

 熊派からしたら祭壇がリスポーン地点のようですし、倒すより武装解除をしておいた方が良いのでしょう。


「へっへっへ、流石天使ちゃん…胸だけじゃなくて心も広…」

 一言でリスポーンと言っても殺される時の感触はあまり良いものではありませんからね、これ以上危害を加えられる事がないという事がわかると余裕を取り戻した熊派が下品な笑みを浮かべていたのですが……。


「その後は殺さない程度に痛めつけておいてください」


「ちょっ!?おま、ふざけんな!?」

 何かふざけた事を言いかけていた熊派なのですが、ここで甘い対応をしていたら足元をすくわれてしまいますからね、こうなったら足腰が立たなくなるまで徹底的に搾り取っておいた方が安全なのでしょう。


「O~K~…じゃ~あ~…ユリエルの許可も出た事だし~…う~ふ~ふ~…ま~ず~は~どうしてあげようかしら~?」

 無力化した熊派は【分裂】で数を増やしたラディと触手を伸ばしたニュルさんが相手をしてくれるようですし、魅了の力を受けてギンギンにそそり立ったモノをスライムと触手の塊に扱き上げられるというのはなかなか大変なようですね。


「ま、待て…何をっ、ぉぉお゙お゙お゙!!?」

 そして2人が物理的に精気を絞り出しにかかると、獣のような雄叫びを上げながらニュルニュルと絡みついて来る媚毒塗れの触手やプニプニしたスライムボディーに扱き上げられる快感が私の方にも流れて来て……これはこれで拷問に近いのですが、とにかく今は蹲っているカイトさん(熊派の幹部)の尋問を始めなくてはいけなくて……なんて事を考えていると、【うぉぉおおおお!!】という心の声が()()()()から聞こえて来ました。


(便利と言えば便利…なのですが)

 私は飛び出して来たモグラ人間(新手の熊派)の頭に魔力を込めた踵落としを叩き込み……対人戦においてはなかなか便利な能力ではあるのですが、こうして色々なリビドーに晒されながら身体中を舐め回されるような感覚があるというのはなかなか厳しいものがあるような気がするのですよね。


(たぶん“こうしてやりたい”という明確な思いに対して強く反応しているのだと思いますが)

 周囲にいるディルフォレス(モンスター)が私の身体を捕えようとしているのですが、こちらは漠然とした感触や意識が伝わって来るだけで……なので今のところは対人特化ともいえる能力になっているのですが、これがもっと多くの人達に見られているような場面になってしまうとどうなってしまうのかがわかりません。


 ただその時の事を考えるとむず痒いような感覚でのぼせ上ってしまいそうになるのですが……今からそんな事を考えていても仕方がないですからね、軽く息を吐き出しながらその辺りの諸々は横に置いておく事にしました。


(今はそれより…ですね)

 キリアちゃんの副官ポジションであり、後方サポートもしていたカイトさんなら祭壇の使い方も知っていると思いますし……さっさと吐かせてデファルセントに捕らえられたキリアちゃんの救出に向かう事にしましょう。

※ナタリアさんとヨーコさんがクラン会話に入って来ていないのですが、2人は諸々の事情により連絡に出る事が出来ませんでした。


※誤字報告ありがとうございます(4/30)訂正しました。

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― 新着の感想 ―
全裸から戻った いやある意味全裸より… 健全ですね しかし男も女もお構いなしの触手? しても健全ですね
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