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487:崩落怒涛

 木の根っこが犇めいている部屋の中(最深部)、地下空洞に根を張る球根に飲み込まれてしまったキリアちゃんを助けようとしていた私はスーリアさんの槍にスカート翼を貫かれてしまい……反射的に壊れかけの『ベローズソード』を振るうのですが、不用意に近づいて来たスーリアさんは軽く手で払いのけるように刃先を砕いてキラキラとした欠片が舞いました。


「無駄ですよー…むしろユリエルさん程の腕ならワタクシとの実力差がわかっていると思うのですが?」

 そうしてニッコリと笑うスーリアさんの言葉を聞きながら、パラパラとぶつかってくるそれなりに大きな欠片を身体で()()()()()事となり……。


(だからと言って…ですね!)

 スーリアさんが媚毒の滴る長い舌をチロチロと見せつけるだけで身体がゾクリと震えてしまったのですが、キリアちゃんを助ける為にもここで屈服する訳にはいかないとスカート翼を切り離して離脱を……する前にスーリアさんが作り出した直径30センチくらいの水の紐が絡まりついて来たかと思うと、体を縛り上げられて身動きが取れなくなってしまいます。


「健気に頑張る姿はとてもそそるのですが~…逃がしませんよ~?」

 そうしてニコニコと笑いながら擦り寄って来るスーリアさんなのですが、軽く持ち上げられているというのにスーリアさんの方が背が高い(2mと少し)という体格差が酷いですね。


「用事は済ましましたし、この場は歪黒樹さんに任せて別の大陸に…と、考えていたのですが…摘まみ食いをするくらいなら魔王様も目を瞑ってくれますよね?」

 そんな事を言いながらポンと手を打つスーリアさんの笑顔に怖気づいてしまいそうになるのですが、脅しに負ける訳にはいかないと睨み返すと……何故かスーリアさんは嬉しそうに頬を染めて熱い息を吐きました。


「その眼、ゾクゾクしてしまいますね…絶望的な状況だというのに諦めない心というのはとても尊いものだと思います」

 なんて事を言っているスーリアさんなのですが、瀕死の重傷を負っているキリアちゃんを助け出さないといけないのでここで負けるわけにはいきません。


(だか、ら!)

 私は残っている魔力を振り絞って拘束を解きにかかるのですが、全力の抵抗もスーリアさんからしたら何もしていないのと同じのようで……。


「可愛い抵抗ですね~…ワタクシとしても抵抗してくれた方が燃えるのですが…」

 足搔いている私の頬をスリスリと撫でるスーリアさんが首筋や戦闘と媚毒のせいで蒸れた腋に舌を這わせてきて……恥ずかしさとスーリアさんが発する淫臭に身体が火照ってしまい、身体がガクガクと震えてしまいました。


「ひあ…あっ、あぁあ…そんな、とっ…ふっ、うっんぅ!?」

 そうして腋に溜まった汗をぢゅるると音を立てて吸いあげられるとくすぐったさと恥ずかしさで頭の中が真っ白になってしまって……。


「少~し舐めてあげただけでお股がビショビショになっているのだけど…そんなに気持ち良かったのですか~?」


「ちが、い…ッ!?」

 指摘されてしまうとスーリアさんに舐められただけでトロトロになってしまった事への恥ずかしさが込み上げて来てしまうのですが、否定の言葉を口にしようとする前に大きく尖った乳首を優しく摘まみ上げられてしまって……。


「ま゙…ひっ、ん、あっ…や…あ゙ッ!?」

 ただでさえ充満している媚毒に侵され感度が上がっているというのに、淫気を纏った指先で摘まみ上げられるとあまりにも強烈な刺激に身体が跳ね上がってしまって……溢れた母乳を絞り上げられてしまうと目の前がチカチカするのですが、私は奥歯を食いしばりながらスーリアさんの愛撫に耐えました。


「ユリエルさんの声がどんどん甘くなって~…ああもう、お持ち帰りしたいくらいに可愛いのは卑怯ですね…どうですか~?こうなったらワタクシと一緒に気持ちい事をして過ごしませんか?」

 なんてふざけた提案をされてしまったのですが、舐め回されながら優しく胸を撫でられるだけで気持ちよくなってしまって……ここでいってしまったらキリアちゃんの救助どころでは無くなってしまいますからね、頑張って耐えなければいけません。


「お゙ッ!?ぉお゙お゙っ…ごとわり!じま、ずぅゔゔゔッ!!」

 なので呂律が回らないまま拒絶の言葉を口にして、スカート翼で掴んで(受け止めて)おいた『ベローズソード』の欠片に魔力を込めながらスーリアさんの首筋を狙うのですが……ふざけているように見えてもれっきとした魔王軍の幹部ではありますからね、この程度の奇襲を防げない筈はありませんでした。


「そうですか~…それは残念です」

 とはいえ手乗りサイズのトレントを呼び出して盾にするというのはそれだけ油断をしていたという事なのかもしれませんが……どちらにしても召喚したモンスターのせいで私の攻撃は不発に終わってしまいます。


「こんな状態なのに反撃して来るなんて…流石あの子が見込んだだけの事はありますね~こうなったらユリエルさんが何処まで抵抗できるかが楽しみです…が、っと?」

 そうして小型トレントの撃破と同時に確認画面がポップアップしてくるのですが、嗜虐心を刺激されてしまったスーリアさんが昏い笑みを浮かべながらトロトロに蕩けてしまった私の股間に舌を伸ばして来て……触れるか触れないかというゾワゾワとした感触だけで身体が震えてしまうのですが、そんなタイミングで紐状の触手が合わさった奇妙な黒い植物がスーリアさんに向かって伸びて来ました。


「本当、に…ユリエルは世話が焼けるわ、ね…ユリエルの方が…お姉さん…の、筈…なのに…」

 それは球根から右半身を出していたキリアちゃんの攻撃だったのですが、余力を振り絞った全力の攻撃もスーリアさんが持っていた媚毒の槍で弾かれてしまい……流石にイチャイチャしている場合では無いと思ったスーリアさんが小首を傾げながら私から手を放して距離を取りました。


「まだそれだけの力を…?タフだからでは説明できないような気がするのですが?待っていてくださいね、今止めを…と、言いたいのですが…栄養にもしないといけませんし……ああ、その様子なら遠からず…という感じですし、後の事は歪黒樹さんにお任せする事にしましょうか」

 多分本人もよくわかっていないのだと思いますが、「キリアちゃんの処分」と「エネルギーの確保」という二つ命令を同時にこなそうとしているスーリアさんが何かしらの魔法を発動させると、球根に絡まりついていた『歪黒樹の棘』がキリアちゃんの身体を絡め取っていき……。


「キリアちゃん!?」

 私は埋もれていくキリアちゃんに手を伸ばそうとしたのですが、拘束されたままの私は駆け寄ってその手を取ってあげる事もできませんでした。


「………」

 そんな私の叫び声に顔を上げたキリアちゃんと目が合ったのですが、「本当にユリエルは仕方がないわね」といった風に小さく笑った後、咳き込むように血反吐を吐きながら『歪黒樹の棘』に埋もれていき……球根の下にあった祭壇が怪しげな光を発したかと思うとキリアちゃんの小さな体が光の粒子となって消えていってしまったのですが、その喪失感が終わらないうちに地面が大きく揺れて部屋中の触手が蠢きます。


「どうやら眠っていた歪黒樹も完全に目を覚ましたようですし、ここまでのようですね…ワタクシも四神の様子を見に行くために別の大陸に行かないといけませんし…生き延びる事が出来たら続きはその時にでも」

 なんて、制御を外れて暴れ出した触手を斬り払いながらスーリアさんが離脱の準備に取り掛かるのですが……。


「待ちな…さ…っ!?貴女という人は!!」


「安心してください、あの子(キリアちゃん)も死んだという訳ではありませんので…まあ、死ぬのとどちらが良いのかという事はノーコメントとさせていただきますが」

 私が感情的になっているからなのでしょう、にこやかに笑っているスーリアさんが説明をしてくれるのですが……どうやらスーリアさんが「歪黒樹さんにお任せする」と言っていた通り祭壇経由でデファルセント(第二エリアのボス)の下に送られてしまったようですね。


 ただ瀕死の重傷(治療の必要がある)を負っているキリアちゃんからすると今殺されるか嬲り殺しにあってから死ぬかの違いでしかありませんし、デファルセントに取り込まれてしまったキリアちゃんの身体(死体)が永遠と凌辱されるという事になるのですが、酷くなっていく地震と共に巨大な根っこが壁を突き破って来るとパラパラと天井が崩れ落ちて来てしまい……押し寄せて来る触手に飲み込まれそうになっている私に手を振りながらディルフォレス経由(来た時と同じように)でスーリアさんが離脱して行くのですが、地下に残された私に向かって触手の群れが押し寄せて来ました。


「こ…のっ!?」

 どうやら伸びて来た根っこ(触手)と地震のせいで本格的な崩落が始まってしまったようで、このままだと私も触手にヌチョヌチョにされたまま生き埋めになってしまうなんていう最悪の展開になってしまうのかもしれません。


(一矢報いる為にも、何とか脱出を…しないといけないのですが!?)

 私がみっともなく足搔く姿が見たいからなのか、スーリアさんの離脱と共に水魔法による拘束は解けたのですが……スキルが封印されて(『歪黒樹の棘はある』)いるという状況には変わりがありませんし、壁や天井が押し寄せて来るような勢いで数千の触手が迫って来るとどうする事も出来なくて……あっさりと触手のうねりに飲み込まれた私は手を伸ばしてポップアップ画面の()()()()()()のが精一杯で……。


『まったくお前は、いつもいつもよくわからん状況になりおって…本当に世話の焼ける奴だ』

 その瞬間、何かが罅割れるような感触があって……懐かしい声と同時に押し寄せて来る触手に飲み込まれてしまった私の視界が暗転しました。

※これで本年度の更新は最後となるのですが、来年ものんびりマイペースに更新を続けていきますのでこれからも引き続き変わらぬご愛顧をいただけますようお願い申し上げるのと同時に皆さんもよいお年をお過ごしくださいで締めさせてもらいつつ、いいねや感想を書いてくれると猫が小躍りしますし年始三が日はお休みを頂こうと思っているので次回の更新は1月4日の20時からとなる予定となります。

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