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482:狭い通路と待ち伏せとメイン盾

 熊派の罠に引っかかってしまった私達は地下空洞に落とされてしまったのですが、脱出する前に吸収されている魔力がどこに送られているのかを確かめようとして……途中の通路で詰まっていたギガントさんのお尻に『魔嘯剣』を刺しておきました。


(ご愁傷様です…とか言っている場合では無いですね)

 ギガントさんがホログラムとなって消えていく(リスポーンしていく)と塞いでいた通路に穴が開いたのですが、うじょうじょと媚毒を撒き散らしながら蠢いているディルフォレス(棘付きの黒い枯れ木)や小さな薔薇の花が咲き誇っているサングデュール(薔薇の柵)が通路を塞いでいき……早く通らないとギガントさんの二の舞になって(私も捕まってしまう)になってしまうのかもしれませんね。


(ただ、これは少し…でも、仕方がないですね)

 熊派が暗躍しているのであれば急ぐ必要があるですが、ヌラヌラとした媚毒が滴る穴を通るというのは勇気がいりますし……ゴクリと唾を飲み込み少しだけ怖気づいてしまいます。


(とはいえ…ですね)

 奥行3メートル程度の細い横穴の先には別の通路が続いているようですし、皆から吸い取られた魔力もこの通路の先の方に流れて行っていて……そんな横穴の前にはギガントさんが残した(触手に剥ぎ取られた)鎧の残骸と搾り取られた白濁液が溢れていて……因みに一瞬ギガントさんのドロップ品を回収して行こうかと思ったのですが、築材か何かに使うのかウネウネと蠢いている触手達が絡め取って地面やら壁の中に持ち帰っているようですし、汚れが汚れなので放置して行く事にしました。


(やはり、こうなってしまいましたか)

 それよりネチョネチョとした液体の上を歩いて行かないといけないという事に気が滅入るのですが、剥ぎ取られた鎧の残骸を足掛かりにしながら何とか進もうとすると……急速に狭まって来た根っこが両腕を拘束してきてしまい、お尻を撫で上げられるとゾクゾクと身体が震えてしまいます。


 そしてこのまま取り込まれてしまうと本格的な吸収が始まってしまうのですが、今ならまだ何とか撃退する事が出来て……とはいえ疲労困憊の状態では【ルドラの火】の連続使用が難しく、燃費の良い【電撃】で腕に絡まりついて来た根っこを攻撃するのですが……地下空洞内は『歪黒樹の棘』の影響でスキルの出力が出ず、なかなか撃退する事ができませんでした。


 仕方がないので少し太めの根っこは【ルドラの火】を使って燃やし、『魔嘯剣』で行く手を阻む触手を斬り開いていくのですが……。


「ッ…ぁ…!?」

 ギシギシと斬れない根っこに苦戦していると、唇のような器官が付いた触手がお尻や膣口に口づけをするように吸い付いてきてしまい……挿入とは違うチュパチュパとした快感に震えて力が抜けてしまいました。


 このまま屈服してしまえば壁の中に捕らえられてしまいますからね、震える手足に力を入れて無理やり進もうとするのですが……柔毛のような毛先の根っこが凌辱と媚毒のせいで自己主張の激しい乳首に絡みついてきてしまい、スリスリと擦り上げられると声が漏れて嫌でも立ち止まってしまいます。


(何で…こんなにも的確に気持ちい触り方を…ッ!?弱い所だけを…狙って!?)

 文句の一つも言いたくなるのですが、滴る媚毒を直接飲ませようと無理やり私の口をこじ開けようとする禍々しい薔薇の花から顔を背けなくてはいけなくて……脳の奥まで痺れるような甘い香りにゴクリと喉が鳴ってしまい、発情しすぎた身体は薔薇の花が滴らせている甘露を求めていたのですが……私は必死に歯を食いしばって媚毒の誘惑に耐える事しか出来ませんでした。


「ぷっ…ぷい」

 因みに一緒に通過しようとしていた牡丹も絡まりついて来ようとする根っこ達と戦っていたのですが、それがなければ色々と危なかったですね。


 とにかくそういう牡丹の協力もあって何とか進めていたのですが、移動をするためには糸を引くような粘度の高い媚毒が滴る枝の束に身体を擦りつけなければいけない場所もあって……進む時に自分から敏感な場所を擦りつける事になってしまい、これはこれで無理やり弄り回されるのとは違う恥ずかしさがあるのですよね。


(ぷ、ぷー…ぃ!ぷ?)


(大、丈夫…です!けど…これ、は)

 ジンジンとした乳首の刺激や股の間に入り込んで来るぬめっとした触手の感触に負けそうになるのですが、牡丹の応援もあって何とかジリジリと進む事が出来て……そんな状態でサングデュールの媚毒ガスを吹き付けられると【電撃】による触手の排除が間に合わなくなってしまい、フラついてしまいました。


「お゙っ、おっ…おっ、おぉっ…お゙っ!?」

 そして折角の獲物を逃がすまいと集まって来た触手にぷっくりと膨れたクリ〇リスをビチビチと弾かれると頭の中が弾けたように真っ白になってしまい、そのまま弱点でもある乳首を摘まみ上げられると母乳を噴き出しながらいってしまって……。


(もう、少…し)

 それでもここで足を止めてしまったら大変な事になってしまうと前に進むのですが、何とか狭くなっている場所を通過する事が出来た私は息も絶え絶えという状態で……昂ってしまった熱を逃がすように荒い息をつくと、へたり込む私達に向かって炎のブレスが飛んで来ました。


「ぷっ!?」


「ッ…!?」

 咄嗟にラウンドシールドを構えた牡丹が【マジックシールド】を張ってくれたのですが、威力を完全に殺し切れずにコロコロと転がって行くのを視界の隅に捕らえながら何とか立ち上がると、私達の前にはアイアンスケルトンの我謝さんと三つ首のヒュドラが……まるでゾンビ化したように皮膚が爛れて血を流している体高3メートル程度のヒュドラが居たのですが、どことなくカイトさんが連れていたヒュドラと姿形が似ていますし、もしかしたら同一個体なのでしょうか?


「いったいどうなっとんねん、やっと助ける事が出来ると思って引き返して来たちゅーのに…ギガントの旦那はやって(殺して)もうたんか?」

 そうしてなかなかグロテスクな見た目のヒュドラを従えた我謝さんがカタカタと骨を鳴らしながら息を吐くのですが……。


「しかもこれって…毒が効かん筈のワイがムラムラしてしまうって、えげつない効果やな」

 なんて何処か人間味を感じさせる表情を浮かべながら手に持っている杖で頭を掻いてみせるのですが、私の視線に気が付いたお喋りな我謝さんはヒュドラゾンビの事を説明する気が満々のようですね。


「ん、ああこれな…カイトの旦那がちーとばかし使いもんにならんなってな、あっちはあっちでモロに毒の影響を受けるさかい、ここだと色々ときつかったみたいやね」

 との事で、媚毒耐性の低かったカイトさんが大変な事になってしまい、色々あった結果リスポーンしてしまったのだそうです。


「ほんま堪忍して欲しいわ、カイトの旦那が引き連れていたヒュドラを支配下におけたと思ってたんやけど…たく、なんやねん…さっきから変に絡みついてきよって」

 その時に引き継いだヒュドラをゾンビ化する事によって手下に加えたのですが、耐性と再生能力を得た代わりに動きが鈍重になってしまったようで……みたいにペラペラと喋ってくれる我謝さんは本当に口が軽いと思うのですが、まるで知り合いに愚痴を言うみたいな感覚で熊派の内情を話してくれて……つまりギガントさんとカイトさんはリタイアしてしまい、残っている熊派の幹部は我謝さん1人だけという状況のようですね。


 そして何故か植物の中には我謝さん達を襲う種類も混じっているようで、鬱陶し気に伸びて来た根っこを杖で叩いていたのですが……仲間割れでしょうか?


(ギガントさんも襲われていたようですし…派閥や管轄違いみたいなものでもあるのでしょうか?)

 その辺りはよくわからないのですが、我謝さんの支配力はヒュドラゾンビの制御で手一杯のようですし、周囲の植物のせいで気が散っているのでその辺りに付け入る隙があるのかもしれません。


「我謝さんも大変なようですし…このまま通してもらう事は出来ますか?」

 とにかく我謝さん達にも色々とのっぴきならない事情があるようですし、ここを通してもらえないかと聞いてみる事にしたのですが……我謝さんは軽く肩を竦めてみせました。


「すまんな、今は大将(キリアちゃん)が色々とやっていてな…他の連中(熊派以外)は動けんようにしてから生贄に捧げるのが既定路線やさかい、おとなしゅー捕まってくれへんか?」

 骨だからという訳でも無い口の軽さをみせている我謝さんが「下っ端も大変でな」みたいに言いながら杖を構えて戦闘態勢に入るのですが、その動きに合わせて前に出て来たヒュドラゾンビ……4メートル前後の通路に胴体部分の体高が3メートルのヒュドラゾンビが窮屈そうに三つ首をもたげ、後ろは今通って来た狭い通路()という事もあって逃げ場がありません。


 そんな状態でヒュドラゾンビの右の頭(電気)が動き……その動きはゾンビ化している影響で鈍重になっているのですが、ぐちゅぐちゅと崩れ落ちそうな皮膚は再生と崩壊を繰り返して腐臭を広げていますし、口腔内に集まっている魔力の量は生前のものとさほど変わりがないようですね。


「ほな、とりあえず無力化はさせてもらうで!」


(防御を…っ!?)

 そうして我謝さんが杖を振るうとヒュドラゾンビが電撃を放ち……通路一杯に広がった電撃に対して咄嗟に【淫気】のシールドを張りながら『魔嘯剣』を構えるのですが、防がれる事は最初から計算に入っているのか中央と左の首が鎌首をもたげながら炎と氷の準備を開始したのが見えました。


(この…ままだと!?)

 牡丹はつい先ほどの攻撃で転がって行ってしまいましたし、身体に力が入らない状態では中央と左の首の攻撃をどこまで防げるかがわからないのですが……。


「ぷっ…いッ!!」

 最悪の場合はリスポーンする事も覚悟していたのですが、戦線復帰をしてきた牡丹が奇妙で巨大な金属を構えると……どうやら牡丹が発掘してきたのはギガントさんが着ていた鎧の一部のようで、シグルドさん達の一撃を軽々と受け止めていたギガントさんの(アーティファクト)は電撃と巨大な氷の槍と炎の噛みつきを防ぎ切り……弾き返してくれました!

※少しだけ修正しました(12/20)。

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