481:私以外の犠牲者
「ッあ゙…はッ…ぁ゙…っ」
結局近くまで来ていた男性達は天井近くで磔になっている私の事に気が付かなかったようで……というよりも、私の周辺にはティベロスターやらアシッドジェリーやら壁から生えて来ていたディルフォレスにサングデュールと色々なモンスターが犇めいている状態でしたからね、触らぬ神に祟りなしという感じで離れて行ってしまったのかもしれません。
(通り過ぎました…が、あんっ、ぁあ…やっぱり助けを…ッ!?本当に…ぃ、これ、で!?)
そのおかげで味方に襲われるという最悪の事態を回避できたのですが、それは逆に救助される事も無かったという事で……この選択が正しかったのかがわからないまま蕩けさせられた身体を無数の触手に嬲られ続けながら射精代わりの媚毒を膣の奥深くで解き放たれていると意識が飛びかけて……湧き上がって来る昏い愉悦感を深堀していくと大変な事になりそうなのでこの思いは心の奥底にしまっておく事にしましょう。
(はひっ、はあぁ…ああっ、あまり…んおっ、おぉぉおっ!?)
とにかく今は降りる事の出来ない絶頂に喘いでいたのですが、その際に吸い込んでしまう媚毒ガスに身体が熱くなってという悪循環になっていて……媚毒ガスに侵された身体は感覚だけが鋭敏になっていくような気がするのですよね。
そうして感度だけが増加してしまった無抵抗の弱点を弄り回されると強すぎる快楽の波に抵抗する事ができないままいき続ける事しか出来なくなってしまうのですが……どこからともなく「ぷーいー!」という叫び声が聞こえたかと思うと絡まりついていた触手が剥ぎ取られるような感覚があって……。
「ぷーい、ぷーうーうー…!」
穴という穴に出し入れされていた植物の根っこ達は【ルドラの火】で燃やされてしまい、身体に張り付いたティベロスターやアシッドジェリーは【電撃】で撃退し……その鮮烈な痛みすら快楽に変わって仰け反り潮を噴いてしまうくらいに身体が堕ちてしまっていたのですが、跳ね上がった身体は徹底的なドレインによる脱力感に襲われ鉛のように重く、絶頂を越えた先にある肉悦に意識が飛んでしまいそうでした。
「はっ、はぁー…っ、ありがとう…ございま…って、牡丹?何を…して?っぁ…あぁあっ、あんっ、ぁああッ!!?」
そうしてなかなか収まらない余韻に身体をくねらせ喘いでいると、牡丹は器用に体を細く延ばすと私の身体の中に残っていたエッチな異物を排除していってくれたのですが……気を許したタイミングでエッチな所をぐねぐねと掘り起こされると大きく仰け反ってしまい、快楽に蕩けた顔と嬌声を晒してしまいました。
「はっ、あっ、あぁあっ…あっ、ああぁ…っ!?」
最終的には掻き出された愛液がぐちゅぐちゅと白濁するくらいまで身体の奥底まで調べられてしまったのですが、治療の為とわかっていてもなかなか厳しいものがありますね。
(と、とにかく…これ、で…)
なかなか呼吸が整わなかったのですが、身体に張り付いていたモンスターを排除してくれた牡丹を軽く叱るように摘まみ上げてから壁から這い出して……『HP回復ポーション』と『スタミナ回復ポーション』と『MP回復ポーション』で回復した後もその場にへたり込む事しか出来ませんでした。
「ぷー!ぷーぷぷー!!」
そういう大変な事があったのですが、牡丹は何故誰も助け出してくれていなかったのかとご立腹で……まあそのおかげで他の人に襲われる事が無かった訳ですし、助けに来てくれたのが牡丹で良かったのだという事にしておきましょう。
(しかたがない…と、いうより…ですね)
足場が悪く感知系のスキルが働きづらい場所では足元を見がちですし、そもそも人はあまり上の方を見ないですし……天井からぶら下がっていた私は見つけづらかったのかもしれません。
なんて事を考えながら一息つこうと思っていると、壁から這い出た私達をもう一度捕らえる為に植物の根っこが伸びて来ていて……。
(武器は戻って来ましたし、牡丹とも合流できたのですが)
さんざん嬲られた後だと気後れしてしまい、大丈夫だと自分に言い聞かせながら回収した『魔嘯剣』で植物の根を払おうとするのですが……まともに力が入りませんでした。
(このピンク色のガスが…厄介ですね)
『魔嘯剣』を回収する事が出来たので媚毒を吸収する事が出来るようになったのですが、剣による吸収にも限界があって……『毀棄都市ペルギィ』に漂っていた霧とは違い薄くなったからといって戦いやすくなるという代物でもないですし、多用しすぎると剣の耐久度がガリガリと減っていくので程々にしておきましょう。
とにかく『ギャザニー地下水道』から流れ込んできている媚毒によって集中力を削られてしまい、呼吸が荒くなればなるほど摂取量が増えるという……地下水道を通過して来たローゼンプラムさんやスコルさんが手こずったという話でしたし、一刻も早く脱出しないといけないのかもしれません。
(とは、いえ…)
自由になってから改めて周囲の様子を窺うのですが、どうやら亀裂より深い40メートル以上の地下に居るようで……と、いうより、地下に張り巡らされている魔方陣から噴き出た光の龍が亀裂になったという事なのでしょうか?つまり亀裂の下に空洞があるというのは因果が逆で……。
(その辺りはどうでも良いのかもしれませんが…エネルギーを吸う為の餌場になっているのだとすれば碌でもない仕掛けが施されていそうですね)
一刻も早く脱出するだけなら『歪黒樹の棘』の効果が薄い天井を突き破れば良いのですが、落下していったメンバーの中にはまふかさんやシグルドさん達のような主力が含まれていますし、場合によっては魔導船に乗っていたカナエさんやフィッチさんなども取り込まれている可能性があって……とにかく1人だけ脱出してそれでお終いという状況ではないのですよね。
(だからといって…ですが)
この状態で他のメンバーと遭遇した場合はPvPが始まる可能性がありますし、私がしなければいけないのはもう少し根本的な解決といいますか……今この地下空洞に張り巡らされている植物の核といいますか、魔力の元を辿ってみようと思います。
(それくらいなら、吸い取られた魔力を追いかければいいだけですし)
妨害系のスキルと色々な魔力が混じりあって感知系のスキルが働いていないのですが、それでも吸い取られていった自分の魔力くらいならわかりますし……あてもなく地下空洞を彷徨い歩くより魔力が集められている場所を狙った方が意味のある行動になるのでしょう。
(ぷい!)
(っと、そうですね)
そういう訳で広大な地下空洞の最奥ともいえる場所に向かってみる事にしたのですが、ふらつく私に対して「ドレスが破れたまま!」と牡丹が忠告を入れてくれて……肌感覚がよくわからなくなるレベルで弄り回されていたのでよくわかっていなかったのですが、ほぼ全裸のまま歩き回るというのは問題があるのでしょう。
(少し…緊張しますね)
とはいえ、身体の感度がかなり大変な事になっているので【修復】するのを躊躇ってしまい……気合で堪えてドレスを修復してから探索を開始するのですが、『魔嘯剣』を持つだけでフラついてしまうような有様だと大した事は出来ませんね。
それでも何とか歯を食いしばって魔力の流れを辿って行くのですが、地下空洞の内部はかなり立体的で……天井に開いている穴を越えて進まないといけない場所があったりと、本格的な攻略をする場合はかなりの時間をかけなければいけないのかもしれません。
(この中は…通りたくないですね)
(ぷぃ~…)
中には通ろうとした人を絡め捕って弄り回してきそうな狭い通路があったり、『歪黒樹の棘』が張り巡らされている落とし穴があったりと……そんなトラップを回避している間もティベロスターやアシッドジェリーが襲い掛かって来ますし、そういう地形やモンスターにやられたと思わしき干乾びたプレイヤーも多数見受けられて……早く何とかしないと上陸チームが全滅してしまうのかもしれません。
「ぬ…っ……ぉ…………あ!!?」
そんなタイミングで聞こえて来た野太い呻き声に足を止めるのですが……ヌチャヌチャと蠢いている植物達のせいで周囲の音が聞こえづらいですし、反響しているので音源がわかりづらく……よくよく聞いてみるとどうやらギガントさんの声のようですね。
(熊派の人も落ちていましたし…居るには居るのでしょうが)
(ぷ~…?)
こんな状態では戦いたくはないのですが、不運な事に私達の進行方向から呻き声が聞こえてくるようで……とにかくコッソリ様子を見てみる事にしましょう。
そういう訳で牡丹と視線を合わせてから慎重に進んでみるのですが、媚毒のガスに混じってどこか生臭いような異臭が漂ってきて……いくつかの角を曲がって襲ってくる植物の根っこやモンスターを撃退しながら進んでいると、目の前の壁から奇妙なモノが飛び出している事に気が付きました。
(何でしょう…これは?)
それは壁から出て来ている巨大なコブのようなモノで、その出っ張りにはディルフォレスが巻き付きうねっていたのですが……全体像を改めて見てみると、それは壁に埋まったギガントさんの下半身であり……。
「ッ!?ーーばっ、ぁ゙あ゙あ゙ッ!!?」
萎れた男性器に絡まりついたディルフォレスが蠢く度に血の混じったイカ臭い白濁液が搾り取られてしまい……ギガントさんの壁尻の下には散々搾り取られて溢れ出した物だと思われる白濁した液体がお風呂一杯分くらいは溜まっており、かなり酷い事になっているようですね。
(モンスターからは味方判定を受けている熊派なのですが…こういうトラップ系の物には引っかかるのでしょうか?)
その辺りの事情がどうなっているのかはよくわからないですが……。
(このままスルーは…できないようですね)
何となく顔が火照ってしまうような光景だったのですが、どうやら他の熊派の人達は居ないようで……というよりたぶん熊派の人達はこの通路を通って行ったのですが、身長4メートルのレッドジャイアントというギガントさんだけが通る事が出来ずに放置されてしまったというのが真相なのでしょう。
(つまりこの先に熊派が目指している物があるという事ですが…それが何かしらのキーになっている物であれば良いのですが)
いくら重厚な鎧を着ていたといっても触手達に拘束されてしまっては意味が無かったようですし、折角身に着けていたアーティファクトも絡みついている植物の根っこ達に剥ぎ取られてしまい……私は何とも言えない気持ちになりながら壁から生えて来ている植物を蹴散らし、搾り取られる度にビクンビクンと身体を震わせ呻いているギガントさんのお尻に『魔嘯剣』を突き刺しておきました。
※善悪の区別なく襲い掛かる触手もいます。そして気が付けば500話を突破していましたが、これも読者のご愛顧・ご愛読の結果なのだと思います。これからものんびりとマイペースな執筆を続けて行こうと思うのですが、猫の活力の為にも良いねや☆をポチってくれると助かります。
※少しだけ修正しました(12/18)。




