473:碌でもない効果と状況の整理
(どうして…こうなってしまったのでしょう?)
残っていたトレント達も倒してひと段落する事が出来たのですが、気が付いたら後ろから抱きついて来ていたまふかさんに胸を揉まれていて……私の手を取ったグレースさんが手の甲にキスをしていますし、擦り寄って来ていたスコルさんが太腿の内側をペロペロと舐めてきていたりと色々と大変な事になっていました。
「あの…そろそろ離れ…んっ、って…欲しいのですが…?」
倒したトレント達の処分もしないといけないですし、襲撃がひと段落したという事は『エルフェリア』から人が来てしまう可能性があるという事で、こうしてイチャイチャしている場合では無いのですよね。
「何で離れないといけないのよ?ほんと、いっつも変な事に巻き込まれているんだから…少しはあたしの事も……っていうかユリエルの胸ってあたしより大きいし、感度も形も良いっていうのが余計にムカつくのよね」
「それは、どういう…んっ」
全体を鷲掴むように揉みしだきながら焦らすように乳輪を擦り上げられてしまうだけで身体が跳ねてしまい、背中に押し付けられているまふかさんの胸からは『ヴィーヴルメタル』の刺激がピリピリと広がって来て……そんな状態で耳元に吹きかけられているまふかさんの熱い息やらくぐもった様な喘ぎ声に身体が熱くなってしまうのですよね。
「ユリエルさん…」
「グレース…さん?」
そしてまふかさんだけでも大変だと言うのに、顔を近づけて来たグレースさんに唇を奪われてしまい……たどたどしいグレースさんの舌を吸い出し唾液を絡めて舐め合うだけで頭の裏の方がゾクゾクと痺れてしまうのですが、そんな状態で首筋に舌を這わせたまふかさんの手が私のお腹をなぞると【狂嵐】の刺激が子宮に響いてしまって……それだけでいってしまっている事がバレているのでしょう、ピリピリした指先で私のお腹を押し込み子宮を揉み解されると快楽ホルモンが分泌されて脳が溺れてしまいます。
「まっ…待ってください!はっ…放し…っ!?」
押さえつけられたまま大陰唇を弄って押し広げられてしまうと中に溜まっていた愛液が溢れてきてしまい……粘りけを増した割れ目はまふかさんの指をヌルリと受け入れてしまいました。
(んっ…とうに…どう、考えても……普通では…ないっ、の…ですが)
考え事をしようにもこんな状況ではまともに頭が働きませんし、膣壁を押し退けるように挿入されたまふかさんの指から【狂嵐】を撃ち込まれてしまうと内側から身体が跳ねてしまって恥ずかしい声が漏れてしまいます。
「あっ、ああっ…はっ、あっ…み…皆さん…正気…しょう…きにぃッ!?ちっ…ちくびをほじったら…やぁ…吸うのもっ…ぉおお」
そうして溢れた母乳を求めるように左の乳首にはグレースさんが赤ちゃんのようにしゃぶりついて来て、右の乳首にはスコルさんがしゃぶりついて来ると人外種特有の牙で少し強めに噛みつかれてしまい……。
「だめっ、まだ…余韻、が…ッ!?い、いまは敏感なので…すぐにッ!?イっ…イっ…ちゃ…ぅあ、あっ…あっあっ…ッぅ~!!?あっ…は…っ、あぁ…」
快楽を逃がそうにもまふかさんとグレースさんの甘い匂いと熱に挟まれていて、それに混じるスコルさんの獣っぽい臭いと太腿に擦り付けられている先走り液を滴らせた熱い塊に身体が反応してしまうのですが……どうやらスーリアさんがバラ撒いていた媚毒の影響と私が発散していた【蝕常】の影響を受けて色々と可笑しくなってしまったようですね。
(こんな、効果が…本、当に…魅了の力が暴発すると何が起きるかがわかりませんね!)
効果としては無意識化に働いている私の精神面が反映されているのだと思いますが……つまり私がエッチな気分の時は相手もエッチな気分にさせてしまう効果があり、私が踏み止まる事が出来たら皆も平常心を取り戻せるのかもしれません。
(だから、と、いって…こんな状態でっ!?平常心、は…無理ッ!?)
効くかどうかは相手の精神対抗能力に準ずるようなのですが、スーリアさんがバラ撒いていた媚毒の中で戦っていた3人の魅了耐性が下がっていて、そこに私の【蝕常】が徐々に浸透していき……碌でもない効果があるという事がわかったからには何かしらの対策を取らないと不味いのかもしれませんね。
(今、は…それ、より…ですね)
結果的には色々と状況が悪かったという事なのですが、このままだと大変な事になってしまいますからね、魔力をおもいっきり押さえ込んでから一度精気を吸い取り足腰が立たない状態にしてあげたのですが……微妙な空気になってしまったグレースさん達は気の毒なくらい縮こまってしまいました。
「すみません!私の精神力が弱いばかりにユリエルさんに大変失礼な事を!!」
「おっさんもごめんね~…自制しようとは思ったんだけど…何か途中から狼に変身しちゃって」
「知らないわよ!あんたが変なスキルを使って来るのが悪いのよ!?」
そうしてグレースさんとスコルさんは土下座をしながら謝罪してくれたのですが、まふかさんだけは腕を組みながら顔を真っ赤にしながら怒鳴っていて……とにかくそういう感じで私達が大変な事になっている間に水の檻に捕まっていた牡丹とニュルさんとラディが脱出していたのですが、地面から檻を引き抜くとドロリと溶けてビックリしたくらいで3人とも無事なようですね。
『そういう時もあるわよ~皆無事なんだからラッキーっていう感じじゃないのかしら~?』
「ぷぃ…」
とはいえあっさりと捕まってしまった悔しさを表しているのかニュルさんが触手をウネウネとさせていましたし、たいして活躍ができなかった牡丹がしょんぼりとしていて……そんな牡丹をラディが慰めているという珍しい光景を見る事が出来たのですが、このまま反省会を開いていても仕方がないですからね、気持ちを切り替えていきましょう。
「その…こういうゲームですし、あまり気にしていてもしかたがないので切り替えていきませんか?」
まふかさんとグレースさんに関しては嫌がる相手でもありませんし、スコルさんに関しては……文字通り犬にでも噛まれたと思う事にしましょう。
「そっ!?んな簡単に…言うけどねぇ…ああもう!それはそう、だけど…ねえ?」
気が付いたらエッチな事をしていたというのはショッキングな出来事ではあるのですが……いつまでもウジウジと考えていても仕方がないですからね、私がポンと手を叩くと何とも言えない顔をされたり顔を赤らめて下を向かれたりしてしまったのですが……スキルのレベル的にもそこまでの強制力があるとは思えませんし、ただただまふかさん達がエッチな事をしたかっただけなのではないかと疑ってしまうのは考えすぎなのでしょうか?
(そんな事を言ったらまふかさんが怒ってしまいそうですし…言わぬが花ですね)
とにかく魔力を爆発させるような戦闘を行った後の【蝕常】は危険だという事がわかったのが収穫と言いますか、集団戦に突入する前に隠れていた効果を知る事が出来て良かったと思います。
(効果を知らないまま【ルドラの火】を連発していたら大変な事になっていましたね)
そんな事を考えながらポーションで体調を無理やり整えてからドレスの【修復】をおこない、微妙な空気を払拭する為にも状況の整理をする事にしたのですが……こちらの被害はフォレストスパイダーが3体とダークスパイダーが1体と、襲撃の規模の割に被害は軽微でした。
そしてやられてしまった蜘蛛達も最初から逃げるように指示を出していたり、スーリアさんが本格的な侵攻を考えていなかった事もあって重症止まりで……何とかグレースさんの回復魔法が間に合ったようですね。
(敵幹部と戦った割には被害が少なかったというべきなのか…初戦は手加減をしてくれるという仕様に助けられましたね)
イチャイチャしていたせいで回復が間に合いませんでしたなんて事にならなくて本当によかったのですが……因みに先手必勝で倒したエレオスアイの経験値でレベルが上がりそうだったのですが、二匹目の撃破はまふかさん達に経験値が入っており……まあ二匹目に関してはただただ蹂躙されていただけですからね、キリのいい数字は諦める事にしました。
「それじゃあ…トレント達は魔素に変えてしまいますね」
『エルフェリア』から様子を見に来るプレイヤーを気にしなければいけませんし、戦闘に駆り出してしまった蜘蛛達が発見されてもややこしい事になりそうなので手早く終わらせてしまう事にしましょう。
「勝手にしたら?F Aはあんた…というよりこっちの蜘蛛達なのかしら?まあどちらにしても魔素を集めないといけないんでしょ?別に小金を稼がないといけないっていう訳でもないし…さっさと回収しておきなさいよ」
「そ、そうです!一番大変だったのはユリエルさんなんですから…こ、これくらいなら!」
との事で、経験値はまふかさん達が、ドロップ品は私達という振り分けになり……私は【蝕常】の影響を少しだけ受けていた蜘蛛達に指示を出してトレントの残骸を集めてもらい、魔素に変換していく事にしました。
「ありがとうございます…これだけあれば大丈夫かと」
そういう訳でトレントの魔素化を進めていたのですが、その作業がひと段落したあたりで『エルフェリア』の方から人の気配が近づいて来ていたのでその場から離れる事になり……これからどうするかが問題なのですよね。
(スーリアさんの動向が不明というのが気になるのですが…速攻以外は選択肢に無いのですよね)
というのも『ディフォーテイク大森林』に張られている黒い幕の広がる速度が加速していて……これは正攻法で黒い幕を越えようとしていた人達が返り討ちにあって生贄になっているからなのですが、このままキリアちゃんの望むとおりに戦況が動いていくと『ルミエーヌ』に守られたスーリアさんが攻め込んでくるという最悪の展開もありえるという事で……手が付けられなくなってしまう前に魔導船による奇襲を成功させる必要がありますし、キリアちゃんとスーリアさんが合流する前に各個撃破をしかけなければいけません。
(なので頑張って魔素を集めないといけないのですが)
そんな大事な時期に碌でもないスキルの効果がわかってしまいましたし、変なスキルを覚えてしまったという事で皆に嫌われたのではないかと心配してしまったのですが……スコルさんは私達を見ながらへらりとした胡散臭い笑顔を浮かべながら尻尾を振ってみせます。
「ほ、ほら…あんたの訳の分からないスキルのせいで遅れたんだから…さっさと行くわよ?」
「そ、そんな言い方は…わ、わたしは…ユ、ユリエルさんとキスが出来ましたし!」
「だ、か、ら、そういう事をいちいち口に出さなくていいのよっ!!」
そうしておずおずというように伸ばして来たまふかさんが私の手を掴んで、反対の腕にグレースさんが腕を絡めて来て……その温かさを握りしめながらローゼンプラムさんやHMさん達の事を聞いたり、他のメンバーの動向や勧誘した人達の能力を聞いたりしながら大森林攻めの準備を再開する事になりました。
※誤字報告ありがとうございます(4/1)訂正しました。




