437:ファントムジェリーの計画
(カナエさん達に倒された筈なのに!?)
私達は別行動をとっている幼女スライムと合流する為に毀棄都市から少し南に進んだ先にある森の中にやって来たのですが、幼女スライムが居ると思われた場所には巨大な黒いスライムが居て……私は咄嗟に【淫気】を固めて戦闘態勢を取りました。
(こうなるとまともな武器が無いのが悔やまれますね)
流石に『魔嘯剣』や『ベローズソード』まで壊れると不味い事になるのですが、スキルの無いファントムジェリーなら【淫気】のナイフでも……と、そこまで考えたところで思い出したのですが、目の前にいる巨大スライムはあの小さかった幼女スライムなのですよね?
(【眷属】の反応だとそうなっているのですが)
それを攻撃して良いのかという問題もあって攻撃を控えていたのですが、ファントムジェリーも戦う気はないのかホッとしたような様子で息を吐きました。
「もう~…いきなりそんな物を向けたらビックリするんだから~…」
そしてファントムジェリーは何処か困ったような様子で眉を寄せているのですが、最初から仲の悪かった牡丹はご立腹で……今にも飛びかからんばかりの様子ではあるのですが、私が抱きかかえているままだとポヨンポヨンと揺れているだけですね。
「牡丹ちゃんもやっほ~」
「ぷぅぅううう!!」
ただファントムジェリーがにこやかに手を振ると馬鹿にされていると思ったのか腕の中から逃げ出し跳びかかるのですが、流石に『バーンアウト』状態のままだとまともに動く事が出来なくて……とにかく【眷属】の反応を見る限りでは目の前のファントムジェリーが幼女スライムだという事は確定していますし、その記憶や仕草はファントムジェリーのもので混乱してしまいました。
「どういう…事ですか?」
なので2人が本格的な喧嘩を始める前に問い詰めるのですが、私が半眼で睨むとファントムジェリーはさめざめとした様子で泣き真似をし始めてしまいます。
「それは聞くも涙語るも涙の海よりも深い訳があるのよ~」
そしてファントムジェリーは理由を説明するとみせかけもたれかかってくるのですが、会話中に身体を撫でまわして来るのは止めて欲しいですね。
「あの、そんな事を言いながら…んっ、胸を触るのは」
「まあまあそう言わず~ユリエルもここを弄られるのが気持ち良いのよね~?」
「そんな事はっ…ありッ、ません!」
「ぷーっぅううう!!」
揉み慣れたファントムジェリーの愛撫は気持ちいですし、ムニムニと揉みしだかれるだけでも身体が反応してしまい……胸の先端を挟み込むように擦り上げられるだけで乳首が立ってきて恥ずかしいのですが、ファントムジェリーは冗談で済ませられる一線を軽々と越えて服の中にスルリと入ってきました。
「あのっ、本当に止め、は…っ、あっ、あっ、あ…!?」
一応真面目なお話の真っ最中ですからね、私はその巨体を押し退け……られなかったのですが、振りほどこうにも質量差があるといいますか、20メートル近いスライムボディーを押し退けようとしてもヌルヌルしてしまうだけですし、飲み込まれた指先に吸い付かれながら前方につんのめったような姿勢で固定されてしまいます。
「えー気持ち良くないの~?本当に~?」
そんな不安定な状態で乳首をカリカリされると刺激を逃がす事が出来なくて、覆い被さるように全身を撫でられるとよくわからなくなって来てしまい……。
「ま、待って…ください!一旦止め…ッ、はぁっ!?ああ…」
キュゥゥっと母乳を絞られる度に目の前がパチパチとして身体が跳ねてしまうのですが、流石にこのままだと碌に話が進まないと思ったのでしょう、淫さんが呆れたというように息を吐きました。
『どうする?と、言いたいが…』
淫さんが気合で振りほどくかどうかを聞いて来るのですが、眷属化しているファントムジェリーとも【意思疎通】で繋がっていますからね、「ちゃんと聞こえているわよ~」とでも言いたげにニッコリと笑っており……淫さんは無駄を悟ったように肩を竦めるような仕草をとったような気がします。
(意思…疎通を切る…ぅうう…場合、はっ、はっ、ぁああ…んっ、眷…属から…外さないっ…と、いけないのですが)
そんな事をすればファントムジェリーが世に解き放たれてしまいますし、結局私が眷属化している状態を維持しているのが一番安全だという事になってしまいます。
「ん~ユリエルのおっぱいって絶品なのよね~ずっと啜っていたいのだけどー…」
そうして絞り出した母乳をチュパチュパと吸ってくるファントムジェリーもその事はわかっているのか、多少酷い事をしても関係を切る事はできないと高を括っているのかその愛撫は容赦が無かったのですが、湿り気を帯び始めた下半身にも魔の手が迫っていて……。
「だから、今は…真面目な話っ!?ぉぉおお!?ん゙んっ、ん゙ん゙ん゙!!?」
幸い媚毒関連のスキルは取得していないですし、ファントムジェリーの愛撫はプニプニしたスライムボディーで撫でられているだけなのですが……割れ目に添えられたツルリとしたスライムの指が前と後ろから入って来ると的確にいい所を押し上げてきて、腰が浮いてしまいました。
(こん、なの…我慢…できッ!?)
こんな状態では話し合いどころでは無いですからね、咄嗟に歯を食いしばって嬌声が漏れるのを我慢しようとするのですが……抵抗は無駄だというようにファントムジェリーの指先が気持ちい所を探り当ててお尻や子宮口をチュプチュプとされると下半身が蕩けてしまい、ゾクゾクとした快感が背筋に響いて脳が痺れました。
「お゙ッ!?お゙ぉお゙お゙お゙っ!!?」
そしてそのまま乳首とクリ〇リスの3点をクチュクチュとされると我慢できずに母乳と潮を噴きながら盛大にいってしまい……それだけ嬲るとやっと満足してくれたのか荒い呼吸を整えている間は愛撫を緩めてくれたのですが、本当にこの人は頭の中がピンク色過ぎて苦手ですね。
(玩具とか…餌、と…認識されているような気もしますが)
そもそもテイミングはファントムジェリー側から一方的に解除する事ができる仕様で……まあ【眷属】についてはもう少し強制力があるのですが、レベル差もあるのでたぶんファントムジェリーの方から解除できると思います。
なのでわざわざ人気のない森の中で私達を待っている必要がありませんし、自由になった後に自分でスキルポイントを振れば元通りなのですが……私の【眷属】に収まり続けているというのはファントムジェリーにとっても何かしらのメリットがあるのでしょうか?
「まあー…色々と理由はあるのだけど~」
そんな事を考えていると私の思考を読んだようにファントムジェリーが話し始めるのですが、単体で活動していると色々なプレイヤーから狙われるけど、誰かにテイムされていると仲間表示されるのが大きいのだそうです。
しかもファントムジェリーが取得できる種族スキル以外のスキルも取得できるようになり……つまり安全に活動出来て通常の個体より強くなる可能性を秘めているというのが眷属化の利点のようですね。
「もちろんユリエル達の事を気に入っているっていうのもあるのよ~?」
そして取ってつけたようにそんな事を言われたのですが、ファントムジェリーの考えている事はよくわかりません。
(一方的にこちらの考えている事だけが筒抜けのような気もしますが)
ただ嘘を言っている訳では無いという事くらいはわかりますし、たぶん私達と一緒に居たいというのは本心なのでしょう。
(それが合理的な判断のもと下されていたとしても…ですね)
とにかくそういう諸々の理由で私にテイムされている状態を維持しておいた方がお得だと考えているようですし、今すぐ裏切ったりする可能性は低いのかもしれません。
因みに【招集】や連絡を無視していたのは周囲に他のプレイヤーが居た場合は問題になる可能性があり……後は単純にその方が面白そうだというお茶目心が出てしまったようですね。
「そもそもの疑問点なのですが、カナエさん達に倒された個体とはどういう関係になるのですか?」
眷属に収まっているのは百歩譲って良いとして、私が眷属化させたのは渡された幼女スライムの方ですし……この入れ替わりともいえる現象についてはどういう事なのでしょう?
「そうね~…それは最初から説明した方がいいのかもしれないけど~」
との事で、ファントムジェリーが種明かしをしてくれたのですが……まずカナエさん達に倒されたファントムジェリーも間違いなくファントムジェリーで、今私達の目の前にいるファントムジェリーもファントムジェリーであり、同一の個体なのだそうです。
「私達にとって重要なのは核なのよ~それが生き残っていたら生き残れるし~核がやられたらやられちゃうのー…ここまではOK?」
そうしてややオーバーリアクションで説明してくれるファントムジェリーの言葉を私なりに噛み砕いて理解しようとするのですが……。
「つまり死んでも良いように身代わりを作っていた…という事ですか?」
「せいか~い、わードンドンパチパチ~」
聞き返すと馬鹿にしたように手を叩くファントムジェリーなのですが、私が受け取った幼女スライムは女王の核ともいえる物を分裂させた個体で……なかなか動かなかったのは他の核と干渉していた結果であり、膨大なデータをダウンロードしているような状態だったようですね。
そして旧ボディーが衆人環視の中で死んでみせる事によって証拠隠滅を図り……まあ死を偽装するというのは古今東西よくある作戦ですからね、ファントムジェリーが行ったのもそういう事なのかもしれません。
因みにあくまで分裂した別の個体であり、倒すと経験値が入るので本当に同一個体といっていいのかは謎なのですが……その辺りはスライム特有の独特な価値観があるのだそうです。
「そして生み出された幼女スライムはミューカストレントに送られているエネルギーを吸い取って元に……いえ、強化されるという作戦ですか?」
レベルや最大レベルが元の強さより上がっていますからね、たぶんミューカストレントの爆発を食い止めるためにエネルギーを吸っていたのもそのエネルギーを利用する為で……あの場に残ったのも命を賭して私達を守るとかいう殊勝な考えではなく、吸収したデファルセントの力とスライムボディーをもってすれば爆発に耐えきれるという計算があった上での居残りだったのでしょう。
(どこまでがファントムジェリーの計画だったのでしょう?)
私達と出会う前から幼女スライムの準備をしていたようですし、最初からミューカストレントの力を掠め取る作戦だったのかもしれませんし、弱体化が入って死にかけていたから次世代を作り出していただけなのかもしれなくて……私が横目で様子を窺うと、ファントムジェリーは「う~ふーふー」と笑って誤魔化してきました。
まあいつまでも終わった事を気にしていても仕方がないですからね、それより考えなければいけない事は巨大なファントムジェリーを連れ歩く事が出来ないという事です。
(だからと言って【眷属】を解除する訳にもいきませんし、同じような個体を連れ歩いているとまるで私が嗾けたように思われるかもしれませんし)
流石にここまで同じような固体を連れ歩いているとカナエさん達を襲ったファントムジェリーと同一視される可能性がありますし、そもそもこの巨体だと町の中にも入れません。
「え~私はお役立ちするわよ~?こうやって気持ちよくもしてあげるし~…たぶん大丈夫だと思うわよ~?」
「それが困る…というより、そんな巨体だと町の中に…んっ…だから話しながら弄るのは…って、どういう事ですか?」
このままだと仲間にできない事の説明をしようとすると、ファントムジェリーは私の太腿の内側を撫でながらステータス画面を開くように要求して来てくるのですが……撫でられ続けていても話が進まないですからね、言われるがままにテイム画面を開きました。
「いくつかの力を取り戻したら大丈夫だと思うのだけど~どうかしら~?」
そう言いながらファントムジェリーが示すのは【幼体化】というスキルで……どうやらファントムジェリーは本気で私達について来る気でいるようですね。




