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436:検証の続きと牡丹達のスキルと…

 一旦検証を終えた後もモンスターとの戦闘はありますし、よくわかっていなかった【グリモワール】の影響範囲などを調べていたのですが……わかった事としては影響を与える能力は距離による減衰がある事と、無機物より生物の方が影響を及ぼしづらい事、単純な活力UP等の効果は付与しやすく特殊な内容になるほど難易度が上がっていく事がわかりました。


 後は正負(付与・剥奪)のどちら側だろうと変化させる数値が大きくなればなるほど抵抗が強くなり……。


(便利といえば便利なスキルなのですが)

 スキルのレベルが問題なのか選べる対象や効果の種類も少ないですし、このままだとボスクラスの敵にデバフが入るとは思えません。


 だからと言ってそれ以外の敵だとさっさと攻撃をした方が早いという事になりますし、使い道に関してはこれから考えていかないといけないですね。


(というより、今調べられるのはこれくらいですね)

 毀棄都市の近くだと魔法攻撃をしてくるモンスターもいないですし……一応近くの川から這い上がって来ていたジェリーローパーが居たので吐き出す媚毒に対する耐性防御を試してみたのですが、【淫気】でシールドを張ったくらいの防御力というのでしょうか?この辺りは淫さん(【淫装】)の耐性ありきの防御力なのでよくわからないのですが、防いでいる間はMPが削られ続けるので費用対効果が良いとは言えません。


 しかも【グリモワール】を浮かべて待機させているだけなら負担が少ないのですが、耐性が発生するレベルの魔力を流していると薔薇の花枝がウネウネとしてしまい……尋常じゃないレベルの負荷がかかるという問題がありました。


 後は展開中の【グリモワール】は手動操作になるというのもデメリットですし、今のところは補助的な防御効果を期待して展開しておくB5サイズの盾と考えるか、眷属を強化するバフ技能として使用するというのが関の山なのかもしれません。


自己バフ(自分自身を強化)をかける事が出来たら変わるのかもしれませんが)

 私の魔力だと私の魔法防御を突破する事が出来なくて……これは『搾精のリリム』の魔法防御が高いだけなのかもしれませんが、かけたい対象にかける事が出来ないというのは明確な欠点ですね。


(この辺りはレベルアップに期待ですね)

 いくら上級スキルと言ってもレベルは1と最低値ですし、レベルアップと共に影響力や適応範囲が増えていく事に期待する事にしましょう。


『結論が出たようだが…アレを放置していてもいいのか?』

 そして思案がひと段落したタイミングで声をかけて来たのですが、淫さんの言う゛アレ”というのは【グリモワール】による強化状態が切れた牡丹の事ですね。


 というのもバフが切れた牡丹はまるで運動のし過ぎで筋肉痛になってしまったというようにピクピクと震えていて……ステータス画面を見ると『バーンアウト』という状態異常にかかっているようで、著しい疲労と筋肉痛のような痛みによって動けなくなっているようでした。


(そうですね、牡丹には回復時間の検証に付き合ってもらおうかと思っていましたが…大丈夫ですか?)

 眷属の強化は多用する可能性がありますし、回復にかかる時間を調べておきたかったのですが……あまりにも牡丹がプルプルと震えているのでポーションでの回復を試してみましょうか?


「ぷ、ひぃ~…」

 一応本人に安否を確かめてみると「大丈夫…」と返ってきたのですが……歩くだけでも辛そうですし、牡丹を抱きかかえて運んであげましょう。


(次は牡丹達のスキルですが)

 私は腕の中で蕩けている牡丹の頭を撫でながらステータス画面を開くのですが、牡丹のレベルは16/16で、振り分けられるS P(スキルポイント)は2ポイントですね。


(魔素を食べさせたといっても微々たるものですし…レベルキャップについては何とかしないといけないですね)

 【晶析】ばかり使っているとポーション代を稼ぐ事ができなくなるのですが、このままだと戦えば戦うほど経験値が無駄になってしまい……まあレベルに関してはすぐに上げる事も出来ませんし、まずはスキルの方を見ていく事にしましょう。


「ぷ…?」

 そういう訳でスキルの画面を表示するのですが、腕の中に居る牡丹が覗き込むように身体を伸ばしていて……現在のスキルはレベル9が【ドレイン】と【跳躍】の2つ、レベル8が【投擲】の1つ、レベル7が【隠陰】の1つ、レベル5が【搾精】の1つ、レベル4が【電撃】の1つ、レベル3が【蜿々長蛇】と【招集】と【魔力増強(中)】の3つ、レベル2が【剛力】の1つとなります。


 レベルがMAXになっているのは【大盾】と【鞄】の2種類で、【大盾】に関しては魔法防御が出来るようになる【マジックシールド】に、【鞄】については【体内収納】というマジックバッグのモンスター版みたいなスキルになるみたいですね。


(どうしましょう?)


(ぷー…?)

 【マジックシールド】は取得しておくつもりなのですが、【体内収納】については私が取得している【マジックバッグ(鞄のマジックバッグ化)】で補える範囲ですからね、他のスキルも伸びてきているのでSPは残しておく事にしましょう。


(で、いいですか?)


(ぷっ!)

 との事で、牡丹も「問題無し」と言っているので早速【マジックシールド】にSPを振っておく事にしました。


 続いてニュルさんなのですが、こちらは6レベルも上がって15/36となっており、SPの残りは9ポイントとなります。


 スキルの内訳としてはレベル9が【媚毒吐き出し】の1つ、レベル5が【太陽】の1つ、レベル4が【招集】の1つ、レベル3が【搾精】と【感覚上昇(微)】の2つ、レベル2が【跳躍】と【丸呑み】と【耐久度上昇(小)】の3つとなり、MAXになっているスキルが【触手】と【吸収】と【空間把握】と【ヌルヌルボディー】と【這いずり】の5つとなのですが……簡単に上級スキルについて見てみると、【触手】の上級スキルは【触腕(しょくわん)】となり、筋力のUPや精密動作(道具の使用)が出来るようになるというスキルですね。


 【吸収】は【フローアブソープ】となり、魔力の流れが良くなった影響で吸収効率が上がり、仲間内での受け渡しがスムーズになるスキルなのだそうです。


 因みにジェリーローパー達が集まり犇めいているのはこういう受け渡し用のスキルを利用する為で……何かどうでもいいローパー知識が増えてしまいましたね。


 続く【空間把握】は【領域拡張】となり、これは魔物特有の感覚が鋭敏になるというスキルで、感覚や空間把握能力が向上するようでした。


 【ヌルヌルボディー】は【呪皮(じゅひ)】というドロリとした体液に覆われゴツゴツした体となり、単純な防御力のUPと触れたモノへの媚毒付与が行えるようになるみたいですね。


 そして【這いずり】は【瞬動(しゅんどう)】となり、長距離を走るのは苦手なものの短距離の移動速度が大幅に強化されるようでした。


 機敏なニュルさんと言うのがいまいち想像できないのですが、トータルすると純粋なパワーアップが多いですし、取得しておけばお得なスキルばかりなのでこの5つは上級に上げておこうと思います。


「KYURU…KYU~」

 後はニュルさんが取得しておいて欲しいという【魔力タンク】と【魔力操作】と【パリィ】にポイントを振っておき……これで残りのポイントは1なのですが、【媚毒吐き出し】がもうすぐMAXになるので置いておく事にしましょう。


(出来たら耐性にもSPを回したいのですが…流石に主要なスキルを取ってからの方が良いですね)

 ニュルさんは【太陽】スキル持ちだからなのか火属性と光属性に適性があり、ローパー種族らしい耐性が色々と揃っているのですが……ポイントを回している余裕が無いので後回しにしておこうと思います。


(後は…)

 因みに一時的に仲間になっていたノワール(ダークスパイダー)については『精霊の幼樹』を防衛した時点でレナギリーの元に帰っており……時々レナギリーからの伝言を運んで来たり遊びに来たりはしているのですが、私の管轄からは離れているので特にいう事はありません。


 なので最後に残っているのは幼女スライムだけなのですが、そのステータス画面を見ながら私は首を傾げてしまいました。


(どういう事なのでしょう?)

 その画面には『【ファントムジェリー(命名無し)】ファントムジェリー(種族名)LV50/56』と表示されており、残りSPが49ポイントと……これはバグなのでしょうか?


 ミューカストレントやビークリストゥと戦った時の経験値が入っていたとしても50レベルまで一気に上がっているのが異常ですし、どういう事なのかと首を傾げながら幼女スライムに連絡を入れてみたのですが……無視されてしまいます。


(【招集】も拒否していますし…どうしたのでしょう?)

 呼び出そうとしても何か詰まっているような感じで……だからといって(レベル44)テイムモンスター(レベル50)のレベル差やら何かしらの問題で反逆を起こされているという感じでもありませんし、意味がわかりません。


(何か嫌な予感がするのですよね)

 まるで幼女スライムにドッキリを仕掛けられているような不穏さがあるのですが……このまま放置している訳にもいきませんからね、私達は幼女スライムと合流しようと何となくこっちに居る(スキルによる繋がり)ような気がするという方向に向かって歩き出したのですが、戦力の空白地帯になっている関係で人気のない毀棄都市近くの森の中を歩いていると巨大で半透明な黒い塊を発見して……。


『こいつは!?』


(ぷっ!?)

 私達の目の前に現れたのは森の中でのんびりと寛いでいる幼女スライム……じゃないですね、大きさは20メートル程度でしょうか?体内で蠢く無数の核から怨念のようなオーラを放っている伏せたおわん型の巨大なスライム……ファントムジェリーが私達の前に現れました。


「あら~ようやく会いに来てくれたのね~」

 そして「待ちくたびれたわ~」というように、スライムボディーの上で微睡んでいた髪の長い女性……やや垂れ目気味の赤い目をしたボンキュボン(Mカップ)のファントムジェリーがのそりと上半身を起こすと、フワフワした笑みを浮かべながら私達を見下ろしました。

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