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434:毀棄都市の様子とスキルの検証結果

※【扇動】の上位スキルである【誘因】についてですが、【淫魔の証明】の影響を受けて【命令】に変化する事が抜けていたので修正しました。

 新しく覚えたスキルを試しながら『イースト港』を目指していた私達の前には瓦礫の山が広がっていて……それがミューカストレントの根っこによって崩され更地になってしまった『毀棄都市ペルギィ』の姿(跡地?)だったのですが、霧が晴れているせいで町の北側に出来たクレーターに川の水が流れ込んで半分近くが水没しているのがよく見えました。


(復旧作業は始まっているようですが)

 一応アルディード女王が主導する調査隊が(クエストが発生中)入ってセーブポイントが使える程度にはなっているのですが、もともと根っこのあった場所にも川の水が侵入して来ていて……ここまで徹底的に壊滅しているとなると、最低限の機能を復旧させるだけでも大変そうですね。


(ポータルが使えるところまで復旧してくれたら助かるのですが、熊派との抗争中だとなかなか難しいのかもしれませんね)

 代わりという訳ではないのですが、『イースト港』に繋がる毀棄都市の東口にあった橋だけは突貫工事で修理をしたようで、残っていた基礎となる部分に適当な紐やら丸太やらを通しただけの仮設の橋が作り上げられていました。


 そのおかげで人の往来も少しずつ回復していたのですが、『イースト港』から『隠者の塔』の間にはポータルが通っていますからね、わざわざフィールドを移動する人も稀で……初めてポータルを開通させる人や『セントラルキャンプ(最初の拠点)』に何かしらの用事がある人の姿がチラホラと見えるくらいですね。


 というのも現在プレイヤーと熊派の争点となっている『エルフェリア』に向かう場合は立ち寄る必要がなくて(最寄りは『隠者の塔』)……防備の薄さを考えると熊派の侵攻を警戒するべきなのですが、『精霊の幼樹』の影響範囲に入っている瓦礫の山(毀棄都市)を攻める余力が熊派にはありませんし、そんな場所に戦力を送り込んでいる間に重要拠点である『エルフェリア(大陸中央都市)』が落とされてしまったら元も子もなくて、やって来るとしても囮や誘因目的の助攻戦力だと考えられていました。


 なので「熊派が攻めてきたら『エルフェリア』に攻め込めばいいだけでは?」という考え方が主流だからなのか、防備の割には比較的に平和な空気が流れており……トンカンと金槌を振るう音やら瓦礫を退ける作業をしている人達(N P C)がガヤガヤと騒いでいる姿が遠目に見えるだけという、どこかのんびりとした景色が広がっていました。


(町判定なのかこの辺りは平和そのものですし、この辺りで一旦検証内容を纏めてみましょうか)

 今回は一気にスキルを強化しましたからね、色々と試す事が多くて大変だったのですが……まず最初に確かめた【マジックバッグ】は半分使えて半分使えなかったと言いますか……。


「ぷっ!」

 牡丹がマジックバッグ化した事によって収納量が劇的に増したのは良い事なのですが、淫さんの収納袋(『イビルストラ』部分)に関しては元々マジックバッグだった事もあって大した増加はありませんでした。


 なのでトータルで言うとやや便利になったくらいで、私の戦闘能力には大きな変化がなくて(所持数は変わらず)……続く【触手】に関してはその名前の割にはなかなか便利なスキルだという事がわかりました。


(使いこなせるかという問題はありますが、意外な結果でしたね)

 まず触手化した尻尾が自由に動くようになりましたし、形状もかなり自由に変えられるようになり……何より今まで尻尾をなぞられるとゾワゾワした刺激が子宮に響いて来ていたのですが、そういう変なデメリットが無くなっただけでもかなり助かります。


 だからと言って感覚がなくなったという訳では無くて、手の平のような感覚になったというのでしょうか?微細な凹凸までハッキリとわかるような触覚があり、尻尾の形状を変える事によって精密な作業も出来るようになりました。


 しかも【淫気】と【触手】を併用すると触覚を持った疑似的な触手を任意の場所に生やす事が出来て……唯一で一番大きな欠点としては、そういう有用な触手を扱いきれなかった事ですね。


(普通の人には生えていない器官ですし、体の一部なので淫さんに任せる(コントロールさせる)事も出来ないのですよね)

 一応外骨格的な補助(スカート翼による補助)を受ければ動かせるのですが、そうすると【触手】特有の精密動作が出来なくなりますし、わざわざ【触手】で動かさなくても良いという本末転倒な状況になってしまいます。


 この辺りは慣れるしかなくて……後は私の尻尾の先端には蕾のような器官がついていたのですが、何かしらの作業をする時には邪魔になってしまうという事もあって消して(変化させて)おき、尻尾の中ほどから5本の触手を伸ばして人間の腕と同じように動かせるようにしておきました。


 とはいえ感覚があるのでそのままヒラヒラさせておくのも気になりますし、待機状態は捩じって一本の触手にしておく事にしたのですが……とにかく【触手】に関してはそういう感じですね。


 次は【命令】に関してなのですが、説明文では『条件を満たした相手を従わせるスキル』とあるのですが、色々と試して分かったのは私とのレベル差が関係しているという事で、そのモンスターが持つスキルや精神力に応じて効果が表れる事がわかりました。


 ただ同じ種類の同じレベルのモンスターでも効くか効かないかの違いがあり、かなりむらっけの強いスキルとなり……一応レベル差が倍近くあれば高確率で従える事ができますし、性格に応じた命令なら簡単に入り、納得できないものなら難しいという感じですね。


(使い勝手はいまいちなのですよね)

 レベルの半分(現時点だと22以下)と言うと一つ前のエリアに戻らないとなかなかお目にかかる事が出来ないレベルですし、むしろ【命令】に抵抗しようとすればするだけ動きが鈍くなる……簡易なデバフをかける事が出来るスキルと認識しておいた方がいいのかもしれません。


 まあ好意的に考えると攻略中のエリア以外の場所ではモンスターの襲撃を回避できるという事ですし、これから使い方を考えていこうと思います。


 因みにまだ試していないのですが、モンスター以外の対象……つまりプレイヤーやNPCに使った場合の効果なのですが、説明文を読む限りでは効果が薄いようですね。


 というのも他のプレイヤーに命令を出せたら色々とバランスが崩れてしまいますし、精霊樹の加護を受けたブレイカー(プレイヤー)には【命令】が入りづらいという設定のようです。


 一応NPCにはそのキャラの精神力や好感度に応じて【命令】が入るようなのですが、私の場合は好感度を稼ぐようなクエストもこなしていませんし、今のところ積極的に関わり合おうとも思っていないのであまり意味が無いのかもしれません。


 そして【傾国】は名前の物騒さからは考えられないレベルの純粋な上位互換(【魅了】の上位スキル)で……眷属である牡丹達のステータスが上昇するというのも利点といえば利点なのでしょうか?


(デメリットが何もない事に不安になるというのもなんですが)

 たぶん傾国級の人外に率いられている眷属達という扱いなのだと思いますが、デメリットの無い純粋なパワーアップは嬉しいですね。


 続いて【堕落】なのですが、こちらは対象の精神対抗能力に応じてデバフをかけられるようで、堕落したモンスターは己の欲望に忠実になるか怠け者になってしまうかという効果があるようです。


 ただどういう効果が出るかはモンスターによって様々で……このスキルについては検証を続けるしかないですね。


 そして【余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)】と【泰然自若(たいぜんじじゃく)】はどちらも精神対抗にプラス補正のあるスキルで、【ポーカーフェイス】のように意図的な表情を作るというよりも、そもそも何事にも動じなくなるというスキルでした。


(これは…どうなのでしょう?)

 今のところ大した出来事も起きていないので実感はないのですが、その余裕のある態度はNPCにも好印象を与えるという事で、交渉ごとにプラス補正が乗るようですね。


 続く【晶析(しょうせき)】は解体時に晶析化させるかどうかの確認ログが出て来て、<YES>を選ぶと生命力の抽出が始まるといった感じでした。


 そうして光の塊になったモンスターの生命力が集まり結晶化していき……この時に抽出される魔素はモンスターによって様々な色合いや形を持つのですが、試しに使ってみたブッシュゴブリンやフォレストウルフ、マンイーターなどだと1センチから2センチ程度の小さな結晶が抽出できました。


(色々と使えそうではあるのですが)

 抽出した魔素を牡丹達に与えてみた結果、魔石の代わりに使える事が分かりましたし、生命力の塊という事で食べたらお腹が膨れる(空腹度の回復が出来る)事がわかったのですが、大きさが大きさですからね、空腹を癒すためには数を集めないといけなくて……片っ端から魔素にしていると素材の剥ぎ取り(金策)ができなくなるというのが問題なのかもしれません。


(利用法を見つけ出さないとW M(ワールドマーケット)に流す事もできませんし)

 まあ金策については必要に応じて【晶析】化していけばいいですし、魔素の利用方法については後で本職の人(ヨーコさん等)に相談してみようと思います。


 続いて意外と使いどころに困るスキルだった【イリュージョン(分身製作)】なのですが、まず分身を一体造り出すのにHPとMPとスタミナが消費されて、クールタイムはゲーム内時間で1時間でした。


 そういうコストやクールタイムは許容範囲なのですが、自分の身体が増えても動かす事が出来なくて……どうしても口頭指示による自立(A I)行動をとってもらう事になるのですが、初期レベル(1レベル)だと動きが緩慢すぎて使いものになりません。


 しかも魅了の力などは引き継いでいるので普通に狙われますし、攻撃を受けて消滅した場合はコストとして支払った分が無駄になってしまい……しかも作り出した分身は何の装備も持っていない状態で作り出されるというのも問題ですね。


 つまりぼんやりとした全裸の私が現れてモンスターにボコられ消えていくというスキルで……デコイとしては役に立ってくれるのかもしれませんが、コストやクールタイムを考えたらあまり実用的な使い方とはいえません。


 せめてもう少し機敏に動いてくれたら使い道があるのかもしれませんが、ブッシュゴブリン相手に効果を試そうと指示を出した場合、分身はゆっくりと微笑むように頷き私の命令を頭の中で処理している内に押し倒されて無茶苦茶にされて消えていくという……これをどう使えば良いのかと悩んでしまいました。


(ああ、でも…生産作業の分業には向いているのでしょうか?)

 一応分身が倒した敵の経験値は入るようですし、微量ながらスキルの経験値も増えていて……機敏な動きが求められていない状況だと使い道があるのかもしれないので、まずはスキルのレベルを上げていこうと思います。


 後は【走査】と【グリモワール】なのですが、【走査】は指定したアイテムをMAP上に表示してくれるスキルなのですが、試しにポーションの材料である『ホーリーリーフ』を指定してみると……1本だけ生えているという場合は反応せず、数本まとめて群生している場所は反応してくれました。


 スキルレベルが1の場合だと効果範囲は100メートル前後で、【走査】に登録できる数も1種類だけと……適当なアイテムに反応するように設定しておけば経験値が入るようですし、のんびりとスキルのレベルを上げて効果を上げていかないといけないのかもしれません。


 因みにどういう風に判断されているのかはわかりませんが、ネットの情報でしか知らないようなアイテムへの反応は鈍く……この辺りは鑑定系のスキルを使って調べた事があるかという事や、アイテムの説明欄を見た事があるかどうかというのが関係しているのかもしれませんね。


 そんな感じで一気に上級スキルを取得していたのですが、ややこしそうだったので後回しにしていた【魔水晶】の上級スキルである【グリモワール】についての検証もしなくてはいけなくて……どうやらこのスキルにも色々とややこしい仕様があるようでした。

※少しだけ修正しました(9/12)。


※誤字報告ありがとうございます(4/1)訂正しました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] イリュージョンが酷い 色んな意味で [気になる点] …いろんなアレな使い方できるけど これ健全だしな 何も問題にないな よし
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