425:意外な乱入者と思いがけない提案
薄靄が漂う中、樹高300メートルのドロドロとした巨木が毀棄都市を覆っているのですが……その実態は地下茎で繋がった複数のミューカストレント達が寄り集まった株立ち状の巨大植物ですね。
その中心となっているのは毀棄都市の最奥に生えていた最初の一本目で、『歪黒樹の棘』から感じるような禍々しい魔力が流れ込んでいる黒い枯れ木に茨が絡まり蠢いていて、黒い火花を散らしながら『精霊の幼樹』の力に抵抗していました。
私達が相手にしなくてはいけないのはそんな巨大な群生植物で、どういう風に相手をすれば良いのかわからない存在だったのですが……デファルセントからのエネルギーを断つ事が出来れば一気に弱体化が入るのかもしれませんし、群生しているミューカストレントの方にダメージを与えられるのかもしれません。
『このまま何もなければ…だがな』
そんな事を考えていると不穏な事を呟く淫さんなのですが、その言葉に触発された……訳では無いと思うのですが、動けないミューカストレントの代わりに襲い掛かって来たのは枯れ木から溢れ出してくるヌメヌメした巨大な芋虫達で……ミューカスカタピラーの数は本体に近づけば近づくほど増えていきますし、途中でジェリーローパー達やアシッドジェリー達が蠢いている中堀を越えなければいけなくて……。
(そういう不吉な事を言わないでください…それよりビークリストゥの様子はどうですか?)
そういう敵の物量を皆と協力しながら蹴散らしていくのですが、途中でビークリストゥの様子を確認してみると私達の狙いを察したのか降下を始めていて……飛び続けられたらどうしようかと思ったのですが、ビークリストゥもミューカストレントを狙われたら不味いと判断したのかもしれませんね。
『こちらは予定通り…といったところだな、ミューカストレントが上手く妨害しているようだ』
(そう…ですね)
ビークリストゥへの警戒を解いていなかったミューカストレントが根っこを振り回しており、その抵抗を排除しながら取りつくのはなかなか苦労するのかもしれません。
(ビークリストゥが到着する前に核となっている枯れた木を倒す事が出来たらいいのですが)
大きさのせいで距離感が狂いそうになるのですが、ミューカストレントの核である黒い枯れ木だけでもかなりの大きさで……本当に倒せるのだろうかと目を凝らしてみると絡まり蠢いている黒い茨が周囲の樹木を押し退け中央に続く隙間が定期的に生まれているようで……そこから魔力が流れ出ていたのですが、呼吸でもしているのでしょうか?
つまり私達はビークリストゥが捕食をする前にミューカストレントの排気口に侵入して核となっている黒い枯れ木を倒さないといけないのですが、そこに辿り着くためにはジェリーローパー達やアシッドジェリー達が犇めきあっている全幅15メートルの中堀を越えなくてはいけなくて……。
(足場はあるのですが…流石に罠ですよね?)
巨大化したミューカストレントから伸びた根っこや地上に飛び出してきている地下茎が内堀を埋め尽くしているのですが、いくらミューカストレントがビークリストゥや『精霊の幼樹』にかかりっきりになっているとはいえ、その上を渡って行くというのは流石に命知らずすぎますね。
(と、なると…まずやらなければいけないのは即席の足場づくりですね)
私達はこちらに向けて媚毒を吐き出そうとしていたジェリーローパー達やにじり寄ろうとしていたアシッドジェリー達に向けて『アイシクルコフィン』を振るい、辺り一帯を氷漬けにしていきました。
「ぷっ!」
そうして足場を作っている間に根っこや地下茎を伝いながら飛びかかって来るミューカスカタピラー達は牡丹が振るう『ベローズソード』によって蹴散らされていき、私達はジェリーローパーやアシッドジェリーごと凍らせた水面の上を飛び移って行くのですが……。
「ッ…!?」
本体に近づくと流石にミューカストレントも少しだけ反応を示してきたのですが、蠢く根っこの動きに気を取られた瞬間、氷の足場の下からソロリと伸びて来た触手に右足を絡め取られてしまいました。
(固めそこなった…という訳ではないみたいですね!?)
こういう不意打ちを受けないようにある程度の範囲を固めていたのですが、相手は氷漬けになる範囲を見極めた上での待ち伏せをしていたようで……私は右足に絡みついて来たスライムを『魔嘯剣』で斬り払い、水面から顔を覗かせた黒っぽい半透明の女性の顔に『アイシクルコフィン』を叩きこみました。
「ちょっと、ま………ってよー、危ないじゃない!私じゃなかったら死んでいたわよー?」
何故かファントムジェリーが「ちょっと待った!」みたいな様子で両手を振っていたのですが、私は容赦なくその体の中にある核に『アイシクルコフィン』を突き刺し氷の魔剣の力を発動させ……そのまま凍り付いて砕け散るファントムジェリーなのですが、凍らしきる事が出来なかった水面下のスライムボディーからすぐさま新しい体が生えて来て……本当にしぶといスライムですね!
「そういう冗談は…!?」
幼女スライムが居たので本体が潜んでいる可能性も0ではないと思っていたのですが、何故かカナエさん達が追っていたファントムジェリーが毀棄都市に居て……私は何事も無かったように復帰して来た相手にもう一度『アイシクルコフィン』を叩き込もうとしたのですが、氷の魔力を発動させる前に絡みついて来た触腕によって腕を取られてしまい、そのまま腕を引くように抱きしめられてしまいます。
「ぷっ…い!?」
そうして密着する事によって『アイシクルコフィン』の凍結を防ぐと、ファントムジェリーは後ろに倒れ込むように絡め捕った私達ごと中堀の中に引きずり込んできて……牡丹がファントムジェリーと共に落下した私達を助けようと『ベローズソード』を振るうのですが、ファントムジェリーは硬化させた腕でその一撃を防ぎました。
「君は~ちょっと邪魔だからお外で待っていて~」
そのままポイっと投げ捨てられる牡丹の奮戦も虚しく、私達はファントムジェリーの中に取り込まれてしまいます。
『どうする?』
(KYURU…?)
咄嗟に【招集】で潜んだニュルさんと淫さんが「反撃するか?」と聞いて来るのですが、取り込まれている状態で相手を凍らせてしまったら私達まで凍ってしまいますし……吸収攻撃がメインのニュルさんと単純物理の淫さんの攻撃ではファントムジェリーにダメージを与える事が出来ず……今すぐ危害を加えて来るという感じでもないですし、少しだけ様子をみてみる事にしましょう。
「そっちの2人は~…まあ、いいか~…安心して~私はユリエルとお話がしたいだけだから~」
ただ2人が潜んでいる事は理解しているのか、内側にも体を作ったファントムジェリーはにこやかな笑みを浮かべながら私の頭を撫でて来るのですが……そもそもファントムジェリーがしたいお話というのはいったい何なのでしょう?
「それで…ッ、何を!?」
窒息しない為だと思うのですが、私達は風船のように膨らんでいるファントムジェリーの内部に取り込まれているのですが……話があると言いながらも肌が露出している所をヌルヌルとしたスライムボディーで撫でまわし、スカート翼の中に潜り込んで来たツブツブのついた触腕で割れ目を擦り上げてきて……そんな所を撫でられると自然と体が反応してしまいました。
「何をも何も~目の前に極上の身体があったら触りたくなるだけよ~?ユリエルも触りたくならないかしら~?」
「な、なり…ませんっ!」
やや思うところがあったので言葉を詰まらせてしまったのですが、ファントムジェリーの媚毒に塗れた手のひらと指先でモニュモニュと胸を揉まれながらだと頭が回りませんし、ファントムジェリーからの敵意らしい敵意が無さすぎて何を考えているのかがわからなくて余計に混乱してしまいます。
(本当、に…はっ、話があるだけかもしれません…が)
私が窒息しないように最低限の空気を確保してくれているのはファントムジェリーなりの誠意なのかもしれませんが、よくよく考えたら媚毒混じりの空気を吸わせながらの話し合いに誠意も何もあったものではないですね。
「えー本当かなー?ユリエルは今すっごく気持ち良いって顔をしているしー…こうやって弄られるのが大好きなのよねー?」
「ッ…!?ん゙ん゙ん゙っ…あ゙っ、くっ…ああっ…ほ、本当…にぃ…」
私の弱点になってしまっている大きな胸を揉みしだかれながら乳首をグリグリとされるだけで何も考えられなくなってしまうのですが……そんな私を見ながらファントムジェリーが楽しそうに笑うと羞恥心でどうにかなってしまいそうで……溢れ出そうな魔力の影響で胸が張って来たかと思うと母乳が溢れてきてしまい、本当にギリギリのところで耐えていたというのにレロレロチュパチュパと吸い付かれると頭の中が真っ白になってしまいます。
「だめっ…い゙っ、ほんっ…とうに…ッ、吸われるのは…だっ、だめ…でっ、あ゙っ、ぁああ、あ゙あ゙っ!!?」
搾り取られるような射乳感だけで脳が蕩けてしまいそうで、クリ〇リスを守っている包皮を剥き上げるようにクチクチと弄り回されると我慢をする事が出来なくて……。
(こんな、事を…している場合ではないのですが!?)
こうしている間もビークリストゥがミューカストレントのもとに向かっていますし、さっさとファントムジェリーの拘束を解いて追いかけないと大変な事になってしまいます。
「ん~ふーふー…こっちを見てくれないのは寂しいけど~…ユリエルの気持ちもわかるわ~…そう、ねー…私にもやらないといけない事があるからお話の方を進めましょうか~?」
「は、早く…んっ、用件…をッ!?ぉお゙お゙っ!!?」
やっと話が進むのかと気を緩めた瞬間、顔を出していたクリ〇リスを優しくトントンと叩かれてしまうと、身体がビクンと跳ねあがって言葉が途切れてしまいます。
「は…っ、あ…はっ、ぁああ…だ、だから…!?」
ファントムジェリーが私の小さく弱い蕾をクニクニと弄り回すだけで言葉が途切れさせてしまうのですが、単調にならないように時折強く摘まんだり弾いたりしてくるファントムジェリーに翻弄されながらも何とか睨み返すと……。
「ねえ~…私達もそっちの子供達と同じようにユリエルの眷属にしてくれないかしら~?」
何かとんでもない事を言い出しました。




