396:ニュルさんの仕様とスキルの調整
休憩を挟んでお昼過ぎ、まふかさん達が動き出す前にレナギリー達と接触する必要があるのですが……その前にまずニュルさんのレベルとかスキルの確認をするのが先決ですね。
(一応ネットでテイマー関連の情報を調べて来ましたが…牡丹の時とはかなり違いますね)
まず牡丹の場合はイベント用のスライムで【テイミング】のスキルが低かったので一から育成したようなものなのですが、ニュルさんの場合は普通にテイミングしたモンスターと言いますか、とにかくステータス画面に表示されている情報では名前が『ニュル』さんとなっており、種族が『ジェリーローパー亜種』でレベルが9/36となっています。
眷属化の影響をあまり受けていないのか見た目上の変化はあまり無いようで……この辺りはもともと触手の化け物だったからなのか親密度みたいな隠しパラメーターが関係しているのかもしれませんが、牡丹のように翼が生えたり変色したりという事はないようですね。
レベルキャップに関しても眷属化した時に力が封印されたという設定のようで、ネットの情報ではスキルレベルに応じて初期レベルが決まるという事が書かれていました。
具体的に言うと【テイミング】のスキルレベルが1の場合はどんな高レベルのモンスターでもレベルは1で固定されて、スキルレベルがMAXの場合は5分の1+1が初期レベルとなり、上級スキルの【眷属】の場合は前身となる【テイミング】のMAXレベルが適用されるようですね。
(【眷属】のレベルが反映されていないようなのですが、この辺りは情報が無いのでよくわかりませんね…強さの方が変動しているのでしょうか?)
有志の人達が集めてくれているデータには【使役】や【大自然の仲間】といった別の上級スキルが載っているのですが、【眷属】に関する情報は載っていなくて……まあ私が取得しているのは人外種由来のスキルだと思いますし、取得している人が少ないのでサンプルデータが不足しているのでしょう。とにかく【眷属】の方は私のスキルやステータスを牡丹達に反映させるスキルですからね、能力面での倍率か何かになっているのでしょう。
その辺りの検証は後々行うとして……元のレベルが36だったニュルさんの初期レベルは5分の1切り捨ての+1で8となり、最大レベルがモンスターだった時のレベルが適応されているようですね。
初期スキルはモンスターの時に覚えていたスキルをメインに……種族として形作る最低限のスキルを取得していると言いますか、後天的に覚えたと思われる【テイスティング】とか【目利き】とかはグレー表示で再取得可能になっており、そちらにポイントを振っていけばジェリーローパーの亜種として立派にやっていけるという事なのかもしれません。
まあ私達の仲間になるのであれば純粋なジェリーローパーというより補助方面のスキル構成にしたいのですが……とにかく現在覚えているのはレベル9の【触手】、レベル8の【吸収】、レベル7の【空間把握】、レベル7の【ヌルヌルボディー】、レベル7の【這いずり】、レベル6の【媚毒吐き出し】、眷属化した時に覚えた【招集】と名前だけでは効果がわからないレベル2の【太陽】というスキルを覚えていました。
【招集】はともかく【太陽】のレベルが微妙に低いのですが、『『サンハイト』を摂取し続けて影響を受けた個体、属性が変化する』という説明文があり、光と火属性の混合属性を持っているとの事で……亜種になりたてという事を示しているのかもしれません。
後は【ヌルヌルボディー】というスキルがどういう効果なのかはわかりませんでしたが、ようするにニュルさんの耐久度や耐性的なものを管理するスキルのようで、残りのスキルは触手を動かしたり獲物から色々な物を吸収したり魔力や湿度などの情報を把握したり這いずったり毒液を吐き出したりというジェリーローパーが最初から身に着けているスキルであるという事なのでしょう。
そしてそんなニュルさんの運用方法はどうするかという事なのですが、現時点では拘束能力と吸収面でのスキルを伸ばして妨害系をメインに取得してもらおうと思っており……その前に考えなければいけないのはニュルさんの致命的なまでの移動力の無さですね。
(流石にずっと這いずって移動させる訳にもいきませんし)
眷属化しているので【招集】の待機状態を維持していればいいのかもしれませんし、種族的な欠点として移動力が低いのは仕方がないのかもしれませんが……戦闘中にまともに動けないとなると運用面で支障が出てきますからね、最低限の機動力は取得してもらう必要があります。
(どうしましょう?)
ニュルさんのSPは残り8ポイント……上級スキルを取得するために何ポイントか取っておくとして、ある程度スキルポイントを割り振っておこうと思うのですが……。
(ぷぅー?)
淫さんは特に興味が無いのか無言を貫いており、牡丹は一緒に頭を悩ませるように首を傾げていて、ニュルさんはウネウネしていました。
まあ方向性はだいたい決まっていますし、まずは私達のスキルの中で移動に使えそうな【跳躍】を取得させておきましょう。
触手の塊が跳ぶというのはあまりイメージが沸かないのかもしれませんが、ジェリーローパー達はお互いの身体を投げ合って跳びかかってきますからね、たぶん大丈夫だと思います。
続いて覚えさせるスキルは【搾精】とニュルさんが最初から取得可能になっていた【丸呑み】で、これは吸収能力の強化と拘束力の強化となりますね。
そして折角拘束してもすぐに引き千切られたら意味が無いですからね、【耐久度上昇(小)】を取っておき……地下空洞で活躍したように索敵や探索を頑張ってもらう可能性もありますからね、【感覚上昇(微)】のスキルを取得してもらい余った3ポイントは残しておこうと思います。
(よし、これで)
因みに幾つかのスキルはシナジー効果があるようで、具体的に言うと【触手】と【吸収】と【空間把握】が合わさり空気中の魔力や湿度を吸い取る事が出来るようで……この力を使って【ヌルヌルボディー】を保ったり毒液を作ったりしているようですね。どうりでジェリーローパー達の毒液飛ばしが終わらないと言いますか、時間経過でチャージしていたようですね。
逆に言うと湿度が保てなくなると干からびてしまうのですが……まあその辺りは注意する事にしましょう。
そうして強化されたニュルさんは心持ち嬉しそうに触手をウネウネとしていたのですが……続いて考えなければいけないのは私達のスキルポイントに関する問題ですね。というのもレベルアップとハーピークィーンの撃破で私のSPは残り4ポイントと少しだけ余裕が出てきましたし、視覚系のスキルを統合すればポイントが戻って来るので新しいスキルを取得しても良いのかもしれませんが……まあ感覚系のスキルを弄る予定ですからね、後々別のスキルを取得しなければいけなくなるかもしれないので出来るだけ残す方向性で割り振っていきましょう。
まあ割り振る以前にスキルを調整したばかりなので大きな変化はないのですが、すでにスキルレベルがMAXになっているのは【暗視(弱)】【収納術】【跳躍】【見切り】【魔力視】【鞄】【尻尾】【扇動】【感覚上昇(微)】【魅了】【蠱惑】【意思疎通】【精神対抗(微)】【羽ばたき】【ポーカーフェイス】となり、『クリスタラヴァリー』を探索中にスキルレベルがMAXになったのは【魔力増強(微)】となります。
このスキルは【淫魔の口づけ】という上級スキルに上げる事が出来て……名前の割には相手から吸い取った魔力の変換効率がUPするというスキルのようで、本当にキスをする必要はないようですね。
相手からドレインした時のみと条件が厳しくなるぶん吸収効率が良いようで、スキルレベル1の時点で効果は10倍以上と……これは私の眷属である牡丹やニュルさんが吸った分も私に還元する事が出来るようなので、取得しておくのも悪くない選択なのかもしれません。
つまり牡丹が牽制や防御を担い、ニュルさんが拘束と吸収、そして私がその魔力を使って攻撃をするという連携を想定しており……因みにこの【淫魔の口づけ】の効果が及ぶ範囲は私自身と他者から吸収可能な眷属までとなっており、最初から吸収能力のない淫さんや借り物のノワールには適応されないようですね。
『別に我は眷属ではないのだが?』
色々と検証をしている時に淫さんが釈然としないといったようにブツブツと言っていたのですが、その辺りの発言は無視しておく事にしましょう。
(後は視覚系をどうするかですが)
基本的にはSPを残しておく予定ですし、【暗視(弱)】【見切り】【魔力視】を統合しておけばSPが2ポイント戻ってくるのですが……どうしましょう?
因みにここで悩んでいるのは3つを纏めて意識している対象をピックアップ出来る【探知】に変えるか【暗視(弱)】を残したまま【未来視】を取得するかという事なのですが……今は感知系を強化しようと思っているニュルさんがいますからね、最悪暗視能力が無くなっても大丈夫だと思うので纏めておく事にしましょう。
(よし)
そういう訳で【淫魔の口づけ】と【探知】の二つを取得して戻って来るSPも合わせれば残りSPは4ポイントと、カツカツのまま運用するのも何ですし、これからキリアちゃん達との決戦なども控えていますからね、必要なスキルが出てきたらその都度取得していこうと思います。
(ただ、これは意外と…)
『搾精のリリム』は色々なものを魔力で支えている状態ですからね、【魔力増強(微)】が切れた事によって身体がズンと重くなり……。
『大丈夫か?』
「ぷぅ~?」
淫さんと牡丹が心配そうに声をかけて来るのですが、多少動きが鈍くなったくらいなので問題はないと思います。
(慣れれば大丈夫だと…っと、牡丹?)
そして最後に牡丹がポヨンポヨンと足にぶつかって来るのですが……そうですね、牡丹もレベルが上がってSPを獲得していますからね、スキルを振っておく事にしましょう。
(1ポイントだけなのでそれほど選択肢がありませんが…)
それでも牡丹が取得していた【大盾】のレベルがMAXになっており、【マジックシールド】という魔法の盾を作る事が出来る上級スキルを取得できるようになっていて……これは盾自体に魔法の盾を施す事で強化する事も出来るという汎用性の高い盾スキルのようですね。
後は眷属化した影響なのか【魔力増強(中)】が習得できるようになっており、防御性能を上げるか基礎能力を上げるかという事になるのですが……。
「ぷっ、ぷーぷーぃーぷー」
と、牡丹が言うには魔力を増やす方が良いとの事で……ビークリストゥやハーピークィーンと戦っている時に【ルドラの火】と【魔力増強(微)】を付与していましたからね、もしかしたら魔力が上がっていると色々と便利だという事に気が付いたのかもしれません。とにかく【マジックシールド】は次のレベルアップの時でも良いという事で、今回は【魔力増強(中)】を取得しておく事になりました。
(さて、これで…)
牡丹のレベルは14/15で……そろそろ本格的にレベルキャップを解除する為の魔石を集めないと不味いですね。
「じゃあそろそろ行きましょうか」
そんな事を考えながら改めて出発を口にしたのですが……目的地はレナギリー達の居る『臨時キャンプ』です。そして『リヴェルフォート』では相変わらずアイテムの完売が続いており、レナギリー達に植える土地を聞いた後は『イースト港』にでも向かってみましょうか?
(情報にある女スライムって多分あの時のスライムですよね?)
アイテムの補充と装備類の修理をしなければいけないというのもあるのですが、毀棄都市と『イースト港』の間で暴れている女スライムというのはもしかしたら私達のせいで変な進化を遂げたスライムなのかもしれませんし、当事者としては少しだけ責任を感じるので港町に行くついでにどうなっているかを確認してみようと思いました。
※牡丹の次にニュルさんを【テイミング】したみたいな口ぶりですが、ルドラ爆弾を作るために大量のモンスターを【テイミング】した事はあります。ただその時は急いで数を揃える必要があった事と最初から消耗品扱いだったのでとくに検証している時間が無く、牡丹の次のちゃんとテイミングしたのはニュルさんであるみたいな感じになっています。
※誤字報告ありがとうございます(3/22)訂正しました。




