392:その頃の2人 後編(まふか視点)
「いい?あんたはあたしの言ったとおりに動くのよ?」
「わ、わかりました、頑張りますっ!」
プルプルと震える腕で何とかポーションの瓶を開け、虎の子のMPポーションとスタミナポーションで体調を整えてから最終確認をしているとてんで役に立たなさそうな金髪がグッと握りこぶしを作って自信満々に頷いているんだけど……この子が頑張れば頑張る程空回りするような気がして若干心配なのよね。
「…まあいいわ、それじゃあ作戦開始よ」
まあここまで来たらいちいち気にしていられないし、最悪の場合は肉盾にすればいいかと割り切る事にしておきましょう。
「は、はい!では…か弱き我らに守りの加護を…」
そして振動の周期を読んで合図を送ると、金髪は呪文の詠唱を始めながら周囲を覆っている盾を動かし始めるんだけど……。
「っひぃ!?って、ちょっと、何しているのよ!?」」
ザラリとした枝と葉っぱが下半身をなぞるようにウゾウゾと蠢きながら動き始めてしまい、さんざん弄られ昂っていた身体はフェザータッチのような葉っぱの動きにビックリしてしまうんだけど……呪文と盾の制御に集中している金髪はあたしの異変に気付いていないのよね。
(この子、わざとやっているんじゃ…くっ、んんっ…)
下手に呪文を途絶えさせたらどんな事が起きるかわからないので今は耐えるしかないんだけど、隙間を作るために上下に分かれていく枝先が割れ目を擦りクリ〇リスの根元をゴリゴリと刺激していくとお腹の奥からビリビリするような感じが広がっていき……声が漏れそうになって慌てて唇を噛む。
(っとーに、仕方がないわね!)
そんな訳の分からない辱めに耐えている間に金髪は何とかあたし達が通り抜ける事が出来る隙間を作り上げたんだけど、蒸れ蒸れの空間から解放されるとスゥっと澄み渡るような空気が気持ち良くて、そして曲がりなりにも人目を遮られる場所だったという事に対して解放感と共に羞恥心が一気に込み上げて来たりして……そういう色々なものを押し込み一呼吸、手に持った『デストロイアックス』をギュっと握りしめながら今まであたし達を包んでいた植物の盾の外に出た。
(これで…!)
足腰がカクカクと震えそうになるのを必死に堪えながら辺りを確認すると一時期10体以上いたハーピー達は3体まで減っており、そのうちの1体は翼人っていうのかしら?背中に羽があるタイプの魔物がいて……どうやらその特殊個体、レベル48にもなるハーピークィーンがザコハーピー達に指示を出しているようね。
(上等!)
あたしは空中に浮かぶハーピー達に対して攻撃準備を始めるんだけど、ここで使用するのは【フォトグラファー】というスキルの応用で、本来は小突いただけで壊れるようなカメラを強化したり台数を増やしたりA Iによるカメラワークが使えるようになるスキルの上位版であり、本来なら高級機材並みの編集やらエフェクトがかけられるようになるという攻撃には全く使えない配信者用のスキルなんだけど、演出面での強化を目指しているのかレベルが上がると自分の魔力なら動かせるようになっていた。
つまり【狂嵐】を動かして飛ばす事が出来るようになっていたんだけど、今のところこのスキルで動かせるのはカメラか自分の魔力のみという制約があって応用が利きづらいし、スピードが出ないわりには操作が煩雑だし、もともと攻撃用ではないので多少魔法防御がある相手ならバチッとする程度だったりと火力も不足しているのに飛ばしている間はバフが切れると悪い所が多く、そしてなによりスーっと銀色の電撃球が飛んで行くのが絵的にどこか地味なのがいただけないのよね。
「KYUUOOOOO!!!」
それでもまともな遠距離攻撃手段はこれだけしかないので【狂嵐】の力を動かして攻撃準備を整えていると、大きく成長した植物の中からあたし達が滑り出て来た事に気づいたハーピー達が金切り声を上げながら振動波を放とうとしていて……。
「無垢なる者たちを守る光の盾を我が手に、【ホーリーウォール】!」
詠唱時間を調整していた金髪の半円形のシールドが発生し、その振動波を受け止める。
「ナイスよ金髪!それで…今のうちに!!」
「KYUII!?」
振動波の影響を受けない角度に飛ばした電撃球を大回り気味に誘導してハーピー達を攻撃すると、スーッと静かに近づいた電撃球が命中した1体はバチッと弾けたように怯んで高度が下がったんだけどもう1体には回避されてしまい、ハーピークィーンはそもそもの魔法防御が高いのか大したダメージが与えられなかった。
(それでも…十分!!)
「KYUURUQAAAAAA!!?」
あたしは電撃球を回避するために攻撃を中止したのを確認すると距離を詰め、高度の下がっていた1体に跳びかかるように『デストロイアックス』を振るってその胴体を両断すると……華奢なハーピーの身体はホログラムを撒き散らせながら上下に分かれる。
(これで残り2体!)
接近戦に持ち込めば対処が可能だと考えながら斧の勢いを殺すように受け身を取り、反対側の岩陰に走ったんだけど……。
「KYURUAAAAA!!」
仲間を殺された事に対する怒りの声をあげるハーピー達の叫び声に唱和するようにあちこちから「KYUA」「KYURU」聞こえて来て……あまりのんびりとはしていられないようね。
(不味いわね、仲間を呼んでいるのかしら?)
流石に10体20体と襲われたらいくらあたしでも対処できないし、金髪という足手まといも居るので不利は免れない。
とにかく短期決戦に持ち込もうと岩陰に隠れながらもう一度電撃球を作り出そうとしたんだけど、何かが近づいて来るような気配を感じて『デストロイアックス』を構えると……ハーピークィーンがニヤリと笑いながら接近戦を仕掛けて来て、遠距離戦での戦いになると思っていたあたしは虚をつかれる形になってしまった。
「ちょ、なっ!?この、離れなさいよ!!」
咄嗟に『デストロイアックス』を振るって牽制して引き剥がそうとするんだけど、長柄の武器でここまで近づかれると腕や斧を掴むように攻撃を受け流されてしまい……【狂嵐】で焼き切ってやろうと思ったんだけど、あくまで補助的な効果しかない電撃では風の魔力を纏ったハーピークィーンには効果が薄くて押し込まれてしまう。
(ああもう、魔力が足りないから出力が低いわね!!)
肌がピリピリして落ち着かない割には魔力で覆われたユリエルですら耐えられるくらいの威力しかないし、MPポーション1本分の魔力ではいまいち効果が薄いのかもしれないけど……それでも『デストロイアックス』の一撃を入れればこちらの勝ちだと言わんばかりに何とかハーピークィーンを振り切って斬り裂いてやろうと力比べをしていると、この糞忙しいタイミングでユリエルから通信が入って力が抜けてしまった。
『お忙しいところ恐縮ですが、少しいいですか?』
その間延びしたような落ち着いた声に苛立ちを覚える反面、安堵感にも似た不思議な感覚が広がるのだけど……目の前ではニヤニヤと笑いながら力比べをしているハーピークィーンが居るのでそれどころじゃないのよね!
『ユリエルさん!?は、はぃいい!だ、大丈夫です!』
そして真っ先に反応したのは金髪の方で、ちゃんとPT会話に切り替えられているから誉めてあげるべきなのかもしれないんだけど、その嬉々とした反応にちょっとイラっとしてしまう。
『何!?今ちょっと忙しいんだけど!?』
そしてあたしも色々と言いたくてつい怒鳴ってしまったんだけど、そんな事を叫びながら何とか『デストロイアックス』の石突をぶつけられないかと左右に振ったりしているとどうやらユリエルは地下道を進んでいたようで……。
『だから…何であんたはそんな所まで進んでいるのよ!?』
『すみません、モンスターに囲まれていたのでその場にとどまっているのが難しかったので』
どう考えても詭弁としか思えない事をいけしゃあしゃあと言い放つユリエルにイライラして怒鳴り散らしてしまうと、何故か「まふかさんらしいな~」なんていうほんわかした空気が漂い憮然としてしまったんだけど、あたしが何か言い返す前にどうやら向こうの方でも何か動きがあったみたいね。
『ちょっと待ってください、今熊派の人が来て…何かしようとしているようなので様子を見てきます』
そして唐突にユリエルとの通信が切れるんだけど、本当にあの子は何がしたいのよ!
「何やってんのよアイツはぁああ!!なんでいつもいっつも勝手に進むのよ!!」
あたしの事を無視するように先々進んでいるユリエルに対する怒りをぶつけるように【狂嵐】の出力を上げ、ハーピークィーンを押し込めにかかるのだけど……まるでその力押しを待っていたというように後退し、力を受け流されたあたしをつんのめさせると後ろから抱きつくように身体を持ち上げてしまい……。
「ちょ、何!?こっ、の!!」
拘束を解こうと力を籠めるのだけど、足が浮いてしまっている状況ではまともに抵抗する事が出来ず、バタバタする事しか出来ない。
「イキのいいエモノはコノみではあるのだけど」
地上からは数メートル、そしてなかなかデカイモノを押し付けて来るハーピークィーンが耳元でいきなり喋り始めた事にビックリしてしまい……どうやらつい先ほど叫び声を上げていたのはハーピー達への合図なだけで、こいつ自体はそこそこ流暢に喋れるみたいね。
「はっ、余裕綽々ね…せいぜい捕らえた獲物とやらに噛みつかれないように…ッ!?」
反射的に言い返そうとした瞬間、ハーピークィーンは何を考えているのかいきなり胸を揉みしだいて来たかと思うと濡れた割れ目をなぞり……それだけで火照った身体が跳ねて顔に血液が集まって来てしまう。
(この…こいつ何をっ!?)
いきなり変な所を触って来た事に対して驚いて反応が遅れたし、燻ぶったままの身体は化け物の愛撫にすら感じてしまって恥ずかしくなるんだけど、そんな反応を楽しむようにハーピークィーンはわき腹からお腹へ、そしてその下へと指を運び……。
「ツヨがっているわりにはヌレているようだけど…ドウ?こうヤって、アナタのよわぁいトコロをウラからイジられるのは……ほ~ら…ココがいいのよね?」
そして魔物特有の筋力でタイツを破いて無駄に長い2本の指をゆっくりと挿入されるだけで背筋がゾクゾクしてしまい、頭の中が沸騰しそうになるくらいに恥ずかしくなるのだけど……反応を楽しむようにクチュクチュと指を動かされるだけであたしの身体は快楽に支配されてしまったように力が入らなくなってしまう。
「や…はっ、あっ!?何!?なんッ、あっ、はっ…ぁああああッ!!?」
そしてゆっくりとあたしの弱い所を探るように指を動かしていたハーピークィーンがあっさりと気持ち良い所を見つけ出すと執拗に弄り回してきて、頭の奥や腰が痺れたようにジンジンしてきて、それだけで膣内がヒクヒクと痙攣して身体がガクガクと震えてしまうのだけど、反応を楽しんでいたハーピークィーンはいきなりクリ〇リスや弱い所を直接揺らすように内側から振動波を放ってきて……。
「んぎ…ッ、イ゙い゙…どめ、どッ…を゙を゙お゙お゙!!?」
いきなり身体の内側からひっくり返されるような振動に身体が跳ねてしまい、そのまま強弱をつけるような振動に揉み解されるようにグリグリとされると腰が砕けて頭の中が真っ白になってしまう。
(こんな、こんなの…)
振動の変化がダイレクトに脳に響いてしまい、見せつけるように反対の手を振動させながらゆっくりとクリ〇リスに近づけてくるだけで空気が揺れて待ち焦がれるように愛液が垂れてしまい……内側と外側から与えられる刺激を予想してキュッと腹部に力が入ってしまうのだけど、そんなささやかな抵抗を嘲笑うようにハーピークィーンの振動はあっさりとあたしの抵抗を打ち砕いた。
「ッ…ぅあ゙!?あ゙っ、あ゙、あぁあ゙!!?」
クリ〇リスが弾け飛んだかと思うような振動が下半身を揺らし、幾重にも重なり合うような振動に意識が飛びかけて膣内から全部溶かされて行くような感覚で、暴れ回るあたしの弱い所を的確に押さえて揺らしながらハーピークィーンはケラケラと笑う。
「アンシンしなさい、すぐにアナタのおナカまも…」
そうしてそのままあたしの身体を好きなように弄っていたハーピークィーンがクスクスと耳元で囁いて来るのだけど、この時はもう頭の中がチカチカして意識が飛びかけていて、パチパチする視界の隅で金髪が何とかしようと動いているのが見えたのだけど、どうやら増援のハーピー達がバサバサとやって来ているようで……。
(まず、い…この、ままだと…)
全滅するよりも酷い事になる事を覚悟しつつ、助けに来てくれなかったら酷いんだからなんて都合の良い事を考えていると、いきなりゴゴゴと地面が揺れ始め……一瞬ハーピークィーン達が何かしたのかと思ったのだけど、どうやらコイツらにとっても何かしらのイレギュラーな事が起きたみたいね。
「コレ、は…ッ、コイツ!?」
「まふまふさ…きゃぁああ!?」
そしてハーピークィーンが油断した瞬間を捉えてありったけの魔力を【狂嵐】に込めて拘束を解いたのだけど、絶頂後の余韻も冷めやらないあたしはそのまま自由落下してしまい……何とかキャッチしようと走り寄って来る金髪と共に崩れる足場に飲み込まれたあたし達はそのまま地中深くに落ちていってしまった。
※ハーピークィーンのレベルを少しだけ下げました(6/16)。
※誤字報告ありがとうございます(3/22)訂正しました。




