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376:眷属化

 眷属化した事によってここまで姿が変わるとは思っていなかったのですが、透き通ったピンクパールのような体に紫色の瞳、大きさは50センチ程度まで膨らみ背中には小さなガラス片のような羽が二つ付いていて……。


「ぷ?ぷーぷー…ぷぃー……ぷっへ!」

 色と翼については私の姿に引っ張られたという感じなのですが、急激な変化に落ち着かないのかグニョングニョンと伸び縮みを繰り返していた牡丹がくしゃみをするとベシャッといきなりよくわからない物を吐き出したので少しだけビックリしてしまいました。


(何でしょう…これは?)

 牡丹の口から吐き出された大きさ1メートルくらいの……黒っぽい皮で出来たフード付きのチューブトップワンピース?のような何かはフード周りに生えている6本の触手とワンピースの中でウネウネとうねっている蔦の塊で何とかバランスを取ろうとしていたのですが、生まれたての小鹿のように震えて上手く立ち上がれないようですね。


「ゆ、ユリエルさん…魔物です!!」

 今まで吹っ飛ばされて目を回していたグレースさんはワタワタと変化する盾(『藤甲の盾』)を取り出し構えるのですが、牡丹が吐き出した魔物?は蔦の中にある拳大の目玉をグレースさんに向けてノロノロと触手を上げると、()()()()()()()()()


「待て、落ち着け…我は…ふっべッ!!?」


「ユリエルさんから…離れてください!!!」

 端から戦う気がなかった触手系のモンスターはそのまま情け容赦なくグレースさんに殴られていたのですが、どことなく聞き覚えのある声に対して私はある可能性に思い至ります。


「もしかして…淫さんですか?」

 ルドラさんが牡丹の中に核を移したとか言っていましたし、それを吐き出す事によって分離したという事なのでしょうか?


「だから…ぐっ、おち…落ちつ……話を聞けぇぇえええ!!」


「ひぃやぁあああ!!?」

 淫さんとの会話は(着用者)牡丹(テイムモンスター)にだけ聞こえるという仕様でしたからね、グレースさんからするといきなりよくわからない触手っぽいモンスターが現れて「落ち着け」と言っている訳なので落ち着ける訳がありません。


(他の人には動かす事が出来るだけの装備(ドレス)だと思われていそうですし)

 そんな事を考えている内に殴られ続けていた淫さんはローブ状の体を変化させて……というよりその姿は『翠皇竜のドレス』や『イビルストラ』を合成したような格好と言うのでしょうか?そうなるとチューブトップワンピースの中で蠢いているのは『蒼色のサンダル』なのかもしれませんが……これは【淫装】に対応する装備が集まって淫さんの体が形作られているという事なのかもしれません。


 そんな事はどうでもいいのかもしれませんが、ドレスを解いて布状の触手を伸ばした淫さんはグレースさんの身体に絡まりついて動きを止めるのですが、いつもは分厚いローブを着ているグレースさんが締め付けられていると胸の大きさ(Fカップ)が強調されてしまい何となく目のやり場に困ってしまいますね。


「ぷぅ~…」

 とにかく2人の争いがひと段落したところでこの騒動の主原因ともいえる牡丹を見てみると、胸のつっかえが取れたというように息を吐いており……自分の体より大きな異物を吐き出した影響なのか一回りくらい小さくなっていました。まあそれは良いのですが、今はそれよりどうして淫さんが触手モンスター化したかという事を解き明かす事の方が先決かもしれません。


「あ、ああの!わ、私がこの魔物を押さえている間にっ…ユリエルさんは逃げてください!」


「だから!我の話を聞けといっているだろうが!!」

 そして悲壮感を漂わせるグレースさんは海老反りの体勢で拘束されながらもそんな事を叫んでいるのですが、淫さんはグレースさんを傷つけるつもりがないようですし、拘束されている格好が少しだけ嫌らしいですし……どうやって2人の誤解を解いていきましょう?


「それはそうとして……服に戻る事は出来ますか?」

 このままでは私が全裸のままですからね、戻れないというのなら何かしらの対策を講じる必要があったのですが……淫さんに聞いてみると特に問題ないそうです。


「そう…だな、戻った方が早いかもしれんな」

 淫さんは拘束されたままのグレースさんをチラリと見てから息を吐くのですが、このままでは埒が明かないと拘束を解いてからいつものドレス姿に変化していき……別の生き物が張り付き変化していくような奇妙な感じがしてムズムズしてしまいますね。


「あの…もう少し……お手柔らかに…っ」

 汗ばんだ肌をトロトロとした布地がなぞり巻き付いて来る感触と言うのはなかなか耐えづらいものがありますし、じゅるりと足先から舐められるような感触に続いて割れ目に食い込んで来る刺激に身体が震えて息が弾んでしまいました。


『我慢しろ』


(そう…言われましても)

 少し身じろぎするだけでトロトロした裏地が弱い所を優しく撫でていき、ヌルヌルした生地が当たっているだけで気持ちいというのにクリ〇リスに絡まりついてきた繊維が擦れると声が漏れてしまいます。


「ッ…ぁ…」

 【ポーカーフェイス】などのスキルが無ければ大変な事になってしまったのかもしれませんが、最後の仕上げと言うようにチューブトップドレスの胸元を締め付けられると声が漏れてしまい、溢れた母乳を舐めとるように胸元が捏ね繰り回されると一瞬だけ意識が飛んでしまいました。


『おい…』


(わ…わかって、いますが……これは生理的な反応みたいなもので…むしろ淫さんの動きが嫌らしいだけだと思うのですが?)


『我のせいではない…が、どうやら眷属化した事によって我の力とドレスが共振しているようだな、ある程度姿を固定化していると大丈夫そうだが…動かしている間は不安定なようだ』

 すまし顔で自分に非はないと言い切る淫さんなのですが、私を試すようにドレスが蠢いて……溢れた母乳や愛液がヌルヌルと合わさり滑りが良くなってしまい、乳首をクリクリとされながら割れ目に食い込んだ繊維がクリ〇リスをグリっと潰すと蕩けそうな快感が押し寄せて来て力が抜けてしまいます。


(最近…胸が敏感になってきているとは思いますが…気を、しっかり持たないと)

 そして淫さんが言った通りドレスの変形が終わると動きがひと段落したのですが、ピッチリしたドレスの感触はそのままで……どうやらこれが共振というものなのか、衣類の性能が上がって皮膚の延長線上のような感じになったようですね。


 因みに今までは『イビルストラ』を牡丹が管理していたのですが、分離した事によって淫さん預かりとなったので頭の上に被る事が出来なくなり……。


『出来なくはないが、膨らませている(変化させている)のが辛くてな』

 との事で、垂れ紐で出来たフード付きケープと言う見た目の『イビルストラ』は肩にかかっており、6本の前垂れの内2本が乳暖簾のように胸に覆いかぶさり揺れているのですが……吸盤のようになった裏地が敏感な所を軽く吸ってきたりとその動きは少しだけエッチですね。


(出来たら頭の上にあった方が良いのですが)

 胸に対する干渉を別にしても、被っている方が頭部へのダメージを軽減できますし、触手の可動範囲的にも頭の上(高い所)にあった方が良いと思います。


『善処する』

 との事で、膨らませた『イビルストラ』を変形させて被っておくのですが……淫さんのパワーアップに合わせて制御能力や衣類の性能も上がっているのかスムーズに衣類が動くのですが、何故淫さんまで眷属化したかという事は謎のままで……。


『知らん』

 そんな事を考えていると淫さんがどこか納得がいかないというように呟くのですが……もしかして淫さんが眷属化した理由というのは私と仲良くなりすぎたからという理由なのでしょうか?


『違う、何故お前のような…断じて違うからな!』

 私の推理を被せ気味に否定する淫さんなのですが、こうして軽口を言い合えるくらいには仲良くなりましたし、私の動きの邪魔にならないように【淫装】を制御してくれていますしと感慨深くなったところで牡丹とグレースさんの視線に気づき……。


「ユリエルさんのドレスってこうなっていたんですね…知りませんでした」

 先程まで魔物だどうだと大騒ぎだったのですが、実際にドレスになるところを見たグレースさんは顔を赤らめながら手をワキワキさせながら胸を凝視してきているのですが……平常心を保っていると言ってもドレスの内側が大変な事になっていますからね、今は話を逸らす事にしましょう。


「あまりマジマジと見られたら恥ずかしいのですが…それより、牡丹の方はどうですか?」

 淫さんもこれだけ変わっている事ですし、眷属化した牡丹がどういう風に変わっているのかと思って聞いてみたのですが……まず一番大きく変わったのはその見た目で、背中にある小さな羽で数秒間の浮遊が出来るようですね。


 といってもあくまでフヨフヨと浮く程度の事しか出来ないのですが、どうやら眷属化した事によって幾つかのスキルや私のステータスの何割かが牡丹に上乗せされているようで……細かな数字は検証してみないとわからないのですが、体感では数%程度の強化といったところでしょうか?微々たる変化ではあるのですが、私の魔力が高かった事もあり牡丹のMP事情も大きく改善しているようでした。


 その影響を受けての浮遊能力の取得なのかもしれませんが、翼を動かすというより【魔翼】のように魔力で浮いているという感じで……あと種族自体は『イビルスライム』のままなのですが、種族説明欄に『『搾精のリリム』であるユリエルの眷属』と表示されており、牡丹としてはこうして私の眷属になれた事が一番嬉しいようですね。


「ぷっ、ぷー!ぷぅーぷーぷーっ!!」

 その喜びを全力で伝えてこようとしているのですが、そんな牡丹の頭を撫でたり弾ませてみたり……少し遊んであげながらチェックを続けていると私と牡丹は【招集】というスキルが使えるようになっている事に気が付きました。


 効果としては眷属を呼び出すスキルのようで……私が使うと牡丹を手元に召喚し、牡丹が使うと私の近くにテレポートしてくるようですね。


 どれくらいの距離を移動できるのかは未知数なのですが、分断された時や買い物に行ってもらった時に使えるスキルなのでそのうち検証したいと思います。


 因みに眷属化した事で『イビルストラ(装備)』が淫さん(【淫装】)の方に移ってしまったので牡丹の収納力が低下してしまったのですが、牡丹が【鞄】スキルを持っているからなのか私の腕くらいなら苦もなく呑み込めてしまい……口内には【淫装】に引っかからない雑貨類がごちゃごちゃと入っているようでした。


「ぷっ、ぷちゅ、ぷー」

 そのうち整理しないといけないのかもしれませんが、試しに口の中に手を入れてみるとしゃぶりつかれてしまい……トロトロ粒々した感触はなかなか癖になりそうですね。


(これなら…)

 指先を舐められているだけで蕩けそうになり、牡丹に飲み込まれたりあちこち吸われたりしたら気持ち良くなってしまいそうなのですが……あまりこんな事を考えていると牡丹が目を輝かせながら跳びかかろうとしているので吸い付かれる前に手を離しておきましょう。


 とにかくそんなこんなで一通り眷属化の検証が落ち着いたところで再度まふかさんから連絡が入ったのですが、どうやら私達を発見できずに迷子になっていたようで……。


『ねえ、あんた()って今拠点の西側にいるのよね?』

 そう不機嫌そうに切り出したまふかさんは目撃情報(「南に行ったよ!」)をもとに南側を探していたようで、途中ジョンさんと出会い西側に居るという事を教えられ……その時に私とグレースさんが一緒に居る事を知ったそうですね。


(これは色々と不味いような気がしますね)

 これ以上まふかさんを刺激したら大変な事になると思いますし、私は一度グレースさんに目配せをしてから……怒鳴り散らされる前に謝罪を交えながら私達の居る場所を教えて合流してしまう事にしました。

※少しだけ修正しました(5/14)。


※誤字報告ありがとうございます(3/21)訂正しました。

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