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372:隙間時間とご褒美

(これは私の為に争わないでという状況なのかもしれませんが)

 キスをするさせないとグレースさんと牡丹が争っているのですが、左右のフェイントをかけながら体当たりを仕掛ける牡丹の攻撃を手に持った木製の盾で防いでいるグレースさんの動きがなかなか良いですね。


「ほっ、た…ぼ、牡丹さん…だ、だから…それは言葉のあやで…あ、いえ…あやではないのです…がっ!」

 たぶん相手が牡丹(知っている相手)だという事で無駄な緊張感が無いのだと思いますが、こうして左右に振るように飛び跳ねる牡丹を盾で防ぐ訓練はグレースさんの良い経験にもなっているようなのでもう少し見守る事にしましょう。


(止めるのは後にして、お2人が落ち着くまでスキルの確認でもしておきましょうか)

 『歪黒樹の棘(スキルが使えない)』の影響下で戦っていた時間が長かったという事もあり大きく変わってはいないのですが、連戦だったという事もありそれなりに伸びているスキルもあって……レベルがMAXになっていたのは【収納/展開】【暗視(弱)】【短剣】【収納術】【跳躍】の5つで、【暗視(弱)】に関してはすでにレベルMAXとなっていた【見切り】と【魔力視】の上級スキルと合わせて【探知】と言うスキルになるようですね。


 これは意識している対象をピックアップさせる事が出来るというスキルで、スキルレベルに応じて距離の増減があったり暗闇や霧の中でも対象を把握できたりするという汎用性が高いスキルでした。


 ただその場合は【暗視(弱)】が消えるというのが悩みどころで……【暗視(弱)】を残す場合は【見切り】と【魔力視】の二つを纏めて【未来視】という上級スキルにする事が出来るのですが、名前の格好良さに引かれて取得した人の話では現在と未来が同時に見えてしまうのでなかなか大変だったという報告もあります。


(レベルが上がればどうなるのかはわかりませんが)

 とにかく視覚系のスキルを纏めて【探知】にした場合は全体的な汎用性が上がり、【未来視】にした場合は【暗視(弱)】を残しつつ戦闘寄りのスキル(瞬間的に使用する)構成になるという感じなのかもしれません。


 因みに【暗視(弱)】を残す場合はその上級スキルである【透視(弱)】を取得する事が出来るのですが、これは相手の服を透けさせる能力……ではなくて、霧などの見通せない空間でも視界を確保する為のスキルのようですね。


 性能が(弱)でなければもっと色々な物が透けるのかもしれませんし、レベルが上がればどうなっていくのかはわかりませんが……残りのSPが3ポイントしかありませんからね、レベルアップしたばかりで次のポイントまで遠いのであまり短絡的なスキルにポイントを振るのはやめておいた方が良いのかもしれません。


 そういう訳で視覚系スキルはもう少し考えるとして、すでにレベルがMAXだったスキルは【見切り】【魔力視】【鞄】【尻尾】【扇動】【感覚上昇】【テイミング】【魅了】【蠱惑】【意思疎通】【精神対抗】【羽ばたき】【ポーカーフェイス】の13個。


 レベル9が【解体】【魔力増強(微)】の2個。


 レベル8が【ダブルアタック】【目利き】【魔水晶】の3個。


 レベル7が【秘紋】【呪印】【搾精】の3個。


 レベル6が【人外化】【水魔法】【媚毒粘液】の3個。


 レベル5が【翠皇竜】【淫装】【発情】【神隠し】【絶倫】の5個。


 レベル4が【ルドラの火】【剣舞】【魔翼】【夢魔】【エナジーパワー】【フェロモン】【催淫】【マジックミサイル】の8個。


 レベル3が【召喚言語】【錬金術】【魔力創造】【蹴撃】【電撃】【バイオアブソープ】の6個。


 レベル2が【輪唱】【淫魔の証明】【弱点看破】【吸精】【蜿々長蛇(えんえんちょうだ)】【淫気】の6個。


 レベル1が【カウントダウン】の1個となります。


 この中で効果が大きく変わったスキルは【神隠し】の範囲がPTになった事くらいなのですが……プレイしているゲームがブレイクヒーローズですからね、説明文に無い効果があるかもしれないのでスキルについては要検証でしょう。


 とにかく説明文を見る限り今回スキルレベルがMAXになったスキルの進化先はなかなか面白そうなものが揃えられており、まず【収納/展開】が【擬態】というスキルに代わり、今までのように無理やり人外部分を押さえ込むのではなく能力を残したまま人間形態になる事が出来るようですね。


(これでようやく人ごみの中に入れそうですね)

 スコルさんから【シャドウダイブ】を教わるより先に自力で何とかしてしまったのですが、擬態したまま普通にスキルも使えるようですし……このスキルは覚えておいた方が良いかもしれません。


 続いて【短剣】は【エンチャントダガー】という魔力やスキルを短剣に込める事が出来るスキルに代わるのですが……たぶんこれは私がよく短剣(投げナイフ)に【ルドラの火】を込めていたから習得する事が出来るようになったスキルなのでしょう。


 そして【剣舞(【片手剣】の上級)】の時も思ったのですが、純粋な武器スキル(基礎スキル)からその人の使い方や行動によって進化先が変化するというのは物凄いプログラムだと思うのですが……どうしてその熱の入れ方を時折変な方向に……いえまあとにかく、今までは一撃必殺みたいな【ルドラの火】しか使えなかったですし、色々な効果(付与するスキル)を切り替えつつ戦う事が出来るようになるのなら取得しておいた方が良いのかもしれません。


 そして【収納術】は【アイテムボックス】となり……これは【マジックバッグ(鞄の上級スキル)】と対になるようなスキルで、【マジックバッグ】の方は鞄系のアイテムの効果を増幅させたりレベルが上がれば普通の鞄もマジックバッグのように使えるようになるスキルなのですが、【アイテムボックス】はそれを活用する為の収納スキルといいますか、マジックバッグに手を当てていると仕舞い込んでいるアイテムの一覧表が出て来るようですね。


 レベルが上がればアイテムを同時に出したり音声による取り出しが可能だったりと利便性が上がっていくというスキルで、大型のマジックバッグが手に入る頃には必須に近いスキル(探す手間を解消する)になるのですが……私のマジックバッグは牡丹(イビルストラ)ですからね、お願いをすれば出してくれるのでそこまで優先して取得する必要はないのかもしれません。


 最後の【跳躍】は【立体起動】となり、これは壁蹴りなどの行動に補正が入るスキルなのですが……私の場合は翼を使ってある程度は三次元的に移動する事が出来ますからね、急いで取得する必要性は無いと思います。


(どうしましょう?)

 こうしてみると【擬態】は必ず取りたいですし、【エンチャントダガー】も【ルドラの火】を主力として戦っている私からすると取得しておきたいスキルだと思いますし、それから視覚系のスキルも上げておきたいですし、牡丹から熱烈に【眷属】(【テイミング】上位)を取得して欲しいとせがまれている事もあり……SPが足りません。


(正直重要度と言う意味では【眷属】が一段低いのですが、取らないと牡丹が悲しみますし)

 そんな事を考えながら一度顔を上げるのですが……少し目を離した隙に何故か2人ともボロボロになりながらも勝敗が決していたようで、こうしてお互い全力を尽くした事によって友情が……芽生えなかったようですね。


「ぜっ、はー…ぼ、牡丹さん…ちょ、ちょっと待っ…ふぃん!!?」


「ぷー!!ぷっ、ぷー!!」

 いつの間にか吹っ飛ばされていたグレースさんの上で牡丹がポヨンポヨンと跳ねてマウントをとっていたのですが、流石にそれ以上追い打ちをかけたらグレースさんが可愛そうですし、飛び跳ねる牡丹をキャッチして攻撃を止めさせましょう。


「牡丹」

 捕まえられた牡丹は何故かどこか自慢げで「叩きのめしてやりました」みたいなしたり顔だったのですが、いくら私の事を思っての行動とはいえやり過ぎです。


「グレースさんもお疲れ様です…大丈夫ですか?」

 こちらは息も絶え絶えと言う様子なのですが、どうやら徐々に形を変える盾の変化に振り回されてしまったようで、その隙を突くような牡丹の体当たりを受けてしまったようですね。


「ひっ、はっ…はひ、だいじょうぶです…たた……ッ!?」

 無理矢理ニチャリとした笑みを浮かべるグレースさんは負けてしまった(キスできない)という事実や痛みに涙を浮かべているのですが、その唇に軽く口づけをすると目を真ん丸にしてから「ふわぁあああ」とか変な奇声をあげてしまいました。


『まあ…こうなるよな』


「ぷっ!?」

 これくらいのご褒美で良いのならと言う気持ちがあったのですが、淫さんが呆れたように呟き必死にキスを阻止していた牡丹がプヨンプヨンと暴れていて……空腹時に唇を通してグレースさんの精気が身体に染み渡ると少しだけムラムラしてきてしまったのですが、この辺りに丁度いい物陰なんてありましたでしょうか?

※【テイミング】の上位を【使役】と表記していましたが、正しくは【眷属】となります。【淫魔の証明】を取得した影響で変化している事をうっかり忘れていたので訂正しておきました(5/9)。


※誤字報告ありがとうございます(3/21)訂正しました。

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