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333:通路開通

「こっのぉぉおおおッ!!」

 【狂嵐】を纏ったまふかさんがパチパチと弾ける雷光となりミューカストレントに駆け寄ると、デバフがかかる前に『デストロイアックス』をおもいっきり振りかぶってウネウネと蠢くミューカストレントの巨大な根っこ斬り飛ばしました。


「OoOOOOOOoxxxttt!!?」

 そして伐倒(ばっとう)されたミューカストレントは戦慄(わなな)くような地響きを立てて倒れていくのですが、これは別に驚くような結果ではありません。というのもD P S(秒間あたりのダメージ)ならともかく、単純な単発火力なら【狂嵐】込みの『デストロイアックス』を振るうまふかさんの方が上ですからね、ドレイン能力を駆使してしぶとく粘るタイプのミューカストレントの根っこと一撃必殺型のまふかさんの相性がよかったのだと思います。


「はっ、どんなもんよ!」

 その結果を見ながら勢いのまま反対側に抜けていったまふかさんは小さくガッツポーズをとっていたのですが……きっと先程の一撃に全力を注ぎ込んでいたのでしょう、息が上がってフラフラですし【狂嵐】が維持できないレベルまでMPが低下していて立っているのもやっとという様子だったのですが、生き残っているジェリーローパーはまだまだ沢山いますからね、私達が危機的状況に居るという事に変わりはありませんでした。


(私も…早く…)

 ミューカストレントの根っこが斬り倒された瞬間から吸収効果(デバフ)が無くなりましたからね、牡丹と淫さんと協力して絡まりついてきているジェリーローパーを1体ずつ倒して引き剥がしにかかるのですが……ヌルヌルが絡みついてきていて上手くいきません。


(く、ぅぅう…中で…暴れ、ないでッ!?)

 力を入れると膣がキューっと締まってしまいますし、中で蠢く触手が動いて子宮口やGスポットが抉られると力が抜けてしまい、乳首に絡まった触手を無理やり引き剥がそうとするとグニュグニュと強く抓られて頭の中が真っ白になりそうでした。


「はっ、はっ…おっっ…お゙お゙お゙!?」

 それでも何とか頑張って引き抜いた時には背筋がゾクゾクして意識が飛びそうになってしまい……歯を食いしばって絡まったジェリーローパー達を引き剥がした時にはもう息も絶え絶えといった状態で、媚毒塗れのなかなか酷い状態ですね。


『お手数を…おかけ、しました』

 そんな状態なので離れた場所にいるまふかさんに声をかけるのが億劫だったのですが、危ないところを助けていただいた訳ですからね、PT会話経由でお礼を言っておく事にしましょう。


『えっと、いや、それはいいけど……その、大丈夫?』

 呼吸を整えながらジェリーローパーと戦っているまふかさんは私の言葉に赤くなりながらモジモジしていたのですが……まふかさんも靄の中に含まれている媚毒の効果を受けている状態ですからね、身体が火照っている状態で触手にヌチャヌチャされている私達を見ているというのはなかなかきつかったようで、まふかさんはまふかさんでエッチな事で頭の中が一杯になっているようでした。


『むしろ気分が良いくらいですが』


『そ、そう』

 平静を装おうとする姿は可愛かったのですが、まふかさんは【狂嵐】対策の為に薄い全身タイツのような防具を身に着けていますからね、股間を覆っている最低限の布地が湿り気を帯びていている事が丸わかりなのですが……それでも必死に誤魔化そうとしているので気づかないフリをしておきましょう。


『おい、大物は何とかなったみたいだが油断はするなよ?』


『わかって…いるのですが』

 私自身は【発情】の効果なのか身体がフワフワしている夢心地で、淫さんに注意されても笑い声が漏れてしまいそうになるくらい頭の中がポワポワしていて……そんな私を見ながらまふかさんは「ええぇ…」みたいな顔をしながら引いていたのですが、今はそんなどうでもいい事にツッコミを入れている場合ではないですね。


 私は気持ちを切り替えるために一度深呼吸をして、意識を目の前に戻しながら改めて辺りを見回してみたのですが……ミューカストレントの根っこは切り倒されて地上でビタンビタンと暴れていて、ジェリーローパー達は逃走中、根元側は引っ込んでしまったのか巨大な穴が残っているだけでした。


 その大穴も支える物が無いので地崩れを起こして塞がっており、開いた穴を通って大本に攻撃を仕掛けたり毀棄都市に潜入するといった事は無理そうですね。


(後は残敵掃討といったところですが…)

 見る見る内に斬り倒された根っこは弱っていき、残っているジェリーローパーの掃討をすればいいだけなのですが……まふかさんはMPとスタミナ切れでフラフラしていますし、私も限界が近く、グレースさんはつい先ほどから反応が無くなり強制ログアウト寸前といったところです。


 淫さんが言うようにここで油断して全滅というのも馬鹿らしいですし、今は殲滅に集中する事にしましょう。


(とはいえ、流石にこの数は憂鬱になりますね)

 エネルギー源(ミューカストレント)を失って散り散りに逃げていくジェリーローパーの数は数百体、全て倒す必要がないといっても中途半端に群れを形成されても困りますからね、適当に間引きをしなければいけません。


『ねえ、もういっそのことコイツら放置して先に進まない?』

 そして疲労困憊のまふかさんも同じ事を考えていたのか弱音を吐くのですが、逃げられたら逃げられたらで後々面倒な事になる予感がするのですよね。


『そうしたいのは山々ですが…ある程度倒しておかないと通路が使いづらいですし、変な場所で群れられたら色々と厄介ですから』


『あー…そういう可能性もあるのね…ほんと、どこまでも嫌らしい奴らだわ』

 私がそう説明するとまふかさんは嫌な顔をしたのですが、とにかく気力を振り絞って残りのジェリーローパーを倒していき……それから逃げていくジェリーローパーに連れ去られそうになっていたグレースさんを救出しておいたのですが、反応が無いので復帰してくるまで放置しておく事しかできません。


「はーこれで大体全部かしら?」

 逃げ延びた数はよくわからないのですが、レベルが上がるくらい倒しましたし、追撃する余裕もないのでこれ以上は見つけ次第倒していく事にしましょう。


「そう…ですね」

 とにかく私達は通路の出入り口付近のモンスターを掃討したところで一息つく事にしたのですが、私は『デストロイアックス』を支えにして立っているまふかさんに抱き着くと、ピッタリと張り付く衣類に手を這わせながらその唇を塞ぎました。


「ちょ…いきなり何やっ!?な…なにすんのよ!?」

 キスをした時のまふかさんの舌の感触だけでいってしまいそうになりながら、もう一度その唇と舌の感触を楽しむのですが……触手に無理やり蹂躙されるのとも違う温かい感触は酸欠に陥った時のように意識が遠のきそうで、そのまままふかさんをギューっと抱きしめました。


 肌と肌が擦れてお互いの胸がムニュウと潰れるだけでまふかさんも気持ちよくなったのか震えながら力が抜けたのですが、気を許しているのが恥ずかしかったのかまふかさんは私の顔を押し返そうとしていて……【狂嵐】の入っていないまふかさんの力なんてたかが知れていますからね、無理やり振りほどいてもう一度キスをしながら尻尾を巻き付けて押し倒してしまいましょう。


「お礼も兼ねて、まふかさんの媚毒も治療しないといけませんから」


「だからって…いきなり、まだ敵が……んっ」

 我慢するのは身体に毒ですからね、まふかさんのグショグショになっている割れ目に指を這わせるだけで顔を真っ赤にして固まってしまったのですが……本当にギリギリのところで戦っていたようですね、あっさりと私の指の前に陥落したまふかさんは物欲しそうに腰を動かすと瞳を潤ませながら見つめ返してきて、その蕩けた顔に誘われるように口を塞ぎます。


「本当にありがとうございました、まふかさんが頑張ってくれたおかげで勝つことが出来ました」

 媚毒塗れのまま耳元で感謝の言葉を囁くのですが、ジェリーローパーに良いところまで持っていかれた私がこのまま中途半端な状態で止まれる訳がありません。なのでまふかさんを押し倒してイチャイチャする事にしたのですが、やっぱり触手達にグチャグチャにされるよりまふかさん達とイチャイチャしている方が気持ち良いですね。


「やめ…首筋…っ、舐めないで…汚い…から、ああ、もう!」


「そうですか?そんな事を言っている割にはこうやって少し舐めただけで…ほら、凄い事になっていますよ?」

 【狂嵐】のパチパチした電気的な刺激で肌が敏感になっているのか、まふかさんは少し撫でながら舌を這わしただけで腰が浮くほど気持ちよくなってしまっているようで、甘い息を吐きながら腰砕けになっていました。


「くぅぅっ!?それは…あぁん…っ、違う、それはスキルのせい…だから、違う、からぁッ!?」

 ペロペロされただけで気持ちよくなってしまっている事を必死に否定するまふかさんなのですが、そんな状態で乳首を転がしただけで潮を噴きながら何度もいってしまい……そんなまふかさんを見ていると楽しくなってきてしまいますね。


(何故でしょう?)

 触手にやられるのもまふかさんやグレースさんとイチャイチャするのも気持ち良いという事には変わりはないのですが、私としては断然まふかさん達とイチャイチャしている時の方が好きなのだと思います。


(相手の事が好きか嫌いかという事でしょうか?)

 まあ私は可愛いものが好きだと思っていますし、少し触れられただけでヨワヨワになってしまっているまふかさんは確かに可愛いのですが……とにかくまふかさんが満足するまでイチャついた後に残りのポーションを使って体調を整える事にしたのですが、その頃にはグレースさんも復帰していて、いきなり土下座をされてしまいました。


「ユリエルさん達の足を引っ張ってすみませんでした!!」

 グレースさんもグレースさんで頑張っていたのですが、攻撃を成功させてヘイトを稼ぐ事になった私とミューカストレントを斬り倒したまふかさんと比べると初手転倒していただけですからね、申し訳ないという気持ちがいっぱいになった上での土下座なのでしょう。


「得手不得手もありますし、戦い慣れるまでは仕方がないかと…それにほら、皆無事ですし?」


「そうね、別にいいわよ…次から頑張りなさい」


「は、はい!誠心誠意善処いたし…ます?」

 私はともかく怒りっぽいまふかさんからのお叱りの言葉が無かった事にグレースさんは首を傾げていたのですが……今のまふかさんはイチャイチャした後なので頭の中がフワフワしていて機嫌が良いのですよね。


「…何よ?」


「いえ、別に」

 まふかさんはどこか憑き物が落ちたようにスッキリした顔をしながらも口元は半笑いだったのですが、その事を指摘したら怒られそうなので黙っておきましょう。


「それじゃあ身体を水洗いしたら先に進みましょうか」

 とにかく皆で協力してミューカストレントの根っこを退治できましたし、ジェリーローパーを散らして通路を確保する事も出来たのですが、全員媚毒やら汗やらで酷い有様ですからね、流石にこのままでは不味いと私は【水魔法】で身体を洗おうとしたのですが……何故か2人は後ずさりして悲鳴を上げました。


「じゃあじゃないわよ、じゃあじゃッ!?」


「あああの、ユリエルさん、今はその…その…色々あって敏感になってしまっているといいますか、今そういう事をされるというのは!」


『………』


「ぷー…」

 ブンブンと手や首を振るまふかさんとグレースさん、そして淫さんと牡丹が「まだやるのか」みたいに何とも言えない顔で私の事を見てきたのですが……。


「媚毒を洗い流さないといけませんし」

 特に身体の内側に媚毒を塗りたくられているグレースさんをそのままにしておく訳にはいきませんからね、拒否されようともキッチリと丸洗いして綺麗にしておかなければいけません。


「そ、そうね…でもあたしはほら…大丈夫(塗りたくられて無い)だから、この子(グレースさん)だけ洗ってあげなさい!!」


「ひゃぃっ!?そそそそれはっ!?」

 とかなんとか譲り合いの精神を発揮しているまふかさんとグレースさんなのですが、こうなったらもう2人纏めて問答無用でしっかりと水洗いする事にして……ポーションの無駄使いだと淫さんに小言を言われてしまったのですが、とにかくこれで無事に進む事が出来るようになりましたからね、2人が動けるようになったら身支度を整えてから先に進む事にしましょう。

※少しだけ修正しました(2/14)。

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