317:何をしましょう?
ドゥリンさんは怒鳴るだけ怒鳴ってから『魔嘯剣』を回収していったのですが、それに伴いシグルドさんとの試合もお開きになり有耶無耶になってしまいました。
「それじゃあ…続きはまた今度」
そうして丁度いい練習相手を見つけたというように笑うシグルドさんと苦笑いを浮かべるスコルさんも雑用係として連れていかれてしまい、私だけが作業の邪魔だと追い出されてしまいます。
『妥当な判断だな』
(それはどういう意味ですか?)
『言葉通りだが?』
相変わらず酷い事を言う淫さんの事は横に置いておくとして……ドゥリンさんが言うには最終調整と修理だけならすぐに終わるし、何かあったらスコルさん経由で連絡するのでその辺りで適当に時間を潰しておいて欲しいそうです。
この後の事を考えるとこの待ち時間にサッと夕食を食べて来るのが良いのかもしれませんが、何かあったら連絡をすると言われている状態でログアウトするのも悪い気がしますし、だからと言ってこのまま修理が終わった後に夕食を食べると待ち合わせ時間ギリギリになってしまい『魔嘯剣』がぶっつけ本番の実戦投入になる事が確定するのですが……まあそれに関しては何とかかなると思うのでのんびりする事にしましょう。
とは言っても、適当に時間を潰すと言ってもスコルさんが居ないと【シャドウダイブ】が使えないので本格的な移動が出来ないですし、『ベローズソード』と『魔嘯剣』の二つを取り上げられてしまっているのでまともなレベル上げも出来ません。
そして【錬金術】などの生産も色々と準備と作業に時間がかかってしまいますし……こうなったらもう適当に村の散策をしながら消耗品の補充や空腹度の回復をする事にしたのですが、やはり王都やアルバボッシュと比べると商品の品揃えが悪いような気がしますね。
(それでもポーションの補充は出来ましたし、後はもう修理が終わるまでゆっくりしていましょうか)
私達は消耗品の補充を終わらせてから食事休憩をとる事にしたのですが、お店に入ると色々なトラブルが舞い込んできますからね、村外れに建っている木造の大型倉庫の上で買って来た軽食を食べる事にしました。
「物凄く甘いですね」
折角時間があるのでいつもの携行食ではなく牡丹が買って来た木の実を砂糖で固めたようなタルトを食べる事にしたのですが、食べた感想としては疲れた時に食べるお菓子という尖った甘さですね。
(これはこれで美味しいかもしれませんが)
砂糖のジャリジャリ感と甘さ一辺倒の単純な味付けの中に複数の木の実が隠れているという奥深い味わいが口の中一杯に広がり……リアルだとこんな砂糖漬けのお菓子なんて食べませんからね、これもゲームならではの体験なのかもしれません。
そんな木の実のタルトを咀嚼しながらぼんやりと『はぐれの里』の景色を眺めるのですが、今のところ私達に気がついたというような人は見かけませんし、ただただのんびりとした長閑な森の中の村という風景が広がっていました。
これが王都方面なら中級者がレベリングをしていたりと活気がありますし、『アルバボッシュ』なら『レナギリーの暗躍』を攻略している人が行ったり来たりしているので騒がしかったりするのですが、それと比べると『はぐれの里』は本当に長閑で心が落ち着く感じです。
(ワールドクエスト、ですか)
ほとんど参加していないのでどうなっているのかはよくわからないのですが、第二エリアの蜘蛛達にやられると男女問わず『蜘蛛糸の森』に連れていかれて卵を植え付けられてしまうようで、その治療のために『アルバボッシュ』と第二エリアを行き来している人達が結構いるようなのですが……なんでも熊派の人達が本格的にP Kを始めて乱戦になっている事も影響しているようで、トレインからの擦り付けで蜘蛛達と強制的に戦わされてそのまま卵をという被害者が結構いるようですね。
(あれは本当にきついですからね)
私も卵を植え付けられた時の事を思い出すといまだに下腹部が疼いて身体がブルリと震えるくらいなのですが……とにかくそんな喧騒から取り残されたような『はぐれの里』には定期的に鍛冶の音が響き渡っているだけの長閑な景色が広がっています。
「ぷー?」
「そうですね…」
だからと言ってずっとぼんやりしているのも勿体ないですし、タルトの残りを食べたら何かする事にしましょう。
『それにしても、本当に燃費が悪い身体だな』
「っ…と思っているのなら食事はしっかりと食べたいので吸うのを止めてもらっても良いですか?」
そうして最後のタルトを口の中に放り込むと、淫さんがいきなり胸を吸ってきて身体が跳ねてしまうのですが……ビックリしすぎて口の中からタルトの欠片が零れ落ちてしまいました。
『気にするな、ただのMP補給だ』
「だから…って、私が食べている時に…っ」
『搾精のリリム』になり感度の高まってしまった身体は少し吸い付かれただけで乳首が固くなってしまい、コリコリされただけで身体がキューっとなってしまうのですが……落ち着きなくモジモジと太腿を擦ってしまうと、まるで私が催促したからというように淫さんの魔の手が鼠径部から割れ目へと迫ります。
「ぁあっ…の、だ…から、もう…そろそろ止め…っ!?」
いくら道行く人からは見えない場所にいるとはいえ、こんなにも開けた場所でドレスに胸をムニムニと揉まれて割れ目をなぞられるというのは奇妙な倒錯感があって頭が沸騰しそうで……そんな状態で三つの突起を同時にカリカリされるともう食事どころではありません。
「ぷー…」
牡丹だけが「またやってる」みたいな顔をしながら少し離れた位置でウニョウニョと背伸びと屈伸を繰り返していたりと我関せずな姿勢を貫いていたのですが、そんな時に……。
「そこに居るのはユリエルさん…ですか?」
「ふぅあっ!?」
いきなり話しかけられて心臓がドキンと跳ねて変な声が出てしまったのですが、フワフワと倉庫の上に現れた黒髪に近いこげ茶の髪を持つ半透明の女性は確か……。
「…ハムさん、ですか?お久しぶりです」
スライムイベントの時に同じ人外という事でPTを組む事になった幽霊の人でした。
「はい、お久しぶりです……その…お隣、よろしいですか?」
久しぶりに顔を合わせたハムさんは相変わらず白色のワンピースだけというシンプルな装いなのですが、どうやらこの辺りでレベル上げをしていたようですね。
その途中でたまたま私を見つけたので話しかけてきたというようなハムさんはフワフワと近づいて来るのですが、その頬は微かに赤く染まっていて……私は淫さんとの痴態が見られていたのかと身体が熱くなってしまいました。
「は…はい、どうぞ」
だからと言って「どの時点から見ていました?」と聞くのも自分からバラしているようなものですからね、何食わぬ顔で対応する事にしたのですが……無駄な努力だったのかもしれませんね。
『こうしてバレているかバレていないかという時の方が極上の魔力が溢れて来るのだが…どういう事だろうな?』
そうしてスライム状態の牡丹が離れている事をいい事に、まるで私の平常心を試すように容赦なく蠢き続ける淫さんなのですが……こんな状態でもスリスリと優しく円を描くように乳首の縁をなぞりカミカミされると身体が反応してしまい、顔に血液が集まってきてしまいます。
(だから…と言ってッ)
私は精いっぱい反論しようとするのですが、こんな状況で膣口を弄るようにくにゅくにゅと細い触手を浅く出入りされるとゾクゾクとした刺激が脳髄に突き刺さってしまい、火照った身体から溢れた体液を淫さんが舐めとるだけで軽くいってしまい目の前がチカチカしました。
「………」
そんなのっぴきならない状態の私のすぐ隣にはフワフワと浮いているハムさんがいるのですが、その場に正座をしようとしていたり風に流されたりと苦労しているようで、私の事はあまり視界には入って……いないという事はないようで、何か言いたげにチラチラとこちらを見てくるのですが、その視線に対して私は引きつりかけた笑みを返します。
「それ、で…どうしました?」
ヒクヒクと痙攣しそうになる表情を【ポーカーフェイス】で誤魔化しながら、私は沈黙に耐えかねてそう質問したのですが……ハムさんは何か言いづらそうに視線を彷徨わせました。
「はい…あ…いえ…」
そして少し考え込んでから、思い切ってというようにハムさんは頬を染めながら口を開きます。
「ユリエルさんならわかってくれると思うのですが…その、少し相談したい事があるのですが……お時間よろしいでしょうか?」




