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304:毀棄都市ペルギィ

 たまたま出会ったグレースさんと共に毀棄都市攻略を行う事になったのですが、『隠者の塔』から南東方向に進んだ所にある崖を降りたところで私は重要な事を思い出しました。


「毀棄都市のモンスターは魔法攻撃じゃないと倒せないのもいますけど、グレースさんって魔法武器を持っていましたっけ?」


「あっ、はい、えっと…一応杖には魔力を込める事が出来ますが…?」

 「まずかったでしょうか?」という風な様子のグレースさんなのですが、もとからヒーラー役のグレースさんには火力を求めていませんし、今回はあくまで様子見という感じなので護身が出来る程度の武器があれば問題ないでしょう。


「いえ、それなら大丈夫ですね」

 とにかく自衛に努めて無理をしないように言い含めておき、牡丹にも【オーラ】と【電撃】を付与(【秘紋】)して魔法攻撃力を上げておきます。


(本格的な攻略となると、装備を整える必要があるのかもしれませんが)

 武器以外は無耐性の装備を身に纏っているグレースさんを連れている以上無理は出来ませんし、今回は地理把握と魔法装備の必要性の確認と割り切った方が良いかもしれませんね。


(そうなると…いっその事金策を考えて動きましょうか?ゴーストの魔石か『妖精の鱗粉』辺りが高く売れると言われていますし)

 魔石は『レナギリーの暗躍』の功績ポイントを得るためにプレイヤー間でトレードされている物ですし、『妖精の鱗粉』は魔法防御や耐性を上げる効果があるという事で高価買取が行われていたりと、毀棄都市は金策をするにしてもなかなか手ごろな場所でした。


 そんな事を考えながら徐々に濃くなっていく霧の中をグレースさんと共に進んでいくのですが、道標となっているのは『クヴェルクル山脈』から流れる川幅の広い川です。


 その川を南下すると更に川幅が広がっていき、対岸が霧に霞んで見えなくなった頃に見えてくるのが、その大河の流れを半分塞ぐように建てられているボロボロの城塞都市です。


 それが『毀棄都市ペルギィ』なのですが、構造としては用水路として引き入れた川の水が北西から南東方向に向かって流れており、都市部が北東部と南西部の二つに分かれているというかなり変わった造りをしているのですが、これはまあゲームの都合と言いますか、毀棄都市を通過しないと東のMAP(イースト港)に行けないように川で区切っているだけのようですね。


 まあそういうゲームの仕様については一旦横に置いておくとして、とにかく都市部に入るための門は南側に大きめの正門があり、西側には一回り小さな通用門、そして川の反対側に抜けるための東門という合計三か所の侵入経路があります。


 因みに最終的な目的地である北東部(最奥)には領主の館や貴族街があるらしいのですが、今は腐った森が広がっており未探索なのでよくわかっていませんし、北側は川が天然の堀のような役割を果たしており侵入は難しいとされていました。


 それでも小舟を作ってみたり泳いでみたりと北側から直接侵入を試みたプレイヤーもいたようなのですが、攻略されていないという事を考えると上手くいかなかったようですね。


(私達は安全第一で行きましょうか)

 今回は様子見と金策と割り切る事にしましたし、一番近い西門(私達は北西部から来た)から入ろうと思っているのですが……毀棄都市に近づけば近づくほど霧は濃くなっていき、視界が悪くなっていきます。


 有視界距離は80メートルもなく、そこから更に霧は濃くなっていくのですが……それでも崖を降りてから10分もしない内に毀棄都市の城壁と、目的地である西門が朧げに見えてきました。


(壁の崩れた所から入る事も出来そうですが…)

 思ったより壁がボロボロで……まあ補修する人がいる訳でもないですし、モンスターが徘徊しているのである程度は仕方がない事なのかもしれませんが、壁の高さは10メートル程度、ただそれは丸々残っている所がそれくらいの高さがあるというだけで、崩れ落ちている所は2から3メートル程度と翼を使えば飛び越えられる高さですね。


(ぷー?)

 頭の上に居る牡丹が「どうするの(飛び越えるの?)?」と聞いてきたのですが、今回は様子見(無理はしない)と決めましたし、正攻法で行こうと思います。


(いえ、今回は正攻法で行きましょう)

 城壁の所々植物に浸食されたような跡が見られるのが不穏な気配を発していますし、私達はそのまま周囲を警戒しながら西門に近づいていったのですが……その(門の)形がはっきりと見えてきた辺りで空気が変わり、牡丹が周囲の警戒を優先している(ドレスの制御を緩めた)事で浮かび上がってきていた淫さんが注意喚起をして(声をかけて)きました。


『わかっているな?』


(ええ、霧に媚毒が…)

 チャプチャプという川の流れに混じってジェリーローパーか何かが蠢いている音が微かに聞こえて来ますし、霧の中に混じる媚毒に身体が反応してしまっているのですが……こうなるともうトロリとした霧が肌を撫でるだけでゾワゾワしてしまいますね。


『ーーーーーーーーーーーーーーー』

 なので警戒度を一段上げて、そろそろモンスターの襲撃も考えられるので武器を構えながら会話をPT会話に切り替えたのですが……PT会話が繋がりません。


 他のプレイヤーの攻略対象にもなっているにその気配もないですし、何かしら特殊なMAPになっているのか妨害電波でも出ているのか、とにかく不気味な場所ですね。


(この霧が感知系や連絡系のスキルを妨害しているのでしょうか?)


(ぷー……ーーー)

 試しに牡丹が私の頭の上から降りたり昇ったりしたのですが、頭の上に乗っている間は【意思疎通】が可能なのですが、頭から離れると連絡が取れなくなりました。


(厄介ですね)

 PT推奨ゲームで連携を分断するギミックがあるというところに運営の意地の悪さが出ているのですが、これは慎重に攻略する必要がありますね。


 とにかく牡丹も左手に投げナイフを持ち、右手に鋼の盾を構えて周囲に視線を向けてくれているのですが、伸ばした手の先が霞むほどの霧の前では有視界での警戒がどれ程の効果があるのかわかりません。


「グレースさんも戦闘に備えてください」


「え、あっ、は、はい!わかりました!」

 PT通話が繋がらないので口に出して注意を促すと、グレースさんはやや興奮気味に返事を返してくれるのですが……やる気に溢れているというより媚毒によって集中力が切れかけているようですね。


 まだ何もしていないというのにその肌は汗ばみ、頬が上気して荒い息で辺りをキョロキョロしていたりと、一戦もしないうちにそんな状態になっているようでは撤退の判断は早めに下すようにしておいた方が良いのかもしれません。


「え?な…ッ!?」

 そうして私が先頭になり西門をくぐろうとした所で、何かヒヤリとした空気が肌を撫でたかと思うと……何もない所からいきなり現れた青白い手が私の胸をムニュゥと鷲掴みにしてきて、素っ頓狂な声をあげてしまいました。


「ぷっ!?」

 牡丹も接近に気づかなかったのか慌ててナイフを振るうのですが、私の肌に密着している物を攻撃するのには手こずっているようですね。


(待って、ください…っ、牡丹、痛っ、私の胸をペシペシ叩いてますっ!?ちくびっ…乳首はぁぁっ!?媚毒で身体が火照ってっ…ふわっ、あぁああっ!!?)

 私と牡丹がワチャワチャしているうちに青白くもヒヤリと冷たい手は霧の中から次から次に表れては容赦なく私の胸をムニムニと揉みしだき、かと思うと媚毒によって硬くなった乳首をカリカリと弾かれた時には電気が走ったような感じで母乳を垂らして軽く甘いきしてしまいました。


(はぁ…ぁああっ!?あぁあああぁあーッッ!!?)

 グレースさんが近くに居るのにという緊張感が更なる奈落へと誘い、お尻や股間にも手を伸ばして来た青白い手は弱くなりすぎている敏感な肉の芽を摘まみ、身体に絡みつく無数の愛撫によって私はあっさりと一度目の絶頂を迎えてしまいます。


「はっ、はー…こっ…の!」

 ポタポタと太腿を伝う不快な感触と、いつの間にか深く浸透していた媚毒の効果を封じ込めながら軽い絶頂から立ち直ると、私は反撃に移ろうと震える身体に活を入れるのですが……距離が近すぎるので『ベローズソード』は使えません。なので仕方なく【オーラ】で強化した手で叩いて落としていくと、その青白い手は未練がましい呻き声を上げながら人の形を浮かびあがらせました。


「OOooOOOxoo…」

 うすらぼんやりと浮かび上がる青白い顔、輪郭のない人の身体、どことなく人っぽい形をしたモノが恨みがましい声を上げたかと思うと、何体ものゴーストがわらわらと集まって来て私の身体に手を伸ばしてきます。


 いつの間にか敵の接近を許してしまっていたようなのですが、相変わらず魔力感知には反応なし。とにかくグレースさんに当たらないように『ベローズソード』に魔力を込めて周囲の(ゴースト)を薙ぎ払うと、ボスッという軽い感触と共に複数体のゴーストが切断されていくのですが、感触が軽すぎて倒せているのかもわかりません。


『これは……なかなか厄介だな』


(ぷー…)

 本格的に戦っている最中なので淫さんも協力してくれているようなのですが、うっすらとした人型が霧に溶けるように消えていっては新手が増えてという状況では大した事は出来ません。


 そして纏わりつくようなゴーストの冷たい手はドレイン効果でもあるのか触れられていると力が抜けてしまいますし、かじかんだようにヒリヒリして快楽神経が剥き出しになったように身体が敏感になってしまいます。


(これが、ゴースト…それに、倒している…のにっ!?)

 斬り払い飛び散った欠片はまるで意思を持っているかのように私の身体に纏わりつき、消える瞬間まで嫌らしい場所を刺激しようと蠢いてきてと本当にたちが悪いですね。


「グレースさん、一度撤退を…グレースさん!?」

 ゴースト達の嫌みのような攻撃を凌ぎ、私はグレースさんに声をかけながら振り返ったのですが……その姿は霧に巻かれたように影も形もありません。


「ユリエルさん!?私はこっちで……ひぃあっ!?」

 それでも意外と近くからグレースさんの声が聞こえてきたので傍にはいるようなのですが、霧が深すぎてよくわかりません。駆け寄ろうにも私とグレースさんの間には霧が集まるようにして5体のゴーストが現れ立ち塞がり、早々にPTが分断されてしまったようですね。

※毀棄都市が川を半分くらい遮ってというのはそのままの意味で、川の中ほどまで町が広がっていて、そこからは橋が架かっていてその先が東門となっています。つまり西と南西部が陸地に接しており、北側と東と南東部は川に面しているというMAPで、更に街の真ん中を大きめの用水路が斜めに流れています。


 因みに毀棄都市周辺を流れる川にはジェリーローパーがウヨウヨしており、そんな場所を泳いで渡ろうとしたら大変な事になります。情報が無いのも泳いで渡ろうとした人がヌチャエロされたからで、そんな事を赤裸々に語ろうという人がいなかったのと「お前も酷い目にあいやがれ!」と被害者が黙秘した為に情報が出回っておりません。

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