297:ジェリーローパー戦
媚毒漬けにされている100センチ越えの巨乳がたぷんたぷんと揺れるだけで甘いきを繰り返しているような状態ですし、媚毒塗れの触手にズボズボされた事を思い出すだけで母乳やら愛液やらをトロトロと垂れ流してしまうような身体には力が入らなかったのですが、ジェリーローパーが迫ってきている状態では騙し騙し頑張るしかありません。
(ぷー…)
『お前がオナっていなければもう少し早く対処できたものを』
そんな決意を固めているとどこか残念そうに牡丹が呟き、淫装さんも歩み寄りをみせてくれているのは嬉しいのですが、小言を言ってくる人が増えたような気がするのは気のせいでしょうか?
(そんな事を今更言っても仕方がないでしょう、とにかくこの場合は……上に逃げるべきですね)
ヌチュリヌリュリとジェリーローパーが上から下からと這い寄ってくる気配が近づいてきている場所に留まっていても袋叩きにあうだけですからね、まずは囲まれている状態から脱出するべきでしょう。
そして階段を下りた先はスコルさんが間引きしてくれているとはいえまだまだ数えきれない程のジェリーローパーがいますからね、それと比べると上から降りて来る気配は4から5体程度と、それくらいなら今の私達でもまだ何とかなるのかもしれません。
そう判断し、私は呼吸を整えながら『ベローズソード』を構えてもう一度周囲を見回したのですが、通路は薄暗い横長長方形の階段状で、所々にある踊り場も含めて高さは5メートルで横幅は10メートルちょっとでしょうか?PT単位の戦闘を想定しているような石造りの通路は緩く曲がっているもののほぼ直線形なのですが、漂う媚毒の霧が著しく視界を狭めているため全長はよくわかりません。
とはいえ大雑把に地面をくり抜き石材で補強しただけという通路は通気性の事をあまり考えていなさそうな造りですし、それでいて窒息判定が入らないという事はそれほど奥行きがある場所でも無いのでしょう。
(それに…)
『ギャザニー地下水道』以外に『エルフェリア』に行ける秘密の通路があるのでは?という噂があるのですが、私の予想ではここがその通路ではないかと思っています。
(この判断が吉と出るか凶と出るかですが)
つまり階段を昇れば『エルフェリア』側に抜けられるような気がするのですが、最悪の場合は袋小路に追い詰められてジェリーローパーに囲まれるという可能性もありますし、その辺りは賭けとなりますね。
あと問題があるとすれば著しく通気性が悪いために媚毒の霧が溜まってジメジメとした毒沼が所々にある事なのですが……これはスカート翼が使えれば一気に飛び越えて行くという事も出来たのかもしれませんが、今は耐性に全振りしているためにドレスが動かずスカート翼が使えません。
そうなると【魔翼】頼みとなるのですが、小回りはともかく加速力や最高速が低下しているので一気に駆け抜けるというのも難しいでしょう。
『……少しくらいなら動かせるかもしれんが』
そんな事を考えていると私の考えを読んだように淫装さんが呟くのですが、媚毒まみれの状態で耐性を下げれば動けなくなりますし、接敵前にドレスの魔力吸収を行い万全の状態に持っていくというのも難しいと思います。
(いえ、このまま耐性全振りでお願いします)
とにかく相手は同レベル帯のジェリーローパーが4から5体、ブヨブヨした蕩けるゼリー状の本体から伸びた10数本の触手は10メートル前後は伸びるようですし、この閉鎖空間では脇をすり抜けるというのも難しいですね。
そして火力で押し切っていくというのも難しく、通常の【ルドラの火】程度ならともかく【輪唱】あたりまでいくと自爆の可能性があるので控えた方がいいと思いますし、下手に火力を出しすぎると坑道が崩れる可能性がありました。
「よし」
私はあえて言葉にする事で気持ちを切り替えると、牡丹に【短剣】と【ルドラの火】を付与して一時的に火力を増強し、防御用に【魔水晶】を出現させておきます。
(いきますよ!)
(ぷっ!)
そうして左手に投げナイフを1本、牡丹は6本持って階段の上に漂う薄い媚毒の霧の向こうで蠢いているジェリーローパー目掛けて【ルドラの火】を付与した投げナイフを一斉に投擲しました。
(当た…って!)
【暗視】は【暗視】であって透しでは無いですからね、霧の向こうのモンスターの様子はよくわからないので大まかな位置を逆算しての投擲となったのですが、【マジックミサイル】の効果を乗せて出鱈目に投げた投げナイフが霧の中に飛んで行き……立て続けに聞こえてくる爆発音、ただし直撃したのは2本と大半は弾かれてしまったようですね。
(それは想定内ですが…)
このレベル帯で遠距離攻撃対策をしていないという事はありえませんからね、出鱈目に投げた牡丹の投擲が命中しただけでも御の字としておきましょう。
(思ったより反応が早いですね、それに…)
そうして残りを殲滅しようと霧の中に踏み込もうとした矢先に鋭い音をたてて無数の触手が伸びて来たのですが、右手に持った『ベローズソード』でその触手を弾いただけで足がガクガクと震え、蛇腹剣を取り落としそうになりました。
(思ったより…力が)
さんざん嬲られた身体はキラキラとした媚毒の結晶を纏った触手の前に竦んでしまうのですが、それを心の中で叱咤して何とか踏み留まらせます。
こんな状態でもスカート翼が使えれば踏み込めたのかもしれませんが、今発動している移動系のスキルは【跳躍】と【魔翼】のみで、加速力と最高速度は激減しているため踏み込む事も出来ません。
(こう、なると…)
殲滅するために近づこうとすると階段を駆け上がらなければいけないという状況で、蠢く触手は30本……すぐに40本以上と増援が来てしまいますし、鞭のように振り回される触手を屈んで回避し突き刺すように伸びて来る触手を『ベローズソード』で弾くとブルンブルンと胸が揺れて息が弾むのですが、これだけの触手の壁を抜けるにはスコルさん並のダッシュ力か万全の状態の機動力が必要となりますね。
「はぁーっ、はぁー…」
しかもジェリーローパーの触手を斬り裂くと媚毒が溢れてきて坑道内の霧が濃くなるという悪循環に陥り、汗が滴り力が抜けました。
まだ本体の移動速度が遅いので後退すれば十分対処は可能なのですが、この閉鎖環境ではいつまでも逃げ回っている訳にはいきません。
(それに、後ろからも…)
戦闘の音を聞きつけて数体のジェリーローパー達が這い上がってきていますからね、このままだと挟み撃ちにされて一巻の終わりです。
(ぷっ、ぷー!)
牡丹や【魔水晶】も視覚外から伸びて来ている触手の対応をしてくれているのですが流石に多勢に無勢で、このままでは押し切られてまたもや触手に囚われてしまうかもしれません。
(そうなる前に、何か良い策は…)
蠢く触手を見ているとゾワリと背筋が寒くなるのですが、とにかくジュエリーローパーの弱点らしい弱点はその機動力の遅さと、本能寄りの行動をとるというあまり賢くないAIあたりが弱点でしょうか?
というのもジェリーローパーはかなりキッチリと『この敵を狙う』みたいな条件が決まっているのか特定のターゲットに攻撃を集中する性質があるようで、現に下から這い寄ってくるローパーの数は少数で、大半はスコルさんに狙いを定めたままです。
それがたまたまでない事はグレースさんが集中攻撃を受けていた事からもわかりますし、そういう攻撃方法はゲームでもよくある設定の一つではあるのですが……まあ個体数が増えるほど多少はバラけるので絶対ではないのですが、淫装さんが協力してくれるのならこの特性は利用できるかもしれません。
(そういう訳で、協力してもらっても良いですか?)
『…どういう訳か分からないが』
考えが読まれているので私は説明を省いて淫装さんに語りかけたのですが、淫装さんは言われてから我に返ったのか『なぜ我が協力しなければならない?』みたいに返してきたのですが、ここは押し切らせてもらいましょう。
(今更だと思いますけど?)
耐性を弄ってくれていますし、こうして話を聞いてくれているだけでも実はかなりの譲歩をしてくれているのだと思います。
(牡丹)
それにこの作戦は最悪の場合私が行動不能になっても問題ないですからね、後は牡丹に任せるだけです。
(ぷー…ぷっ!)
やや躊躇った後に牡丹も決意を固めてくれたのか、力強く頷いてからスライム形態になり、ジェリーローパー達に向かって単独で駆け出しました。
相手からすると狙うべき獲物がいきなり2つに分かれた状態になるのですが、それでも最初から攻撃している私というターゲットが居るせいで攻撃はこちらに集中したままで、牽制目的で振り回される程度の触手なら牡丹でも楽々と回避が可能です。
「ッ…」
一番の懸念点は牡丹の支配下から外れた『翠皇竜のドレス』がMPの枯渇状態を補おうと私の身体にむしゃぶりついてくる事だったのですが……それを淫装さんが止めてくれました。
『今倒れられては困るからな、一時休戦だ……とはいえ後でちゃんと魔力の補充をさせてもらうが……まさかそれが狙いか!?』
(違いますっ!!)
誰がオ〇ニーの手伝いをさせるためにわざわざこんな遠回りな事をするのかと反論したのですが、そんなこんなを淫装さんと言い合っているうちに牡丹がナイフを咥えて【ルドラの火】を発動させました。
「ぷっ!」
そうして振り回される触手を搔い潜るようにしてそのまま突撃し、外れようのない至近距離から投げ捨てるように【ルドラの火】を叩きつけて爆発が起きたところに、私はすかさず『ベローズソード』を振るい【剣舞】を叩き込みます。
「KYUXUXU!!?」
(よし、これで…!!)
ジェリーローパーAの断末魔が響き渡り、同様の手順で2体目も倒したのですが……かなり威力を抑えて節約しているとはいえ燃費の悪いスキルを連発していますからね、3体目を倒す前に牡丹のMPが枯渇しました。
それにこれだけ大暴れしていると牡丹にもヘイトが向いてジェリーローパーDがターゲットを変えたのですが、それでも残りのジェリーローパーは2体だけの1対1と、かなり楽になりました。
(後は…ッ!?)
ジェリーローパー達を倒したせいで撒き散らされた媚毒が階段の上に溜まってヌメヌメしていたのですが、今更それくらいで怯む訳にもいきません。
私はジェリーローパーCに止めを刺すべく【魔翼】を発動させてネチョネチョしている階段を飛び越えようとしたのですが……上昇に伴う振動に身体が疼いてしまい、一瞬気が逸れてしまいます。
「っ、ぁ……ひゃん、ぁあ、あっあぁぁ…っ!!?」
そうして気を取られた瞬間を狙ってジェリーローパーCが触手を伸ばしてきて……それは何とかギリギリで回避して【魔水晶】で弾いたものの、乳首をゾリゾリっと掠めた一本の触手によってさんざん媚毒漬けにされている私の身体は限界に達してしまったようですね、絶頂した隙を狙って伸びてきた触手に抵抗むなしく捕まってしまい、私は媚毒の水溜まりの中に押し倒されてしまいました。
「ぷっい!?」
牡丹も助けに入ろうとしたようなのですが、ジェリーローパーD相手に互角の戦いをしているので援護する事が出来ません。
『チッ…』
淫装さんは『何をやっているんだ』というように舌打ちをしたのですが、媚毒の水溜まりに漬かっている状態では耐性を外す訳にもいかないのでどうする事も出来ないようですね。
(はぁ、ぁ…っ、身体中が疼いて…だめっ…いま、触手に撫でられたら…ッ)
媚毒に塗れ、凌辱の予感だけでゾクゾクと軽くいってしまいそうになるのを歯を食いしばって必死に耐えようとするのですが、ジェリーローパーCは容赦なく私の手足を拘束するように触手を絡みつかせ……。
「ユリエルさんから離れてくださいっ!!」
ログインしてきたグレースさん渾身のフルスイングを叩きこまれていました。
※発動している移動系スキルのところに【羽ばたき】が載っていませんでしたが、【魔翼】は魔力を発して飛ぶので羽ばたいておらず、そのため効果が限定的なのであえてリストアップしませんでした。
※【秘紋】の仕様について間違いがありましたので、【マジックミサイル】ではなくて【短剣】を付与して基礎攻撃力を上げた事にしました(1/24)。




