285:試し撃ち
(流石に調子に乗りすぎましたね)
シールドピークを4体連続で倒してレベルが上がったところまでは良かったのですが、そのまま5体目をと欲をかいていると騒ぎを聞きつけたハーピーが飛んできて……なんとか見つかる前にシールドビークの死体を回収して『リュミエーギィニー』の下に隠れる事には成功したのですが、一匹だけとはいえ上空を旋回しながら警戒されているという状態はなかなか厄介ですね。
こうなるともう身動きが取れないので一旦狩りは中止……といいますか、持久力の無いまふかさんの継戦能力もそろそろ限界ですし、牡丹の収容量にも限界はあるのでそろそろ狩りを切り上げて『隠者の塔』に撤退すべきなのかもしれませんが、上空を塞がれていてはそれもままなりません。
そしてこのまま何事もなくハーピーが飛び去ってくれれば良いのですが、私達の戦闘跡や魔力の名残からこの辺りに人間が潜んでいる事は確信しているようで、なかなか諦めてくれる気配がありません。というより、このまま隠れ続けているうちに増援を呼ばれる方が問題でしょうか?
『埒があきませんし、一度攻撃を仕掛けてみてもいいですか?』
『……それは構わないけど、自信はあるの?』
体力を大きく消耗する【狂嵐】を常時発動中のまふかさんは汗を滴らせ、流れる電気にピクンピクンと身体を震わせながらそんな返事を返してきたのですが、単独偵察中のハーピーの高度は40メートル前後、スキル込みであれば十分投げナイフを届かせる事が出来る距離ではあるのですが、相手の回避能力を考えると少し不安が残りますね。
『たぶん、1体程度なら大丈夫かと』
その事を正直に話しても仕方がないですし、後は帰るだけだと私は安請け合いをしつつハーピーの軌道を観察しておきます。
『わかった、まかせるわ』
そういう訳でPTメンバーの許可も得たので攻撃を仕掛けてみる事にしたのですが、まずはハーピーが旋回している軌道を眺め、私達に対して背を向けるタイミングを狙います。
「【ルドラの火】【輪唱】」
そうしてタイミングを見計らい、スキルを発動しながら私と牡丹が『リュミエーギィニー』の下から飛び出すと、左手と尻尾に燈った青白い炎が共鳴しあうよう火勢を強め、燃え盛りました。
その燃え上がる炎をナイフに纏わりつかせるように意識しながら、私はハーピーがこちらを発見する前に投げナイフを構えるのですが……。
「KYUR?」
見つからないように動いたつもりではあるのですが、微かな魔力の揺らぎでも感知したかハーピーが振り返るような素振りをみせ……その感知能力はとても素晴らしいのですが、観察する為にホバリングしていた事が災いして、その瞬間はただの制止目標と変わりません。
(ここ、です!)
私はその隙を見逃さずにつま先から腰へ、腰から背中へと力の流れを意識しつつ指先に魔力を集め、サイドスロー気味に滞空していたハーピー目掛けて投げナイフを投げると“ブォ、ィ…ン”という独特な音を響かせながら手元で爆破したような衝撃と共に一条の光となって飛んで行ったのですが……ものの数秒でナイフの耐久度が削れきり燃え尽きてしまいました。
「KYUO…?」
そうしてそのナイフが燃え尽きた位置と私の中間位置付近に居たハーピーは何が起きたのかわからないと言った様子で、本当に訳が分からないという顔でいきなり抉り取られた自分の左上半身を見ていたのですが、その跡に残るのはチリチリとした青白い燐光だけです。
「っ…!?」
少し遅れて爆発的に広がる衝撃波に巻き込まれる形で私はバランスを崩してしまい、ハーピーもその空気の膨張に煽られるように落ちて来たのですが……何て言いますか、凄い威力ですね。
物理的に飛べるような構造をしていないハーピーが空を飛ぶためには風系の魔法を使っているようなのですが、そんな防御膜ごと一気に貫通した一撃がハーピーに致命傷を与えてと、ルドラさんが自信満々に『新しい力』と言うだけの事はある強力な一撃でした。
ただ致命傷を与えた事を確認してからすぐに【輪唱】を解除しておいたのですが、攻撃する為に火力を高めようとするとその分のMPも消費するみたいで、たったこれだけの攻撃でも全MPの三割近くが吹っ飛んでと、本当に燃費が悪いですね。
しかも魔力回路?なのか、血管周りに焼け爛れたような痛みがあったりと体への負担も馬鹿にならないようなので、連続使用は難しそうです。
『すっ…ごいけど……何、それ?』
そんな様子を見ていたまふかさんが唖然とした様子で口を開けていたのですが、お喋りをするのは後々落ち着いた時で良いでしょう。
『切り札の一つを試し撃ちしてみたのですが、思ったより火力が出るみたいですね……問題点としては、連射が出来ない事でしょうか?』
モンスターが現れる度に【輪唱】を使っていたらすぐにMPが枯渇してしまいますからね、まふかさんになら連続使用が出来ないという欠点を伝えておいても良いかと簡単な説明を付け足しておいたのですが、納得いかないみたいに膨れっ面をしていたりと、落ち着いた後での追求が大変そうですね。
「ぷー」
そうして【輪唱】の余波を受けて燃え尽きていたドレスを【修復】していた牡丹が私の代わりに何故かドヤ顔をしていたのですが、かなり目立つ攻撃をしてしまったので他のハーピー達にも気づかれたかもしれませんからね、のんびりお喋りをする前にさっさと移動する事にしましょう。
『それじゃあ、今のうちに撤退しましょうか』
『え、ええ…って、絶対後でちゃんと説明しなさいよ!何であんたばっかりそんな格好いいスキ…ひゃんッ!?』
まふかさんも撤退については同意したのですが、スキルについてはやっぱり色々と聞きたい事が多いようで……私は目の前でプルンプルンと揺れる胸の先端についている、散々【狂嵐】に弄られぷっくりと充血した乳首を指先で撫でて黙らせておきました。
『ちょ、あんた…なっ…!?』
『まずは撤退しましょう、続きはその後に』
今は牡丹のおかげで【淫装】が動いていないとはいえ、激しく動けば胸が揺れて乳首が擦れたりと身体は無理やり昂らされている状態には変わりありませんし、そんな状態で悶えているまふかさんを見せつけられているので我慢の限界が近いのですよね。
『わ、わかったわよ…じゃあ、後でちゃんと説明しなさいよ?』
『はい、ゆっくりジックリと説明させていただきます』
『いや…普通でいいから』
胸を庇いながらまふかさんも渋々という様に頷き、私達は最後に仕留める事が出来たハーピーの死体を回収してから『隠者の塔』に戻る事にしたのですが……帰りは帰りでハーピー達が集まって来てとなかなか大変でした。
それでも何とか無事にセーフポイントまで戻って来たのですが、戦闘後の火照りが残る私達はあまり人前に出れるような恰好ではありませんし……というよりいつ人が通るかわからない野外を全裸で行動していたまふかさんは羞恥心で赤く、そんな恥ずかしい恰好で【狂嵐】がパチパチと爆ぜて全身を刺激され続けていると、まふかさんの身体はなかなか大変な事になっています。
そういう状態だったので、隠し部屋の方で休憩しようという事になったのですが……。
「んっ…あんたが運んだ方が早いでしょ?」
気配を探ってみた感じではジョンさん達やシノさんはまだ帰っておらず、他の人もまだ到着していないので『隠者の塔』は無人のままだったのですが、それでも毛皮すら巻いていない全裸の姿で壁をよじ登るというのは恥ずかしかったのか、まふかさんはそんな事を言いながら私に向かって両手を広げてきました。
「そうですが…いえ、わかりました」
私が言われた通りに抱きかかえると、まふかさんの微かな緊張を伝えるように【狂嵐】がパチパチとしたのですが、その刺激に慣れてくると脳に来る刺激と似ていると言いますか、何とも言えない快感に変わるのですよね。
戦闘後の安堵感や空腹時のデメリットが発動している事もありまふかさんの体温と匂いにクラクラしてしまい、モゾモゾと落ち着きやすいポジションを探りながら尻尾をパタパタさせているまふかさんの身体の柔らかさを感じているとこのまま押し倒したくなるのですが、何時人が来るかわからない場所で始める訳にもいかないので【魔翼】を使い急いで3階まで登り、そうして隠し部屋にやってきた私達は牡丹に残りの毛皮を全部出してもらってから座り込んだのですが……それでやっと一息つく事ができました。
「ぷぃー~…」
牡丹も「やれやれ」みたいな顔をしていたのですが、これから回収しておいたモンスターを【解体】して、それから部位毎に分けて売りに行かないといけなかったりとまだまだ細々とした作業は残っています。
それでも【淫装】や色々なスキルや装備に弄られ発情させられている私と、常時【狂嵐】で大事な所を刺激され続けているまふかさんが他の誰も居ない部屋にやって来たらする事は一つで、私達はどちらからともなく口づけを交わし、空腹度を回復させるためにもまずはお互いの身体の疼きを収める事から始める事にしました。




