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274:ゴブリンジェネラルのドロップ品

「何て事してくれたのよ!!恥ずかしすぎてもう2度と『エルフェリア』に入れなくなったじゃない!」

 色々あったものの、私達は無事に『エルフェリア』の外までやって来る事が出来たのですが、全裸のまふかさんは涙目のまま顔を真っ赤にして「だからあんたのスキルには頼りたくなかったよの!!」と叫んでいました。


「すみません」

 まあ【神隠し】はあくまで補助的なスキルなのですし、1人で始めてしまったのはまふかさんなので責任を私にだけ押し付けるのは違うと思うのですが……ここで反論しても火に油を注ぐだけですからね、怒りの持続時間がそれほど長くないまふかさんは捲し立てるだけ捲し立てたら徐々に怒りが納まるようですし、それまでは大人しくしておきましょう。


「ひゃっ!?ッ…あっ、だか…ら!……って、な、何よ?」

 それより怒りに任せて手を振り上げる度にまふかさんの形の良いバストがブルンブルンと揺れて、感情が爆発する度に弾ける【狂嵐】のパチパチした刺激に小さく身体を震わせて喘ぎ声をあげているのですが、これはもう怒られているのか誘われているのかよくわからない状態ですね。


「キスしていいですか?」


「駄目に決まっているでしょ!?」

 無駄にムラムラさせられてしまったのですが、まふかさんは怒るだけ怒って気が晴れたのか、苦々しそうに顔を顰めました。


「くっ…もういいわ!さっさとお金を集めてちゃんとした服を買うわよ!」


「それとゴブリンジェネラルのドロップ品の検証ですね」


「ぷー」

 とにかくそういう訳で私達の検証と金策が始まったのですが、既にまふかさんの大声や私の魅了の力によってホーンラビットやマンイーターが茂みの向こうから顔を出して近づいてきていますし、張り切って倒していく事にしましょう。


「そういえば、折角の新装備なのに録画はしないんですか?」


「しないわよ、別にあたしはリアクション芸人している訳じゃないんだし、初見って銘打ってなければ試し斬りくらいしておかないと怖くて実戦じゃ使えないわよ……特にこのゲームの場合はね」

 その辺りは配信者的にどうなのでしょうと思って録画について聞いてみたのですが、まふかさん的には問題ないみたいですね。


「そもそもあたしの格好良い所が録れれば良いのよ…初見でワタワタしているのってあたしらしくないじゃない?」


「そうでもないと思いますが」

 意外と皆さんまふかさんのリアクション芸や涙目になる姿を楽しみにしている様な気がするのですが、まふかさんが格好良い動画を撮りたいと言うのなら格好良い動画を目指すべきでしょう。


 とにかくそうして始まった装備品の検証なのですが、ゴブリンジェネラルからドロップした装備は『愚者の大盾』『怨獣(おんじゅう)のボーンアーマー』『デストロイアックス』の三つで、スキル的な割り振りとしては(【大盾】持ちの牡丹)が『愚者の大盾』を『怨獣のボーンアーマー』と『デストロイアックス』をまふかさんが試す事になったのですが、まず『愚者の大盾』は牡丹には重すぎて利便性が悪いのですよね。


 まあ頑張れば使えなくはないですし、多少の魔法防御力はあるので置き盾としては使えなくもないのですが【魔翼】を使った機動戦をする私とはいまいち相性が良くないような気がします。


「牡丹はどう思います?」


「ぷー…」

 そして牡丹も評価が難しいと言っているこの『愚者の大盾』なのですが、形状としては1.5メートルの体を覆うような大きさのスクトゥム(長方形の盾)で、『呪鉄(じゅてつ)』という魔王軍が作り出した怨念のこもった特殊な金属の塊なのですが、製鉄技術がまだまだ未発達なのかそれとも第二エリアの中ボスレベルだとこの程度の物しか支給されていないのか、それほど品質の高い鉄は使われていないようですね。


 その質の悪さを補うために分厚く作られた盾は確かにそれなりの強度をもっているのですが、そのぶん重さもかなりのものになっており取り回しは最悪、まあエトワーデメーを相手にした時のように最後の切り札的な使い方が出来るので持っていても損はないのかもしれませんが、言ってしまえばそれくらいしか使い道の無い装備なのだと思います。


(まさしく『愚者の大盾』といったところですね)

 盾としての防御力を上げるために分厚くしすぎてしまい、使い手の事を考えていないというのがこの盾の名前の由来(『愚者の大盾』)なのでしょう。

 

 続いて『怨念のボーンアーマー』は呪術的な意匠が施された骨と皮を金属で補強したような部分鎧で、覆っている場所が限定的なので形状からは軽鎧に分類されてもおかしくはない物ではあるのですが、身長2メートルちょっとの体格が良いゴブリンジェネラルが着る事を前提として作られているからか、私達が着ようとすると重鎧判定になるという少し変わった鎧ですね。


 仕様的にはリビングアーマー(生きている鎧)の一種という事で、説明文的には『使用者の精神を蝕む生きた鎧』との事なのですが、私からするともうこの手の装備(【淫装】類)はお腹が一杯ですし、まふかさんも「このデザインはちょっとねー」との事で、サイズが合っていなかった事もありこれは早々にW M(ワールドマーケット)行きが決定しました。


 そして最後の『デストロイアックス』なのですが、形状としては1.8メートルくらいの金属を削り出したような無骨なデザインで素材は『呪鉄』、50センチくらいの巨大な斧部と反対側に鉤部を持つ片刃の戦斧なのですが……。


「ちょっと、どうなってるのよこれ!?」

 早速試し斬りしようと意気揚々とホーンラビットに向かって行ったまふかさんなのですが、十数匹のホーンラビットに纏わりつかれてあっぷあっぷしていました。


「たぶん私の魅了の力で集まってきているのだと思いますが…」


「だったら、あんたが…っぅ…なんとか、しなさいよッ!!」

 その大半はまふかさんに攻撃を仕掛けては【狂嵐】に弾かれて焼け焦げていくのですが、その反動がまふかさんの身体に跳ね返ってきてダメージが積み重なっているようですし、しかも発情期に入ったようなホーンラビットは角で相手の性器をツンツンするのが愛情表現といいますか、相手を発情させてから交尾をするという性質があるのか積極的にその角でまふかさんの下半身を狙っているのですよね。


「そうしたいのはやまやまなのですが…こちらもこちらで」

 木に巻き付き枝葉に擬態したマンイーターが私達を狙っていますし、遠距離攻撃手段に乏しいまふかさんの為にもまずはそちらの対処をしておかなければ囲まれてしまう可能性がありました。


「んきゅっ!!?だからっ、このッ!!」

 そうして私達が樹上のマンイーターを相手にしているうちに、たまたま後ろからまふかさんのお尻を狙っていたホーンラビットの角の狙いが少しだけ逸れてしまい、急角度で股間をなぞるようにゴリゴリした角を押し当てながらクリトリスを刺激すると、まふかさんは可愛らしい悲鳴をあげながら身体を跳ね上げます。


「はぁ、はーっ、はーっ…んぐっ」

 まあ使っている武器が巨大な戦斧ですからね、ピョコピョコと跳びはねる小柄なホーンラビットとは相性が悪いですし……どうやらホーンラビット達は『ウガルル亜種』であるまふかさんを明確な牝として見ているのか纏わりつきへこへこしようとしているのですが、数キロ単位の重さがある兎達が数十羽纏わりついて来ている訳ですからね、アチコチ敏感な所を狙って突き出される角の刺激のせいで不安定に揺れる足ではそんな兎達を捌き切る事が出来ず、まふかさんは危なっかしくフラついていました。


 しかも質の悪い事に、交尾の時にだけ体外に出す外陰部から先走る液体には牝を発情させる効果があるようで、そんな物を浴びせられ続けているまふかさんは徐々に変な気分になってきてしまっているのか、徐々に吐く息が熱を帯び集中力が削られていっているようですね。


「PUGYUUU!!」


「は…ッ、あ…っ」

 それでも何とかホーンラビット達の猛攻を【狂嵐】で弾きいなしているのですが、最初は鬱陶しがり気持ち悪がっていたまふかさんも徐々に媚毒に侵され汗がジワリと滲み出ていたのですが……ホーンラビット達はまふかさんが弱ろうとお構いなく跳びかかっており、飛んで火にいる夏の虫というように生殖に命を賭けた(狂嵐に迎撃されながら)猛攻をしかけ続けています。


 因みに『デストロイアックス』の効果は『HP、MP、スタミナを消費して破壊の力を発揮する』というものなのですが、問題点としては消耗が激しい事と、逆に消費していない状態での攻撃力は質の悪い鉄製の斧程度の魔法武器になってしまう事でした。


 まあ常時効果が発動していると地面に置く事もできなくなりますからね、ON / OFF式になっているのはいい事なのですが……効果が発揮したらしたで少し問題があって、斬っているという感触が無いまま勢いよく振り抜いてしまい取り回しが難しく、一撃で弾け飛んでいくのでドロップ品が期待できません。


 その辺りは絶大な攻撃力に対するデメリットと言うべきなのですが、金策をしたい私達からすると許容しづらいデメリットですし、だったらそういう破壊効果を使わずに振るえばいいのですが、そうなるとただ少しだけ闇属性を持っている取り回しの悪い両手持ちの斧になってしまうと、なかなかピーキーな性能をしているようですね。


 後は試しに魔法系の物を斬ったらどうなるかという事で私の【オーラ】で作った糸を斬ってもらったのですが、流石に細い糸は斬れるのですがそれを()り集めて太くすると途端に斬れなくなると……つまりその絶大な破壊力も魔法防御の無い相手限定と言う事がわかってしまいました。


 それでも十分攻撃力は高いですし、込めれば込める程威力は上がりますし、まふかさんの【狂嵐】を受けても壊れない頑丈な武器ではあるので使い方次第では十分使える武器なのですが、流石に当たれば勝ちという一撃必殺の武器ではないようですね。


「っ、こっの!!…ったぁああぁっ!?」


「PYUGIx!?」

 そしてとうとう我慢の限界に達したまふかさんが足元をチョロチョロするホーンラビット目掛けて『デストロイアックス』を上から叩きつけていたのですが、その破壊の力によって狙われたホーンラビットは弾け飛び地面を大きくへこませると……そのまま地面を斬り裂いた戦斧の遠心力に引っ張られる形でまふかさんが前方宙返りをするように回転していました。


(地面に当たる前に寸止めしないといけないのでしょうけど、あの大きさと重さだと難しそうですね)

 私は木の上に巣くっていたマンイーターを『ベローズソード』で薙ぎ払いながらその様子を見ていたのですが……なんていいますか、人が一回転するのはなかなか凄い光景ですね。


 おもいっきり振り下ろした鉄塊を止めるとなるとかなりの筋力が必要になってきますし『デストロイアックス』はそういった事込みで攻撃しないといけないのですが、それを怠ったまふかさんがおもいっきり回転していき……生き残ったホーンラビットに群がられていました。


「っーったいわね!だから、そんな…とこ、ツンツ、ん…おほぉッ!!?」

 そのままバランスを崩したまふかさんの股間に潜り込んだ1匹のホーンラビットの角が股間にめり込んだみたいなのですが……ただでさえ精液まみれで発情させられているところにパチパチとした電気を纏う事になった角の一突きを叩き込まれてしまい、まふかさんは凄い声を上げていました。


「ぷー…」


「そうですね」

 その様子を見ていた牡丹が呆れたように呟いていたのですが、流石にこれ以上は色々と不味いので救援に赴く事にしましょう。


 そうして牡丹はナイフで伸びてくるマンイーターの蔦を斬り、私は右手に『ベローズソード』を、左手に【オーラ】を固めて結晶化した鞭でまふかさんに纏わりつくホーンラビットを薙ぎ払ったのですが、冷静さえ保っていれば造作もない事です。


(とはいえ…きつい事はきついですが)

 蠢く【淫装】は身体を蝕み薄っすらと全身に汗が滲むのですが、私には発情すれば発情する程力を発揮するスキル(【発情】)がありますからね、この感覚に身を委ねていれば大抵のモンスターを倒す事ができるのかもしれませんが……この状態はおもいっきりお腹がすいて頭がクラクラするのですよね。


「まふ……んぐっ」

 空腹を満たすためにもこのまま白濁した液体でドロドロになっているまふかさんを襲ってもいいかな?とムラっときてしまったのですが、その瞬間牡丹が私の口の中に『ヌリテュールサクレ(エルフの焼き菓子)』を突っ込んできて、いきなりの事に私は目を白黒させながらも大人しくモグモグとビスケットのような食べ物を咀嚼します。


「…ありがとうございます」


「ぷっ!」

 少しだけお腹が膨れて冷静さを取り戻したのですが、多少は興奮したモンスターのあしらい方を覚えたのと【淫装】が馴染んで制御下に置けているのでなんとか戦えますね。


「まふかさん、大丈夫ですか?」


「ッーー!助けるのが遅いのよ!!ってかなんであんたは平然としているのよ!?」

 私がそう声をかけながら手を差し伸べると、倒れたままだったまふかさんは赤くなった顔を押さえて手足をバタバタと動かしながらそんな事を聞いてきたのですが……。


「いつもの事ですし……それで、どうしましょう?」

 今更気にしても仕方がないですしと流すと、まふかさんは「うー…あー!!」と唸り声をあげていました。


 何か途轍もなく納得がいかないというような様子なのですが、とにかくゴブリンジェネラルのドロップ品を試し終えた訳ですし、後はこれを使うか売るかの判断ですね。


「はぁぁああ……もういいわ…こっちは丁度良い武器が手に入るまでは使う事にするけど、あんたはどうするの?」

 そんな事を考えていると、流石にいつまでも寝転がっていてもしかたがないと思ったのかまふかさんがすべてを諦めたような顔をしながらノロノロと起き上がりました。


「そうですね……では折角ですし私も盾を使ってみる事にします」

 牡丹に収納している限りはあまり重さを感じませんし、下手に私が辞退すると分け前がややこしくなりそう(無難にお互い1個ずつ)だったので盾は貰っておきましょう。


「オーケイ、じゃあ武器と盾でそれぞれで、鎧は……そうね、売り払った後はクランの共通資産に回しておいたらいいんじゃない?」

 起き上がったまふかさんは赤くなった顔にパタパタと風を送りながらそんな事を言ってきたのですが、私はその言葉をそのまま聞き返してしまいました。


「クランに?」

 一応クランにはクランメンバー共用で使える銀行口座みたいなものはありますが、そこに入れておいてもいいのでしょうか?そう私が聞き返すと、まふかさんは呆れたように目を細めて肩を竦めました。


「なによ、もしかしてあたしがクランに入るって言ったの忘れているんじゃないわよね?」


「いえ…そうですね……確か18時くらいに制限が解除されるんでしたっけ?」

 正直に言いますと、私とまふかさんの知名度や諸々には雲泥の差がありますからね、有名配信者であるまふかさんがわざわざ無名である私のクランに入る必要がないので「やっぱりやめておくわ」と言われる事も覚悟していたのですが……何故かまふかさんの方が加入に積極的で、その事が少し面白くて笑いかけてしまったのですが、本当に笑うと睨まれそうなので表情は消しておきます。


「そうよ、忘れないでよね」

 ドヤ顔で腕を組むまふかさんがやっぱり可笑しかったのですが、とにかくクラン解体からリアル24時間は加入制限がありますからね、加入可能になった時点で忘れずに申請を送る事にしましょう。


「わかりました、それでは…それまで時間もまだまだありますし、金策の方も終わらせておきましょうか」

 弱敵を相手にドロップ装備のチェックは終わりましたし、もう少し北に行った所に居ると言われている強敵を目指して進む事にしましょう。

※誤字報告ありがとうございます(1/22)修正しました。

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