273:移動の苦労
相談の結果、消去法で私達『エルフェリア』の北側MAPに行く事になったのですが、まふかさんが言うには「あんたと一緒に居たら見つかりそうだし」という事で、一緒に移動するとなると私の魅了の力がデバフになってくるので、一旦別々に宿屋を出てから町の外で合流する事になりました。
まあお使いに出ている牡丹の帰りを待つ必要もありましたし、発見率の問題以前に【魔翼】やスカート翼で一気に障害物を飛び越えていく私と、種族値とスキルのバフで地上を走り抜けて行く事になるまふかさんとでは移動速度や選択できるルートに違いがありますからね、歩調を合わせるのが必ずしも最適解という訳でもないスニーキングミッションの場合は別々に行動した方が色々と便利な事もあるでしょう。
そう言う訳で【狂嵐】を抑える事を前提にホーンラビットの毛皮を纏ったまふかさんが単独スニーキングミッションをこなしている最中なのですが、少しでも隠れやすいようにと出発時に【神隠し】をかけたのですが……【意思疎通】経由で牡丹から(ぷぃっ!?)という驚きの声が聞こえてきました。
どうやら【神隠し】をかける事が出来る対象は1人だけだったようで……まあ流石に何人も同時にかけられるとなると壊れスキルになりますからね、スキルレベルが上がる度にかけられる人数が増えていったり、かけられる距離や利便性が上がっていくという感じなのでしょう。
(すみません、まふかさんに【神隠し】をかけたら解除されてしまったみたいです)
(ぷー…ぅー…)
今牡丹にかけなおすとまふかさんの【神隠し】が解除されてしまいますからね、牡丹には事情を説明してから自力で戻ってくるようにと伝えておいたのですが、何やら町の中は魔物が侵入したかもしれないとかで、巡回しているエルフの兵士の数が増えているので少し遅れるかもしれないとの事です。
(もしかして…私のせいでしょうか?)
【隠陰】があった頃はまだ魅了の力が抑えられていたのですが【神隠し】になってからは色々と垂れ流していますからね、そんな状態で『エルフェリア』をウロウロしていたので不審者だと思われたのかもしれませんね。
それにトラブルにならないようにこっそり侵入する形で戻って来てしまったのですが、そういう不審者然とした動きが余計にいらぬ混乱を招いてしまったのかもしれません。
(ぷーうぷー)
まあ牡丹が言うにはまだ大事にはなっていないとの事で「怪しげな人影を見た」くらいの目撃情報で動いているようだという事なのですが、今のところ私に出来る事は何もないので、これ以上騒ぎが大きくならないように大人しく牡丹の帰還を待つ事にしましょう。
(それにしても…)
なんとなく時間があったのでスキルを確認したり、ネットの情報を眺めたりしながら改めて部屋の中を見回していたのですが……自分以外に誰も居ない宿屋の一室とは言え、全裸でいるといるというのは少し恥ずかしいですね。
なんとなくモジモジしてしまって、ベッドの上に畳んで置いてある『翠皇竜のドレス』の方を何気なく見てしまったのですが……何かドレスからおどろおどろしい黒緑色をした靄があがっていました。
『くくく、呑気に構えられているのも今のうちだ…』
「ぷーうーいー!」
そうして私がドレスを眺めていると重々しい声が直接脳内に響いてきたのですが……そんなタイミングで牡丹が帰って来たみたいで、器用に体の形を変えながら壁を登って来た牡丹が窓から飛び込んできて来たかと思うとそのまま床で一度ポヨンと跳ねて、ベッドの上に置いてある『翠皇竜のドレス』の上に着地します。
『なっ!?ちょ…おい!!』
そして焦ったような声を最後に、その奇妙な声は聞こえなくなりました。
「『翠皇竜のドレス』が大事な事を言いかけていたような気がするのですが…」
「ぷ?」
私の言葉に対してよくわからないと首を傾げる牡丹なのですが、まあそれ以上何もないみたいですし、私の直感ではたぶん碌でもないイベントの一環だと思いますので……まあ良しとしておきましょう。
(そういえば先程の声は、どこかで聞いたような…?)
たしかまふかさんとイチャイチャしている最中に聞こえて来た声と同じだったような気がするのですが、あの時はいっぱいいっぱいだったので幻聴かとスルーしてしまったのですよね。
『………』
「………」
まあ必要なイベントだったらまた話しかけてくるでしょうし、これがどういう風に成長するかという選択肢であった場合、私としては下手にドレスが意思を持つより牡丹が主導権を握っていた方が都合がいいですからね、問題が起きるまでは出来るだけ無視してイベントを進めないようにしておきましょう。
それにしても、先程の声は本当に『翠皇竜のドレス』に意思があるかのような感じだったのですが、あれは【淫装】の効果なのか『ゴルオダスの怨念』の意思なのか、どちらなのか悩むところですね。
「ぷぃー…」
「…おつかれさまです、大丈夫でした?」
まあそれより今は牡丹の初めてのおつかいが終わった後ですからね、途中で【神隠し】が消えた影響なのかどこか疲れたような様子の牡丹がベッドの上に折り畳まれている服の上でモゾモゾしていて、私はその頑張りを褒めるように頭を撫でてあげるのですが、牡丹は嬉しそうに目を細めて私の手に擦り寄るように体を寄せます。
(そしてまたこれを着るのですよね)
それから牡丹の購入品に間違いがないかを確かめながら、改めてギルドカードを身に着けてから脱いでおいた衣類を見つめるのですが……再度着るとなると勇気が必要なのですよね。
しかもつい先ほど聞こえて来た声を無視したので少し気まずいのですが、牡丹の制御能力を信じて着用する事にしましょう。
(でも少しマ……ッ、くぅ…でも、ないですね)
『翠皇竜のドレス』は拗ねたようにモゾモゾと蠢き肉壁へと変化していくと、じゅるりとした内側の部分が私の身体をまさぐり始め、乳首に絡まりながら股間に伸びた微細なブラシ型の触手がにゅる゙る゙とクリ〇リスを擦り上げてくるのですが、無視された腹いせに酷い事をするという感じでも無いようですしこれなら何とかなりそうですね。
「はぁあっ…はふ…ぁぁあ…っ」
それでも敏感な所を肉襞になぞられると身体がピクンピクンと跳ねてしまい、何とかその刺激を受け流しながら身体とドレスが一体化していくような感覚に呑まれないように耐えていると、いきなりまふかさんから連絡が入りました。
『ねえ、このスキル本当に効果あるのよね!?』
「は、はひ…?」
いきなり耳元で響いたまふかさんの焦ったような声に脳が痺れ、ドレスの方に気を取られていた私はそのまま返事を返してしまったのですが……今は別行動中ですからね、通話を切り替えなければ向こうには届きません。
『どういう…ん…ッ、事ですか?』
私は出来るだけ平静を装い返事を返そうとしたのですが、タイミング悪く『翠皇竜のドレス』が苛めるように乳首をしゃぶりながら母乳を吸ってきて、まふかさんは何かに気づいたように一度間を開けたのですが……気にせず話を続けることにしたようですね。
『……だから、あんたにかけて貰ったスキルの事よ』
ただこうも変に意識されると物凄く恥ずかしいと言いますか、何かもの凄く恥ずかしい事をしているような感じになってしまうのですが、とにかくまふかさんは【神隠し】の効果について知りたいようでした。
『たぶん…多少は?』
『たぶんって何よたぶんって!?本当に効果があるのよねっ!?』
中途半端に嬲られながらなのでいまいち頭が回っていないのですが、とにかく私はドレスからの刺激を頭の片隅に追いやりながら頑張って応対に集中するのですが……まふかさんが言うには、スキルがあるのに見つかっているような気がするとの事で、今まさに巡回中のエルフの兵士達に見つからないように近くの茂みの中に隠れて身動きが取れない状態なのだそうです。
『すみませ、ん…まだ、スキルレベルが1なものっ、ですから』
因みに毛皮の方は咄嗟に物陰に隠れようと急いだ時に焼き切れてしまったようで、って事はつまり今のまふかさんは全裸なのですよね。
(そんな状態で『エルフェリア』の町の中を徘徊しているのですよね)
焦りながら必死に隠れようとしている全裸のまふかさんなんて、凄く良い……じゃなくて、凄く大変な事になっているようです。
そして羞恥や焦りが【狂嵐】に影響してしまっているのか、いっそう強まる電撃に恥ずかしい所を責め立てられているようで、まふかさんは人が近づくたびにカチカチと歯を鳴らし、悲鳴を我慢しているような過呼吸気味の息を漏らしているのですが、その必死に我慢している様子から色々と想像してしまいますね。
しかも羞恥心がまふかさんの身体に火をつけてしまったのか、容赦なく浴びせられる電撃に徐々に喘ぎ声が混じり始めたりと、そんな声を聞いていると私まで変な気持ちになってしまいます。
(駄目、です…ね、今…そんな事、想像してしまったら…私まで)
まふかさんの詳しい状況はわからないのですが、聞こえてくるまふかさんの息遣いは興奮してしまっているというそれで、そんな声を聞いているだけでどんな状況になっているのかを想像してしまい、のぼせたように頭が回らくなってきました。
(ぷー…)
そして(どうせこの部屋には私と牡丹しかいませんし、こちらはこちらで一旦スッキリしましょうか?)なんていう私の考えを読んだのか牡丹が【淫装】の主導権を回してきたのですが、そのせいで私の意思がより一層ドレスの動きに反映する事となり、その動きが激しくなりました。
『んあぁっ…あっ…』
そんな状態でまふかさんがどういう状況になっているのかを想像してしまうと、私の妄想をトレースするように『翠皇竜のドレス』が蠢いて、乳首をくりくりしながら爪先で弄るように弾き始め、カリカリと全身を引っ掻くような刺激に身体が跳ねました。
(牡丹、ぼたん…待って…お願い!?)
声が出そうになるのを必死に抑えようとするのですが、そんな状態で【淫装】に脇腹をペロペロと舐められるように擽られてしまうと、ついつい声が出てしまいます。
『ふぁ、あははは!そ、そこはっ!?…はぁっ…んっ、んんッッ!!?』
責め方を変えた【淫装】に声が漏れ、一度出してしまうと必死に耐えようとしても歯の隙間から喘ぎ声が漏れてと、くすぐったい様な気持ちいような、もうよくわからない感じになってしまい身体が火照り汗が噴き出てきました。
『はっ、ぁああっ、あッ…ッ、んんッ!!?』
引き剥がそうにも蠢いているのは私が着ているドレスですし、絡まりついた肉触手はそう簡単に剥がす事が出来ません。それが出来るとすれば、この肉欲に耐えてドレスを制御する事なのですが……。
(無理、です…こんなのっ!?)
湿り気を帯びた全身を【淫装】が掻き回すと身体が跳ねてしまい、力が抜けてしまいます。
そうして厭らしい【淫装】の責めは続き、股間を覆う肉襞は私の大陰唇を左右に押し広げ、無防備に露出した膣口に口づけをするように伸びて来た触手が溢れる愛液を音を立てて吸いながらグチュグチュとこじ開け入って来て、そのゾワゾワした感覚や全身を擽られるような感覚に頭がショートしそうになります。
『ちょっと、あんた…今どんな状況か考えてるの!?こっちは見つかったらっ!』
『すみま…あぁ、んんッ、でもこれはム…は…ッ、ぁああッ!!?』
そんな私の反応をずっと聞かされているまふかさんは口では文句を言ってくるのですが……実はMっけがあるところがありますからね、まふかさんは露出症のような奇妙な感覚に陥り昂ってしまっているのか、その指先が気持ち良い所に伸びているのは確定ですね。
『だめっだ、って、いッ…おッ!?』
どうやら見つかってしまったら大変な事になるという状況がスパイスになっているようで、まふかさんの興奮しているのが丸わかりの吐息は宿屋で1人でしていた時と同じもので、そんな事を考えて全裸のまま人目のつく場所に居るという状況に理性の箍が外れてしまったようでした。
私にはその時のまふかさんの指使いまで鮮明に思い出す事が出来るのですが、そんな事を考えているとその動きを再現するように【淫装】が蠢き、クリ〇リスを押しつぶしながら膣口の浅い所を責め始めます。
『ひぃぅ、あああっ、あぁあっ、ぁあぁぁッ!!?』
そうしてまふかさんの動きを再現したドレスは溢れる愛液を掻き回しながらじゅぶじゅぶと動き続け、乳首の根元から先端へと伸ばす様にコスコスと扱き、既にいきかけている状態だというのに耳元ではまふかさんの喘ぎ声が直接脳内に響いてと、そんな状態では長く耐える事は出来ません。我慢しようとしている私の意思とは裏腹にゾワゾワしたような刺激が腰から背筋を登って来たかと思うと……。
『ほんとに…だめッ、だめッ、こんなところでイッ…たら、終わってッ!?』
興奮と緊張のドキドキでまふかさんはもう何を言っているのかはわからないのですが、向こう向こうで完全にスイッチが入ってしまったのか止まる事はできないようでした。
『いっ、あぁ~~ぁー!!?』
『あぁ…ああぁーッ!!?』
そうしてもうどちらが先にいったのか分からないくらいのタイミングで一緒にいってしまったのですが、冷静になって考えるとかなり危険な橋を渡っていたような気がしますね。
「だからあんたのスキルには頼りたくなかったのよ!!」
何とか一段落した私達が『エルフェリア』から脱出した後に合流を果たすと、まふかさんからは理不尽なお怒りを受ける事になってしまったのですが……膨れっ面のまふかさんが可愛かったので良しとしておきましょう。
ただこの件があったからなのか全く関係ない話なのかわかりませんが、怪しい痴女の目撃情報があるとかで『エルフェリア』の警戒度が少しだけ上がってしまい、出入りをする際には色々と制約を受けてしまう結果となりました。
※【神隠し】の範囲についてですが、スキルレベルが1だと自分+1名(or1個)で、スキルレベル=かけられる人数や物となります。
距離に関しては基本的に目の前にいる事が前提になるのですが、スキルレベルに応じて同じPTやクランメンバーなどの遠距離に居る人に付与する事が出来るようになります。
※碌でもないイベントの一環 = 【淫装】との対立ルートを強制シャットダウンという力技で乗り越える事になりましたが、ユリエル達はよくわかっていません。
これが無ければアレやコレやしていたのかもしれませんが、牡丹のファインプレーでイベントがスキップされる事になり、ややバグったまま次のイベントに続く事になります。
※誤字報告ありがとうございます(3/21)訂正しました。




