272:相談と初めてのおつかい
少しやりすぎてしまったので復帰してきたまふかさんに怒られる事になったのですが、魅了の力が働いているのかそれ程怒られませんでしたし、そのまま2回戦が自然と始まってベッドの上でイチャイチャしていたのですが……そんな事をしている間に【淫装】が馴染んだのか、くすぐったいけどまだなんとか耐えられるという位には落ち着いてきました。
(これは【淫装】が満足しただけなのか、私が刺激に慣れてきただけなのか、それとも他者の精気を吸うと落ち着くのか……どういう理屈なのでしょうね?)
条件はよくわからないのですが、着ている衣類と五感が繋がっているまま蠢いていると感覚がバグったような変な感じで、脳に物凄い負荷がかかっている気がするのですが……それが快楽物質に変換されている感じで、脳内麻薬がドバドバと出て色々な事が麻痺して来ているような気がします。
そんな思考と身体が強制発情させられているのを精神力で押さえ込みつつ、折角布面積制限が解除されたのですからとどこまで【淫装】が働くのかと布団を被ってみたのですが……それが『マント』判定にでもなったのか、布団の内側がヌルリとした肉触手に代わり身体を舐め回すように撫でて来たので慌てて手を離す事になったのですが、この調子なら大き目の布で身体を隠すという事は難しそうですね。
「で、何よそれ…新手の呪い?」
「酷い言いようですね……まあ似たようなものかもしれませんが…スキルを調整していたらこうなってしまいました」
その様子を見ていたまふかさんが呆れたように呟いていたのですが、呪いと言うのもまあ当たらずとも遠からずといった感じですし、布面積が増えると私への負荷も増えるようで……とにかく今まで通り重装備は止めておいた方がいいのかもしれません。
「…そう」
私が端的に説明するとまふかさんは「最低のゲームよね」みたいに同情するように肩を竦めてみせたのですが、ある意味一番被害を受けているまふかさんがその程度で流してくれているというのが優しい対応と言いますか、少し抜けているみたいで可愛らしいですね。
(その事を可愛いと言ったら怒られそうですが)
因みに私が被っている布団を外すと【淫装】は数秒で解除され、手に持っているだけでは特に発動しませんでした。
発動条件としては私が着用しているかという事が重要なようで、これは厳密に私が着用している必要があるというより“そう定義される状態”という結構あやふやな条件で……なかなか厄介なスキルですね。
一応牡丹がいれば支配下に置いてくれますし、私の言う事を聞いてくれれば頼もしい味方になってくれるのかもしれませんが、いきなり乳首を吸われたりクリ〇リスを弾かれたりすると身体が竦んで跳ねてしまい、クチュクチュと掻き回されると力が抜けてしまいます。
(思い出したら…)
着ている『翠皇竜のドレス』が蠢き私の身体を責め立てて来たのですが、頭の上に乗っている牡丹が(ぷー)と言いながらぺしぺしとドレスを叩いて落ち着かせてくれました。
(ありがとうございます)
(ぷーいっ)
との事で、他の治め方としては私以外の精気を吸わせてみるという方法もあったのですが、今のところ吸っても大丈夫そうなのがまふかさんだけとあまり負担をかけるのは悪いと思うのですが……同意が無ければただのレイプになってしまいますからね、適当な人を襲って吸う訳にもいかないので色々と悩ましいところです。
「で、これからの事だけど……試すにしても人の多い狩場だとなんて噂されるかわからないし、それ以前にあんたのソレも…ねえ」
そうして私がこんな状態で苦労しているというのにまふかさんは淡々と話を進めようとしていて、軽い嫉妬心のようなものが湧き上がって来てしまったのですが……その事を指摘しても重い人物と思われるだけなのでグッと我慢しましょう。
とにかくゴブリンジェネラルのドロップ品の検証をしなければいけないのですが、それ以前にお互いこんな恰好では外に出られないという事が問題なのですよね。
「ソレとか言わないでください、本当に大変なんですから」
【淫装】を装備中の私と【狂嵐】のせいでほぼ全裸のまふかさんがモンスターと戦うとなると野次馬が凄い事になりそうなのですが……私の方はもうどうしようもないですし、まふかさんの方は出費が嵩んでちゃんとした装備を買うお金がありません。
「まあ購入資金については私が出すという方法もありますが…?」
【狂嵐】に耐えられる魔法耐性のある装備とはいえ、一番安い物なら数十万F程度で購入できますし、それくらいなら貸し出せない事も無いのですが……。
「嫌よ、どうせ借金をかたに変な事をする気なんでしょ?」
「そんな事はしませんよ…せいぜいもう少しだけ精気を吸う回数を増やしてもいいか交渉するくらいです」
「そういうのが嫌なのよ!!」
何か酷い言われようなのですが、とにかくまふかさんは頑なに自力で稼ぐとの事で、お金の貸し借りはしないという事になりました。
「後はもう消費していい適当な服を着て誤魔化すかですが…」
私の手持ちで衣類に出来そうなのはホーンラビットの毛皮くらいなのですが……試しにまふかさんがその毛皮で胸を隠してみた結果【狂嵐】で速攻焼き切れていました。
「これはやっぱりちゃんとした物を手に入れないと無理そうね、そうなると何かしらの金策をしないといけないんだけど……それ以前に、今のあたし達って普通に買い物が出来るの?」
まふかさんが急にそんな事を言い出したのですが、その問題については私に良い考えがあります。
「それは大丈夫だと思います…ね、牡丹」
「ぷっ!」
【意思疎通】で連絡を取り合い頷いた牡丹に合わせて【淫装】が暴れないようにドレスや手袋を外していくと、まふかさんが身の危険を感じたのか若干引いたのですが……失礼ですね、別に今回はそういう目的で脱いでいる訳ではありません。
「あんた達、何を…?」
「それは、こうやって…」
私は【淫装】になりそうな物を完全に外してから、牡丹にはスライム形態になってもらいその頭にギルドカードをかけます。
「たぶんこれでやり取りが出来ると思うのですが…試しにまふかさんのギルドカードを合わせてもらってもいいですか?」
「こ、こう…?」
「ぷっ!」
まふかさんのギルドカードと牡丹に渡した私のギルドカードに合わせると……お金のやり取りをする画面が出てきました。
「へー…スライムでもギルドカードが使えるのね」
「まあ魔力の波長は同じようですし、これで後は売買が出来るかどうかですが…」
テイマー系の交流掲示板ではテイムモンスターにアイテムを購入してきてもらう事が出来るかどうかと言う事が議論になっていたのですが【ルドラの火】で牡丹が燃えない事や【搾精】した時の循環している感じからすると私と牡丹の魔力の波長は同じ物のようですし、たぶん大丈夫だと思います。
というより買い物に行かせる場合の一番の問題点となるのがテイムしたモンスターが“買い物”という行為を理解しているかという事だと思いますし、収納系のスキルがなければ運搬できる物も限られているというのが問題なのですが……牡丹くらい頭が良くて、収納スキル持ちなら買い物くらい普通に出来るでしょう。
「便利なものね、こうやって使いっぱしりにも使えるんだったらあたしも【テイミング】を取ろうかしら……因みにあんたはどうやって取得したの?」
まふかさんは感心したようにプニプニとしたゼリーのように揺れる牡丹を突きながらそんな事を聞いてきたのですが、取得するのはどうでしょうね?
「私の場合はホーンラビットを魅了した結果【テイミング】を覚えて、牡丹に関しては殆ど事故みたいなものでしたが」
「あーうん、やっぱりやめとく、あんたの方法だと碌でもない事になりそうだし…後でちゃんと調べてから覚えるわ」
「酷い言い方ですね」
因みに正攻法の【テイミング】の覚え方はテイムしたいモンスターや動物と心を通わせて……正確にはテイム条件を満たしたらスキルが憶えられるようになって、スキルを取得してから改めて【テイミング】という流れですね。
ただこの後少し試した結果なのですが、まふかさんの場合は常時【狂嵐】状態なので碌に触れ合う事が出来なくて【テイミング】の取得に失敗していました。
もしかしたらその電気や風の魔力が心地よいというモンスターがいるのかもしれませんし、その痛みが良いというモンスターが現れたら覚えられるのかもしれませんが、小動物系のモンスターでは難しいようですね。
「後はちゃんと買い物が出来るかですが……そうですね、試しに使った分の消耗品の買出しをお願いしてもいいですか?」
これで購入が出来るのなら毎回店員さんを魅了するかの綱渡りをする必要がなくなりますし、売買系の事を牡丹に頼んで必要装備の資金を貯める事ができそうです。
「ぷっ!!」
そうして買い物を頼まれた牡丹は元気よく出かけて行ったのですが、少し心配なのは『エルフェリア』では人外種への当たりがきつい事なのですが、ブレイカー達が着々と到着して増えていっているのは住人達に知れ渡っているようですし、ギルドカードを見える位置につけていればいきなり襲われる事は無いでしょう。
(念には念を入れましたし)
【神隠し】と【隠陰】があれば一般NPCに牡丹が見つかる確率はグンと下がりますし、道具屋にポーションと携帯食料を買いに行く程度なら見つからずになんとかなると思います。
「じゃあ買い物はアレに任せるとして、後は狩場が問題なのよね~こんな格好だとポータルも使えないし」
「そうですね」
『エルフェリア』のポータルは中央広場に生えている『アンアルバ』という樹高10メートルくらいの木がその役割を担っているのですが、この木は『エルフェリア』でも神聖視されている木のようで周りには結構人がいるのですよね。
別名『シャンデリアの木』というようで、太陽と星の力を蓄えて成長すると言われている途方もない年月をかけてゆっくりと成長する灰色のカチコチした石のような樹皮を持った細目の木であり、その葉っぱはガラスのように透明でキラキラ輝いているそうです。
そんな木がポータルとなっているので周囲には常に人が居て、しかも『エルフェリア』に到着したプレイヤーがアルディード女王にキャンプ地の事を報告した結果『セントラルキャンプ』と正式にポータルが開通して一部の騎士達がこちら側にやってきたりと交流が始まっており、人通りが多くなっているので全裸のまふかさんが動ける範囲がかなり狭くなってしまっています。
後これはポータルの仕様についてなのですが、同一エリア内では登録した場所に移動できるのですが、エリア間の移動は特別なポータルを使用しないといけないようで……つまりこれは『エルフェリア』と『セントラルキャンプ』の間はポータルで繋がっているのですが第一エリアとは繋がっていないという事で、今の私達の場合は移動先が『セントラルキャンプ』一択になっているのですよね。
まあポータルが使えるおかげで毎回『ギャザニー地下水道』を通過しなければいけないという苦行から解放されている訳ではあるのですが、この仕様のせいで狩場の選択の幅がかなり狭まっているというのも事実でした。
「あんたって結構早くから繋いでいたんでしょ?何かこの辺りで丁度良い狩場の情報とか仕入れていないの?」
「そう言われましても、私もまだ北の森くらいしか行っていないですし…」
その森に居るモンスターは低レベルなので、本格的な装備を買うための金策の場所と考えると少し厳しそうなのですよね。
「そこから更に北に行った所にはちゃんとした敵が出るらしいのですが…」
『エルフェリア』にもプレイヤーが増えていっていますし、複数のPTがそちらに向かったような気配はあるのですが、情報開示は行われていないのでどんな場所なのかわからないので適正レベルがわかりません。
「北、ねぇ…って言っても、もうそこくらいしか行ける場所が無いんじゃない?」
「それは、そうなのですが……では試しに行ってみますか?」
消去法での選択ではあるのですが、今ならそこまで人もいないでしょうし、ゴブリンジェネラルの武器を試す事が出来れば最低限の目的は達成できますしと、私達は一度『エルフェリア』の北側の森の向こうに広がっているMAPに向かってみる事にしました。
※正式にポータルが開通して = 『セントラルキャンプ』に人類側が到着したので、魔物に悪用されないように閉じていた輸送用のポータルが限定的に開かれています。それに乗って先遣隊が来た形となるのですが、実はキャンプ地のクエストさえ着実にクリアしていきNPCの信頼を得ていれば便乗する事も出来ます。
※テイミングしたモンスターや動物を使った買い物についての補足ですが、牡丹レベルの知能が無くてもちゃんと躾ければペットにお使いに行かせる感覚で買って来てもらう事はできます。
ただその場合の問題点としては、収納系のスキルを持っていない場合は持ち運べる量が鞄or籠に入るアイテムである事が前提になる事と、場合によっては買い物に出かけたテイムモンスターがやられてしまう可能性がある事、そして流石にギルドカードで支払いが出来るほど頭のいいモンスターは少ないので、ある程度のお金を現金に換金して持ち歩いておかないといけない事などがあげられます。
今回のユリエルのようにギルドカードを持たせておいて無くした場合は紛失扱いとなりますし、再発行に結構お金がかかります。
因みにユリエルが当然のように牡丹もギルドカードでの決済が出来ると思い込んでいるのは、彼女がカードでの支払いが当たり前という世代だからです。というより電脳でのオンライン決済が主となっていますので、ユリエル達の時代では現金はあまり使われておりません。
そのため託された牡丹の方はかなり試行錯誤する事になるのですが、多分この辺りの努力はサラっと流される事になると思います。




