266:のんびりブラブラモジモジ
昨晩はまふかさんとイチャイチャして……っと、いえ、あれは決して不純な行為が目的ではなくて、能力の検証と空腹度の回復の為なので決していやらしい事がしたかった訳ではないのですが、とにかくそういう行為が終わった後にログアウトしたのですが、日を跨いでログインした場所が宿屋のベッドの上というのは何かちょっとアレな感じですね。
若干気まずいような気がしてノソノソと起き上がってしまったのですが、もう少しでゲーム内でも日が昇るという時間ですし、まふかさんもまだ繋いでいないので気持ちを入れ替えて行動を開始しましょう。
(それにしても、一晩寝ただけで一気に進むのがVRゲームあるあるですね)
大木の中をくり抜いたような自然と同化したような建物が立ち並ぶ『エルフェリア』の街並みを歩きながら私は周囲の様子を眺めるのですが、ワールドアナウンスを聞いてからブレイカーズギルドで情報を漁ったのか、それともリンネさん達の内の誰かが情報提供をしたのか『ギャザニー地下水道』の攻略情報が纏められるとあっという間に突破する人達が出てきました。
そういう訳で『エルフェリア』にもプレイヤーの姿をチラホラと見るようになったのですが、何故か指を刺される気がするので少し気まずいですね。
(それでは……どうしましょうか?)
そういう好奇の視線は一旦横にやっておき、やるべき事と言う意味では『アルディード女王への報告』というクエストをクリアするためにもエルフの女王に会いに行く必要があるのですが、色々と周辺情報を収集する必要性を感じたばかりですし、お使いイベント特有のたらい回しや連続イベントへの警戒もあるのでまずは準備をしておきましょう。
そういう訳でまずは消耗品の補充をしながらあまり得意でない情報収集をして、それから昨日はあまりのんびり見る事の出来なかった武具屋などを見て回ったのですが……やっぱり『エルフェリア』では魔法の装備が充実しているような気がしますね。
商品棚にはズラリと多種多様な属性剣などが売りに出されているのですが、注意書きを見る限りでは魔王軍との戦いに備えるためなのか一般に放出されている数は絞られているようで、通常販売はしていないとの事でした。
「すみません、少しお尋ねしたいのですが……あの辺りに置いてある武器は売り物じゃないんですか?」
その辺りの事情が気になって、私は武器屋の受付に座っていた男性店員のエルフに声をかけたのですが、その人は私の顔と胸元をマジマジと見た後に不自然に視線を逸らし、顔を赤らめながらも変な咳ばらいをしてから質問に答えてくれます。
「え?ああ…んっんっ、そっちは物置が圧迫されるから店の中に置いてある分だな、その…なんだ、客に売れないというのは確かに心苦しいんだが、あれは国に納品する分だからな、売っちまうと俺が怒られてしまうんだ」
との事で、ある程度の質の物は国への納品義務があるらしく、販売はしていないのだそうです。
「ただこっちも手一杯って事で属性武器の作り方を教えてもいいし、材料を自前で準備できるのなら鍛冶場も貸し出してもいいが……どうする?」
「そうですね…」
たぶん低ランクの属性装備ならお店で買えて、高ランクの物は自分達で作ってと言う感じなのでしょうけど、私の場合は【鍛冶】や【裁縫】のスキルが無いので自作するというのは難しいのですよね。
「生憎作り出すスキルを持っていませんし、今回は遠慮しておきます……っと、話は変わりますが、この剣を修理する事は出来ますか?」
私はついでのように連続使用でそろそろ耐久度が減り始めているベローズソードの修理が出来ないかと訊ねてみたのですが、武器屋の店員さんは難しい顔をして蛇腹剣を検分した後に答えます。
「出来なくはないが……今は納品用の武器を作るので手一杯だからな、結構時間を貰う事になるな」
「どれくらいかかりそうですか?」
「そうだな、どんな仕上げにするか次第だが……大体一日か二日、改造を施すなら要相談ってところだな」
「なるほど」
つまり簡単な修理ならリアル時間換算で半日から1日程度、色々な効果を付与するのなら数日はかかると言ったところでしょうか?
今日はもう休憩するつもりで修理に出しても良いのですが、クエストがどう転ぶかわからない状況でメイン武器を手放すのも何ですからね、まだまだ耐久度には余裕がありますし、修理は後回しにする事にしましょう。
「教えていただきありがとうございます、それではまた」
「あ、ああ…それで、良かったらなんだが……」
私は色々と教えてくれた事に対して軽く頭を下げてから言葉を遮りお店を後にしたのですが、この人がさっきからずっと私の胸をチラチラ見てきているのは分かっていましたし、体温の上昇や発汗の様子から興奮して来ている事、そこから進んでよからぬ事を考えている事などがわかったような気がするのですが……向けられる下劣な欲望と言うのは嫌な感じですね。
中には単純に魔族系の人種という事で警戒している人もいるのですが、魅了の効果が強まってからはこういう厭らしい視線も増えていたりと居心地が悪いですし、しつこく言い寄られる前にその店を後にしたのですが……外に出てもねちっこい視線を感じるのは変わりません。
(しかも余計にお腹が空いてしまいますし)
NPCのエルフにも性欲はあるのか、それとも性欲を掻き立てる程の何かが私から出ているのか、相手がムラムラしているとこちらまでムラムラしてしまって、しかもお腹が空いて来るとその思いが強くなるという悪循環で、我慢が出来なくなってこちらから襲ってしまう前に離れるのが得策でしょう。
不便ではあるのですが、一応交渉ごとに何かしらのプラス補正がかかっている感じがしますし、それでいて相手を魅了してしまいまともに会話が出来ないという変な状態なのですが、これはいったいどういう事なのでしょうね。
(まあ私はそもそも口下手ですからね、交渉が出来なくてもあまり関係ないかもしれませんが)
自虐なのか不便さへの自問自答かわからない事を心の中で呟いていると頭の上に乗っていた牡丹が呆れた様に「ぷいー…」と呟いていたのですが……妙に視線が集まって来て居心地が悪いのは牡丹のせいでもあるのですよね。
というのも名前は変わっていないものの今や牡丹は帽子から触手が6本伸びている何か怪しげな物体ですからね、私がギルドカードを首から下げておかなければ速攻で討伐隊が組まれて襲い掛かられても仕方がないくらい怪しげな見た目になっています。
ではスライム形態になれば良いのかと言うとそれもまた違っていて、魔物に対する警戒心が強い『エルフェリア』だとそれはそれで危険ですし、結局のところどちらも危ないのなら装備品として身に着けておいた方が離れ離れにならなくて良いでしょうという事でイビルストラ形態での移動中です。
因みに進化した影響で大きく姿を変えた牡丹なのですが、スライム形態でも勿論その見た目は変わっていて、まるで某歴史的に有名な泡スライムみたいな半分溶けたような感じになっており、下半分が溶けて横に広がったようなよりスライムらしい見た目になっていました。
だからどうしたという変化ではあるのですが、柔軟性が増したおかげで【鞭】スキルが使いやすくなりましたし、接地面を蠕動させる事で跳ねずに横移動が可能と牡丹的には色々と変化があったようですね。
そして前よりも伸び縮みがしやすくなったおかげでアイテムの収納量が増えたのですが……そういえば収納の件に関してはゴブリンジェネラルから拾った武具が収納スペースを圧迫している問題があったのですが、まふかさんにどうするか尋ねてみると「使うかどうかは試し斬りしてみないとわからないのよね」との事で使用は保留で、まふかさんのリュックが【狂嵐】の影響のせいでボロボロになってしまったので、新しいマジックバッグを買うまでは私が預かっておく事となりました。
そのためかなり収納スペースが圧迫されてしまっているのですが、まふかさんは昨日の動画編集をしてからお昼ごろにはログインするという事なので、その時に改めて話し合いましょうという事になっています。
そういう事情もあるので情報収集や準備をしながら『エルフェリア』をウロウロして時間を潰していたのですが……。
(それにしてもこれは、ちょっと…予想より…)
『搾精のリリム』になった事で胸の大きさがワンカップ大きくなり、何かの拍子に母乳が溢れてしまうという奇妙な体質になってしまっていたのですが、戦闘中などのアドレナリンが出ているような状態でない時は胸の揺れが結構気になってしまいますね。
何て言いますか、こちらの予想以上に揺れると言いますか、身構えている瞬間より一瞬遅れて刺激されたり予想より大きく揺れる事で思ったより刺激が強くてビックリしてしまう感じで、たまらない気持ちになってしまいます。
それでいて本来ならドレスの方が多少体型に合わせてその形を変えてくれる筈なのですが、大きさはKカップだった時から変わっておらずいつはみ出すかどうかわからない大きさでヒヤヒヤしてしまいますし、ワンサイズ小さなカップ部は刺激で否応なく膨らんだ乳首をキュウキュウと締め付けて来てきてしまい、歩くだけで上下左右に揺れる痛みがだんだんと耐えづらくなってきていました。
(このドレスにも、慣れた…筈なんですが……ッ、大きくなった時に感度も一緒に上がってしまった…のでしょうか?)
ジワリと滲む母乳のせいで胸当てにシミが出来るのですが、自分の母乳の湿り気のせいで擦れる感触がヌチョヌチョと細かな舌で嘗め回されているような感じに変わっており、昂ぶり火照る身体を『翠皇竜のドレス』締め上げられると頬が火照り、汗ばみヌルヌルになった股間に食い込む紐が擦れて足元がふらついてしまいます。
それだけなら【ポーカーフェイス】で誤魔化せばいいのですが、まふかさんが言うには進化した私のあらゆる体液が催淫性の強い物質になってしまっているようで、母乳と愛液はもう媚毒に近い効果があり……そんな怪しげなフェロモンを町の中で振りまいていると、周囲からの視線が怖いくらいに熱気の孕んだものに変化していっているようでした。
(不味い、ですね)
下手に人気のない所に駆け込もうならそのまま襲われる可能性があるというくらい周囲の視線が痛いですし、そそり立つ欲望の塊を突っ込みたいという様に目と股間を血走らせたりしている人がそこかしこに居てと、このままここにいるのはあまり得策ではないですね。
そして何よりも不味いのが『搾精のリリム』の影響かそんな暴徒と化した民衆に襲われる事を想像しただけで身体がゾクゾクとした歓喜に震えてしまい、不快感より期待感の方が高まって来てしまい自制をかけるのが難しくなっている事でした。
そんな周囲の視線だけで愛液が滴たり、受け入れ準備が出来ている事を自覚できるくらい身体が火照りドキドキしてしまい、身体の底から湧き上がる欲望に歯止めがかからなくなってきて、空腹と周囲の視線にもう頭の中が沸騰して息が上がります。
(とにかく一度、一度だけでもスッキリしないと…このままだと頭がおかしくなってしまいそうです)
絶対に一度では終わらないという確信はあったのですが、とにかくこのムラムラした気持ちを何とか落ち着かせなければならないと思い、私は道行く人の股間の膨らみに視線が向いてしまいながらも、何とかその場から逃げるようにして立ち去る事に成功しました。




