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251:突入前の様子と中の様子

 まふかさんとの組んずほぐれつの戦いの末、何か凄く無駄な体力と時間を使ってしまったような気がするのですが、一通り満足したところで私達は我に返り、スタミナポーションを飲んで一息入れる事になりました。


 その休憩の最中、まふかさんが使っているマジックバッグ(リュック)のショルダーストラップと背面の一部が【狂嵐(きょうらん)】スキルの影響で破れてしまっている事に気が付いたのですが、適当な物を買いに戻るにしても所持金が心もとないのですよね。


 なので私が代わりにお金を出しましょうかと提案してみたのですが「借金なんて格好悪い」とまふかさんは受け取りを拒否しました。


 必要な物ですし、あまりその辺りは気にしなくても良いと思うのですが、とにかくこれ以上破損して中身が溢れ出しても困りますし、アイテムが零れ落ち続けるのも何なので一旦破れたリュック(まふくさんのアイテム)は牡丹に収納しておいてもらう事になったのですが……このリュックが使えなくなると、まふかさんの所持量にかなり制限がかかってしまうのですよね。


 せめてポケットに麻痺治しだけでも詰め込めたらよかったのですが、今のまふかさんは体にフィットしたインナーと皮鎧しか着ていないので、突っ込んでおけるような収納スペースがありません。


 そういう訳で一時的にイビルストラ化した牡丹を貸し出す事も検討したのですが、それはウネウネするのが気持ち悪いから嫌だそうです。


 まふかさんに言わせると「あんたはよくこんな物を着ていられるわよね」との事なのですが、どうやら『ウガルル亜種』になった事で感覚が鋭くなり、敏感肌になってしまっているようですね。


 牡丹も『ぷー』とパリパリ感が不快なようで、最終的には壊れてもいい私の太股のポシェットを貸し出す事となり、中身は各種ポーションが1本ずつ、投げナイフを取り出す代わりに麻痺治しを3個と毒消しを1個突っ込んで、新品だった事もあり何とか耐久度が残っていたコルセット型の腰ベルトに吊り下げておく事になりました。


 そうして突入準備を終えた私達なのですが、流石に状況不明のまま突入する訳にはいきませんし、女性PT(助ける対象)リスポーン(帰還)していたらそもそも突入する必要がありませんからね、まずは中の様子を窺ってみる事にしたのですが……ゴブリン達に発見されないギリギリまで階段を降りただけだと見える範囲も狭いですし、魔法の障壁越しだと音がぼやけるのでよくわかりません。


『で、向こうはどういう感じ?』


『少し待ってください、今調べていますので……牡丹、どうですか?』

 なのでスライム形態になった牡丹に下まで降りてもらい、壁のおうとつに隠れるように障壁の向こう側の様子を中継して貰う事にしたのですが……『ぷーう、ぷー』という事で、どうやら近くにゴブリンは居ないようですね。


『障壁の近くにゴブリン達はいないようです……少し待ってください、今【魔水晶】を送り込みますので』

 ここからは声を潜めておこうとPT会話に切り替え、牡丹の報告に耳を澄ましながら死角となっている場所に【魔水晶()】を送り込むのですが……戻って来るまでに時間をかけたおかげか、ゴブリン達は障壁を越えて行った私達の事を諦めたのか何やら別の事に気を取られているようで、障壁側に注意を払っている様子はありません。


 ゴブリンジェネラルも障壁の前から離れているようで、集落の広場に居るのはホブゴブリン3体とその他のゴブリンが多数ですね。


 そして多数と言っても100体以下で、かなり手薄になってはいたのですが……不意打ちを受けないためにもゴブリンジェネラルの居場所や動向は探っておきたいですね。


『ぷー…』

 そういう訳で集落内の状況は悪くない筈なのですが、障壁から顔を出している牡丹は『棘が光っているのが気になる』との事で、言われてみると障壁に絡まりつく『歪黒樹(わいこくじゅ)の棘』が禍々しく光っていました。


(何か成長しているような気がするのですが…?)

 数ミリ単位の変化なので最初は目の錯覚かと思ったのですが、魔力の流れ的には確かに力が増しており『歪黒樹の棘』がゆっくりと成長しているような気がします。


 何が起きているのでしょう?と、もう少し広範囲を探ろうと【魔水晶】を集落の中側に送り込む事にしたのですが……そちらはかなり酷い事になっていました。


『小屋の中に連れ込まれている人が4人、広場に居る人が2人、その中でまともに動けているのは広場に居る1人だけで、他の方は…』

 捕まっている女性達はゴブリン達に襲われ、強制ログアウト寸前ですね。


 自らログアウトする事を選んだ人も無抵抗(中身無し)のままゴブリン達に襲われているのですが、その中でたった一人、ゴブリン達に対する気概を捨てずに戦っている女性がいました。


 その人はまるで隙を見て小屋から逃げ出したところを囲まれたといった様子で、敵から奪い取ったと思われるボロボロの剣を振るいながら5体のゴブリンと戦っていたのですが、スキルの封印を受けているせいかその動きはかなり鈍く、戦況は悪そうですね。


 そして必死に孤軍奮闘する彼女の頑張りとは裏腹に、周囲を囲むゴブリン達はまるで良い暇つぶしだというようにニヤニヤギャッギャッと囃し立てており、順番にいたぶるようにその女性に襲い掛かり完全に遊んでいるようでした。


 【看破】の結果、どうやらその女性はリンネさんというようで、名前の表示が白色なのでプレイヤーである事は確定ですね。


 腰まで届く金青(こんじょう)色の艶やかな髪と牡丹色をした切れ長の瞳、170センチちょっとの身長にEカップのバストとなかなかバランスの良い体つきをしており、筋肉量から考えて何かしらの格闘技を習っている人なのかもしれません。


「ーーー!?」

 そうして彼女は【看破】に気づいて視線を横に向けようとしながら口を開くのですが【魔水晶】ごしなのでその声が聞こえる事はありませんでした。


 結局その口からこぼれたのは増援(6体目)だと思いあげた悲鳴なのか、それとも助けを呼ぼうとしていたのかわからないまま、余所見をした隙をつかれる形で「GOBUGOBU」と襲い掛かってきたゴブリンに長い髪を乱暴に掴まれ引き倒されてしまい、そこに残りのゴブリン達が我先にと群がります。


 どうやら人間であるリンネさんはスキル封印の効果を強く受けているようで、幼稚園児並みの体格しかないゴブリン達を振りほどく力もないようで、悔しそうに手にした剣を振るうのですが……【剣】スキルもまともに働いておらず、刃こぼれが酷い剣ではまともにダメージを与える事も出来ません。


 むしろ中途半端に傷つけられたゴブリンが逆上し、馬乗りに押さえつけたままリンネさんの顔を何度か殴り髪を引くのですが……そうして苦痛に歪むリンネさんの顔を見て少しは満足したのか、ゴブリンはニタニタと笑いながら攻撃方法を変えたようで、いきなりリンネさんの全身に黄色い液体(麻痺毒)を垂らしたかと思うと、その胸にむしゃぶりつきました。


「ーーッ!?ーッッ!!?」

 その攻撃の変化にリンネさんは戸惑いながらも抵抗を示すのですが、群がり腕を取られるだけで力負けしてしまい、ゴブリン達に胸を弄られ、吸われ、舐められ、とうとう下の大事な所にも魔の手が伸びるのですが、その手をまともに振り払う事も出来ていません。


 弄ばれる度にリンネさんの顔が嫌悪感で歪み、必死に抵抗しようと腕や足を動かすのですが……スキルが封印され、身体が麻痺毒に侵されていてはどうしようもなく、情けなさと悔しさにリンネさんは涙目になるのですが、その様子を見ているゴブリン達は面白そうに騒ぎたてるだけで、とうとうそのうちの一体が我慢できなくなったのか、いきり立つモノを露にすると無理矢理リンネさんの下の口に肉棒を突き立てます。


 そしてゴブリンのモノは小柄な体型の割になかなかの大きさがあるのか、乱暴な挿入の痛みにリンネさんから悲鳴が溢れ、今まで無数の手と舌で身体をまさぐられていても何とか耐えていた身体が激しく跳ね上がりました。


 抵抗しようにもゴブリン達に押さえつけられている状態ではままならず、そのままパチュンパチュンと大振りのスライドを受けると、リンネさんは涙を浮かべながら「こんな奴らにいかされる訳にはいかない」と、残された唯一の抵抗というように必死に歯を食いしばりながら無理矢理叩き込まれる刺激に耐えていたのですが、麻痺毒には感度を上げる厭らしい効果でもあるのか、一突き一突きごとにリンネさんの表情が崩れ、半開きの口からは短い喘ぎ声が漏れ始めます。


 もうこの頃には使えれば何でもいいというように群がったゴブリン達が好き勝手に擦りつけ弄んでいたのですが、間抜け面で腰を振っていたゴブリンが早々にペースを上げたかと思うと、容赦なくリンネさんの中に白濁した欲望を吐き出し……それに合わせてリンネさんも歯を強く食いしばり、容赦なく叩き込まれる余韻に身体を震わせていました。


(これは、酷いですね)

 【魔水晶】越しなので音声は聞こえないのですが、あまりにも酷い惨状に息を飲み、私はとにかく一旦落ち着こうと深呼吸をしてから、まふかさんに状況を伝えます。


『いや、そう冷静に事細かく伝えられても…』

 まふかさんは何やら落ち着かない様子でモジモジとしていたのですが、とにかくそれ以上リンネさんの痴態を見ていても仕方がないですからね、私は改めて集落の外を探ろうと【魔水晶】をその場から離したのですが……どうやら水路の方にかなりの数のゴブリンが集まっているようで、残りの女性プレイヤーはそちらに連れていかれているようでした。


(というよりあれは…池の中にある祭壇、でしょうか?)

 『エルフェリア』を北側とした場合、私達が進んで来た水路は東側で、そして現在大量のゴブリン達が女性プレイヤーを引き連れて向かっているのが西側と、丁度私達が来た方向とは反対側ですね。


 そこは水路と言うより溜め池のような場所で、その真ん中には石畳で出来た島のような物があり、台座のような物が見えました。


 どうやらそこにゴブリンジェネラルと残りのホブゴブリンも居るようで、周囲のゴブリン達に命令して台座の上に女性を1人ずつ乗せていっているのですが……女性が台座に乗せられると同時に天井から無数の『歪黒樹の棘』がゆっくりと伸びて来て、生贄となった女性に絡まりつき覆いかぶさります。


 【魔水晶】越しだとクリアな視界とは言い辛いですし、遠くから眺めているだけなので詳しくはわからないのですが『歪黒樹の棘』に襲われた女性も最初の内は激しく抵抗するのですが、女性なら絶対に勝つ事の出来ない黒い茨の動きに次第に身体を震わせ、そこからはもうこの世のものとは思えない蕩けた嬌声を上げていたのですが、どうやら女性がその責め苦に屈服する度に黒い茨(歪黒樹の棘)が成長しているようでした。


(何かを吸収しているようですが…よくわかりませんね、もう少し近づけば……っ!?)

 私は詳しく調べるために【魔水晶】を近づけようとしたのですが、そこでゴブリンジェネラルに気付かれてしまいます。


「GoーーBuーー!!」

 その叫び声は障壁越しでもビリビリと聞こえてくる程で、ゴブリンジェネラルは【魔水晶】を指さし周囲のゴブリン達に指示を飛ばし動き出します。


 そうして周囲に居る数百匹のゴブリン達が一斉に動き出してしまったのですが、このまま【魔水晶】が破壊されたら無駄にMPが減るだけですからね、すぐに消してから私の周囲に再出現させたのですが、ゴブリン達は消えた【魔水晶】が何処にいったのかわからないというように、とりあえず消えた辺りの捜索を開始しました。


『ぷーう!』

 そうして障壁近くで中を窺っていた牡丹から、集落内に居たゴブリン達も女性達を放り出して【魔水晶】の消えた地点に向かい始めたという報告が入り……これは私達も動くべきですね。


『まふかさん、まずは手前の女性達を助けましょう!』


『え、あ…ちょっと待ちなさい、どういう事!?』

 祭壇前に連れていかれた人達を助ける事が出来るかはわかりませんが、集落内に残された人くらいは何とか助けようと、私はモジモジと顔を赤らめ尻尾を振っていたまふかさんに声をかけてから、障壁の向こう側に突入しました。

※ちょこちょこと修正しました(8/19)。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これチキンレースだ というかそろそろ送られそうだ [気になる点] しかしよくこのゲームしているな いろんな意味で
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