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238:飛ぶ前の心構えとかイチャイチャとか

※飛ぶつもりでしたが、思いのほか2人がイチャイチャしてしまいました。

 私達は『セントラルキャンプ』と『エルフェリア』の間に横たわる巨大な裂け目(幅100m)にやって来ていたのですが、ネットの情報よりオーロラ(魔力溜まり)の噴き上がる間隔が短いような気がするのですが、時間経過や何かしらの理由で活性化しているのでしょうか?


(タイミングを見計らえばなんとかなりそうですが…)

 中断する程の激しさでもないのですが、何往復もするとなると巻き込まれる(ミスする)確率が上がりそうですし、下手に分けて飛ぶより皆で一緒に飛び越えた方が良さそうですね。


「牡丹」


「ぷい!」

 スライム形態で裂け目に落ちたら最悪(判定次第で)消滅ですからね、イビルストラ(前垂れのある糸ケープ)形態に変わってもらい、装備品として身に着けベローズソードなどの飛行する際に邪魔になる装備は牡丹に収納してもらいます。


「では行きましょうか」

 多少のトラブル(オーロラの間隔)はありましたが、ここまで来て怖気づいてもしかたがないですからね、時間をかけてモンスターが集まって来ても厄介ですし、私は亀裂を覗き込んでいるまふかさんに声をかけます。


「ちょっと待って、もしかしてあんたが抱きかかえて飛ぶつもり?」

 そうして今まさにまふかさんを抱きかかえて飛び立とうというタイミングでそんな事を言われたのですが、それ以外に渡る手段があるのでしょうか?


「そのつもりですが?」

 飛んで超える事は事前に説明していますし、多分それが(抱きかかえるのが)一番安定すると思うのですが?という意味を視線に乗せて首を傾げてみせるのですが、まふかさんはどこかあやふやな表情で納得できないというように唇を尖らせました。


「恥ず……じゃなくて、そんな変な恰好(お姫様抱っこ)で運ばれたんじゃあ映像ばえしないでしょ?あたしは格好良く飛び越えたいの、だからあたしがあんたを抱えて跳ぶわ!」

 バーンと効果音がつきそうな勢いでまふかさんは自信満々にそんな事を言うのですが、幾ら人外化して脚力が増しているとはいえ、私と牡丹を抱えたまま100メートルの距離を跳び越えるのは現実的ではないですね。


「流石にまふかさんの脚力では厳しいのでは?」


「うっ…そりゃあ、そうかもしれないけど……そこはあんたが格好良く私を引っ張り上げて飛ぶとか、他にも色々とあるでしょ!?」


「なるほど…」

 お姫様抱っこで運ばれるより、翼付きの私がまふかさんの上半身を引っ張り上げるようにして運ぶ方が絵になるからという意見はわかりましたが、その運び方はなかなか難しいと思います。

 と言うのも、いくら持ちやすそうとはいえ首に手をかける訳にもいきませんし、肩辺りを掴むだけだと滑り落ちるかもしれず、そもそもその持ち方だと握力の関係でかなり痛いと思います。


 そうなるともう単純に服を掴んで飛べばいいだけなのかもしれませんが、まふかさんの装備(服装)はストライプベアの攻撃でボロボロになったままですからね、特殊繊維(切れない糸)という訳でもないので強度面がやや不安ですし、万が一破れた場合はその衝撃でバランスを崩して墜落する可能性があるのでかなり危険です。


 一番良いと思う固定方法は腋の下に腕を通してガッチリ固定する事なのですが、落ちないように固定するとなると私の頭がまふかさんの後頭部辺りに来てしまい、流石にそんな視界(姿勢)で飛ぶのは危ないでしょう。


「ぷーう?」


「そうですね、では牡丹にお願いしましょうか」

 そんな風に色々とまふかさんの固定方法に頭を悩ませていると、イビルストラになった牡丹から折衷案が出され、それを採用する事にしました。


「……そのスライムは何て言ってるの?」

 牡丹の言葉が聞こえない(【意思疎通】のない)まふかさんは私と牡丹だけで結論を出した事に対して若干拗ねたような仏頂面で聞いてきたのですが、別に大した事を話している訳でもないのですよね。


「牡丹が固定するのを手伝うから大丈夫だと」


「ぷ!」

 私がそう説明すると、牡丹はイビルストラの前垂れを動かしながら「任せて!」みたいな動きをしているのですが、まふかさんはそのウネウネと触手のように動く前垂れ(2本の長い前垂れ)糸垂れ(ケープ状の紐)を見ながらおもいっきり胡散臭そうな顔をしていました。


「ふーん、まあいいわ……ほら、乗りなさい、あたしが跳んだらいい感じに羽ばたくのよ?」

 それ以上話しても無駄だと思ったのか、まふかさんはどうでもよさそうな顔で背負っていたリュックを前に付け直して背中を向けてしゃがみ込むのですが、そういえばイベント(スライム争奪戦)の時もおんぶしてもらいましたね。


「前もこうして背負ってくれましたよね?」

 まふかさんと話すようになったのがそのイベントの時だったと、懐かしくなってその話題を口にしてみたのですが、その時から考えるとまふかさんともかなり仲良くなったような気がします。


「さあ?覚えてないけど…」

 そして忘れたと誤魔化すまふかさんなのですが、その頬はどこか照れたように赤く染まっていたのでちゃんと憶えているみたいでした。


「じゃあお願いしま……の、前にちょっと待ってください」

 流石にスカートの中は汗とか汁とかで色々と酷かったので水魔法で体を洗ってから拭いておいたのですが……あまり変わらないかもしれませんね。


 というのも、どうしても飛ぶためにスカート翼を広げた状態でおんぶされる事になるのですが、大股開きでスカートを広げていると切れ込みの激しいIラインのインナーがまふかさんの尻尾の付け根辺りに当たってしまい、その尻尾の動きがダイレクトに股間に響いてしまうからです。


「あまり尻尾を動かさないでくださいね?」


「あんたも擦りつけるんじゃないわよ?」

 軽口を言いあいながらまふかさんの背に乗るのですが、やっぱり尻尾が変な位置(股の間)に来るのですよね。


「んっ…それは難しいかと……まふかさ…ん…だから、動かさないで…」

 肌が密着するのも恥ずかしいのですが、まふかさんも変な感じなのか頭の上の狼耳がピクピクと動いていますし、どうやら変な気分になっているのはまふかさんも一緒のようでした。


 その事が何か嬉しくてまふかさんの狼耳に唇を寄せると「ひゃ」と小さく悲鳴をあげたのですが、それ以外の反応(暴言)がありませんね。


「まーふーかーさん?」

 「だから変な事をするんじゃないわよ!?」とでも怒られるかと思ったのですが、まふかさんは何かに耐えるようにしゃがんだまま動かず、私の足を掴む指先に力を入れながらプルプルと震えていました。


「だから…耳元で喋らないでってば!!くすぐったいのよ!って、な、ひゃん!?」


「ぷ!」

 私とまふかさんがそんなやり取りをしていると、牡丹が「早く跳べ!」と言うようにイビルストラの前垂れをまふかさんの肩関節に回してキュッと固定したのですが、腋をくすぐるような刺激に可愛い悲鳴をあげていました。


 それで私の上半身とまふかさんの上半身が固定されたのですが、押し付ける形となった胸の先端がクニクニと刺激されますし、落ち着こうと深呼吸しようとすればまふかさんの匂いと体温が近すぎてドキドキしてしまいます。


「ちょ、ちょっと…」


「ぷ~い」

 たぶんまふかさんがリアルで使っている香水の匂いが再現されているのだと思いますが、戦闘後の汗の匂いと混じって不思議な香りになっていますし、しっとりスベスベな肌は触り心地がいいですし、温かく柔らかい体温も色々な事を思い出してしまいたまらない気持ちになってしまいました。


「まふかさん…」

 目の前にある狼耳に息を吹きかけるように囁くと、まふかさんも人外部分は性感帯になっているのかゾワゾワと肌が粟立つのを感じます。


「っひ!?…って、い、行くわよ、準備は良い!?」


「え…ちょ、ちょっと待ってください…心の準備がって、そんなに急に立ち上がっ…んんッ!?」


「ッ~~!!だから耳元で変な声出さないで…っ!?」

 立ち上がると余計に体重が股間にかかり、昂ぶりぷっくりと膨れた秘蕾がまふかさんの尻尾にコリコリと弾かれて変な声が出てしまいました。


(尻尾が揺れてはじかれるたびにっ…体がビクビク、ってして…ッぅ…!?)

 そしてまふかさんはまふかさんで尻尾の付け根が性感帯になっているようで、私が無意識にギュッギュと腰を動かし根元に股間を押し付けてしまうと必死にこらえるように息を吐き、足が震えてバランスを崩しています。


 こんな状態で跳ぶなんて正気ですか?と思わなくもないのですが、どうやらまふかさんはやる気のようですね。


ひゃ()…くわよっ!!」

 まるでこのままだと別の意味でいってしまいそうだからと言うように、まふかさんは何かに急き立てられている様子で跳ぼうとしているのですが、まふかさんが行くというのなら信じましょう。


(しかたありませんね)

 落ちたら落ちた時だと震える手でまふかさんの服をギュッと掴み、照れて汗ばむ匂いを肺一杯に吸いながら私は翼を広げました。

※次回、I Can Fly。まふかさんはお姫様抱っこされるよりしたい派を自称していますが、実はされるのも結構好きです。

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