235:仲間割れ
「連戦になってしまいますが、大丈夫ですか?」
私達はモンスターを蹴散らしながら目的地である街道端の断崖絶壁近くまで進んで来ていたのですが、襲撃が多くてなかなか思ったように進めませんね。
「大丈夫よっ、それよりあんたの方こそ大丈夫なの?かなりバテてるみたいだけど…」
私は軽く呼吸を整えながらどこか顔の赤いまふかさんに声をかけたのですが、逆に心配されてしまいました。
「問題ありません、これはまあ…呪いの装備と言いますか、そういうものの影響ですので」
【ポーカーフェイス】のおかげであまり表情には出ていないのですが、ドレスの呪いや【高揚】の影響で感度が高まった所をコリコリされたり、締めつけられたり食い込んだりしていれば嫌でも身体が火照り息が上がります。
「ふ~ん、そうなの?っていうよりこのゲームでもそういうのがあるのね」
「結構碌でもない物が多いで…すんっ……まふかさん?」
私がそういう方面のスキルや装備ばかり見つけているのですが、とにかく冷静ささえ保っていればなかなかの効果がある事を伝えようとしたのですが「どれどれ」というように後ろからまふかさんに胸を鷲掴みにされて、声が出てしまいました。
「確かにあんたのドレスってどこか生物っぽいし、手触りは硬いけど……本当に外そうとしても外れないようになっているのね」
緊張しながらもどこか他人事のように呟くまふかさんなのですが、横目でみたその目は座っていて、獲物を狙うような眼光をしていました。
「まふかさん、いま…わぁあぁぁ…ッッ」
胸の部分は繊維が硬化し鉄のように固くなっているので直接的な刺激は薄いのですが、カップ全体を揺するように大きく揉まれると複雑に絡みついた糸によってあっちこっちに引っ張られてしまい、脱がされまいとするドレスがウゾウゾと絡みついてきて胸がおかしくなりそうでした。
(これは…みりょ…くんんっ…の、影響…かもしれません…が)
まふかさんとは色々あった後なので胸を触る事やスキンシップに対してハードルが低く容赦なく胸を触ってくるのですが、ただでさえ呪いと刺激で敏感になっているところを揉みしだかれると、モンスターが近くにいるというのに頭がパチパチと弾けて力が抜けてしまいます。
(乳首が…引っ張られる、だけ、じゃなくて…胸、全体が…変に…)
後ろから抱きついてきているまふかさんはチューブトップ風のドレスの胸元がどうなっているのかを確かめるように指を滑り込ませようとしているのですが、ドレスはドレスで離れまいと先端にしっかりと絡みつき、外れないように根元をきつく締められるとそれだけで切ない気持ちが昇って来て、下腹部がキュンとしてしまいました。
「はっ…まふ…まふか…さん」
私は何とか止めてもらおうとするのですが、まふかさんは完全に魅了がかかってしまっているのか冷静さを失っているようで、私の後頭部に鼻先を埋めながら荒い呼吸をして身体を震わせています。
戦闘続きの後に臭いを嗅がれると羞恥で身体が火照るのですが、まふかさんは私の臭いを楽しみながら自分の胸を背中に押し付けクニュクニュと刺激し、欲望のままに尾骨から生えた尻尾に股を擦りつけるように前後させていました。
そんな状態で『翠皇竜のドレス』は乳首と乳輪をニュルニュルした回転ブラシのような物でグリグリと刺激しながら溜まったMPをジュルジュルと吸い上げ蠢き、嫌らしい責め方に足がガクガクと震えます。
「ん゙ぅっ!?ゔぅんんーー~…ッ!?」
打ち付けられる衝撃が尾骶骨に響き、尻尾の根元はまふかさんのズボンのザラザラ感と湿ったスベスベの太股と股に挟まれ扱き上げられながら胸を揉まれ、ただでさえ昂っていた身体はあっさりと陥落してしまいました。
「ユリエルッ…ん゙んっ…」
足の力が抜けてもたれ掛かった瞬間にまふかさんも軽くいってしまったようで、荒い息を吐きながらお互いを支え合うように尻尾を絡めあうと、それだけで何か幸せな気持ちが広がりフワフワした心地に包まれます。
責めるように目を細めながら振り返ると惚けたようなまふかさんの顔があって、それ以上何も言えなくなって、そのままどちらからともなくキスをしました。
舌を絡めるのも当たり前になってきていますし、鼻に抜けるまふかさんの匂いと絡みつくようなゾワゾワする感触に、もう何もかも忘れてこのまま二回戦目を始めてもいいような気がしてくるのですが……。
『ぷっい!』
今まさにモンスターの誘因と偵察に出ている牡丹に怒られてしまいました。
「…後で覚えておいてください」
「あたしは悪くっ…ない、けど……その…ごめん」
軽くいった事でまふかさんも正気を取り戻したのか、冗談で胸を揉んだらおもいのほか盛り上がってしまったというような気まずそうな表情をしていたのですが、冷静になるとかなり恥ずかしいですね。
戦闘の合間に何をやっているのでしょうと思わなくもありませんが、とにかくどこかに行ってしまっていた冷静さを何とか手繰り寄せ、まふかさんの体を無理矢理離すように間に腕をねじ込むのですが……それでも私を抱きしめる手を離してくれませんでした。
軽くいっただけのまふかさんは欲求不満という顔でモジモジとしながら熱い目線を向けてきているのですが、フォレストウルフが4匹とフラワーラビットが2羽、少し離れた位置にストライプベアが1体出現してという状況ではそちらの対処が先ですね。
因みに牡丹の追加情報ではストライプベアとフォレストウルフが仲間割れを起こしているようで、縄張り争いのようなモンスター同士の戦いが始まっているようでした。
その原因まではよくわからないのですが、基本的にモンスター同士が連携しながら襲い掛かって来る第二エリアでもストライプベアは少し例外的なモンスターで、他のモンスターと戦っている姿がよく見られるそうです。
その事からストライプベアはもともとこの辺りのモンスターではなく、別の場所からやって来たワンダリングではないかという考察がされていたのですが、とにかくそのおかげでイチャイチャしている間に襲撃されるという最悪の事態は免れたようですね。
「こういう事はまた後で」
「う、うん…って、そうじゃなくて!」
耳元で囁くように続きを約束するとやっとまふかさんは手を離してくれたのですが、頷いた後に我に返ったように怒鳴っていて、それでいて嬉しそうに尻尾をおもいっきりブンブンと振っていました。
動物系の人外種の場合は感情がわかりやすく、まふかさんも尻尾が揺れている事に気づいて顔を真っ赤にしていたのですが、名残惜しいですが一旦身体を離します。
「それより、どうしますか?」
モンスターがこちらに向かって来ているのでしたら戦うつもりでしたが、同士討ちを始めたのなら狩る必要もないですからね、疲労もあるので先に進む選択肢もありですね。
「そ、そうね……同士討ちをしているところを狙うって言うのはセコイ気がするけど、腕試しには丁度良いんじゃない?」
ただまふかさんとしてはストライプベアと戦いたいようで、牡丹からの情報を伝えると「折角傷ついたストライプベアと戦える機会が巡って来たのだから戦いましょう」という感じで話が纏まりました。
まだ若干余韻が抜けきらずに力が入らなかったのですが、突撃前にはまふかさんと一緒にスタミナ回復ポーションを飲んでおき、PT通話に切り替え装備を確認します。
広さ的な問題でストライプベア達が街道まで出てきてくれればよかったのですが、少し離れた森の中で戦っているようなのでこちらからの襲撃ですね。
『飲み終わったら行くわよ』
『はい』
そして街道を一歩離れるとそこは横幅が数メートル単位の巨木が生える原生林が広がっており、一気に足場が悪くなりました。
そんな大樹と茂みの間ではストライプベアとフォレストウルフが戦っていたのですが、フラワーラビットは早々にストライプベアの餌食になってしまったのかそれとも逃げ出してしまったのか見当たらず、戦っているのはレベル34のストライプベアと、レベル24~26のフォレストウルフが3匹、後は巨大な熊の爪に引き裂かれて事切れそうなフォレストウルフが一匹ですね。
残ったフォレストウルフが弔い合戦というように連携攻撃を仕掛けているのですが、その跳びかかりと噛みつきをものともしない耐久力を発揮しながら、ストライプベアは巨大な爪でフォレストウルフをもう1体、引き裂きます。
「GUOOOOUUUU!!!」
このストライプベアはその名前の通り灰色と黒色の横縞をしている身長3メートル弱の二足歩行する巨大な熊で、頭と手足はやや縞の緩いまだら模様のような色をしていました。
その巨体で直立している為か体重を支える後ろ足は太く、両腕は太く長いというアンバランスな見た目をしているのですが、なかなか軽快なフットワークを見せて跳びかかってくるフォレストウルフ達を翻弄しています。
レベルだけ見ると上位の蜘蛛程度の強さしかないのですが、身体強化系の魔法を使う事と、純粋な耐久度の高さで厄介な敵だと言われており、なかなか厄介な敵だと言われていました。
特に厄介なのが身体強化の方で、これは緑色の半透明の魔力を纏うので風系の魔法ではないかと言われているのですが、爪に魔力を纏わせ攻撃力を上げたり、突進の速度を上げたり、体に纏って防御力を上げたりとバランスが良く、純粋に手強くなるといった感じですね。
『熊は任せなさい!あんたはウルフの方をお願い!』
言いながらバルディッシュを両手に構えながら大物に駆け寄るまふかさんなのですが、流石に1人で突出させる訳にはいきませんね。
『わかりました…が、援護はします!』
見た感じでは2匹も仲間が血祭りにあげられた事によってフォレストウルフ達は及び腰になっており、今にも撤退しそうなそぶりを見せているので放置でもよさそうなのですが、下手に乱入されても怖いですからね、きっちりと潰す事にしましょう。
『好きにしなさい!』
言いながらまふかさんがチラリとこちらの手元を確認したのを見てから、私は【ルドラの火】を込めた投げナイフをストライプベアの頭目掛けて投擲しました。
「GUUUOOOOxx!!」
ただまあ幾らフォレストウルフとの戦いに集中していたとはいえ、遠距離からの投擲くらいは唸り声を上げて風の魔力を纏うと簡単に弾かれてしまいます。
瞬間巻き起こる小爆発。
その攻撃でヘイトが私に向いた様で、いきなり乱入してきた私を睨みつけてきたストライプベアは軽い【威圧】のようなスキルを持っているのか、肌がピリピリと粟立ちます。
そして【ルドラの火】の爆炎も纏う風によって散り散りにされて大したダメージは与えられなかったのですが、吹き飛ばされてかき消えそうな炎と茂みを煙幕代わりにまふかさんが一気に肉薄し、ストライプベアの死角から攻撃をしかけました。
※据え膳食わぬは女の恥といいますか、ムラムラしてやっちゃいました。
※少し修正しました(7/16)。




