230:仲の良い2人と仲の悪い2人
「バレたらどうするつもりだったの!?ホント何考えてんの!馬鹿じゃない!?」
色々あってまふかさんは激怒していたのですが、どうやら「今日中はまだあたしの所有物」と言っていたのはゲーム内時間の方だったようで、イチャイチャしている最中に不動産屋さんがやって来てなかなか焦りましたね。
何とか汚れた服の着替えや飛び散っていた液体の掃除は出来たのですが、確かにリアル時間での「今日中」を昼過ぎから待っているというのは早すぎるので、考えたらゲーム内時間というのはわかったのかもしれませんが、とにかく【魔水晶】をまふかさんの中にジュポジュポと出し入れしている時に人が来てしまい、無理に引き抜けば盛大にいき果てて対応どころではなくなりそうで、中に入れたまま最後の手続きをする事になったのですが……何か変なプレイみたいになってしまっていました。
勿論そんな状態では流石の私でもくちゅくちゅと動かしたりはしないのですが、まふかさんが緊張で中を締める度に【魔水晶】が勝手に震えてと、結構大変な事になっていたようです。
そんな状況で館の状態や私物が残っていないかの確認が行われ、まふかさんは健気にも平静を装っていたのですが……【魔水晶】に内包されているMPの減り方からどいういう事がまふかさんの身体に起きているかは手に取るようにわかりましたし、いきそうなのを必死に耐えている姿にはちょっとムラムラしてしまいました。
館が無事売却されて、外に出なければいけなくならなければそのまま押し倒していたのかもしれませんが、流石に道端でイチャイチャするのは恥ずかしいですし、何よりやりすぎだとおもいっきりまふかさんに怒られてしまいました。
「すみません、あまりにもまふかさんが可愛くて」
不動産屋さんがコミュニケーション能力の低い人でもスムーズに対応してくれるNPCだったのは不幸中の幸いだったのですが、それでも若干怪しまれましたし、変なプレイをしていたという事でセントラルライドだとホームが借りづらくなったかもしれません。
因みにまふかさんの身体を使って色々と検証させてもらった結果【魔水晶】が放つ射程の短い光線は『蜘蛛糸の森』の糸が放ってきた相手をいかせる光線と同じ物らしく【媚毒粘液】や【オーラ】を使えば私が第二エリアで受けたような責め苦を再現する事が出来るようになっていました。
それに【魔水晶】が魔力波を放つ時は振動しているようですし、それを利用すれば色々な事に応用がききそうなのですが、試す前に不動産屋さんが来てしまい、そちらはおいおい確かめさせてもらう事にしましょう。
「ぐ…だからそうやって…そりゃあ、まあ…あたしも…」
格好いい寄りのまふかさんは「可愛い」と言われた事が意外だったのかどこか照れたように言葉を詰まらせモジモジしていたのですが、こういう妙に御しやすいところや、エッチな事に寛容なところもとても可愛いのですよね。
「そういえば気になっていたのですが、あのエッチな下着って何処で買われたのですか?普通のお店には売っていませんよね?」
何かしらの効果があるゲーム産の物でもないようですし、W Mで売られている物でもないで私の知らないお店でもあるのかと聞いてみたのですが、まふかさんの顔が一気に真っ赤になりました。
「知らないわよ!ああいうのを送り付けてくる変態がいるの、それでたまたま、本当にたまたまあったからちょっと着てみただけで…」
との事で、仕舞いこんでいた物を私の為に着てくれていたようで、出所はまふかさんも知らないようです。
「そうだったんですね……プレゼントを汚してしまいましたが、よかったのです?」
「いいのよ、どうせもう二度と着るつもりは無いし、椅子と一緒に処分するから」
まふかさんは「恥ずかしかったから」と言うのですが、あの絶妙に似合っていないフリルとリボン付きの格好が見れなくなるのは残念ですね。
「着てくれないんですか?」
「っ……着ない!着たく、ないけど…あんたがどうしても着て欲しいって言うのなら…まあ、その……」
私が乳輪を擦るようにクルクルと指を回して見せると、まふかさんはその指先を見ながら唾を飲み込み横を向いたのですが、ごにょごにょと小声で「着てあげるわよ」と言った表情や仕草は私を誘っていますよね?
「ぷー?」
うっかりまた手を出しそうになったのですが、しかめっ面の牡丹が割り込むように口を挟んできて、確かに何時までも道端で話している訳にもいきませんね。
「それでこれからの事ですが、私達はこれから第二エリアに行くつもりでしたが、まふかさんはどうしますか?」
ワールドクエストの『レナギリーの暗躍』が始まっていますし『アルディード女王への報告』というクエストも受けていますからね、まずは第二エリアの北側にあるという『エルフェリア』を目指す予定です。
「あんたはめげずに第二エリアに行くのね…まあ、そうね…あたしはまず皆にお金を配りに行ってから、それからは…」
どこか呆れたように息を吐きながら、そこからは特に考えていなかったのかまふかさんは考え込んだのですが、ファンの皆さんの所に行くというのならここで一旦お別れですね。
そう思っていたところで、まふかさんは何か決意を固めたかのように頷きました。
「このままウダウダとした配信をしていてもしょうがないし、あ、あたしもついて行くわ、第二エリアの方が取れ高が良さそうだし、その、あんたもソロでしょ?あたしが手を貸してあげるって言うんだから、感謝しなさいよね」
動画を上げていないと失踪したとか諸々言われてしまいますし、そもそも職業配信者となると動画を上げていないとお金が稼げませんからね、流石にライブ配信は事故る可能性が高いのでやめる事にして、編集した動画だけをあげるつもりらしいのですが、それでもまふかさんも先に進む事にしたようですね。
建前上は私と一緒なら最前線の動画が録れるからとの事なのですが、その言葉や表情には一緒に居たいからという事が滲んでいて、頬を染めるまふかさんが可愛くてつい私は笑ってしまいました。
「はい、よろしくお願いします」
まふかさんなら実力も十分ですし、それに何より、一緒にエッチな目にあっても良いかと思える仲であるのは大きいですね。
「ぷーい」
「あ、でも牡丹は「必要ないどっか行け」って言っていますね」
「は?スラ公には聞いて…って、痛ッ!?え、なに?ちょっと、あんたもこいつのご主人様ならちゃんと止めっ…って、こいつ、本気で怒るわよ!?」
「ぷっい!ぷー!!」
じゃれるようにドスドスと体当たりを仕掛ける牡丹なのですが、流石に色々と強化されているので結構痛そうですし、あまり酷い事になるようなら間に入った方が良いのかもしれませんね。
「ちょっ!?んひぃっっ!!?」
「ぷっ!」
そんな事を考えている内に2人のじゃれ合いはエスカレートしていき、蹴り上げようとしたまふかさんの右足を潜って後ろに回り込んだ牡丹が腰の辺りに体当たりをしかけ、ニュルリとズボンの隙間に体を滑り込ませていました。
「ぷ~」
たぶん私が怪我をしないようにと考えていたので、牡丹がそれに応じるように攻撃方法を変えたのかもしれませんが、これはこれで少し不味いですね。
「ちょっと、ちょっと待っ…どこ触って!!いじら…やめ、やめな!んひっ!?」
「ぷ~う~い~」
慌てるまふかさんに対して、牡丹はどこか他人事のような顔をしながらグニグニと後ろの穴を弄っているようで、まふかさんの声が徐々に甘いものが混じり足が震えていきます。
「牡丹、やめなさい。ただでさえまふかさんは美人で目立っているんですから、2人が暴れていたら注目を集めてしまいますよ?」
とにかく暴力で牡丹を叩き落とそうとしているまふかさんを止める方が先だと、私は両手を繋ぐようにして指を絡めて止めると、2人が暴れるのを仲裁しておきました。
「っ…!?だって、こいつが…!って、あんたも指を絡めるのを止めなさい!見られ、見られて…」
時間も時間ですし一応は貴族街という事で人通りは疎らなのですが、それでもこの辺りがまふかさんのホームと言うのは知れ渡っていますからね、ファンの人らしき人達がチラホラとこちらを見てきており、中には「まふまふと天使ちゃんだ!」とか「てえてえ」とか私達を知っている人達がいるようですね。
その事に気付いたまふかさんの顔に赤みが増していき表情が歪むのですが、視線がある事で余計に感じるようになってしまったのか、ズボンの中で牡丹が蠢くたびにブワリと汗が噴き出していました。
運よく野次馬の中に【暗視】持ちが居ないのか、それとも牡丹がしがみ付いているだけに見えるのか、まふかさんの身に何が起きているかはよくわかっていない様子なのですが、その向けられる視線に対して縋りつくように握り返してきたまふかさんの両手はピクピクと身体が反応してしまっている事を如実に表していて、あまりにも怪しい動きをしていたら目立ってしまいますし、流石にこれ以上周囲から視線を集めるのは不味いですね。
「一旦こちらへ」
「ッ!?わかった、わかったから…ぁっ!?あんまり…引っ張らないで!こいつが中にいるから擦れるの…ってかズボ…から出るように言いなさいよ!!」
人のいる場所からは離れようと、夜の闇の中に紛れるように人気がなく薄暗い方向に向かってまふかさんの手を引くと何か叫んでいたのですが……指を絡めた手に力を入れるとまふかさんも握り返してくれて、ただそれだけの事が何か嬉しくなってしまいました。




