表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

232/527

218:蜘蛛の糸

「はっ…はっ…はっ…」

 最初のアイアンハンターは脚を5本斬って動け無くした後、襲いくる蜘蛛の大群を蹴散らしながら建物のある右ルートを進むのですが、ここは蜘蛛達の拠点ですからね、一体二体倒した程度では次から次へと蜘蛛達が押し寄せてきて、見渡すだらけの蜘蛛だらけになりました。


 蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、その数が20体を越えた辺りから数えるのを諦め、囲まれては大変だからと屋根の上に飛び乗りそのまま最短ルートで出口を目指したのですが、相手が蜘蛛なので普通に壁を登ってきますし、あちこちから投網のように糸が吹きかけられて進路が塞がれていきます。


「ッ…あっ…あああ…はひっ!??」

 そんな合間合間に『レナギリーの卵嚢』が蠢き、散々開発されて蝕まれた身体からは何故か母乳が噴き出し、自分の身体の変化への戸惑いと困惑と射精感に眩暈がしました。


 魔力が母乳に変換されているのか物理的にありえない量(リットル単位)が噴き出ているのですが、その射乳は男性の射精に近い刺激が伴い、噴き出た分の射精感とMPが抜けていきます。


「あひっ、んふぁああぁぁっっ!?はぁッ、あァ…動か…吸っちゃぁッッ…あっ、あぁああっふぇっあああッッ!!?」

 そんな事になっている胸を『翠皇竜のドレス』がギリリと絞り上げながら吸いついてくると、パチパチと頭の奥が弾け、いけばいくほど母乳が溢れて魔力が抜けていき、魔力が無くなれば無くなる程動けなくなり蜘蛛達に(なぶ)られるだけだとわかっているのですが母乳は止まってくれず、永遠に続くような射精感に頭が真っ白になりました。


(なんで…)

 どうしようもない暗い愉悦に蝕まれて堕ちてしまいそうになるのですが、私は必死に耐えながら震える腕で剣を構えます。


 出来れば妨害が入らない瞬間を狙って1体1体確実に仕留めて蜘蛛の数を減らしていきたいのですが、私のスキル構成で一番火力の出る【ルドラの火】は卵嚢に邪魔されて使えず、次に威力の高い『ベローズソード』での攻撃にはまだ慣れていません。


 快楽と肉欲の先にある不思議な高揚感にクラクラして、母乳と愛液の水たまりの上にへたり込む私の進行方向を塞ぐようにダークスパイダーが現れ、何とか『ベローズソード』で斬り払おうとするのですが、すぐさま他の蜘蛛達が吐き出して来る糸を回避するために横に転がって後退する羽目になりました。


 蜘蛛の数が増えてくるとこういう事が多くなり、ただでさえMPが減って攻撃力が低下していっているのに攻撃のチャンスすら無くなっていきます。


「ふっ…ふっ、ッーー…」

 転がった衝撃で胸が潰れ、糸が股に食い込み、【腰翼】が潰れた痛みにすら脳を貫いて痺れてのたうち回りたくなるのですが、それがどうしようもなく爽快です。


「はーっ、はぁあ…ッ…」

 牡丹がダークスパイダーを切断した時は閉所で動きが止まっていたので何とかなったのですが、開けた場所で動く敵に鞭を絡めるなんていう芸当はまだ練習不足で出来ず、斬り払うのが精一杯です。


 精一杯なのに魔力が低下してくると刃が食い込み切断するまでにワンテンポ遅れるようで、その隙を狙って四方八方から糸が吹きかけられるので回避を優先するしかなく、止めを刺す暇がありません。


 そうしているうちにも卵嚢とドレスが蠢き、母乳を吹き出すたびに体力と魔力が急激に減っていき逃げ出すチャンスすら無くなっていくのですが、念には念を入れるように蜘蛛達が糸を吐き出し退路を塞いでいきます。


 糸に引っかかったら厄介なので出来れば斬り払っておきたいのですが、フォレストスパイダーの方は魔力を通した刃だと斬れるのですが、ダークスパイダーの方は魔力を吸い取るので刃に絡みます。


 よく見てみると若干違うような気がするのですが、流石に乱戦時に見分けるのは難しく、意気揚々と振り払おうとすると剣が絡めとられる可能性がありました。


(このままだと……本当に…堕ち…)

 もうアチコチ糸だらけなのですが、フォレストスパイダーとダークスパイダーの吐いた糸が絡み合い、もうどっちがどっちの糸なのかもわかりません。


 それでも何とかスカートの翼の機動力に任せて中央ルートの大通りまで突破する事は出来たのですが、ジリジリと距離を詰めてくるのはフォレストスパイダーが7体とダークスパイダーが3体とアイアンハンターが4体とデスサイズが2体の合計16体です。


 後ろから追いかけてくる蜘蛛はうじゃうじゃで、右の本殿からもアイアンハンターとデスサイズの混成部隊が10体近くと完全に包囲されてしまい、どう考えて複数のPTで挑むような状況に単身で乗り込んでしまったというような感じでどうしようもないですね。


 翠皇竜のスカートを使って一気に上を抜けられたら楽なのですが、そちらは本殿から伸びる蜘蛛の糸に塞がれていますし、低空を飛んだ場合は遮蔽物の無い空中に飛び上がった時点で下から撃ち落とされて終わりでしょう。


(これは…)

 流石に駄目かもしれないという考えを何とか必死に押し込み打開策を考えるのですが、建物の中には蜘蛛達の食糧庫で何かドロドロとした物か果物があるくらいで何もありません。


 一応地理的には現在地から右の階段を登った先には本殿で、左には大きな門のついた築地塀(ついじべい)、どうやらその先は外に繋がっているようなのですが、進路上にはアイアンハンターが5体とダークスパイダーが3体とデスサイズが6体とフォレストスパイダーが点在するように12体と、ちょっと気軽に突破と言える感じでもないですね。


 それでも一か八か突破を目指そうかと考えていると、スッと何かが翳ったような気がして、私はそんな嫌な予感に従いおもいっきり横に跳び『ベローズソード』を振りました。


「ッ!?」


「Kititi」

 それは本殿から伸びた糸の上から勢い任せに飛び降りて来たフォレストスパイダーだったのですが、20メートル以上の高さから落下して来た自殺志願蜘蛛を斬り払うとそのままぐしゃりと地面に落下し、その死角からアイアンハンターが距離を詰め寄ってきます。


 それ自体は見えていたのですが、こちらは軽く斬り払った程度ではどうにもなりませんし、足元がふらついたという事もあり、その突進に気圧されるように本殿側に押し返されて後退してしまいました。


「すぅーはぁー…」

 先程から何か私をいたぶっていると言いますか、蜘蛛達の消極的な動きを見るとどこかに追い込まれているような気がするのですが、何が目的なのかはわかりません。


 そんな事を考えている間にも数十本の糸が飛び、街路樹を利用して大きく回避しようと階段前の石畳辺りまで後退した瞬間、ぐにゃりと足が地面にめり込みました。


「なっ!?」

 石畳に偽装して張り巡らされていたのは本殿から伸びる蜘蛛の糸で、どうやら最初からこの罠に誘い込もうとしていたようですね。


「【ルドラの…」

 こうなると卵嚢がどうのと言っている余裕はなく、完全に張り付き足に絡まる糸を火力任せに焼き切ろうとしたのですが、この糸も魔力を吸う性質があるのか青い炎は発動する事なく糸に吸われていき、逆に糸から魔力が逆流してきてピンク色の魔力が私の身体を貫きました。


「はひゅぅっ!!?ああぁああっ!??」

 何が起こったのか理解する前に口からは情けない叫び声が漏れ、身体からはあらゆる液体が噴出して、私はその一撃であっさりと無力化されてしまいます。


「はひ…そんなっ、いまは…いまはっ、だめっぇぇぇッッ!?ちくびっ…くりも…あっあああぁぁぁーー~~!!??」

 訳の分からないままにいってしまったのですが、今まで巧みに偽装されていた石畳から大量の糸が這い出てきて、そこから更に収束した桃色の光線が乳首と秘芯を撃ち抜くと、その刺激は数十倍に膨れ上がりました。


「ふあああっ、あっ、あぁぁーー!!?」

 逃れようにも地面からは糸が噴き出し下半身と両腕は捕らえられており、どれだけ身を捩ろうとも的確に弱点に桃色の光を浴びせ続けてはいき続ける事しか出来ず、甘い叫び声(敗北宣言)を上げる事しかできません。


 そうして数十秒間、散々ピンク色の光線に弄ばれて完全に無力化された私の目の前で本殿下の階段が左右に開き、強い媚毒を滴らせるネチョネチョとした糸まみれの空間が現れました。


 きっとこれが本殿の真の姿で、人を堕とす為の碌でもない場所と繋がっているのだと思うのです、完全に脱力しきっていた私にはそんな地獄へと引きずり込まれて行くのに抵抗する力が残っていませんでした。

※巣の中へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 一瞬ルドラと母乳がスキル的に混ざり 火炎放射母乳アタックになって蜘蛛を撃破展開と 想像したのに…予想が外れたわ [気になる点] しかし何で忍者の母乳が火炎放射という 展開思いつくんだろうね…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ