213:ダークスパイダー戦
取り上げられていた武器を探して小屋の中に入った瞬間、焦りすぎていた私は潜んでいた黒い蜘蛛の存在に気がつかず、両腕を取られる形で押さえつけられてしまいました。
(油断しました、が…んく…っ!?)
再度顔を狙って振り上げられた左第一脚は尻尾を絡めてなんとか防いだものの、蜘蛛の体毛がゾワゾワする感じが尻尾を伝い昇って来て、力比べで尻尾がグイグイと引っ張られるたびに、腰砕けになりそうな波が押し寄せてきます。
「ふっ…ぅっ…ッっ」
それでも何とか歯を食いしばりながら攻撃を抑え込むと、反撃に移ろうと私は体を屈ませて蜘蛛の体を蹴り上げようとしたのですが……そんな嫌らしいタイミングで植え付けられている『レナギリーの卵嚢』が蠢き、子宮を揺さぶりました。
「くふっ、ぅ…んんッ!?あっ、ああっ」
意地悪なタイミングでそんな事をされてしまうと内側から広がるくちゅくちゅした多幸感に力が抜けてしまい、その隙に黒い蜘蛛がスカートを地面に縫い留めるように脚を突き立てるだけで両足の動きが封じられてしまいます。
集中力を欠いた状態の『翠皇竜のドレス』は防具として本当に脆弱なのですが、振りほどこうにも少しでも引っ張ると下の食い込みに繋がった紐が擦れてしまい、卵嚢に弄られ昂ぶり大きくなった蕾がグリグリと押しつぶされて、ピリピリとした刺激が全身に広がり身体に力が入らなくなってしまいました。
そうして簡単にマウントポジションを取られる事となったのですが、動きを封じるようにのし掛かってきているのは体高が1メートルちょっとのダークスパイダーという種類の蜘蛛で、レベルは31ですね。
デスサイズとまた違った意味での黒い蜘蛛なのですが、こちらは艶消しをしたような黒い毛に覆われており、如何にも蜘蛛型のモンスターと言う見た目で気持ち悪いのですが、その体毛は意外にフワフワしていて、押さえつけるように体を擦りつけられていると、呪いで昂った乳首が極上の刷毛で責められているような何とも言えない切ない気持ちになってしまいます。
「ッ…【ルドラの…」
そんな力の抜けた状態であり、白いアラクネに見つかったらそこで終わりみたいな状況ではあったのですが、こうなったら本格的な戦闘もやむを得ません。
増援がくる前に決着をつけようと、私の左手を押さえつけているダークスパイダーの右第2脚に触れながら【ルドラの火】を発動させようとしたのですが、魔力の流れが影響しているのか【ルドラの火】を使おうとすると卵嚢が一層激しく蠢き、こちらの動きを阻害してきます。
ドクンドクンと胎動する『レナギリーの卵嚢』は私を内側からめちゃくちゃにしてきているようで集中力が著しく削られるのですが、そんな甘い刺激に耐えながら何とかスキルを発動さようとしたところで、ダークスパイダーはそんな考えくらい読んでいるというように口から糸を吐きました。
(これくらい、なら…っ…え?)
吐き出された糸はフォレストスパイダーのように横に広がるという事はないのですが、その勢いと精度は尋常ではなく、噴出した糸は一瞬で左腕を絡めとり私の体を地面に縫い付けます。
それだけならまだ糸ごと焼き切ればいいだけなのですが、どうやらダークスパイダーの糸にはドレインの効果があるようで、発動させた【ルドラの火】がみるみるうちに吸われて消えていきました。
(厄介ですね)
蜘蛛達に囲まれた時は後ろに回り込み退路を断つ役割でしたし、もしかしたらダークスパイダーは色々と小技を使ってくる素早さ重視の補助・妨害要員なのかもしれません。
「ぷぅーい!!」
そうしてそんなやり取りをしている間にも、イビルストラ形態の牡丹が何とかダークスパイダーの動きを牽制しようと前垂れを伸ばしたり気を引こうとしたりしているのですが、スピードでは相手の方が何倍も上で、8本の脚を器用に使って簡単に弾いていなしていて妨害になっていません。
そもそも前垂れでぺちぺち叩いたからと言ってどうにかなるような相手でもないのですが、素手では本当にどうしようもないですね。
(牡丹)
(ぷ?)
【ルドラの火】が封じられて力も入らないとなると、せめて武器だけでも確保したいところなのですが、今押し倒されている場所から鋼の剣のある棚は手を伸ばせば届くという距離にはなく、牡丹に頼むしかありません。
(お願いしますっ)
「ぷっい!」
牡丹は隙をついてぽよんとスライム形態となり、糸と脚の拘束をすり抜けて武器の置かれている棚に走るのですが、ダークスパイダーが何もせずに見逃してくれる訳もありません。
私の左腕に吹きかけている糸を一度切り離した後、ダークスパイダーは牡丹に向けて再度糸を吐き出そうと口をモゴモゴさせていました。
「こっち、です!」
そして私は妨害の為にその横顔に【オーラ】を乗せたこぶしを叩き込もうとしたのですが、完全に手打ちになった一撃は顔を上げるようにして軽々と回避されてしまいます。
それでもそんなやり取りをしている内に牡丹は武器やアイテムの置かれている棚の陰に隠れる事に成功し、そこで初めてダークスパイダーは悔しそうに「Kitt」と口内を軋ませたのですが、気持ちを切り替え先に私の方を処分しようと考えたのか、こちらに向き直り脚先の爪からトロリとした液体を滴らせました。
私はそれが毒だという事がわかったのですが、左手とスカートを拘束されている状態ではその毒の爪を避ける事ができません。
もうこうなったら『翠皇竜のドレス』の耐性を信じて覚悟を決めたのですが、そこでダークスパイダーは予想外の碌でもない行動にでました。
「まっ…えっ、そっちは駄目ッ!?」
まるでこちらからの方が毒の回りが良いという様に、ダークスパイダーは私のスカートを引き裂くと、トロトロになっていた大事な密壺に怪しげな毒が滴る異形の爪を突き刺します。
「くぅぅっ…ッーー~!!?」
幾ら卵嚢とドレスの呪いで溢れるくらいトロトロになってるといても、ダークスパイダーの脚の先端は大人の指で言うと三本分くらいの太さがあり、いきなりそんな物を捻じ込まれては痛みしかありません。
「はっ…はぁッ、んっ…はっ」
大きくて、苦しくて、いきなり全部は勿論入らないのですが、ダークスパイダーの爪はキツイ肉襞をまずはほぐしてやろうというように浅い所を掻き回すように何度も出し入れし始め、その度に毎回違う角度、違う場所が爪でカリカリと掻かれて毒が擦り込まれていきました。
(何で…気持ち悪い、筈なのに…っ、痛い、筈なのに…ィィッッ!!?)
爪が出し入れされる度に植え付けられた卵嚢が喜ぶように震えて気持ち良さが溢れ出し、何度も何度も毒の爪でカリカリされるとだんだん自分でもよくわからなくなってきてしまいます。
「はっ…ぁっ…ッ…」
完全に毒が回ると入れられた時でも引き抜かれる時でも軽くいってしまうようになり、ダークスパイダーが与える刺激を受け取るだけの雌になってしまったのですが、無抵抗になった私に対してダークスパイダーはもっと酷い事をしようとしているようで、毒の爪が一番奥を目指して強く突き入れられ、取り返しのつかない致命的な一撃が入れられるというタイミングで、遅れていた牡丹がよくわからない武器を咥えて戻って来ました。
「……ふぅぃいいいい」
奇襲は静かに、その鉄則を守って刃のついた鞭のような物をダークスパイダーの体に巻き付けるところまで牡丹は無言だったのですが、そこからは気合を入れるように何か叫んでいたのですが、武器を咥えながらなのでちょっと気の抜けた掛け声ですね。
「ふぁ…た…っぅーー……」
その時の私は毒が回り、呂律が回らず頭がフワフワしていて、ダークスパイダーに鞭を巻き付けた牡丹がその場所を支点にしてくるりと回って私の胸の上に着地して来た衝撃だけでビクンビクンと身体を震わせて頭の中が真っ白になってしまいます。
何とか認識できたのは牡丹が咥えている鞭が蛇腹剣……もしくはガリアンソードとよばれる鞭にも剣にもなるという武器だという事と、牡丹の気の抜けた掛け声に合わせるように蛇腹剣が紫色混じりのピンク色にぼんやりと光っている事でした。
この手の武器はリアルだとどうやって伸縮させているのかよくわからないのですが、ゲームなのでそこは魔力操作なのでしょう。
そんな物をダークスパイダーの体に巻き付けたまま先端を引っ張るようにして直剣に戻そうとしたらどうなるかと言うと……魔力を纏った鋭い刃によってその体はギチギチと刻まれ絞められます。
「xTh!!?」
とはいえこのダークスパイダーのレベルは31となかなかの高レベルですからね、ギッとその皮膚は対抗するように軋み、牡丹の魔力ではそのまま両断という訳にはいきません。
「ふぅ~…ぃぃ…!!!」
「ぼた…まってくだ…いますわれたら…うきゅぅぅぅぅぅっっッッ!!?」
なので胸の上に乗っている牡丹はテイムモンスターの特権であるテイマーからの魔力供給を利用して、母乳を吸う様に魔力を一気に吸い上げ巻き上げ強度を最大にしたのですが、散々ダークスパイダーに弄られていた私の身体はそんな刺激すら快感として感じてしまい、快楽の洪水に呑まれた私の意識と巻き取られていたダークスパイダーの胴体は簡単に落ちてしまいました。
※牡丹の大活躍、そして何でとっても強い戦うヒロインはエッチな攻撃に弱いのでしょう。




