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184:第二エリアに向けて

※第二エリア攻略開始です。ちょっとのんびり進めようと思いますので、投稿は隔日となる予定です。

 戦勝会を終えた次の日、私はいつもの日課を済ませると、少しのんびりしてからブレイクヒーローズにログインしました。


 ゲーム内時間で言うと第二エリアが開放されてから丸一日、すでに前線組が攻略に取り掛かっているので出遅れ感は否めないのですが、昨日は運営から『体調に問題はありませんか?』という確認の連絡が来たので、まふかさん達とダンスを踊った後は休憩のためにログアウトしたのですよね。


 たぶん長時間プレイしていたからだと思うのですが、妙に脳波チェックの必要性や眩暈や気分の悪さの確認があり、念のためF D V R(フルダイブブイアール)機器についているメディカルチェックをしていました。

 検査の結果は問題は無し。そもそも長時間ゲームをプレイしているのはいつもの事ですし、大丈夫だとは思ったのですが、ゴルオダス戦からキリアちゃんのゴタゴタとボスクラスと二連戦でしたからね、疲労度というよりメンタル的にちょっとゴチャゴチャしていた事もあり、運営の忠告に従って昨日はそのまま休む事にしました。


 そんな事があったので今日くらいはゆっくりしていようかと思っていたのですが、第二エリアが解放されてまさにこれからというタイミングなのでどうにも落ち着きません。


 情報サイトや掲示板で盛り上がっている人達を見ていると、どうしても(第二エリア)が気になって結局繋ぐ事にしたのですが、完全に出遅れてしまいました。


 王宮のダンスホールに居る人は疎らで、平日の昼前に繋いでいるような人達は第二エリアに移動してしまっています。


 因みに情報サイトによると第二エリアは森と川と沼地のエリアのようで、ポータルで飛んだ先のキャンプ地の周囲は緑深い森に囲まれていたそうです。


 出てくるモンスターのレベルは最低でも20台前半(第一エリア後半レベル)から、状態異常を撒いてくる厄介なモンスターも多く、少し森の奥に行くと30台前後の敵がザコ敵として出てくるようですね。


 そもそも第一エリアが開けた場所の多い草原エリアであった事と比べると、第二エリアは移動するのだけでも一苦労するような勾配のある森林地帯で、皆さんなかなか苦労しているようでした。

 ヨーコさん(運動が苦手な人)辺りは特に苦労しそうな地形ではあるのですが、情報を見ている限りでは私も森林用の装備を準備しないと不味いのかもしれません。


「ぷ?」

 まあその辺りの装備は第二エリアを実際に見てから考えるとして、私がログインするとイビルスライム(黒色スライム)の牡丹がポヨンポヨンと跳ねながら「行くの?」と聞いてくるのですが、私は軽く肩をすくめてみせました。


「先にアイテムの補充をしましょう」

 出遅れている分すぐにでも第二エリアに行きたい気持ちはあるのですが、まずはギルドカードを金色(上級)にしないといけませんし、ボス戦で消費したアイテムの補充もしなければなりません。


 RPGでは次の町で武器を新調してというのがセオリーなのかもしれませんが、戦勝会でいきなりボス戦があるようなゲームですからね、移動した先のキャンプ地(ポータル地点)でイベント戦闘があるという可能性もありますので、丸腰に近い状態で進むのは色々と危ないと思います。


 どちらにせよゆっくり休んでいたので出遅れているのは確定していますし、今更多少遅れたからといって大きく変わる事は無いと思うので、万全の態勢を整えてから向かう事にしましょう。

 そういう事にして、私はまずセントラルライドの道具屋でポーションと毒消しを5個ずつになるように買い足しておきます。

 掲示板では『麻痺』攻撃をしてくるモンスターもいるとの事なのですが、セントラルライドで麻痺治しは売っていなかったのでこれは第二エリアに行ってからの購入ですね。

 後は投げナイフを20本まで補充しておき、『N(ノーマル)』ランクのシンプルな装飾のついていない鋼の剣を購入しておきます。


 どうせすぐに買い替えるか使い潰すつもりなので品質は『D』とあまり良い物ではないのですが、このタイミングで高い物を買っても仕方がないですからね、とりあえず護身用程度に使えれば問題ありません。


 因みにセントラルライドの品揃えなのですが、王家直属の騎士団が駐屯しているからか騎士剣のような立派な装飾が付いた装備が多く、『R(レア)』ランクの『シルバー**』シリーズみたいな魔力付与品が売っていたのですが、効果的には鋼シリーズに毛が生えた程度ですね。

 ただ魔力光(まりょくこう)がキラキラと輝いていて芸術品のような物が多く、このシリーズでフル装備を揃えたらちょっと見栄えがよさそうな感じです。


 折角なので破損してどこかに行ってしまった牡丹の新しい盾はシルバーシリーズにしようかと思ったのですが、魔法付与品となると結構高いのですよね。

 それでいて効果はどうしても市販品と言いますか、プレイヤー産より一段劣る感じというのが気になります。


「ぷー…」

 牡丹は並ぶ鎧の間に置かれた盾をキラキラした目で見ていたので少し心苦しいのですが、どう考えても人間用に作られた盾は牡丹には大きさが合わなかったり分厚すぎたりするのですよね。

 しかも第二エリアは勾配のある森林エリアですからね、邪魔になるという可能性もあるので今回は見送りです。

 とはいえ丸腰と言うのも何なので、代わりに鋼鉄製(Nランク)のラウンドシールドを購入する事にしました。

 品質は『E』とあまり良くないのですが、持ち運びやすさや取り回しの良さを重視すると盾の性能としては下がってしまうようで、品質の評価が下がってしまうのですよね。


 魔法付与品になるとその辺りの評価がまた変わってくるのですが、まあ間に合わせの物ですし、牡丹にはこれで(E品質)我慢してもらいましょう。


 あとセントラルライドにも有名メーカーの協賛店もあったのですが、こちらの品揃えはアルバボッシュとほぼ同じで、若干ドレスや礼服のコーナーが広いような気がする程度ですね。

 まあこの辺りは宣伝目的で置いているような物ですし、町によって大きく品揃えが変わるというものでもないのでしょう。


 とにかく私は購入した鋼の剣を腰に差し、防具は『サルースのドレス』と左腕にはサルースセットのロンググローブ、足元には同系色のピンスパイクの長靴という恰好です。

 折れた魔光剣や残りのアイテムは牡丹に収納してもらっているのですが、離れ離れになった時の不便さを考えるとポシェットのようなマジックバッグがもう一つくらいあれば良いと思ったのですが、ざっと王都を見て回った感じでは丁度良い物が無かったので保留にしておきます。


 時間的にはそろそろ食事のタイミングだったのですが、昨日ログアウトする前までホールで食事をしていたので空腹度は満腹に近いのですよね。

 牡丹の空腹度はそれなりに減っていたのですが、流石に人通りの多い王都で牡丹に吸わせる訳にもいきませんし、先に用事を済ませてしまいましょう。


 そうしてやって来たのはブレイカーズギルドの受付で、私はギルドカードを『上級ブレイカー』の物に更新してもらいました。


 これでカードの色が金色となり、端には薄く印刷されたセントラルライドの紋章(光十字)を背景に抽象化された漢数字の『八』が刻まれていたのですが、これが聖光章勲(せいこうしょうくん)八級の証のようですね。

 特にこれと言って効果はないとの事なのですが、まあ貰えるものは貰っておきましょう。


 その際にクランについての説明を受けたのですが、私の場合は安いワンルームを借りて物置に出来ればいいだけですからね、わざわざホームに指定してクランを作る必要性がありません。

 前線に近い場所の方が戻って来る手間がありませんし、これに関しては完全に第二エリアに行ってから考えるという事で後回しですね。


 因みに私はあまり積極的に稼いでいないのですが、ブレイカーズギルドのポイントを貯めるとブレイカーズランクという所謂冒険者ランクを上げる事ができました。

 最低ランクが『F』で、今の私のブレイカーズランクは『E』なので全然上がっていないのですが、これは私が納品系のクエストしか受けておらず、討伐系のクエストを受けていないのが足を引っ張っているからですね。


 このランクを上げると報酬の良い上級クエストが受けられたりNPCの護衛クエストが発生したりするようなのですが、どうしましょう?

 まあ私の場合は納品系のポイントは十分ですし、討伐系のクエストを受けていけばすぐに『C』ランクくらいまでなら上がりそうなのですが……何かあるのかもしれないので機を見て上げておいた方が良いかもしれませんね。


(さて)

 それでは今度こそ第二エリアといきたいところなのですが、最後にしないといけないのはスキルポイントの割り振りです。

 流石に8ポイントも溜まっていたら何か割り振っておくべきですし、牡丹のSPも2ポイント余っていますからね、これもスキルに振っておく事にしましょう。


 そういう訳で第二エリアに向かう前の試し斬りとスキルチェックがてらに『武装ゴブリンを10匹討伐する』というクエストを受注します。

 王都周辺ならそれほど探す手間もないでしょうし、私は自分のステータス画面と情報サイトのスキル説明を見比べながら、町の外に向かいました。

※FDVRのメディカルチェック=登録者のバイタルや脳波とか色々と調べてくれる検査機能です。

 基本的には常時機能していて、プレイヤーのバイタルに異常があれば強制ログアウトさせたりするのですが、手動でしっかりと検査をしてもらう事も出来ます。


※ブレイカーズランクは単純なポイント制ではあるのですが、Cランクになるのにはある程度の戦闘技能がないといけないとか、Bランクになるには護衛任務をした事があるとか昇格の条件がある感じです。

 ユリエルの場合は拾ったアイテムの殆どを納品しているのでポイントは十分なのですが、偏りがありすぎて昇格できていませんでした。


※購入したアイテムの中に牡丹用の鋼の盾も追加しました(4/3)。

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