145:奇妙な成果
※お待たせしました。別の作品と並行UPとなりますが、ブレイクヒーローズの方ものんびり進めていこうと思います。
気が付けばポーションを50本ほど作ってしまったのですが、HP回復ポーションであろうとMP回復ポーションであろうと回復系のポーションなら全部『リリスのポーション』という奇妙なアイテムが出来てしまい、その効果も『淫魔の作った不思議なポーション、元気になる』なんていう不穏な説明文がついていました。
流石によくわからない物を自分達で試すのも何でしたので、素材の追加採取に行った際にモンスターに使ってみたのですが……確かに回復効果は出ているようなのですが詳しいデータはわからず、浴びたモンスターはだいたい興奮して襲って来たので何かしら“元気”にもなっているようですね。
そういう訳で自分で使うのはちょっと躊躇われるような出来になったのですが、一応元にしたレシピのレアリティが制作結果に反映されているようで、『U C』の『初心者ポーション』を作ろうとしたらレアリティは『UC』の『リリスのポーション』が出来ますし、『N』の『HP回復ポーション』を作れば『N』の『リリスのポーション』が出来ました。
名前は全部『リリスのポーション』となっているのですが、色はHPポーションを作れば緑色に、MPポーションを作れば青にといったように、作った物の色がそのまま反映されているのでたぶん効果も違うのでしょう。
あと牡丹に制作を手伝って貰った時と手伝って貰わなかった時の差なのですが、『小人化』している状態だと手伝って貰った方が良い結果になる事が多かったですね。
これは別のプレイヤーと協力すれば良い結果になるという訳ではなく、たぶん私と牡丹の魔力が限りなく同じであり、1人で作るのも2人で作るのもあまり変化がなく、一緒に混ぜた方が1人で混ぜるより安定して混ぜられるからだと思います。
その事を裏付けるように、協力しても適当に混ぜたら品質は下がりますし、バラバラの方向に魔力を流せば結果が悪くなり、2人の方が絶対に良いという結果にはなりませんでした。
因みに途中で素材用のアイテムが無くなったので追加で採取して来たのですが、その時に素材自体を厳選したのですが、レアリティ『N』の『HP回復ポーション』のレシピで作った場合の最高品質は『C+』が限界で、なんとかW Mでも売れなくもないという物しか出来ません。
有名な生産者さんが作った物だと『B』以上の品質が当たり前ですし、低レアリティのアイテムならチラホラと『A』クラスが出てきていますからね、この辺りが本職と趣味の違いなのでしょう。
そんな事を考えながら瓶とポーションを50本作ったあたりで【錬金術】のレベルが2になり、他に錬金釜を使おうと待っている人はいなかったのですが、ずっと占領しているのも何ですし、きりもよかったので休憩がてら一旦工房から離れる事にしました。
「ぷぅ~い、ぷ?」
「そうですね、燃費を考えると今のままがベストですが、品質を考えるともう少し流す魔力の量を増やした方が良いかもしれませんね」
いつの間にかゲーム内時間が日中になっていたようで、私と牡丹は工房の庭に出て日光浴をしながら【錬金術】について話していると、グレースさんから連絡が来ました。
『あ、あの、ユリエルさん…今お暇ですか?』
その声は恐る恐るといった様子だったのですが、何か用事なのでしょうか?
『いえ、暇つぶしに生産をしていただけなので大丈夫ですよ』
私がそう返すと、グレースさんはホッとしたように息を吐きました。
『あ、ひ……そ、それじゃあご一緒してもいいですか?」
『はい?どうぞ?』
相変わらずよくわからないテンションだったのですが、私がプルジャの工房に居る事を伝えると、どうやらグレースさんも色々と自分なりに冒険しているようで、ちゃんと工房のポータルを開放しているようですね。急ぎ移動して来たグレースさんは私を見つけると……目の色を変えました。
「あ…ユリエルさ……ぉぉお、ふぉぉぉぉおおおお!!!?」
待ってください、グレースさんのこのテンションにはデジャヴがあるのですが……今度は何でしょう?
「ぷっい!?ぷぅぃいいい!!」
鼻息荒く突進してくるグレースさんを阻止しようと牡丹が果敢に足首にタックルを仕掛けていたのですが、グレースさんはその牡丹のタックルに合わせて歩幅を調整し、微かに踏み込んだ力を利用して威力を逸らすという芸当をしてみせました。
このグレースさんが時折見せるこの身体能力の高さは何なのでしょう?どうも無意識にやっているようなのですが、こういう時のグレースさんに逆らっても無駄そうなのでそのまま掴まれ……そのまま天高く掲げられます。
「凄、凄い!これってミハラの『ASS-YM』シリーズですよね!?高分子結晶の並びが綺麗で……肌触りからすると06番くらいですか?」
どうやらグレースさんが興奮しているのは白スクの素材についてのようなのですが、よく触っただけでそこまでわかりますね。
「グレースさん、待って…私も貰い物で、そこまで詳しく……と言うより、気持ち…ッ」
私もミハラ工業のスキンタイト宇宙服で作られている事まではわかるのですが、流石に素材の型番まではわかりません。というより10センチの体が一瞬にして地上0センチから2メートル近くまで持ち上げられると、結構なGがかかってブラックアウトしかけました。
「うわーうわ~…ゲームでもこんなに再現されているんだ……あ、でも強度が全然ですね」
グレースさんはその肌触りや強度を確かめるようにお腹の辺りをおもむろに撫で回すのですが、ぐにぐにとお腹が圧迫されて凄く変な感じです。
「んっ……く…ッ…まっ、てくだ……」
絶妙な指使いでお腹をグリグリと圧迫され揺すられると、だんだんお腹に熱いモノが溜まってきて……肌が汗ばみ、体が強張ります。
内側を直接刺激されているような気持ち悪さがあるのですが、グレースさんの細い指が離れる度にブルリと体が震え、ピクピクした意味不明な快感が体を巡り始め……私は引きつる腹筋を押さえながら、何とか呼吸を整えようと頑張ります。
「ぷっ!?」
「え…?」
そんなタイミングでポンと軽い音がしたかと思うと、いきなり体がもとの大きさに戻りました。
【錬金術】に集中しすぎていて途中から『小人化』のタイマーの事を忘れていましたが、どうやら解除される時間だったようです。
やっと元のサイズに戻れたのはいいのですが、グレースさんからすると持ち上げていた人形サイズの小人がいきなり人間サイズに戻った訳ですからね、目を丸くして、そのまま支えきれず一緒に倒れました。
サイズが戻った事で着ていた水着が破れてしまい全裸になってしまったのですが……そこは牡丹がすかさずイビルストラに変化して上から被さってくれたので、事なきを得ました。
とはいえフード部分と前垂れ部分はちゃんと布があるとしても、それ以外の部分は細い糸の束で出来たケープ状の何かですからね、下手に動くと見えてしまうので、別の意味で頬が熱くなってしまいます。
「ず、ずみまぜ……っひぃんッ!?」
私が押し倒すような体勢になっているのですが、下になったグレースさんはワタワタとしながら謝罪の言葉を口にしようとしたのですが、いきなり奇妙な声を上げて体を震わせます。
「ぷっぃ!ぷっぃ!」
何事かと思って見てみると、何故か牡丹が前垂れ部分でペシペシと……グレースさんのバランスの良い胸を叩いていまいた。
いえまあ、マウントを取ったような状態でとりあえず殴りやすそうな場所を叩いているだけだと思うのですけど、ペシペシと叩かれるたびにグレースさんは甘い声を上げていて、その声を聞いているとこちらまで変な気持ちになってきてしまいますし、衝撃が私の方まで伝わってきています。
そういえばまふかさんにおもいっきり踏まれた時もそうでしたが、牡丹って怒るとこういう事をするのですよね。
それがスライムなりの怒り方や報復の仕方なのかはわかりませんが、このままだとグレースさんが大変な事になってしまいますし、とにかく牡丹を止めないといけないのですが……この状態だと私はまともに動く事が出来ません。
状況としては一番下にグレースさんが、そして腕立て伏せをするような姿勢で私、そして全裸の私の上にイビルストラ化した牡丹が上に被さっていて……私が牡丹をグレースさんから引き離そうと立ち上がってしまうと色々と隠す物が無くなってしまうのですよね。
周囲には誰もいないようなのですが、流石に全裸の状態で立ち上がるのは遠慮したいですし、どうしようと考えている内にグレースさんの限界が来てしまったようです。
「はっ、ひ…ま、まっへ、ユリエルさん、ユリエルさん!ん゙んー……ッッ」
ギューッと抱きついてきたグレースさんの重さが腕にかかります。その体の温かさと柔らかさ、耳に息がかかる距離でグレースさんは声を押し殺しながらブルブルと震えたかと思うと真っ赤な顔で弛緩し、力なく地面の上に横たわりました。
※誤字報告ありがとうございます、3/27修正しました。




