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112:イビルスライム

 私達は動いている島……正確には物凄く巨大な(100mクラス)黒色のスライムだったのですが、そんなモノが海上に居る状態では海岸沿いに現れるアンギーフロッグ達は身を隠してしまっているだろうと、狩りを中断して外部ネットの繋がるウェスト港に移動する事にしました。

 こういう時間差(町への移動時間)がちょっと煩わしいのですが、イベント後の大規模アップデートでネット関連は少しだけ改善するようなので、それまでは我慢しておきましょう。

 とにかく、ウェスト港でグレースさんのポータルを開放しつつ、ネットで情報収集をした結果……どうやら私達が超巨大スライムを見つける少し前に、セントラル方面の西側に向かった人達によって情報が拡散されていたようですね。

 丁度私達が狩場にしていた場所(ウミル砦の高台)の西側が超巨大スライムの進路上になっているらしく、プレイヤー達はそこに集まり迎撃しようとしているようなのですが……。


「いやーおっさんこの手の計算(到着時間の計算)得意だけど、この海上速度だと到着は18時03分くらいじゃない?おっさん達遠距離攻撃に乏しいし、今から行っても待ちぼうけくらうだけよ?」

 掲示板に貼られている動画を見ていたスコルさんはそんな事を言い、私の目算もそれくらい(18時前後)だったので、体のコンディションを整える必要もありましたし、休憩を挟んでいるとはいえグレースさんも長時間のプレイで少し疲れているようでしたので、先に夕食や休憩をとる事になりました。


「では、50分くらいに集まりましょうか」

 準備や移動時間を考えたとしても、時間加速(4倍加速)があるので10分前行動で間に合うでしょう。それにもしスライムの動きが早まったらその動きに合わせて行動すればいいだけですからね、待ち合わせ時間だけ決めて一度ログアウトし、私は手早く用事を済ませたのですが……どうやらその間(私達が休憩中)にも、プレイヤー間で少し動きがあったようですね。


 超巨大スライムの色は黒色で、使ってくる属性は全属性。各属性の耐性も高く、その巨体のせいで物理攻撃も効きづらいとなかなかの要塞っぷりを見せているようなのですが、それでも何とか(魔法不遇の為)、数の少ない長距離攻撃が出来るプレイヤー達が攻撃をしてみた結果は……惨敗。超巨大スライムが海上に居る間はまともに手出しできないようで、まともなダメージを与えられずに吐き出される攻撃によって手痛い反撃を受けてしまったようです。


 結局大多数のプレイヤー達がまともに戦える地上戦をしようという事となり、今は上陸時を狙って最大火力を叩き込もうと、海岸線沿いに布陣しているようですね。

 私もその総攻撃に間に合うようにログインしたのですが、どうやら少し(楽しみにしているので)早く繋ぎすぎてしまったようで、スコルさんやグレースさんはまだ繋いでいませんでした。

 そして流石にこの頃になると、ほとんどのプレイヤーが超巨大スライムの出現の事を知っているようで、ザワザワとした雰囲気と、その異様な雰囲気に呑まれるNPC達で町は異様な活気がありました。


 とにかく、超巨大黒スライムが上陸しそうという話もまだないですし、今のうちに消費した回復ポーションや投げナイフを補充しておこうと、アルバボッシュに移動して空腹度の回復(軽い食事)と買い物をした所で……私はストラスライムが一度も喋っていない事に気が付きました。


「どうしました?」

 声をかけながら、私はイビルストラを外してフードの中を覗き込んだのですが……中には溶けて半分くらいの大きさになったピンク色のスライムが居て、苦しそうに呼吸をしています。


「ぷ…ぷぃ…」

 私が覗き込むと一瞬目を開いたのですが、それもすぐ閉じてしまい、人間で言うのなら脂汗のような液体を流していますし、何か尋常でない様子ですね。


 人通りの多い通りで何かするのも目立ちましたので、私は急いで人気のない裏路地に移動しストラスライムのおでこに手を当ててみたのですが……何かパチパチしているような気がします。

 どういう状況(症状)なのかよくわからないのですが、ステータス欄を見てみると何故か満腹度の値が0になっており、そのせいで急速にHPが減っていっているようでした。


 ログアウト前はほぼ100%近くだったので、何故ここまで減っているのかわからなかったのですが、このままだとストラスライムは空腹で倒れてしまいそうですね。

 そしてテイムモンスターの死はそのまま死亡(ロスト)となりますし、イビルストラと同化した状態で死亡すると……どういう判定になるかちょっとわかりません。

 正直に言うとこの子には迷惑をかけられた記憶しかないのですが、イビルストラが無くなるのは困りますからね、【ランジェリー】で装備出来て、収納量も問題なく、千切れても回復できる装備なんていうのは中々貴重ですし、出来たら何とかしたいのですが……。


「魔力を……んっ…」

 スライムの食事(満腹度回復)は魔力ですし、まず空腹度を何とかしようと私は魔力を込めた指先を近づけてみたのですが……ペロペロと舐める(MPが吸われる)のですが、空腹度が回復しませんね、どういう事でしょう?


 そうしている間にもHPが減っていっていますし、私はステータス画面を弄ろうとしてみたのですが、ロックされている項目が多くてどうしようもありません。


(ああ、いえ…)

 初歩的な事すぎて抜けていたと言いますか、今更当たり前の事に気づいたのですが……私、この子を【テイミング】していませんでした。

 もしかしたら、色々とのばしのばし(半テイムのまま)にした結果がこれなのかもしれませんね。


「【テイミング】」

 私は改めてスキルを使用し、それから魔力を与えたのですが……ズッと体が重たくなる量のMPが吸われました。

 それから『仲間になりたそうにしていますが、仲間にしますか?<YES><NO>』という確認画面が出てきたのですが……私はそこで<YES>に指を置きながら、溶けかけたピンク色のスライムを一度眺めます。

 何か期待を滲ませた目をウルウルさせながら見つめ返してきていたのですが、そんな瞳で見られても別に愛着はないですし、むしろこの子には変な事しかされていないような気がするのですが、まあ必要無くなれば捨てればいいだけですからね、<YES>を押しておきましょう。


「ぷぅーーいいぃッッ!?」

 私の考え(「捨てればいい」)が伝わったのか「酷ッ!?」みたいな顔をされたのですが、ストラスライムは叫びながら光の塊となり、イビルストラごと光の塊になり丸まり収束していきます。内心何事かと焦ったのですが、私の手の上で光るボールのような形になったかと思うと……ポンッという軽い音をたてながら、その光の玉は透明感の無い黒いスライムになりました。


「え……?」

 イビルストラはどこにいったのでしょう?


「ぷぃ!」

 私の心配をよそに、元気よく返事を返してきたのは……大きさは30センチ程度、色合はイビルストラの黒地にピンクの瞳、光に(かざ)せば微かに紫色の幾何学模様が入っているという、かなり特殊な色合のスライムですね。


 【看破】で見たデータは『イビルスライム』で、レベルは1。レベルの割に耐久度が高いのですが……というより、一々【看破】で見なくてもちゃんと装備品やテイムしたモンスター扱いでもあるようで、普通に情報が閲覧できるようですね。


 テイム画面を開いてみるとスキルや名前も弄れるようになっているのですが、レベルが1なので振るSPがないので何もできません。そして名前、名前ですか……まあその辺りは急がないので、イビルスライムとそのまま呼ぶことにしましょう。


「ぷっ」

 とにかく満腹度は1割以下なのですが、ギリギリラインまで回復したので、HP低下は止まったようですね。

 後はイビルストラにちゃんと戻ってくれるかですが……戻るのでしょうか、これ(スライム)から?


 私が心配そうに見ているその先で、イビルスライムはぽよんと跳ねると、私の胸に飛び込んできました。


「な…ひゃっん…ッ!?こ…らッ、そこは、駄目…です」


「ぷゅ…ぷゅ…」

 イビルスライムの表面はぷるんとした粘液で覆われているものの、その内側はコリコリした木肌のような質感に覆われていて、肌触りはどこかイビルストラと一緒ですね。

 そのため普通のスライムと比べるとちょっと固めなのですが、内部の弾力のおかげで跳ねる(ゴム毬)様な手触りです。そして乳首に吸いついた小さな口なのですが……その中はトロトロでした。


「ふっ…んっ…ふぅ…あっつ」

 乳首はドレスの蔦によって守られているのですが、無数の舌は器用にどのような形や硬さにもなるようで、スライムのトロトロした口は固く閉じた隙間に入り込み、的確に吸いつき、引っ張り上げました。


「ん…く…っ、ふぁ……そんなっ…吸っても、何も、出ま…せん、からぁ…ふぁふああぁーー~~……」

 捏ねるように舐り、コリコリと絞りながら、イビルスライムは赤ちゃんのようにちゅぱちゅぱと吸ってくるのですが……それだけであり得ない快感が押し寄せてきました。

 勿論どれだけ吸われても母乳が出る訳でもないのですが、そんな刺激を与えられながらおもいっきりMPが吸われると……声が漏れ、腰が砕けます。まるで乳首から身体全身を溶かされているような感覚に痙攣し、頭の中が真っ白になるのですが……。


「だめっ、や゙あ゙ッ…っく、ッあーーーーッッ!!!?」

 オートスペルで【ルドラの火】は発動しているのですが、その魔力も吸われ、腰が浮き……我慢しようと思うのですが、イビルスライムにちゅぱちゅぱと吸われるとそれだけでフワフワして……全身の力が抜けていきました。


「ッーーっ!?ふぁぁーーぁ……あ゙ぁ゙~ー…」


「ぷいぃぃ」

 私はビクンビクンと人気のない路地の片隅にへたり込むのですが、MPを沢山吸えたイビルスライムはご満悦の様子で……足腰に力が入らず、まともに動けない私の下半身を見ながらにじり寄ってきました。


「ま、待って、くだ…そっちは、本当に…」

 胸だけでこんなになってしまうのですから、そちらを責められたら……どうなってしまうのでしょう?そんな事を考えてしまうと顔が熱くなり、下腹部がキューッとしまり、期待でちょっとだけ湿ってしまいます。


「ぷ!」


「ッーーー~~………!!?」

 期待してしまった私に「任せて!」みたいな顔で飛びついてきたイビルスライムは、私の一番弱いところを徹底的に攻め始め、スコルさんやグレースさんが繋いでくるまで、満腹度を満たすためにMPを吸い続けていました。

※イビルスライムの見た目は黒色ですが、中身はピンク色なので超巨大スライムとは別の存在です。超巨大スライムの方は、近くから見たら半透明に近い黒色だという事がわかります。

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― 新着の感想 ―
[一言] JK相手にこんなイベントが起こっても本当に炎上しないのかな…日本運営はつよく生きて…
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