成長!?
しばらく行ったところで、急に足の感覚が戻った。
そこには、見覚えのある大きな、怪しげな扉があった。
「!!」
「何をぐずぐずしているのん。早く行くのん。」
イムルが急かす。
私はしぶしぶといった感じで、扉を開けた。
そこの部屋は広く、扉のところから黒いカーペットが長く続いており、終点には
大きな玉座があった。
誰か、座っている。
「おい、そこのお前。」
「ひいっ」
「来い。今すぐ」
私は慌てて、玉座まで駆けていった。
「そこに跪け。」
「は、ははっ」
「・・・よし、顔をあげろ。」
私は言われるがままに、顔をあげた。
若い男が、そこに座っていた。
さらりとした金髪に、茶色の目。超のつくイケメンだ。
その男はしばらく、私を見つめる。
そして、口を開いた。
「お前、名は?」
「綾音です。上原綾音」
「そうか。では、アヤネ。お前、いくつだ?」
「12です。」
「12。まだ子供じゃないか。」
男は顔を歪める。
知らんがなと思いつつ、私は男を見続ける。
「アヤネ。お前ここがどこなのか・・・」
「お待ちください、スーラ様。」
すると私のすぐ横から、イムルが飛び出して来た。
「アヤネはあなたの選んだ仲間です。わざわざ異世界まで来ていただいたのに
何もさせずに返すとは、いくらスーラ様とはいえ、失礼です。」
そう言って、小さな頭を下げる。
「・・・。」
スーラ様と呼ばれるその男は、黙ってイムルを見つめた。
そしてその目線を、私の方に移した。
「お前、度胸はある方か?」
「ま、まあ。」
「怖いものは?」
「特にないです。」
「ウーム…。よし、決めたぞ。」
スーラ様は立ち上がり、イムルに何か合図をした。
するとイムルは急に私に両手をあて、何か唱え始めた。
あ、熱い・・・・・・・
気がつくと、私の体は変化していた。
長い髪。膨らんだ胸。伸びた身長。これまさか、
「体だけ、成長したの?」
「勘がいいな。その通りだ。お前を17歳の姿にした。
その姿で、ここにいてもらう。」
ええええええっ!?