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天地の境で働いてみる  作者: 吉川 由羅
20/22

退化

それから数か月後。

イムルの調子はすっかり良くなり、澄香も元気を取り戻した。

私はそんな二人を集めて、作戦会議を開いた。


「私は、お母さんを殺さない。しっかりと罪を償ってもらおうと思うの。だから、これからお母さんを説得しに行ってくる。…手伝って、くれないかな?」

「ええ、もちろんよ。アヤネは、命の恩人だし。」

「僕も賛成のん。心を取り戻してくれて、本当に良かったのん。」

「ありがとう。」


私は二人を見つめて、笑う。


「でも…」

「どうかしたのん?」

「お母さんに会うの、一年ぶりくらいだから。どうやって話しかけようかな、って。」

「あっ、それにその姿じゃまずいのん。」

「どういう事?」

「澄香は知らなくて当然のん。アヤネは魔法でこの姿に変えられているだけで、本当は11歳、今年で12歳のん。」

「嘘!」


澄香は大声を上げる。本当に初耳らしい。


「う、ううん、本当だよ。」

「マジか…」

「でも、これってどうやって解くの?」

「この魔法は特殊で、かけた本人しか解くことができないんだのん。」

「つまり…スーラ様。」

「そういう事のん。」

「うわあああっ」


私はうめいてその場に座り込んだ。


「そんなに嫌のんか?」

「イムルわかってるくせに。」

「ふふっ、私と一緒ね。」

「私が、どうかしたか。」


肩をびくりとさせて、私たちが振り返ると…そこには腕を組んだスーラ。


「話は全て聞かせてもらった。」

「いや、別にそういう事じゃ」

「分かっておる。こうすればいいのだな。」


その瞬間、いつかのように体が熱くなって…


     ポンッ


「こ、これは…!」


懐かしい感覚だった。私はしっかり、11歳の姿に戻っていた。


「わーっ、ほんとに小学生だ!本当だよ、スーラ!」

「分かっておる。あと、呼び捨てをするな。」

「よかったのん…」


三人はそれぞれの反応を見せつつも、私を取り囲んで笑いあっている。


「…ありがとう、スーラ様。でも、どうして?」

「これは、非常に危険な行為だ。お前が死んでもらっては困る。そのためには、協力は惜しまぬつもりだ。」

「本当に…感謝します。」


スーラらしい自分中心の理由ではあったが、協力してくれるならそれで構わない。


「では、行ってきます。」


私は最高の笑みで、スーラを見た。

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