再会
初仕事から、3ヶ月が経った。
私はこの仕事にすっかり慣れた・・・、慣れてしまったというべきか。
すっかり仲良くなったイムルからは、呪文を一つだけ教えてもらった。
ピンチの時に、自分の周りにシールドを張る呪文。
習得した後、私はもっと教えてほしいとお願いしたが、断られた。
イムル曰く、「人間はここまでが限界」らしい。
しかし逆に、スーラにはずっと会っていなかった。あの日から、ずっと。
そこだけが、心にずっと引っかかっていた。
「アヤネ!」
するとイムルが駆けてきた。
「どうしたの?」
「ス、スーラ様が、お呼びになっているのん!」
「えっ!?」
心臓が止まるかと思った。
「本当?」
「ホントだのん!すぐ行ってくるのん!」
「うん!」
私は走った。
「スーラ様!スーラ様!」
ドンドン、扉を叩く。
すると扉が開き・・・、スーラが、顔を覗かせた。
呪文で足を黙って操られ、玉座の前に来た。
「・・・アヤネ。」
ここでようやく、スーラが口を開いた。
「3ヶ月前のことは、すまなかった。」
「・・・。」
「怒っているのか?」
「…怒っては、ないです。でも、どうしてあんな事をしたのか、未だに疑問なんです。」
「そうか。」
スーラは私に背を向ける。
「実は、私もよくわからないのだよ。」
「わからない?」
「ああ。口を封じるためにやったのか、それとも・・・」
そこで急に、スーラは言葉を濁した。
「え?何ですか?]
「ま、まあとにかく、すまない。そういう事だ。」
そう言ってスーラは、私を強引に追い出した。
「なんだよ、呼び出したのは自分のくせに。」
「へー、なるほど、そういうことのん。」
「ひゃわっ」
見ると、扉のすぐ後ろにイムルがいた。
「き、聞いてたの?」
イムルは黙って頷く。
「と・り・あ・え・ず、こっちくるのん。話があるのん。」
イムルに引きずられ、私はしぶしぶついていった。
「まったく、アヤネは勘が悪いのん。」
お屋敷の中庭で、私は何故か怒られた。
「なにさ。で、なんで私怒られてるの?」
「ほええ。まさか気づいてないとか、ないのんね。」
「?」
私が首を傾げると、イムルはわざとらしく肩をすくめて、溜息をついた。
「スーラ様のん、スーラ様。」
「スーラ、様?」
「スーラ様は、もしかしたらアヤネに恋をしてるかも、ってことのん。」
「えっ・・・、えっ!!??」
「今気付いたのんね。」
私は顔が真っ赤になっているのが、自分でもわかった。
慌てて顔を手で隠す。
「まあ、これからのスーラ様との絡みは、気を付けるのん。」
「わ、わかった。」
「よし、OKのん。」
イムルはニッ、と笑った。