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天地の境で働いてみる  作者: 吉川 由羅
11/22

再会

初仕事から、3ヶ月が経った。


私はこの仕事にすっかり慣れた・・・、慣れてしまったというべきか。


すっかり仲良くなったイムルからは、呪文を一つだけ教えてもらった。


ピンチの時に、自分の周りにシールドを張る呪文。


習得した後、私はもっと教えてほしいとお願いしたが、断られた。


イムル曰く、「人間はここまでが限界」らしい。


しかし逆に、スーラにはずっと会っていなかった。あの日から、ずっと。


そこだけが、心にずっと引っかかっていた。


「アヤネ!」


するとイムルが駆けてきた。


「どうしたの?」


「ス、スーラ様が、お呼びになっているのん!」


「えっ!?」


心臓が止まるかと思った。


「本当?」


「ホントだのん!すぐ行ってくるのん!」


「うん!」


私は走った。


「スーラ様!スーラ様!」


ドンドン、扉を叩く。


すると扉が開き・・・、スーラが、顔を覗かせた。



呪文で足を黙って操られ、玉座の前に来た。


「・・・アヤネ。」


ここでようやく、スーラが口を開いた。


「3ヶ月前のことは、すまなかった。」


「・・・。」


「怒っているのか?」


「…怒っては、ないです。でも、どうしてあんな事をしたのか、未だに疑問なんです。」


「そうか。」


スーラは私に背を向ける。


「実は、私もよくわからないのだよ。」


「わからない?」


「ああ。口を封じるためにやったのか、それとも・・・」


そこで急に、スーラは言葉を濁した。


「え?何ですか?]


「ま、まあとにかく、すまない。そういう事だ。」


そう言ってスーラは、私を強引に追い出した。


「なんだよ、呼び出したのは自分のくせに。」


「へー、なるほど、そういうことのん。」


「ひゃわっ」


見ると、扉のすぐ後ろにイムルがいた。


「き、聞いてたの?」


イムルは黙って頷く。


「と・り・あ・え・ず、こっちくるのん。話があるのん。」


イムルに引きずられ、私はしぶしぶついていった。



「まったく、アヤネは勘が悪いのん。」


お屋敷の中庭で、私は何故か怒られた。


「なにさ。で、なんで私怒られてるの?」


「ほええ。まさか気づいてないとか、ないのんね。」


「?」


私が首を傾げると、イムルはわざとらしく肩をすくめて、溜息をついた。


「スーラ様のん、スーラ様。」


「スーラ、様?」


「スーラ様は、もしかしたらアヤネに恋をしてるかも、ってことのん。」


「えっ・・・、えっ!!??」


「今気付いたのんね。」


私は顔が真っ赤になっているのが、自分でもわかった。


慌てて顔を手で隠す。


「まあ、これからのスーラ様との絡みは、気を付けるのん。」


「わ、わかった。」


「よし、OKのん。」


イムルはニッ、と笑った。

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