謎の扉
吉川です。
今回初めて、異世界を舞台にしたものを書いてみました。
まだまだ未熟ですが、応援よろしくお願いします。
東京のある裏路地に、親子が住んでいた。
段ボールを敷いてその上に座り、街にある水道の水で、飢えをしのいでいる。
「お母さん、眠い…」
娘の方が、消え入るような声で言う。
「駄目よ、あーちゃん。寝たら死んでしまう。」
母が娘を軽く揺する。
あーちゃん・・・私、上原綾音はこんな生活に嫌気がさしていた。
なんで私たちだけ、こんな目に遭わなくてはならないのだ。
政府は平等だのなんだの言っているが、これが差別じゃなくて何だというのだ。
いや、これは政府じゃない。神様だ。
ううん、そもそも神様なんていないのだ。
「ねえ、あーちゃん。ママ、水汲んでくるからここで待っててね。
…絶対、寝ちゃダメよ。」
「わかってる。」
ママは立ち上がり、街の方に歩いて行った。
裏路地で、1人。もうすっかり慣れたが、何だかいつもより心が重い。
「なんでだろ…。」
私はほっぺを叩く。いつもより痛みが弱い。
相当眠いんだろう。
すると、私の方に1枚の紙が飛んでくるのが見えた。
小さい、折り紙ぐらいの紙。
紙が飛んでくるのはいつものことだが、私はそれを思わず目で追ってしまった。
何か、あれには重要なことが書いてある。
そう思えてならないのだ。
それは運良く私の足元に着陸した。
私はそれを拾い上げ、じっと見つめる。
そこには怪しい扉の絵が描かれていた。
「なに、これ」
私がそう言ったか言わないか、その紙は強風で私の手を離れた。
そして、目の前の建物の壁に張り付く。
次の瞬間、信じられない事が起こった。
そこに、紙に描いてあった扉が現れたのだ。
扉は紫色のオーラを放ちながら、段ボールやゴミ、そして私を吸い込んだ!
「きゃああああっっ!!」